こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、中学3年生で習う「三平方の定理(ピタゴラスの定理)」は、大人になっても覚えている方が多いはず。
そのぐらい、名前は非常に有名ですが、
[ふきだし set=”悩む男性”]「三平方の定理とは何か」から解説してもらいたい[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]三平方の定理はわかるけど、その具体的な使い道を知りたい[/ふきだし]
こういった悩みを持つ方も多いと思います。
今日はそんな三平方の定理(ピタゴラスの定理)について、意味と代表的な応用問題パターンを
- 東北大学理学部数学科卒
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
※先に言っておきます。この記事は長くなります。しかし、この記事を読めば三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使う問題のほとんどに対応できるようになるため、一見の価値ありです。
三平方の定理とは【「直角三角形」に成り立つ性質です】
三平方の定理は、古代ギリシャの時代にピタゴラスによって発見されたことから、別名「ピタゴラスの定理」とも呼ばれます。
さて、三平方の定理(ピタゴラスの定理)とは、ズバリ以下の式が成り立つことです。
式の形はシンプルで、非常に覚えやすいです。
一つだけ注意したいのは、「直角三角形においてのみ」成り立つ定理だということです。
でもこれは、裏を返せば、「直角三角形が出てきたら、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使えないかとりあえず考えてみないとダメ」ということになりませんか?
そんでもって、直角三角形ってメチャクチャ出てきますよね。
つまり、三平方の定理(ピタゴラスの定理)はメチャクチャ使うということです。
これから、その応用問題パターンを $10$ 個厳選して解説していきますので、それを軸にいろんな問題が解けるようになっていただきたい、と思います。
[ふきだし set=”ウチダ”]「三平方の定理がなぜ成り立つのか」その証明も極めて重要ではあります。しかしそれを解説してしまうと、この記事の本旨とズレてしまいます。よって証明については、「三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明まとめ5選【全部でいくつあるの?】」の記事で詳しく解説しておりますので、気になる方はそちらをご参照ください。[/ふきだし]
三平方の定理(ピタゴラスの定理)の応用問題パターン10選
三平方の定理(ピタゴラスの定理)は、直角三角形において成り立つ定理です。
また、どんな定理だったかと言うと、$3$ 辺の長さについての定理でした。
以上を踏まえると、
- 直角三角形
- 「~の長さを求めよ。」
この $2$ つの文言が出てきたら、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使う可能性が極めて高い、
ということになりますね。
この基本を押さえながら、さっそく問題にとりかかっていきましょう。
長方形の対角線の長さ
長方形ということはすべての内角が直角ですし、対角線の長さを問われていますし…
もう三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使うしかないですね!!!
【解答】
$△ABC$ は直角三角形なので、三平方の定理(ピタゴラスの定理)より、
$l>0$ なので、$$l=\sqrt{13} (cm)$$
(解答終了)
この問題で基礎は押さえられましたね。
正三角形の高さと面積
高さというのは、「頂点から底辺に下した垂線の長さ」のことでした。
垂線と言うことは…また直角三角形がどこかに現れそうですね!
