こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、「樹形図」→「和の法則・積の法則」→「順列」と進んでいき、多くの人が
「円順列(えんじゅんれつ)」
ここで壁にぶち当たるのではないか、と僕は思います。
それもそのはず。
円順列は非常に問題パターンが多くて、どれも難しいです。
ですから、代表的な応用問題パターンはあらかじめ押さえておかなければなりません。
よって本記事では、円順列の代表的な応用問題 $5$ つと難問 $2$ つを
- 東北大学理学部数学科卒
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ
- (専門は確率論でした。)
の僕がわかりやすく解説します。
円順列で必ず押さえるべきポイント【「固定」して考えましょう】
円順列の最大のポイント。
それは…
これに尽きます。
どういうことか、具体例を通して解説していきます。
(1) $1$ 列に並べる
(2) 円形に並べる
まず、(1)の答えは $5!=120$ 通りですね。
これに対して(2)の答えは、$$\frac{5!}{5}=24 (通り) ……①$$
$$(5-1)!=24 (通り) ……②$$
①か②の方法で求めることができます。
これがなぜ成り立つのか。
少し大きめですが、下の図をご覧ください。
①の考え方は、ふつうの順列で区別していた $5$ 通りが、円順列では $1$ 通りになってしまうことから、$5$ で割ればいいという発想です。
②の考え方は、たとえば試しに $A$ 君を固定してみれば、「 $A$ 君の前」「 $A$ 君の後ろ」といったように、ふつうの順列と同じ条件になる、という発想です。
ようは、順列との大きな違いは
- 順列…「前と後ろ」という明確な基準がある
- 円順列…明確な基準がない
これがあるから、場合の数が変わってくるよー。
そういうお話になります。
[ふきだし set=”ウチダ”]①の発想はそのまま「組合せの総数」にも応用できます。ただし、円順列の総数を求める問題では②の発想の方が重要です。どちらも押さえておくと場合の数マスターになれますよ^^[/ふきだし]
また、①と②の発想から円順列の公式を作ることができます。
異なる $n$ 個のものの円順列の総数は$$\frac{n!}{n}=(n-1)!$$
この公式はあくまで「異なる $n$ 個」の円順列の総数なので、万能とは言えません。
覚えるべき公式ではありますが、この公式が絶対だとは思わない方が良いので、そこだけは注意してください。
円順列の応用問題5選
円順列の勉強では、とにかく基本的な問題パターンを把握することに意味があります。
本記事では、重複かつ抜け漏れがないように解説していくのでご安心ください。
[ふきだし set=”ウチダ”]「重複かつ抜け漏れがない」って、、、なんか樹形図みたいですね。(笑)[/ふきだし]
少し量は多いですが、
- 交互に並ぶ
- 向かい合う
- 隣り合う or 隣り合わない
- 選んで並べる
- ネックレス(数珠順列)
の計 $5$ 問を、まずは解説していきたいと思います。
交互に並ぶ問題
「輪の形」なのでもちろん円順列になりますが…
“基準がないから”円順列であり、”基準があれば”ただの順列です。
そこに注意して問題を解いていきましょう。
【解答】
男子を $A$ ~ $D$ 君、女子を $E$ ~ $H$ さんとする。
まず、男子 $4$ 人を円形に並べてみる。
その場合の数は円順列の総数の公式より、$(4-1)!=3!=6$ 通りである。
次に、女子 $4$ 人を男子の間に並べていく。
男子はもう並び終えてることから、男子が基準となって動かない。
つまり、女子 $4$ 人の並べ方は単なる順列となる。
よって、$4!=24$ 通り。
したがって、積の法則より、$6×24=144$ 通りである。
(解答終了)
「公式は重要だけど、絶対ではない」とお話した意味が、じわじわとわかってきたのではないでしょうか。
円順列の総数を求める問題は、このようにしっかり考えないと難しいものばかりです。
ただ、どこまでいっても
- 明確な基準がある → 順列
- 明確な基準がない → 円順列
この指標は極めて重要なので、ぜひこの基本を大切にして様々な応用問題パターンに触れていってほしいな、と思います♪
向かい合う問題
この問題もよく出てきますね~。
ふつうは「交互に並ぶ問題」とあわせて出題されることが多いです。
【解答】
先生 $2$ 人を $A$、$B$ さんとする。
まず、$A$ さんを固定すると、$B$ さんの場所は $1$ 箇所に決まる。
したがって、単なる生徒 $6$ 人の順列の問題であることがわかったので、$6!=720$ 通りである。
(解答終了)
「円順列に見せかけて、実はただの順列」という、サッカーで言うところのフェイントのような問題でした。
隣り合う・隣り合わない問題
(1) 女子 $2$ 人が隣り合う場合の数
