こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、皆さんは「和の法則・積の法則」と聞いて、何をイメージしますか?
[ふきだし set=”悩む男性”]言葉が難しくてわかりづらいかな…。[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]問題を解いていると、「あれ?どっちを使えばいいんだっけ…?」と迷うことが多々あるので、困っています。[/ふきだし]
こういった悩みを持つ方は、結構多いかと思います。
よって本記事では、和の法則・積の法則の使い分けのコツから問題の解き方、さらに「なぜ成り立つのか」理屈的な部分も含めて
- 東北大学理学部数学科卒
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ
- (ちなみに専門は確率論でした)
の僕がわかりやすく解説します。
和の法則・積の法則の使い分け【「または」と「そして」に注目だ!】
「和の法則・積の法則の使い分け」最大のコツは、ズバリこれです!
・「そして」で自然な文章が作れる $⇒$ 積の法則
これは具体例を見た方がわかりやすいですね。
- サイコロを $2$ 個投げたとき、目の和が $5$ の倍数である場合の数は?
- $⇒$ 目の和が「 $5$ 」または「 $10$ 」
- サイコロを $2$ 個投げたとき、すべての目が偶数である場合の数は?
- $⇒$ $1$ 個目のサイコロの目が偶数、そして $2$ 個目のサイコロの目も偶数
それぞれ自然な文章に置き換えられています。
さて、今後の問題では以上のコツを活かしてもらえばOK!
と言いたいところなのですが…
和の法則・積の法則には、それぞれ一つだけ注意点がありますので、まずはそれを解説していきます。
和の法則・積の法則の注意点と成り立つ理由
・積の法則 $⇒$ $A$ のどの場合に対しても同じだけ $B$ の起こり方がある
それぞれ以上を満たすとき、はじめて法則を使って計算することができます。
たとえばさきほどの例題において、
- 目の和が「 $5$ 」または「 $10$ 」
- $⇒$ 目の和が $5$ であり、かつ目の和が $10$ であることはあり得ない。
- $1$ 個目のサイコロの目が偶数、そして $2$ 個目のサイコロの目も偶数
- $⇒$ $1$ 個目のサイコロの目が $2$、$4$、$6$ どの場合であっても、$2$ 個目のサイコロの目の出方は $2$、$4$、$6$ の $3$ 通りある。
上記の内容を樹形図でイメージ化するとこうなります。
[ふきだし set=”ウチダ”]たとえば「 $2$ を $5$ 個足してください」と言われたら $2+2+2+…$ ではなく $2×5=10$ と計算しますよね。これがいわゆる“積の法則”です。「和の法則・積の法則」と聞くと難しそうですが、ようは「足し算・掛け算のルール」と同じだと考えてOKです。[/ふきだし]
【補足】「かつ」と「そして」のニュアンスの違い
もう一つだけ補足しておきます。
「または」に対しては「かつ」が一般的ですが、和の法則・積の法則においては「または」に対して「そして」となってます。
皆さんは、「かつ」と「そして」のニュアンスの違いはどこにあると思いますか…?
私は、ベン図で考えるのが一番わかりやすいかと思います。
↓↓↓
「そしてのイメージ」の補足をしておくと、$B_{1}$、$B_{2}$、$B_{3}$ というのはそれぞれ別の集合です。
つまり、積の法則が使えるときというのは、この $B_{1}$、$B_{2}$、$B_{3}$ を区別せずにまとめて $B$ としてOKなときです。
[ふきだし set=”ウチダ”]重要なのは「かつ」と「そして」の意味合いが異なることを理解することです。あくまで私個人の考え方ですので、このベン図にはあまりこだわらない方がいいでしょう。[/ふきだし]
和の法則・積の法則を用いる問題3選
それでは実際に、和の法則・積の法則を用いる代表的な問題を解いてみましょう。
具体的には
- サイコロの問題(基本)
- 場合分けが必要な問題(少し応用)
- 正の約数の個数を求める問題
以上 $3$ 問について考えていきます。
サイコロの問題
(1) 目の和が $4$ の倍数になる場合の数
(2) 目の積が奇数になる場合の数
「または・そしてを文章に入れられるかどうか」このコツを使って問題を解いていきましょう。
【解答】
(1) 目の和が $4$ または $8$ または $12$ になる場合の数を求めればOK。
まず、目の和が $4$ になる場合の数は
$$(1,3),(2,2),(3,1)$$
で $3$ 通り。
次に、目の和が $8$ になる場合の数は
$$(2,6),(3,5),(4,4),(5,3),(6,2)$$
で $5$ 通り。
最後に、目の和が $12$ になる場合の数は
$$(6,6)$$
で $1$ 通り。
よって、和の法則より、$3+5+1=9$ 通り。
(2) 大のサイコロで奇数の目が出て、そして小のサイコロでも奇数の目がでる場合の数を求めればOK。
$1$ 個のサイコロで、奇数の目の出方は $2$、$4$、$6$ の $3$ 通り。
したがって、積の法則より、$3×3=9$ 通り。
(解答終了)
この問題は偶然にも「目の和・目の積」と「和の法則・積の法則」がリンクしている問題になってますが、いつもこうだとは限らないので注意しましょう。
[ふきだし set=”ウチダ”]やはり、最初は面倒くさくても「または・そしてを使って自然な文章に書き換える」この作業は必須です。場合の数の問題は特にそうですが、”なんとなく”で解かないようにしてくださいね。[/ふきだし]
場合分けが必要な問題
「目の和だから和の法則」ではダメです!!