【解答】
$△ABD$ は直角三角形なので、三平方の定理(ピタゴラスの定理)より、
$$3^2+h^2=6^2$$
この式を整理すると、$$h^2=36-9=27$$
$h>0$ なので、$$h=\sqrt{27}=3\sqrt{3} (cm)$$
また、三角形の面積 $S$ は、
となる。
(解答終了)
この問題は、直角三角形の斜辺の長さを求める問題ではないから、移項する必要があることに注意しましょう。
また、三角形の面積については「三角形の面積の求め方とは?sinやベクトルを用いる公式も解説!【小学生から高校生まで】」の記事にて詳しく解説しております。
[ふきだし set=”ウチダ”]「なぜ高さと底辺の交点 $D$ で、底辺を $2$ 等分するのか」これについては二等辺三角形の性質を理解しましょう。正三角形は二等辺三角形の特殊な場合です。詳しくは「二等辺三角形の定義・角度の性質を使った証明問題などを解説!」の記事をご覧ください。[/ふきだし]
特別な直角三角形の3辺の比
$45°$、$45°$、$90°$ の直角二等辺三角形と、$30°$、$60°$、$90°$ の直角三角形。
これは特によ~~~~く出てきますし、応用範囲も広いので、覚えて損はぜっったいにありません。
しっかり学習していきますよ~。
【解答】
$AB:BD=1:\sqrt{2} …①$ なので、$BD=9\sqrt{2}$
$BD:BC=\sqrt{3}:2 …②$ なので、$\sqrt{3}BC=2×9\sqrt{2}$
両辺を $\sqrt{3}$ で割ると、
(解答終了)
①、②がいきなり出てきましたね。
これは以下の図をご覧いただけると理解できるかと思います。
正方形や正三角形を半分に切る。
そのときにできる角度が
- $30°$
- $45°$
- $60°$
なので、それは押さえておきましょう、ということですね。
[ふきだし set=”ウチダ”]ちなみに、辺の比が整数である直角三角形も比較的よく登場します。具体的には「 $3:4:5$ 」「 $5:12:13$ 」などですね。これら $3$ つ組は”原始ピタゴラス数“と呼ばれ、無限に存在することがわかっています。ピタゴラス数については「ピタゴラス数が一発でわかる公式【証明もあわせて解説】」の記事で詳しく解説しております。[/ふきだし]
円の弦の長さ
直角はありますけど、直角三角形はありませんね。
こういうとき、補助線の出番です。
【解答】
半径 $OA$ を引くと、$△OAH$ が直角三角形なので、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を用いると、$$3^2+AH^2=5^2$$
$AH>0$ より、$$AH=\sqrt{25-9}=\sqrt{16}=4$$
よって、$$AB=2×AH=8$$
(解答終了)
目的があれば補助線は適切に引けますね^^
円の接線の長さ
円の接線に関する問題は、特に高校になってからよく出てきます。
理由は…まあある性質が成り立つからですね。
ところで、この問題分の中に「直角」という言葉はどこにも出てきていません。
そこら辺がヒントになっていると思いますよ。
【解答】
図からわかるように、円の接線と半径は垂直に交わる。
よって、$△OAP$ が直角三角形となるので、三平方の定理(ピタゴラスの定理)より、$$5^2+AP^2=13^2$$
$AP>0$ なので、$$AP=\sqrt{169-25}=\sqrt{144}=12 (cm)$$
(解答終了)
円の接線と半径って、垂直に交わるんですよ。
この性質を知っていないと、この問題は解けませんね。
これは余談ですが、一応「 $5:12:13$ 」の比の直角三角形になるよう問題を作ってみました。
[ふきだし set=”ウチダ”]「円の接線と半径が垂直に交わる理由」直感的には明らかなんですが、いざ証明しようとするとちょっとめんどくさいです。具体的には、垂直でないと仮定すると矛盾が起きる、つまり背理法などを用いて証明していきます。[/ふきだし]
方程式を利用する
さて、いきなり垂線を求めようとするのは得策ではありません。
こういう問題では「何を文字 $x$ で置いたら計算がラクになるか」を意識しましょう。
【解答】
線分 $BH$ の長さを $x (cm)$ とおくと、$CH=BC-BH=21-x (cm)$ と表せる。
よって、$△ABH$ と $△ACH$ それぞれに対して三平方の定理(ピタゴラスの定理)を用いると、
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} AH^2+x^2=17^2 ……① \\ AH^2+(21-x)^2=10^2 ……② \end{array} \right. \end{eqnarray}
$①-②$ を計算すると、$$x^2-(21-x)^2=17^2-10^2$$
この方程式を解くと、$x=15$ と求めることができる。
よって、$CH=21-15=6 (cm)$ であり、$△ACH$ は「 $3:4:5$ の直角三角形になる」ことに気づけば、$$3:4:5=6:AH:10$$
したがって、$$AH=8 (cm)$$
(解答終了)
またまた余談ですが、新たな原始ピタゴラス数 $(15,8,17)$ が出てくるように問題を調整しました。
ピタゴラス数好きが過ぎました。
[ふきだし set=”ウチダ”]中学3年生時点では、この方法でしか解くことはできません。ただ、高校1年生で習う「ヘロンの公式」を学べば、$AH=x (cm)$ と置いても解くことができるようになります。[/ふきだし]
座標平面上の2点間の距離
三平方の定理は、もちろん座標平面(空間でもOK)でも多大なる威力を発揮します…!
