「いつかカナダのIT企業で働いてみたい」
「移民大国カナダのワーキングホリデービザが気になっている」
このように考えてはいませんか?
カナダはアメリカと比べて比較的移住しやすいと言われており、ITのレベルも日本より高いため、「カナダでITエンジニアとして働きたい!」と考える人は多いです。
ただ、いくら移住しやすいとはいえ、やはり海外移住にはそれなりの覚悟と勇気が必要です。
よって、事前にカナダ移住に関する必要な情報を集めておく必要があります。
本記事では、自身も海外でITエンジニアとして働くことに憧れがある筆者が、体験談や公式情報を踏まえて
- カナダのITエンジニアの待遇や年収
- 使えるビザやおすすめの移住ロードマップ
についてご紹介します。
※なるべくわかりやすくかつ正確な情報を届けるよう努力しますが、ビザを定める「移民法」は想像以上に複雑なので、個別のケースに関する相談はカナダのビザ専門の弁護士に相談するようにしてください。
カナダのITエンジニアの待遇や年収
カナダの大都市バンクーバーでは、アメリカの大企業であるAmazonやAppleが進出してきています。
参考:『Amazonの本格拠点が2022年バンクーバーダウンタウンに誕生』
参考:『Apple、バンクーバーの「400 West Georgia」に新オフィス』
バンクーバーはアメリカを含む北米の中でも、「人材が優秀な割にはコストが安い」という街なので、今後この流れは加速することでしょう。
事実バンクーバーは、人材の優秀さだけで言えばサンフランシスコ、シアトル、オースティン、ボストンに次いで第5位に位置しています。
引用:『今バンクーバーがどれだけエンジニアにとってヤバい街なのか書いてみる』
またカナダは日本よりITレベルが高い国ですので、平均給与も高い傾向にあります。
2021 | Country | 2020 | Ranking Change | |
1 | USA | 1 | – | – |
2 | Hong Kong SAR | 5 | +3 | ↑ |
3 | Sweden | 4 | +1 | ↑ |
4 | Denmark | 3 | -1 | ↓ |
5 | Singapore | 2 | -3 | ↓ |
6 | Switzerland | 6 | – | – |
7 | Netherlands | 7 | – | – |
8 | Taiwan, China | 11 | +3 | ↑ |
9 | Norway | 9 | – | – |
10 | UAE | 14 | +4 | ↑ |
11 | Finland | 10 | -1 | ↓ |
12 | Korea Rep. | 8 | -4 | ↓ |
13 | Canada | 12 | -1 | ↓ |
14 | United Kingdom | 13 | -1 | ↓ |
15 | China | 16 | +1 | ↑ |
16 | Austria | 17 | +1 | ↑ |
17 | Israel | 19 | +2 | ↑ |
18 | Germany | 18 | – | – |
19 | Ireland | 20 | +1 | ↑ |
20 | Australia | 15 | -5 | ↓ |
21 | Iceland | 23 | +2 | ↑ |
22 | Luxembourg | 28 | +6 | ↑ |
23 | New Zealand | 22 | -1 | ↓ |
24 | France | 24 | – | – |
25 | Estonia | 21 | -4 | ↓ |
26 | Belgium | 25 | -1 | ↓ |
27 | Malaysia | 26 | -1 | ↓ |
28 | Japan | 27 | -1 | ↓ |
29 | Qatar | 30 | +1 | ↑ |
30 | Lithuania | 29 | -1 | ↓ |
カナダ | 日本 | |
---|---|---|
WEBデザイナー | C$33,521 – C$62,866。 平均はC$46,861。中央値はC$48,083。(C$46,861 = 約407万円) | 平均約360万円。 WEBディレクターは平均約470万円、WEBプロデューサーは平均約550万円。 |
WEBデベロッパー | C$35,661 – C$73,441。 平均はC$49,758。中央値はC$51,078。(C$49,758 = 約433万円) | シニアとあわせて約489万円と言われている 参考:『ITエンジニアの仕事の年収・時給・給料』 |
シニア WEBデベロッパー | C$49,734 – C$91,020。 平均値は C$70,786。中央値はC$71,141。 (C$70,786 = 約616万円) | 同上 |
