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約数の個数と約数の総和の求め方とは?【公式は素因数分解で導きます】

こんにちは、ウチダです。

いつもお読みいただきましてありがとうございます。

数学A「整数の性質」で登場する、一番初めの応用問題と言えば、「(正の)約数の個数と(正の)約数の総和」を求める問題ですね。

また、それらの求め方には公式があります。

例題. $24$ の正の約数の個数と、正の約数の総和を求めなさい。

たとえばこんな問題であれば、約数の個数は $(3+1)×(1+1)=8$ 個,約数の総和は $(1+2+4+8)(1+3)=15×4=60$ とすぐに求めることができます。

数学太郎
え?今公式使ったの!?すごい…本当に一瞬で求まっちゃったよ。
数学花子
公式を使って解くことも重要だけど、(偶数などの条件が付く)応用問題の解き方も重要よね。わかりやすく解説してほしいわ。

こう感じている方は多いと思います。

よって本記事では、約数の個数・約数の総和の基本的な求め方から、偶数などの条件が付く応用問題の解き方まで

  • 東北大学理学部数学科卒業
  • 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ

の僕がわかりやすく解説します。

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目次

約数の個数と約数の総和の求め方とは?【素因数分解を使えば一発です】

約数の個数と約数の総和におけるたった一つのポイント。それは…

素因数分解をしてみること

これに尽きます。

ウチダ
「素因数分解のやり方がよくわからない…」という方は、先に「素因数分解のやり方のコツとは?【応用問題3選も簡単に解けます】」の記事から読み進めることをオススメします。

ここではまず、先ほどの例題で考えてみましょうか。

例題. $24$ の正の約数の個数と、正の約数の総和を求めなさい。

正の約数を列挙して考えるのではなく、まず $24$ を素因数分解して

$$24=2^3×3^1$$

としてみます。

数学太郎
あれ? $3^1$ ってわざわざ「 $1$ 乗」が書いてあるけど、これって必要なの?
ウチダ
いいところに気が付いたね!これから意味を説明していくよ。

ではここで、正の約数の作り方に着目してみましょう。

約数の個数と約数の総和の求め方とは?【素因数分解を使えば一発です】

図のように、約数というのは「 $2$ を何個かけて $3$ を何個かけるか」によって決まってきます。

よって、使わない場合(つまり $0$ 個)を考慮すれば、約数の個数は $(3+1)×(1+1)=4×2=8$ 個と求めることができる、というわけですね。

ウチダ
実はここまでの話は、場合の数と確率で習う「積の法則」の応用問題として学びます。詳しくは「和の法則・積の法則の使い分け【たった2つの言葉に注目!】」の記事をどうぞ。

さて、以上を踏まえ、あとは約数の総和を求めていきましょう。

すべての約数の総和を、積の形で書いてみると…

\begin{align}1・1+1・3+2・1+2・3+2^2・1+2^2・3+2^3・1+2^3・3 …①\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

となります。

この①の式を注意深く、よ~く観察すると、

$$(1+2+2^2+2^3)(1+3) …②$$

と同じであることが見えてきませんか?

数学花子
①から②の式を導くのは難しいけど、②から①であれば展開することですぐに導けるわね。

よって②より、()の中を先に計算するという工夫ができるので、正の約数の総和は $15×4=60$ と簡単に求まるのです。

以上の話をまとめます。

【約数の個数と約数の総和の公式】
自然数 $N$ が $N=a^p・b^q・c^r$ と素因数分解できるとき、$N$ の正の約数の個数は
$$(p+1)(q+1)(r+1) \ 個$$
であり、$N$ の正の約数の総和は

\begin{align}(1+a^1+…+a^p)(1+b^1+…+b^q)(1+c^1+…+c^r)\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
で求まる。
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約数の個数と約数の総和を求める問題9選

さて、公式の意味はわかりましたね^^

ここからは、実際に問題をたくさん解いてみましょうか。

  • 基本問題 … $5$ 問
  • 応用問題 … $2$ 問
  • 発展問題 … $2$ 問

の計 $9$ 問で、確実に数学力を身に付けていきましょう!

基本問題5選

問題. 次の数の正の約数の個数および正の約数の総和を求めよ。
(1) 8  (2) 72  (3) 100
(4) 225  (5) 450

数が大きくなればなるほど、素因数分解が大変になりますが、裏を返せばそれだけです!

素因数分解の練習もかねて、計算力を付けていきましょう。

【解答】

(1) $8=2^3$ より、正の約数の個数は $(3+1)=4$ 個,正の約数の総和は $(1+2+2^2+2^3)=15$ である。

(2) $72=2^3×3^2$ より、正の約数の個数は $(3+1)(2+1)=12$ 個,正の約数の総和は

\begin{align}(1+2+2^2+2^3)(1+3+3^2)&=15×13\\&=195\end{align}

である。

(3) $100=2^2×5^2$ より、正の約数の個数は $(2+1)(2+1)=9$ 個,正の約数の総和は $(1+2+2^2)(1+5+5^2)=7×31=217$ である。

(4) $225=3^2×5^2$ より、正の約数の個数は $(2+1)(2+1)=9$ 個,正の約数の総和は $(1+3+3^2)(1+5+5^2)=13×31=403$ である。

(5) $450=2×3^2×5^2$ より、正の約数の個数は $(1+1)(2+1)(2+1)=18$ 個,正の約数の総和は

\begin{align}(1+2)(1+3+3^2)(1+5+5^2)&=3×13×31\\&=1209\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

