こんにちは、ウチダです。
今日は、数学Ⅱの微分法の応用としてよく出てくる
「極値を持つ条件」「極値を持たない条件」
について、判別式を用いたスマートな求め方を一緒に考えていきましょう!
また、この分野の主な応用問題パターン3選についてもまとめましたので、ぜひご活用ください♪
3次関数の極値を求めよう
この記事では、$3$ 次関数を例に極値について考えていきます。
まず、$3$ 次関数$$y=ax^3+bx^2+cx+d$$について、 $a>0$ の場合を見ていきましょう。
この時、$3$ 次関数のグラフの形の特徴として、$3$ パターンあるのですが、思いつくでしょうか。
実際に問題を通して見ていきます。
(1) $y=x^3+3x^2-9x+2$
(2) $y=x^3+3x^2+3x-2$
(3) $y=x^3+x+1$
さて、この問題の解き方は前回の記事で詳しく解説したので省略しますが、ようは増減表を用いることで大体の形がわかるようになったんですよね。
そしてその増減表を書くときに、導関数 $f'(x)$ の$$f'(x)=0$$となる $x$ が非常に重要でした。
では(1)から順に、導関数 $f'(x)$ を求めていきましょう。
【導関数=0となる $x$ を求める】
(1)
※実数解の個数は2個
(2)
※実数解の個数は1個(重解)
(3) $$f'(x)=3x^2+1$$なので、$f'(x)=0$を解くと、$$実数解はない$$
※実数解の個数は0個
そしてグラフの概形はこうなります。
(2)と(3)の違いが分かりづらいですが、アニメーションの中で出てきた「緑の丸」のところで一度値の増減がなくなっています。
つまり、「緑の丸のところで導関数の値がゼロになっている」ということです。
そして、その「緑の丸」の数は「導関数の実数解の個数」と一致していますね。
ここから、極値を持つ・持たない条件をまとめていきます!
極値を持つ条件と極値を持たない条件
(極値を持つ条件・極値を持たない条件)
・3次関数 $f(x)$ が極値を持つ ⇔ $f'(x)=0$ の判別式 $D>0$
・3次関数 $f(x)$ が極値を持たない ⇔ $f'(x)=0$ の判別式 $D≦0$
ななななんと、$2$次方程式を習った際に出てきた「判別式」を用いることでこんなに簡単に条件を求めることができてしまうのですね!!
一体どういうことなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
先ほどの問題を例に挙げると…
- 極値を持つ…(1)
- 極値を持たない…(2)と(3)
となっていました。
ここで、極値とは、「グラフが減少から増加、または増加から減少へと移り変わる点」での $y$ の値のことを指しましたね。
$3$ 次関数に限れば、$3$ 次関数を微分したもの $=2$ 次関数ですね。
ではここで、先ほどの問題の導関数のグラフを見てみましょうか。
おわかりでしょうか。
そう、先ほどの「緑の丸」が、そっくりそのまま導関数が $y=0$ と交わる点と見事に一致してるんです!
つまり極値というのは、必ず+から-、または-から+に移り変わる点であるため、一度導関数の値が0になる必要があり、その0になった点が極値となり得る、というわけですね。
ここで、極値と”なり得る”と表現したのは、必ずしもそうではない、ということです。
前回の記事でもまとめましたが、
「$x=a$ で極値をとる」⇒「 $f'(a)=0$ 」だが、
「$f'(a)=0$ 」⇒「 $x=a$ で極値をとる」とは限らない!!
となります。
ようは、今回求めた「判別式」の条件は、極値を持つための「必要十分条件(つまり同値)」ですが、「導関数=0」という条件は、極値を持つための「必要条件」であり、十分性は満たしていないのです!