ITエンジニアの年収は約150万円ほど開きがあると考えておけばいいでしょう。
以上の背景に加えて、カナダで市民権(国籍)を獲得すればTN-NAFTA条約ビザというものが使えるようになり、アメリカ移住を狙いやすくなるというメリットもあります。
※ただし日本は二重国籍を認めていない為、日本国籍を同時に持つことはできないので注意してください。
参考:『カナダ市民権(国籍)』
過去5年間のうち1,095日以上をカナダに滞在しているカナダ永住権保持者
またアメリカの移民割合が14%前後であるのに対し、カナダの移民割合は21%前後を誇るので、「カナダの方が移民に寛容である」と言えるでしょう。
参考:『カナダの概要』
アメリカ移住に関するより詳しい話は、以下の記事をどうぞ。
参考:『アメリカでビザを取る現実的かつ具体的な方法4選【ITエンジニア向け】』
中国移民の急増や家賃の高騰といった問題も抱えている
カナダは日本に比べて待遇や年収がよく、アメリカに比べて移住がしやすいので、移住先として非常に人気です。
その影響もあり、たとえばバンクーバー郊外のリッチモンド市では、人口20万人のうち約7割が中国系移民で占める、といった問題も起きています。
参考:『カナダでなぜ中国系議員が増えているのか…北米で展開される「中国vs.民主主義」の構図』
また近年のITブームにより人気が急上昇しているバンクーバーでは、家賃の高騰も問題になっています。
以下の画像によれば、1ベッドルーム $2,022 であり、日本円に直すと約18万円になります。
引用:『バンクーバーの家賃ってどれくらい?』
つまりカナダ(特にバンクーバー)についてまとめると…
世界ITランキング13位の移民大国であり、人材が優秀で給与も比較的高いことから人気だが、人気が上昇しているがゆえに中国系移民の急増や家賃の高騰といった問題を抱えている
これがデータから見る現在のカナダです。
カナダのおすすめビザ3選
カナダは諸外国と比べて、非常にビザが取得しやすい国と言われています。
ここでは、カナダで永住権を取るためにおすすめなビザを3つご紹介します。
ワーキングホリデービザ
通称「ワーホリ」と呼ばれるビザで、18歳以上30歳以下の人であればほぼ誰でもカナダで1年間働くことができる夢のようなビザです。
- 日本国籍を有していること
- パスポートの有効期限がワーホリの滞在期間全てにおいてカバーされていること
- 日本の住所が提出できること
- 申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること(出発時の年齢ではない)
- 最低2,500カナダドル相当の資金を有していること(およそ20~25万円)
- カナダ滞在期間中に有効な医療保険に加入していること
- カナダに入国できる権利・資格があること
- 往復航空券を保持していること(又は帰りの航空券を購入できるだけの資金があること)
- プログラム参加費(256カナダドル)+バイオメトリクス登録費(85カナダドル)の支払いができること
- 扶養家族が同行しないこと
- カナダで仕事が内定していないこと
- 以前にカナダのワーキングホリデー許可証を受理していないこと
※2022年1月15日より、全てのビザにおいて入国にはワクチン接種が必須となります。
日本は26カ国とワーキングホリデー制度の協定を結んでおり、その中でも特に「カナダ」と「オーストラリア」は留学・移住先として非常に人気です。
参考:『ワーキングホリデー協定国26ヶ国でおすすめは?【2021年9月更新】』
オーストラリアのワーホリビザは「同じ雇用主では半年までしか働けない」という制限があるため、カナダのワーホリビザの方が優秀です。
»関連:『オーストラリアにITエンジニア(プログラマー)が移住するには何が必要?』
Co-opビザ
Co-opビザは、カナダ政府から認定を受けた学校で職業体験(有給インターンシップ)付きのプログラムを履修する際に取得することができる、年齢制限なしの学生ビザを指します。
就学と就労が半分ずつで構成されていることが特徴の一つです。
引用:『最新|コロナ禍でもカナダで働けるCo-opビザを解説!休学留学にもお勧め』
Co-opビザはあくまで「学生ビザ」の位置付けなので、永住権申請のための就労経験には含まれません。
しかしCo-opビザを活用することで卒業後に就労ビザを取得しやすくなるため、間接的に非常に役に立ちます。
またCo-opビザは、日本で言ういわゆる”インターンシップ”に近い制度のため、いきなりワーホリビザを使うよりも専門性のある仕事を体験できる可能性は高いです。
参考:『【2022年度】カナダのコープビザ(Co-op)とは? 学校に行きながら働けます!』
Post-Graduateビザ
通称「ポスグラ」と呼ばれるビザであり、高校以上を卒業した人が申請できる、最短8ヶ月~最長3年間働くことができる就労ビザです。
