こんにちは、ウチダです。
さて、角度 θ(シータ)に対し定義される”三角比”という値には、「サインコサインタンジェント(sin cos tan)」の $3$ 種類があります。
ふつうの定義と覚え方は図の通りです。
それぞれの 頭文字「s」「c」「t」の筆記体とリンクさせることで覚えやすくなります。
今の高校生は筆記体こそ習いませんが、大体この覚え方を勉強しているのではないでしょうか。
これ以外にも覚え方があるんですか?詳しく知りたいです!
よって本記事では、サインコサインタンジェント(sin cos tan)のより良い覚え方について
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
サインコサインタンジェント(sin cos tan)を「本質的かつわかりやすく」定義しよう!
まず、皆さんに質問したいと思います。
そもそも「サインコサインタンジェント(sin cos tan)」とは、何を表しているのでしょうか?
う~ん。角度θが決まると sin cos tan も決まりますけど、「何を表す」って言われると難しいです。
これ、意外と見落としがちなんですけど、サインコサインタンジェントは“三角比”なんです。つまり、「ある三角形の辺と辺の比」を表しているのです。
サインコサインタンジェントの定義や覚え方にとらわれすぎると、「辺と辺の比を表す」という重要な事実を見失ってしまいます。
注意しましょう。
さて、では次に考えるべきなのは、「どういう三角形の辺と辺の比なのか」ですよね。
その2【どういう三角形の何と何の比なのか】
まず、定義をする際、「直角三角形」を用いたと思います。
ですから、三角比というのは
「直角三角形の〇〇と□□の比」
なわけです。
では肝心の〇〇と□□にはそれぞれ何が入るのか…
それが初めに確認した「斜辺」やら「高さ」やら「底辺」なわけですが…
- 分数だから覚えにくい
- サイン、コサイン、タンジェントという風に定義が3つあってどれがどれだか忘れる
このような感覚を持つと思います。
そこで、今日の話で一番重要になってくる考え方をしてみましょう。
その3【斜辺を1に拡大または縮小する】
図形を拡大または縮小したところで相似な図形ができるので、辺と辺の比は変わりません。
ここがポイントです!(どんなに拡大または縮小したところで、角度θも直角も変わりませんよね。)
ですから、「斜辺が1の直角三角形」で考えても定義は同じになることがわかります。
すると、sin,cosの定義はこのようになります。
$$\sin θ=\frac{高さ}{斜辺}=\frac{高さ}{1}={高さ}$$
$$\cos θ=\frac{底辺}{斜辺}=\frac{底辺}{1}={底辺}$$
いかがでしょうか。
すごいシンプルな定義になりましたね!
つまり、sin,cosの意味するところは、
直角三角形の斜辺を1に拡大または縮小したときの高さ(sin)または底辺
ということがわかりました!
同じ風にtanについても考えれば、tanは分母が「底辺」なので…
$$tanθ=\frac{高さ}{底辺}=\frac{高さ}{1}={高さ}$$
となりますから、
直角三角形の底辺を1に拡大または縮小した時の高さ
ということになりますね!
例題を解いてみよう!
では、実際にこんな問題を解いてみましょう。
例題1.斜辺が $5$、底角が $30°$ の直角三角形の高さ、底辺を求めよ。
まずこれを図にしてみましょう。
底角というのは、文字通り「底辺の角度」ということです。
これは中でも特殊な三角形ですので、「1:2:$\sqrt{3}$」を使えば簡単に導けますが、ここではsin,cosを使って解いてみましょう。
いいですね~。それではもう一問いってみましょう!
例題2.底辺が $\displaystyle \frac{1}{2}$、底角が $60°$ の直角三角形の高さ、斜辺を求めよ。
まずは図にしてみます。
今回は底辺が与えられているので、tanを用いて高さを求めてみましょう。
解答中に出てきました「三平方の定理」については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、よろしければあわせてご覧ください♪
サインコサインタンジェントの覚え方
さあ、いよいよ覚え方です!
サイン(sin)は、「たかサイン(高さ+sin)」
コサイン(cos)は、「よコサイン(横(底辺)+cos)」
…別にここはシベリアでも北極でもないですよ!
スベってないです。(笑)
冗談はさておき、このように「語呂で覚える」というのは実は理にかなっていたりします。
一番いいと言われているのは、「自分で語呂を作る」ことですが、もし覚えやすいなと感じた方は、ぜひこの語呂を活用してみてください!
tanについては語呂は作りませんでしたが、tanはsin,cosほどは使いません。なのでとりあえずsin,cosの語呂だけでも覚えておけば十分だと思いますよ。
サインコサインタンジェントに関するまとめ
いかがでしたか?
最後に、本記事のポイントをまとめます。
- サイン(sin) …直角三角形の斜辺を $1$ に拡大または縮小したときの高さ
- コサイン(cos) …直角三角形の斜辺を $1$ に拡大または縮小したときの底辺
- タンジェント(tan) …直角三角形の底辺を $1$ に拡大または縮小したときの高さ
そして、いい覚え方は…
- サイン(sin) …たかサイン(高さ+サイン)
- コサイン(cos) …よコサイン(横+コサイン)
でした!
sin , cos , tanはこれからずーっとお世話になるので、ぜひこの記事で基本を押さえておきましょう^^
ちなみに「なぜ日本語では”正弦””余弦””正接”と呼ぶのか」知っていますか?この機会にあわせて理解していただければ幸いです!
「数学が苦手でとても困っている…」という中高生は、ぜひ以下の記事も読んでみてください^^
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