である。

(解答終了)

約数の個数が増えても、落ち着いて公式を使えば、簡単に解くことができました。

(3)ぐらいの大きさの数になると、公式のありがたみが感じられてきますね~。

応用問題2選

問題. $90$ という数について、次の問いに答えよ。
(1) 正の約数の中で、偶数であるものの個数とそれらの総和を求めなさい。
(2) 正の約数の中で、$3$ の倍数であるものの個数とそれらの総和を求めなさい。

さて、次は何かしら条件の付いた約数の個数・約数の総和を求める問題です。

ただ、基本は変わらず素因数分解なので、まずはそこから始めてみてください。

【解答】

$90=2×3^2×5$ と素因数分解して考える。

(1) 「偶数である」ということは、「素因数 $2$ を含む」ということと等しい。

したがって、偶数である正の約数の個数は $1×(2+1)×(1+1)=6$ 個,偶数である正の約数の総和は

\begin{align}2×(1+3+3^2)×(1+5)&=2×13×6\\&=156\end{align}

である。

【約数の個数と約数の総和】偶数などの条件が付く問題

(2) 「 $3$ の倍数である」ということは、「素因数 $3$ を少なくとも一つ含む」ということと等しい。

したがって、$3$ の倍数である正の約数の個数は $(1+1)×2×(1+1)=8$ 個,$3$ の倍数である正の約数の総和は $(1+2)(3+3^2)(1+5)=3×12×6=216$ である。

(解答終了)

基本に立ち返り樹形図を書くことで、除いて考えなければいけない約数がどれかがわかりますね。

また、(2)の樹形図は、

  • 素因数 $3$ の個数 → 素因数 $2$ の個数 → 素因数 $5$ の個数

と順番を変えて書くことで、(1)と同じように解くことができます。

発展問題2選

問題. 次の問いに答えよ。
(1) $12$ の倍数で、正の約数の個数が $15$ 個である自然数 $n$ を求めなさい。
(2) $50$ 以上 $100$ 以下の自然数 $m$ について、正の約数をちょうど $6$ 個持つものをすべて求めなさい。

ラストは、逆算して考えることが求められる問題です。

単に公式を使うのではなく、公式の意味から紐解いていきましょう!

【解答】

(1) $15=1×15=3×5$ であるから、$n$ は

  1. $p^{14}$ 
  2. $p^2q^4$ 

のどちらかの形で表される( $p$,$q$ は異なる素数)。

ここで、$12=2^2×3$ より、①… $p^{14}$ の形はあり得ないことがわかる。

②… $p^2q^4$ の場合は、次の $2$ 通りが考えらえる。

ⅰ)$p=2$,$q=3$ のとき

$n=2^2×3^4=324$ であり、これは $12$ の倍数である。

ⅱ)$p=3$,$q=2$ のとき

$n=3^2×2^4=144$ であり、これは $12$ の倍数である。

したがって、求める自然数 $n$ は $$n=144 \ , \ 324$$

(2) $6=1×6=3×2$ であるから、$m$ は

  1. $p^5$ 
  2. $p^2q^1$ 

のどちらかの形で表される( $p$,$q$ は異なる素数)。

①…$p^5$ の形のとき

$2^5=32$,$3^5=243$ より、条件を満たす自然数はない。

②…$p^2q^1$ の形のとき

ⅰ)$p=2$ のとき

$50≦4q≦100$ より、$12.5≦q≦25$

これを満たす $2$ ではない素数 $q$ は、$q=13 \ , \ 17 \ , \ 19 \ , \ 23$

よって、$$m=52 \ , \ 68 \ , \ 76 \ , \ 92$$

ⅱ)$p=3$ のとき

$50≦9q≦100$ より、$5.5…≦q≦11.1…$

これを満たす $3$ ではない素数 $q$ は、$q=7 \ , \ 11$

よって、$$m=63 \ , \ 99$$

ⅲ)$p=5$ のとき

$50≦25q≦100$ より、$2≦q≦4$

これを満たす $5$ ではない素数 $q$ は、$q=2 \ , \ 3$

よって、$$m=50 \ , \ 75$$

ⅳ)$p=7$ のとき

$50≦49q≦100$ より、$1.02…≦q≦2.04…$

これを満たす $7$  ではない素数 $q$ は、$q=2$ 

よって、$$m=98$$

$p=11$ とすると、$p^2=121>100$ となってしまうため、これ以降は考える必要はない。

したがってⅰ)~ⅳ)より、求める自然数 $m$ は

$$m=50 \ , \ 52 \ , \ 63 \ , \ 68 \ , \ 75 \ , \ 76 \ , \ 92 \ , \ 98 \ , \ 99$$

(解答終了)

この問題と今までの問題の相違点は

  • 今まで … 素因数分解して、約数の個数を求める。
  • これ  … 約数の個数から、素因数分解の形を決める。

ですね!

約数の個数と約数の総和に関するまとめ

本記事の要点を改めてまとめます。

  1. 約数の個数・約数の総和の問題は「素因数分解」して考えよう!
  2. 条件のある問題は、慣れないうちは樹形図を書いて、除く必要があるものを視覚的に判断するのも良し。
  3. 約数の個数が与えられている問題は、そこから逆算して素因数分解された形を考えよう。

特にラストの発展問題 $2$ 問は難しかったと思いますが、ここまでできれば怖いものは何もありません!

この機会にぜひマスターしてみてください^^

「整数の性質」全 25 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!

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以上で終わりです。

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