- 今までに一度もポスグラ申請をしたことが無い
- カナダ移民局指定のプログラム(Post-Secondary)を卒業している
- 上記プログラムは公立カレッジもしくは大学以上のプログラムで、8カ月以上のものであること(2020年4月現在)
- 上記プログラムはフルタイムかつ通学を要するもの(オンラインのプログラムは不可)
ワーホリビザの1年間の間に永住権が取れたらそれでOKですが、間に合わない場合はこのポスグラビザを活用し、永住権を狙うのが一般的な戦略です。
ワーホリとポスグラはそれぞれ人生で一度きりしか使えないため、ご利用は計画的に。
カナダで永住権を獲得するための具体的な戦略3選
ここまでの内容を踏まえた上で、カナダで永住権を獲得するための具体的な戦略を3つご紹介します。
観光・学生ビザから切り替えて、ワーホリビザで1年間就労経験を積む
カナダの永住権が取得できるかどうかは、以下の4つの要素によって決められます。
- 若さ
- 英語力
- 学歴
- カナダでの就労経験
特に④については、最低条件が「週30時間 × 1年間」と定められているため、この1年間の就労経験をいかにして勝ち取っていくかが重要となります。
しかし、カナダにワーホリビザを使って渡航したとしても、渡航したその日に職にありつけなければこの最低条件をクリアできません。
そこでおすすめなのが「観光ビザや学生ビザからワーホリビザに切り替えるプラン」です。
まず、観光ビザや学生ビザを使いカナダに入国すれば、最大180日カナダに住むことができるため、その間に学校等で勉強しながら仕事を探します。
そして仕事が見つかった時点でワーホリビザに切り替えれば、カナダで1年間就労経験を積むことができるため、永住権の申請条件を満たすのです。
細かい手続きで間違うといけないため、必ずカナダ移民専門の弁護士に相談するようにしてください。
参考:『ワーホリからカナダ永住権へつなげる方法』
成功事例:ECトロントに12週間通いながらバンクーバーの企業に就職
- 日本では4年制の文系大学を卒業
- 新卒でSIer(DBエンジニア)に就職
- その後はWebサービスの開発に従事
- 8年半のWeb開発の経験
という経歴の佐藤さんは、これらの経験を活かして語学学校「ECトロント」に12週間通いながら仕事を探し、ワーホリビザ→ブリッジビザ(就労ビザ)とビザの更新を経て、3年後に永住権を獲得されました。
参考:『カナダのIT業界で働いているWEBエンジニアさんへインタビューしました』
成功事例:BCPNP ELSSを使い永住権獲得
- 24歳
- 短大の英語学科を卒業
- 英語が好きでTOEICは750点
- 金融機関で2年事務職として働いていた
という経歴のK・Iさんは、専門スキルがなかったので、BCPNP ELSSというブリティッシュコロンビア州でのみ使える特別な制度を使い、永住権獲得を目指しました。
BCPNP ELSS 制度に該当する職種の中で、特に就職先をみつけやすいのは「飲食業のサーバー(ウェイトレス/ウェイター)」「キッチンヘルパー」などです。
そこで、
- 観光ビザで入国、5ヶ月間語学学校に通う
- ワーホリビザを使い、飲食店サーバーとして9か月間働く
- 英語を猛勉強し、CELPIPという試験でCLB9(英検1級相当)を獲得
という綿密な戦略を見事完遂し、永住権獲得につなげました。
もちろん専門スキルがあった方が有利ですが、専門スキルがなかったとしても戦略次第で永住権を獲得することは可能です。
参考:『社会人がカナダワーホリから永住権を取得した成功体験談』
カナダにIT留学し、Co-opビザやPost-Graduateビザを使う
カナダにIT留学し、Co-opビザやポスグラビザを使って永住権獲得を目指す、最も一般的な方法です。
IT留学にかかる費用は、一般的に学費だけで数百万はかかるとされているため、それ相応の準備が必要です。
アメリカ | カナダ | オーストラリア | フィリピン | インド | |
---|---|---|---|---|---|
合計 | 67~179万円 | 70~164万円 | 63~159万円 | 46~85万円 | 31~85万円 |
渡航費 | 10~20万円 | 7~20万円 | 6~15万円 | 5~7万円 | 5~10万円 |
学費 | 39~99万円 | 33~84万円 | 33~84万円 | 23~48万円 | 20~45万円 |
滞在費 | 9~30万円 | 18~30万円 | 15~30万円 | 9~15万円 | 3~15万円 |
食費 | 9~30万円 | 12~30万円 | 9~30万円 | 9~15万円 | 3~15万円 |
※『IT(プログラミング)留学するには?費用やおすすめの国、準備も紹介!』より引用
またカナダのIT留学を成功させるためには、英語力が