ちなみに、$n$ 次関数( $n$ が偶数の時)は必ず極値を一つは持ちます。なぜなら、その導関数の $n-1$ 次関数は必ず $y=0$ と交点を持つからです。
練習問題
では、この記事で得た知識を用いて実際に問題を解いていきましょう。
(1) 極値を持たない
(2) $x=1$で極小値を持つ
実際にこういう問題は大学入試でも出題されることがあります。
早速スマートに解いていきましょう。
【解答】
(1) 極値を持たない、つまり導関数 $f'(x)=0$ の判別式 $D≦0$ と同値であるので、$$f'(x)=6x^2+2kx+k$$より、判別式 $D$ は$$\frac{D}{4}=k^2-6×k≦0$$よって、$$k(k-6)≦0$$を解いて、$$0≦k≦6$$
(2) $x=1$で極小値を持つため、$f'(1)=0$である。(必要条件)
よって、$$f'(1)=6×1^2+2k×1+k=3k+6$$なので、$$k=-2$$
次に、$k=-2$のとき、$x=1$で極小値を持つか調べる。(十分性の確認)
$k=-2$を代入すると、$$f(x)=2x^3-2x^2-2x+1$$
よって、$f'(x)=0$を解くと、$$x=-\frac{1}{3},1$$
したがって、増減表は以下のようになる。
よって、確かに $x=1$ で極小値を取る。(十分条件)
したがって、$$k=-2$$
(終了)
いかがでしょうか。
(1)は今日のメインの話でしたね!
(2)では、「 $x=1$ で」という制限がついていたので、まずは必要条件からせめて、それが十分条件でもあることを確認すればOKです!
増減表を用いた他の応用問題2選
ここまで極値について見てきましたが、微分法(増減表)は応用範囲が本当に広いです!
だって、グラフの大体の形がわかってしまうんですもんね!
ということで、他によく問われる
- 最大最小の問題
- 方程式や不等式を解く問題
について順に見ていきましょう。
最大最小の問題
たとえばこんな感じで、定義域が制限されている関数の最大最小を求める問題がよく出ます。
ではこの問題を、増減表を用いて解いていきましょう。
【解答】
したがって、増減表は次のようになる。
よって、$$x=4のとき、最小値-12$$$$x=6のとき、最大値40$$
(終了)
以上のように、定義域の両端と極大極小の点が最大最小の候補になります!
増減表が書ければグラフが書けるので、最大最小も求めることができるというわけですね。
方程式や不等式への応用問題
このように、因数定理を用いることが難しい場合、増減表が大活躍します!
【解答】
$f(x)=x^3-9x+4\sqrt{3}$とおく。
したがって、増減表は以下のようになる。
ここで、$10\sqrt{3}>0$、$-2\sqrt{3}<0$であり、$f(x)$ は連続なので、
$$x<-\sqrt{3}$$$$-\sqrt{3}<x<\sqrt{3}$$$$\sqrt{3}<x$$の範囲に一つずつ、$f(x)=0$ の解をもつことがわかる。
(終了)
途中で「連続」という数学用語が出てきますが、ようは「関数は途切れなく続いている」ということです。
つまり関数がずっと続いているのだから、その間に絶対 $0$ となる点は存在するよね、そういう論理になります。
よく出てくる不等式の証明もやっておきましょう。
$$x^3+4≧3x^2$$
こういう問題の鉄則は、「左辺に変数をすべて集める(移項する)」です。
【解答】
$$x^3+4≧3x^2 ⇔ x^3-3x^2+4≧0$$なので、$f(x)=x^3-3x^2+4$と置いたとき、$$x≧0でf(x)≧0$$を示せばよい。
ここで、$$f'(x)=3x^2-6x=3x(x-2)$$なので、$f'(x)=0$ を解くと、$$x=0,2$$
したがって、$x≧0$ での増減表は以下のようになる。
よって、$x≧0$ で常に $f(x)≧0$ であることがわかったので、命題は証明された。
(証明終了)
問題2の $f(x)$ のグラフはこんな感じになります。
極値に関するまとめ
いかがだったでしょうか。
今日は、微分法の応用問題 $3$ 選ということで、
- 極値を持つ(持たない)条件⇒判別式を用いる(3次関数の場合のみ)
- 最大最小⇒増減表を用いてグラフを書く
- 方程式不等式⇒工夫して増減表を用いる
を見てきました。
ぜひ増減表マスターになってください♪
「もっとグラフを正確に書く方法を知りたい!」という方は、こちらの記事をご覧ください!!
おわりです。
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