(2) 女子 $2$ 人が隣り合わない場合の数
「隣り合う・隣り合わない問題」は、さっきの $2$ 問より発想がだいぶトリッキーです。
また、この問題のように、(1)(2)と出題されることも多いでしょう。
(2)については、主に $2$ つ解法がありますので、ぜひ予想しながらご覧ください。
【解答】
(1) 女子 $2$ 人を $F$、$G$ さんとする。
まず、$F$、$G$ さんを「 $2$ 人で $1$ つ」、つまり「修二と彰」状態にしてしまう。
よって、この $6$ 人(本当は $7$ 人)の円順列の総数は $(6-1)!=5!=120$ 通りである。
ここで、$F$ さんと $G$ さんの入れ替えを考慮すると、$120$ 通りのどの場合に対しても $2!=2$ 通り並び替えが発生する。
したがって、積の法則より、$120×2=240$ 通り。
(解答中断)
隣り合う円順列の問題は
- まず $1$ つにまとめてしまい、円順列の総数を求める。
- $1$ つにまとめたもの同士の並び替えの場合の数を求める。
- 積の法則より、掛け算すればOK
この流れが鉄板ですので、押さえておきましょう。
あ、ちなみに「修二と彰」というのは、僕が小学生の頃流行ったドラマ「野ブタをプロデュース」に登場する主人公格の男子 $2$ 人のことです。
あの頃のドラマは面白かったな~。。
そんな話は置いといて、(2)の解答に移ります。(笑)
【解答再開】
(2) 男子 $5$ 人を $A$ ~ $E$ 君とする。
まず、男子 $5$ 人を先に円形に並べてしまう。
すると、⓵~⓹の中から $2$ 席選んで、そこに女子 $2$ 人を並べればいいので、${}_5{P}_{2}=5×4=20$ 通りになる。
したがって、積の法則より、$(5-1)!×20=24×20=480$ 通り。
(2の別解)
男女 $7$ 人を円形に並べる場合の数は、$(7-1)!=720$ 通りである。
したがって、隣り合わない場合の数は、全体の場合の数から隣り合う場合の数を引けばいいので、(1)より$$720-240=480 (通り)$$
(解答終了)
隣り合わない場合の考え方は
- 先に男子を並べて、その間に女子を並べる
- 全体の場合の数から隣り合う場合の数を引く
の $2$ 種類存在します。
[ふきだし set=”ウチダ”]前者の考え方は柔軟で面白いですが、「いかに問題を速く解くか」に重点を置くのであれば、後者の考え方の方が適しています。補集合の考え方は応用範囲が非常に広いので、ぜひ押さえておきましょう。[/ふきだし]
選んで並べる問題
一見難しくなさそうですが、今までにない発想が必要です。
【解答】
「選ぶ」と「並べる」を別々に考える。
ⅰ) $9$ 人から $5$ 人を選ぶ場合の数
順序は関係ないので、組合せの考え方より、$\displaystyle {}_9{C}_5=\frac{9・8・7・6・5}{5・4・3・2・1}=126$ 通り。
ⅱ) $5$ 人を輪の形に並べる場合の数
$5$ 人の円順列の総数は、$(5-1)!=24$ 通り。
したがって、積の法則より、$126×24=3024$ 通りである。
(解答終了)
今までにない発想 $=$ 組合せ( $C$ )の考え方ですね。
そういえば $3$ 問目までの円順列では、出てきた人すべてを並べていましたもんね。
[ふきだし set=”ウチダ”]円順列はふつう組合せの前に学習するため、この問題は応用問題として習うことになるでしょう。組合せについては「順列と組合せの違いとその公式とは【応用問題5選もあわせて解説】」の記事にて、順列と比較しながら解説しております。[/ふきだし]
ネックレス(数珠順列)の問題
ネックレスでもブレスレットでも何でもいいんです。
とにかく「裏表の区別がない」というのが重要な条件です。
どのように解けばいいのか、ぜひ考えてみて下さい。
↓↓↓
【解答】
異なる $5$ 個の玉の円順列の総数は $(5-1)!=24$ 通りである。
ここで、裏表の区別がないため、「反転」のパターンを同一視する必要がある。
よって、円順列において、反転すると同じものが $2$ つずつできる。
したがって、$\displaystyle \frac{24}{2}=12$ 通りである。
(解答終了)
表裏の区別がない → 反転すると同じものが $2$ つずつできる → 円順列の総数を $2$ で割ればよい。
これより、公式ができます。
異なる $n$ 個のものの数珠順列の総数は$$\frac{(n-1)!}{2}$$
[ふきだし set=”ウチダ”]数珠順列については「数珠順列の公式とは?円順列との違いを解説!【難問アリ】」の記事にて詳しく解説しております。円順列との関連性が非常に強いので、あわせて学習することをオススメします。[/ふきだし]
円順列の難問2選
ここまでが、円順列を学ぶ上で必ず押さえておきたい問題です。
量が多くて大変だとは思いますが、場合の数を求める基本的な考え方がたくさん詰まっているので、ぜひ頑張っていただきたいです!