- IELTS5.5~6.5
- TOEFL iBT82~86
このぐらいは欲しいと言われており、これはTOEIC800点、英検準一級レベルに相当します。
参考:『カナダで『IT留学』する魅力とは?専門学校のカリキュラム・卒業後のキャリア。』
参考:『他のテストとのスコア換算』
カナダでのIT留学を検討している人は、とりあえず英語だけは勉強しておくようにしましょう。
成功事例:未経験からCICCCに通い、Reactエンジニアとして就職
- 元吉本のお笑い芸人
- 33歳頃までホテルや銭湯のエリアマネージャー
- 34歳から独学でプログラミングを勉強し、アルバイトとしてキャリアをスタート
という超異色な経歴を持つShotaさんは、バンクーバーダウンタウンに位置する専門学校である「CICCC」に通い、どうにか挫折せずに卒業できました。
年齢が30歳を超えていてワーホリビザが使えなくて大変だったそうですが、なんとか仕事を見つけることができて、フロントエンドエンジニアとして現在も勤務されているそうです。
もちろん多大なる努力を要しますが、ワーホリビザが使えなくてもカナダに移住できることの証明と言えるでしょう。
参考:『お笑い芸人から海外でエンジニアに!業界未経験から前代未聞の挑戦を成功させたフロントエンドエンジニアのShotaさん』
成功事例:日本の労働環境に嫌気が差し、ポスグラを使って永住権獲得
東京で6年間プログラマーとして勤務されてきたSさん(仮名)は、「デザインができるエンジニア」に憧れを抱き、
- バンクーバーのデザイン学校に通う
- ポスグラビザを使って何とか仕事を見つける
という過程を経て、約2年後に永住権を獲得することができました。
参考:『プログラマーで永住権取得!』
Global Talent Stream(GTS)でビザ取得期間を短くする
カナダでもそれ以外の国でも「会社サポートの就労ビザ」は一般的に取得が難しいとされています。
しかし、カナダにはエンジニアやデザイナー限定でビザの発行期間を3ヶ月→2週間に短縮できる「Global Talent Stream(通称GTS)」という制度が2017年に開始されました。
ビザの取得期間が長すぎると会社からすると採用しづらいため、GTSはかなり革命的な制度です。
また、バンクーバーが所在するブリティッシュコロンビア州には「BCPNP Tech Pilot」という永住権制度があり、エンジニアやデザイナーは永住権取得に関しても優遇されています。
参考:『バンクーバーについて | Frog』
カナダには上記以外にも「投資ビザ」や「起業ビザ」など様々なビザがありますが、
- 投資ビザ … 本人および配偶者名義で200万カナダドル相当 (円貨約 1億9千万円) 以上の純資産を保有されていることが条件。必要投資金額は32万カナダドル または 120万カナダドル。
- 起業ビザ … 既にある程度の成功を収めている人向け。日本で会社を経営している方はチャンスあり。
というように、多くの人にとって再現性が低いため、説明は割愛させていただきます。
参考:『カナダ投資移民 | 最新情報』
参考:『スタートアップビザ』
参考:『起業での就労ビザを更新できたK様』
カナダで未経験からITエンジニアは可能なのか
以上を踏まえると、カナダで未経験からITエンジニアとしてのキャリアをスタートすることは、「可能だけど最初は想像以上に大変」と言えるでしょう。
カナダは英語力、技術力、学歴や職歴に加え「カナダでの就労経験」を重視するため、未経験でも経験者でも最初は大変です。
ただし、これまでの体験談で見てきた通り、
- カナダへIT留学し技術や英語を学びながら、ワーホリやCo-op、ポスグラを使う
- BCPNPを利用し、まずはウェイトレスやキッチンヘルパーとして永住権を獲得する
- BCPNP Tech PilotとGlobal Talent Streamといった技術者特有の優遇制度を活用する
など、しっかりとした戦略を持って挑めば未経験からでも十分にチャレンジ可能です。
まとめ:カナダで永住権を獲得するなら、IT留学を視野に入れよう。
- 観光・学生ビザから切り替えて、ワーホリビザで1年間就労経験を積む
- カナダにIT留学し、Co-opビザやPost-Graduateビザを使う
- Global Talent Stream(GTS)でビザ取得期間を短くする
カナダは移民大国とは言えど、ここ最近急成長を果たし日本よりITレベルが高いため、移住するのは大変です。
ただしワーホリビザやCo-opビザ、ポスグラビザなど、カナダならではの非常に使いやすいビザを活用すれば、誰にでもチャンスはあります。
カナダの留学に興味がある方は、創業35周年以上のカナダ現地留学エージェントの【カナダジャーナル】
\手続き・現地サポート0円!/
コメントを残す