こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、皆さんは「条件付き確率」をしっかり理解できましたか?
よく
[ふきだし set=”悩む男性”]条件付き確率の公式の意味がわからないな~。あと乗法定理…?アレとはどう違うんだ?[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]条件付き確率の問題の解き方をわかりやすく解説してほしいわ。[/ふきだし]
こういった悩みの声を耳にします。
よって本記事では、条件付き確率の公式の意味から、条件付き確率の問題 $4$ 選の解き方まで
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
条件付き確率の公式とは?【実は乗法定理と全く同じです。】
条件付き確率の公式と乗法定理を見比べてもわかる通り…
- 条件付き確率 $P_A(B)$ の公式$$P_A(B)=\frac{P(A\cap B)}{P(A)} …①$$
- 乗法定理$$P(A\cap B)=P(A)P_A(B) …②$$
ようは、主役が違うだけで内容は全く同じなんです。
[ふきだし set=”ウチダ”]公式①の両辺に $P(A)$ をかければ、すぐに定理②を導くことができるね。それじゃ、なんで①と②には別々の名前が付けられているんだろうね。[/ふきだし]
また、そもそも条件付き確率とはいったい何者なんでしょう。
まずはここら辺の話を、例題を通して整理していきましょうか^^
例題「サイコロの問題」
(1) $4$ 以上の目が出る確率
(2) 偶数の目が出たとき、それが $4$ 以上の目である確率
さて、(1)の確率はふつうに $\displaystyle \frac{3}{6}=\frac{1}{2}$ となりますが、(2)の確率はどうでしょう。
「偶数の目が出たとき」と条件づけられているのがわかりましたか?
ここで、この条件付けを図解して考えていくと…
全事象が $A=\{2,4,6\}$ に変化し、それによって問われている事象が $A\cap B=\{4,6\}$ に変化していることがおわかりでしょうか。
よって、(2)の確率は、$\displaystyle \frac{n(A\cap B)}{n(A)}=\frac{2}{3}$ となります。
今は要素の個数 $n(A)$ の式を使って解きましたが、分母と分子を $n(U)$ で割ってあげても値は変わらないので、
※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
として求めることもできますね。
[ふきだし set=”ウチダ”]これで条件付き確率の公式 $\displaystyle P_A(B)=\frac{P(A\cap B)}{P(A)}$ がなぜ成り立つのかがわかりましたね!一つ補足として、$P_A(B)$ を $P(B|A)$ と表記する場合もあります。頭の奥底に入れておきましょう。[/ふきだし]
条件付き確率の問題3選
これから問題を解いていくことで実感しますが、条件付き確率を直接求める問題はあまり出題されません。
というか、条件付き確率は感覚的にすぐ求められる場合がほとんどです。
[ふきだし set=”ウチダ”]つまり乗法定理 $P(A\cap B)=P(A)P_A(B)$ より、条件付き確率 $P_A(B)$ を用いて $P(A\cap B)$ を求めることが重要になってきます。[/ふきだし]
よってここでは、乗法定理を用いる問題として有名な
- 玉を取り出す問題
- くじの問題
- 不良品の問題(応用)
以上 $3$ 問を、順に解説していきます。
ぜひ、乗法定理の使い方に慣れていってほしいと思います。
玉の問題【戻すか戻さないか】
「取り出した玉は元に戻さない」ここ超重要ポイントです。
なぜ重要であるかは、解答の流れの中で説明していきます。
【解答】
最初は合計 $8$ 個玉があるが、$2$ 回目では $7$ 個、$3$ 回目では $6$ 個に減っていくことが予想できる。
よって乗法定理より、求める確率は $\displaystyle\frac{5}{8}×\frac{4}{7}×\frac{3}{6}=\frac{5}{28}$ である。
(解答終了)
事象 $A$,$B$,$C$ を$$A:1回目で白玉を引く事象$$$$B:2回目で白玉を引く事象$$$$C:3回目で白玉を引く事象$$
と定義することで、$$P(A\cap B\cap C)=P(A)P_A(B)P_{A\cap B}(C)$$として乗法定理を使っています。
このように、事象が $3$ つ以上の場合であっても、乗法定理は問題なく成り立ちます。
[ふきだし set=”ウチダ”]実は「玉を戻さない場合」だと、それぞれの試行は独立になるため”反復試行の確率”の問題に生まれ変わります。詳細は「反復試行の確率の公式【なぜ組合せCが出てくる?応用問題4選も解説】」をご覧ください。[/ふきだし]
くじの問題【くじは平等!?】
「引いたくじは元に戻さない」ということなので、どうやら条件付き確率の問題っぽいですね。
さて、Bさんが当たる確率は、Aさんが何を引くかで確率が変わってきそうです…。
よって、場合分けをして考えていきましょう!