さて、ここからは発展的な内容になります。
難関大志望レベルの問題として、
- 重複円順列(同じものを含む円順列)
- 立方体の色分け(塗り分け)問題
以上 $2$ つについて考察していきます。
重複円順列(同じものを含む円順列)の考え方
(1) 赤玉 $5$ 個、白玉 $3$ 個、青玉 $1$ 個
(2) 赤玉 $4$ 個、白玉 $2$ 個
(1)のように、$1$ つしかないものが存在する場合は比較的簡単に求めることができます。
(2)は、意外にもあの方法が…活躍します。
【解答】
(1) 青玉が $1$ 個しかないことから、青玉を固定して考える。
すると、青玉の「前と後ろ(反時計回りにおいて)」という明確な基準ができたので、これはただの順列である。
したがって、同じものを含む順列の総数を求める公式より、$\displaystyle \frac{8!}{5!3!}={}_8{C}_{3}=56$ 通りである。
(2) 場合の数が少ないことが予想できるので、数え上げた方が速い。
数の少ない白玉を基準に場合分けをすると、$3$ パターンしか存在しないことに気づく。
したがって、場合の数は $3$ 通りである。
(解答終了)
(1)の考え方は、難関大志望の方であればぜひ押さえておきたいです!
同じものを含む順列の公式を利用してあげましょう。
≫参考記事:同じものを含む順列と組合せは”同じ”です【問題4選もあわせて解説】
[ふきだし set=”ウチダ”](2)についてですが、「樹形図を使う?使わない?【問題によって使い分けるコツを解説】」の記事でもお伝えした通り、場合の数が少ないことが予想できるものは数え上げてしまいましょう。[/ふきだし]
ちなみに、場合の数が多いバージョンは、ゆうに高校レベルを超えます。
気になる方は「バーンサイドの補題」でググってみて下さい。
立方体の色分け(塗り分け)問題の考え方
まさか…場合の数で空間図形が出てくるとは…
さて、$3$ 次元の話はわかりづらいので、なるべく $2$ 次元に落とし込むようにして考えましょう。
【解答】
底面の色を、たとえば赤色に固定して考える。
ここで、
- 底面の向かい側の面(つまり上面)
- 側面 $4$ つ
これらを別々に考える。
ⅰ) 上面の塗り分け方
これは、底面に使った色(赤色)以外の $5$ 通りである。
ⅱ) 側面 $4$ つの塗り分け方
ここで円順列の考え方が使える。
よって、異なる $4$ 色の円順列の総数は、$(4-1)!=3!=6$ 通り。
したがってⅰ)ⅱ)より、積の法則を用いて、$5×6=30$ 通りである。
(解答終了)
この問題のポイントは、立方体という図形がどこから見ても同じ立体であることです。
よってたとえば正四面体でも、解き方は全く同じになります。
円順列に関するまとめ
いかがだったでしょうか。
記事がボリューミーな内容だったので、結論はシンプルに一言でまとめます。
…「元も子もない」という発言を禁じます。(笑)
まあ、冗談でも何でもなく、円順列は問題パターンをあらかじめ把握しておかないと厳しいです。
逆に、本記事で解説している内容が頭の中に入っていれば、少なくとも定期試験などでは満点が狙えるようになりますので、じっくりと読んでいただきたく思います。
「場合の数」全 12 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!
以上で終わりです。
コメントを残す
コメント一覧 (2件)
揚げ足を取ってしまうようですが指摘します
2−2の問題で先生は大人とは限られないと思われるため混乱する可能性があります
揚げ足を取ってしまうようですがゆるしてください
たしかにそうですね!あえて先生を大人に変えなくても良さそうですね。
ご指摘ありがとうございます。