しっかりと文章を「または・そして」で書き換えて問題を解いていきましょう。
【解答】
目の和が偶数になる場合は
- ⅰ) 「大サイコロの目が奇数で、そして小サイコロの目も奇数」または
- ⅱ) 「大サイコロの目が偶数で、そして小サイコロの目も偶数」
の $2$ パターンがある。
ⅰ) $(大、小)=(奇、奇)$ の場合
積の法則より、$3×3=9$ 通り。
ⅱ) $(大、小)=(偶、偶)$ の場合
積の法則より、$3×3=9$ 通り。
したがって、和の法則より、$9+9=18$ 通り。
(解答終了)
まず $2$ つのパターンに場合分けしています。
次にそれぞれの場合について積の法則を利用し、最後に和の法則を利用し答えを導いていますね。
[ふきだし set=”ウチダ”]文章をしっかり「または・そして」を使って書き換えているため、整理して問題を解くことができています。この作業を面倒くさがってやらないと混乱してしまうのは、至極当然なことですね。[/ふきだし]
正の約数の個数を求める問題
(1) $24$
(2) $10000$
(1)ぐらいの数であれば、
$$1,2,3,4,6,8,12,24$$
よって $8$ 通り~!!と数え上げた方が速いです。
ただ、数が大きくなってくるとこの解き方は通用しないため、しっかりと理論に基づいて問題を解いていきましょう。
【解答】
(1) $24$ を素因数分解すると、$$24=2^3×3$$
ここで、正の約数は $2$ を何個使い、そして $3$ を何個使うかで求めることができる。
※ちなみに「使わない」という選択肢もあり、その場合は $2^0=1$ となる。
したがって、積の法則より、$4×2=8$ 通り。
(2) 同じように考えたいので、まず素因数分解をして
$$10000=10^4=2^4×5^4$$
ここで、素因数 $2$ については $0$ 個使う ~ $4$ 個使うの計 $5$ 通り。
また、素因数 $5$ についても $0$ 個使う ~ $4$ 個使うの計 $5$ 通り。
したがって、積の法則より、$5×5=25$ 通り。
(解答終了)
いかがでしょう。
このように正の約数の個数を求める問題は、素因数分解を用いることで積の法則を使うことができます。
一応公式にしておくと…
$a$、$b$、$c$ はそれぞれ異なる素数である。
このとき、$a^p×b^q×c^r$ の正の約数の個数は$$(p+1)(q+1)(r+1) 個$$
$a$ が $p$ 個のとき $(p+1)$ となるのは、「その素因数を使わないパターン」を考慮して $1$ を足しているんでしたね。
[ふきだし set=”ウチダ”]この問題のさらなる応用例として「正の約数の総和」を求める問題が有名です。詳しくは「約数の個数と約数の総和の求め方とは?【公式は素因数分解で導きます】」の記事をご覧ください(分野は数学A「整数の性質」になります)。[/ふきだし]
和の法則・積の法則に関するまとめ
本記事の要点をもう一度まとめておきます。
- 「または」で自然な文章が作れれば「和の法則」。「そして」で自然な文章が作れれば「積の法則」。
- 和の法則を使う際の注意点は「かぶり(重複)がないこと」。
- 積の法則を使う際の注意点は「どの場合に対しても同じだけ場合の数があること」。
- 最初は面倒くさがらず、「または・そして」を使った自然な文章に置き換えて、頭の中を整理しよう。
和の法則・積の法則は、これから場合の数を勉強していく上での基本中の基本となるので、しっかり押さえておきましょう。
「場合の数」全 12 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!
以上、ウチダでした。
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