【解答】
事象 $A$ …Aさんが当たる
事象 $B$ …Bさんが当たる、と定義しておく。
ここで、
- ⅰ)…Aさんが当たった(事象 $A$ が起こった)場合
- ⅱ)…Aさんが外れた(事象 $\overline{A}$ が起こった)場合
に分けて考えていこう。
ⅰ)…Aさんが当たった場合
残り $9$ 本中、当たりは $2$ 本だから、$\displaystyle P_A(B)=\frac{2}{9}$ である。
よって乗法定理より、
ⅱ)…Aさんが外れた場合
残り $9$ 本中、当たりは $3$ 本だから、$\displaystyle P_{\overline{A}}(B)=\frac{3}{9}$ である。
よって乗法定理より、
したがって、ⅰ)ⅱ)の事象は互いに排反なので、求める確率は $\displaystyle \frac{6+21}{90}=\frac{27}{90}=\frac{3}{10}$ である。
(解答終了)
「排反って何?」という方は、先に「排反と独立の違いとは?【ヒント:試行と事象】」の記事から読み進めることをオススメします。
ⅰ)ⅱ)それぞれに乗法定理を使ってあげることで、結果Bさんが当たる確率も $\displaystyle \frac{3}{10}$ になりましたね!
[ふきだし set=”ウチダ”]実はくじ引きの問題には、「順番にかかわらず平等」という素晴らしい性質があります。なので、仮にCさんが増えたとしても、当たる確率は全員 $\displaystyle \frac{3}{10}$ です![/ふきだし]
スゴイ便利な性質ですよね!
ただ、テストでいきなり「平等だから $\displaystyle \frac{3}{10}$ 」と書くと、間違いなく減点を食らいますので、あくまで検算用として覚えておくといいかと思いますよ^^
不良品の問題(応用)
(1) それが不良品である確率は?
(2) それが不良品である原因が機械Aにある確率は?
さて、ラストは「不良品の問題」。中々に複雑ですね(^_^;)
こういうときに大切なのは、焦らず落ち着いて「まずは事象を定義してみる」ことだったりします。
[ふきだし set=”ウチダ”]今までの問題でも事象を定義してきましたね。これは乗法定理の説明のためでもありましたが、すべてはこの問題を解くためでもあったのです![/ふきだし]
では、さっそく解いていきましょう。
【解答】
- 事象 $A$ … 選び出した部品がAの製造である
- 事象 $B$ … 選び出した部品がBの製造である
- 事象 $E$ … 選び出した部品が”不良品”である
と定義してみる。
ここで、簡単にわかる確率を出しておくと、
※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
これを用いて問題を解いていこう。
(1) 求める確率は $P(E)$ である。
ここで、
- ⅰ)…Aが製造した製品が不良品である(事象 $A\cap E$ )
- ⅱ)…Bが製造した製品が不良品である(事象 $B\cap E$ )
の $2$ 通りが考えられ、それぞれの事象は互いに排反であるので、$P(E)=P(A\cap E)+P(B\cap E)$ と表すことができる。
したがって乗法定理より、
(2) 求める確率は $P_E(A)$ である。
ここで、条件付き確率の公式より、$$P_E(A)=\frac{P(E\cap A)}{P(E)}$$
情報を整理すると…
- (1)より、$\displaystyle P(E)=\frac{2}{125}$
- $\displaystyle P(E\cap A)=P(A\cap E)=\frac{2}{500}$
したがって、求める確率は $\displaystyle P_E(A)=\frac{2}{500}÷\frac{2}{125}=\frac{2}{500}×\frac{125}{2}=\frac{1}{4}$ である。
(解答終了)
(2)で、久しぶりに「条件付き確率の公式」にお目にかかりましたね。(笑)
この問題が応用と言われる所以は、実は(2)にあったりします。
[ふきだし set=”ウチダ”]今までは「原因→結果」だったのに対し、(2)では「結果→原因」の順で求めていませんか?つまり、”時間を逆行“しているわけです。[/ふきだし]
このように、結果が条件づけられている確率のことを“原因の確率”と呼び、本来であれば「ベイズの定理」と呼ばれる式を使って求めます。
実は、(1)(2)で計算したことを合わせると、そっくりそのままベイズの定理になるのですが…これ以上は発展のお話ですね。
ぜひ、興味のある方は「ベイズの定理とは?【例題2選を使ってわかりやすく解説します】」の記事をご覧くださいませ~。
条件付き確率に関するまとめ
本記事の要点を改めてまとめますが…数が多いです。(笑)
そのぐらい重要な単元ということですね~。
- 条件付き確率の公式と乗法定理は、主役が違うだけで実は全く同じ式!
- 乗法定理を用いる応用問題 $2$ 選は、”玉の問題”と”くじの問題”
- 戻す場合は「反復試行の確率」、戻さない場合が条件付き確率
- くじの確率は順番に関わらず平等なので、検算用に覚えておこう!
- 不良品の問題は「ベイズの定理」のお話につながってきます。
時間に逆行する原因の確率(ベイズの定理)もあわせて勉強しておくと、より深い学びになると思います。
「確率」全 12 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!
以上で終わりです!
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