ようは、図形に限らず関数の分野などにおいても、これから使い倒していくことが想像できますね。
ここでしっかり練習しておきましょう。
【解答】
図のように点 $C(5,-1)$ をとると、$△BAC$ は直角三角形になる。
よって、$△BAC$ に三平方の定理(ピタゴラスの定理)を用いて、$AB^2=4^2+2^2=20$$
$AB>0$ より、$$AB=\sqrt{20}=2\sqrt{5}$$
(解答終了)
直方体の対角線の長さ
さて、ここからは立体の話になります。
今まで 「たてと横」の $2$ 次元で考えてましたが、そこに「高さ」の要素が加わります。
しかし、$2$ 次元でも $3$ 次元でも、何次元になっても基本は変わりません。
しっかり学習していきます。
【解答】
対角線 $AG$ の長さは、以下のように求めていく。
$△GEF$ において三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使って、$$GE=\sqrt{7^2+4^2}=\sqrt{65}$$
$△AGE$ において三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使って、
$AG>0$ より、$$AG=\sqrt{90}=3\sqrt{10}$$
(解答終了)
ちなみに、これには公式があって、$$AG=\sqrt{5^2+7^2+4^2}=3\sqrt{10}$$
と一発で求めることができます。
まあただ、この公式だけ覚えても仕方ないので、最初は遠回りでも理解することが大切です。結局それが一番の近道ですから。
正四角錐の体積
正四角錐とは、底面が正方形である錐(すい)のことを指します。
【解答】
頂点 $O$ から底面 $ABCD$ に垂線を下ろし、その足を $H$ とする。
このとき、点 $H$ は正方形 $ABCD$ のちょうど真ん中に位置する。
まず、$△CAB$ が「 $1:1:\sqrt{2}$ 」の直角三角形であることから、$$AH=\frac{1}{2}8\sqrt{2}=4\sqrt{2}$$
よって、$△OAH$ に三平方の定理(ピタゴラスの定理)を用いて、$OH^2+(4\sqrt{2})^2=9^2$
これを解くと、$OH=7$
したがって、底面積 $S$ とすると体積 $V$ は、
(解答終了)
錐(すい)の体積は、「 $\frac{1}{3}×底面積×高さ$ 」でしたね。
最初の $\frac{1}{3}×$ を忘れないよう注意しましょう。
最短のひもの長さ
文字だけだとわかりづらいかと思いますので、お手元に紙など用意して、
実際に書いてみると良いでしょう。
【解答】
そのひもの長さが最短になるとき。
それは、展開図上で一直線になる場合である。
よって、$△AGE$ に三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使って、$$AG^2=5^2+(9+3)^2=5^2+12^2$$
これは「 $5:12:13$ 」の直角三角形なので、$$AG=13 (cm)$$
(解答終了)
「どんだけピタゴラス数好きなんだ」ってぐらい出してますね(笑)
まあ、覚えておくとやっぱり便利ですし、何より面白いです。
三平方の定理(ピタゴラスの定理)に関するまとめ
ここまで本当にお疲れさまでした~。
別に一気に問題を解く必要はありませんので、$1$ 日 $1$ 問ずつでもコツコツと勉強していくことが大切です。
もう一度ポイントをまとめますと、
- 直角三角形
- 「~の長さを求めよ。」
この $2$ つの要素が出てきたら、必ず三平方の定理(ピタゴラスの定理)が使えるか疑うクセをつければOKです。
次は「三平方の定理(ピタゴラスの定理)がなぜ成り立つのか」学習してみましょうか^^
以上、ウチダでした。
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コメント一覧 (2件)
特別な直角三角形の3辺の比の答えは合ってますか?2倍が抜けているような気がするのですが、、 合っているならすみません。
ななし様
本当ですね!間違えておりました。修正しておきます!
ご指摘誠にありがとうございますm(_ _)m