こんにちは、ウチダです。
さて、突然ですが皆さんは、「偏差値60」を取ったら喜びますか?それとも悲しみますか?
なんとなくだけど…嬉しいと思います!
では仮に嬉しいとして、自分が大体どのぐらいの順位に位置しているか、把握していますか?
ぶっちゃけ、偏差値とは何なのか、正直よくわかっていないです。(笑)
よって本記事では、「偏差値とは何か」という基本的な部分から、偏差値の具体的な求め方・簡易的な求め方まで
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
偏差値とは?【平均値と標準偏差がポイント!】
偏差値っていうのは、テストの点数だけだと順位が把握しづらいため、ある変換を施した数値のことです。
たとえば、同じ $60$ 点でも、
- 平均点が $50$ 点のテストで、自分は $60$ 点を取った。
- 平均点が $30$ 点のテストで、自分は $60$ 点を取った。
この $2$ つの場合だったら、明らかに後者の方が嬉しいですよね。
なるほど!ということは、「自分の点数が平均点からどれだけ離れているか」というのがポイントですね!
実はそれだけではありません。偏差値を決めるもう一つの要素があり、それが「データのバラつき」です。
わかりやすい例として、以下の図をご覧ください。
どちらのデータも平均点は $50$ 点で、自分の得点は $60$ 点です。
ただし、偏差値にして $63-54=9$ もの差が生まれていますね。
データのバラつきが大きい方が、偏差値が高くなると思ってました…!
そうなんです、実は逆なんです。「データのバラつきが小さければ小さいほど、高得点を取るのが難しいテスト」と判断されるんです。
ここまでの内容をまとめます。
- 平均値から離れているほど、偏差値は高くなる。
- データのバラつきが小さいほど、偏差値はより高くなる。
※自分の点数が平均値より低い場合は、偏差値はより低くなります。
偏差値50と偏差値60って、どのくらい違うの?
偏差値を $1$ 発で理解できる図がありますので、まずはそれをご覧ください。
つまり偏差値とは、平均点を取った人が $50$ となり、
- 偏差値 $60$ 以上( $40$ 以下) → 上位(下位)およそ $15$ %
- 偏差値 $70$ 以上( $30$ 以下) → 上位(下位)およそ $3$ %
となるように調整されたデータのことを言うのです。
へ~。それだと、偏差値 $54$ と $63$ だったら、かなりの差になりますね!
「上から何番目」に注目すれば、確かにそうですね。ちなみに、偏差値 $54$ の人は上位 $35$ % ぐらい、偏差値 $63$ の人は上位 $10$ % ぐらいです。
偏差値100オーバーってあるの?
偏差値 $100$ は、理論上は可能です。
先ほどの図で見た通り、偏差値はなだらかな山のような形に分布しています。
そして、その山はどこまでも果てしなく続きます。
ですから、偏差値 $200$ も可能ですし、偏差値 $-50$ もなくはありません。
ですが、そんなテストを作るのは現実的に不可能です。
偏差値 $40$ ~ $60$ の中に、大体 $7$ 割近くのデータがあります。偏差値は離れれば離れるほど、密度は薄くなっていきます。
また、偏差値の従う分布(山のような形のやつ)のことを「正規分布(せいきぶんぷ)」と言い、詳しくは大学で学びます(数学Bで習う学校もある)。
これ以上の正規分布に関する詳しい解説は、こちらをご覧ください。
正規分布とは~(準備中)
偏差値の求め方をわかりやすく解説します
さて、では次に「偏差値の求め方」について、例題を通して詳しく解説していきます。
問題.自分を含めて $6$ 人が受けたテスト $x$ の結果が、下の表である。このとき、自分のテストの偏差値を求めなさい。
自分 | A | B | C | D | E |
$9$ | $8$ | $0$ | $5$ | $3$ | $5$ |
平均値 $\overline{x}$ は、すべての合計をデータの大きさ(数)で割ればよいので、
また、分散 $s^2$ は、偏差(個々のデータから平均値を引いたもの)の $2$ 乗の平均値で求まるので、
つまり、標準偏差 $s=\sqrt{9}=3$ (点) と求めることができました。
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いきなり偏差値に変換するのは難しいので、
- 平均値 $0$
- 標準偏差 $1$
となるように、変量の変換を行います。
この変換のことを「標準化(ひょうじゅんか)」と呼びます。必ず覚えておきましょう!
さて、どのようにすればいいかというと…
- まず、平均値 $\overline{x}=5$ で引く。
- そして、標準偏差 $s=3$ で割る。
つまり、新たな変量 $z$ を
と定めます。
自分 | A | B | C | D | E |
$\displaystyle \frac{4}{3}$ | $1$ | $\displaystyle \frac{-5}{3}$ | $0$ | $\displaystyle \frac{-2}{3}$ | $0$ |
※これは変量 $z$ についての表です。
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さあ、いよいよ最後の仕上げです。
標準化された変量 $z$ に対し、以下のように変量 $T$ を定めます。
言葉で表すと、
- まず、標準偏差を $1$ から $10$ にするために、変量を $10$ 倍する。
- そして、平均値を $0$ から $50$ にするために、変量に $50$ を足す。
となり、先ほどとは順番が逆の操作になります。
変量の変換の仕組みについては、先ほど紹介した「標準化(変量の変換)とは?【仮平均についてもわかりやすく解説します】」の記事で勉強しましょう。
実際に計算してみると…
自分 | A | B | C | D | E |
$\displaystyle \frac{190}{3}$ | $60$ | $\displaystyle \frac{100}{3}$ | $50$ | $\displaystyle \frac{130}{3}$ | $50$ |
※これは変量 $T$ についての表です。
これで、全員の偏差値がわかりました~!
ちなみに、自分の偏差値は $\displaystyle \frac{190}{3}=63.3333…$ なので、上位 $10$ % に入る好成績ですね。
なるほどなぁ。つまり偏差値とは、「平均値 $50$,標準偏差 $10$ 」となるように調整されたデータのことなんですね!
その通り!その過程において、「平均値が $0$,標準偏差が $1$ 」となるように標準化する必要が出てくるんですね^^
偏差値を求める公式を、まとめておきます。
変量 $x$ に対して、変量 $T$ を
と定めると、$T$ は偏差値となる。
これは余談ですが、「偏差値」という外国語は実はありません。
つまり、日本ならではの指標ということになりますね。
外国では、偏差値のことを「T-score」,標準化された値のことを「Z-score」と呼んだりするところもあります。
「どちらの方がより使い勝手がいいか」は一概には言えないので、ぜひ変量の変換の方法をマスターして、どちらとも対応できるようにしておくと良いですね。
偏差値に関するまとめ
本記事のポイントをまとめます。
- 偏差値 $60$ で、上位約 $15$ % に入る。偏差値 $70$ を超えれば、上位約 $3$ % です!
- これが「正規分布」の68%95%ルールと呼ばれる法則です。
- 偏差値とは、平均値 $50$,標準偏差 $10$ になるよう変量変換されたデータの数値のこと。
- 偏差値はT-score,「標準化」された値はZ-scoreとも言います。どちらを使うかは、国の文化や時と場合によってバラバラ。
「偏差値を $5$ でも $10$ でも上げたい!」という方は、ぜひオンライン家庭教師で勉強することをオススメいたします。
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おわりです。
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