必要十分条件とは?例題・証明・矢印の向きの覚え方をわかりやすく解説!

こんにちは、ウチダショウマです。

今日は数学Ⅰ「集合と命題」で習う

「必要十分条件(必要条件と十分条件)」

について、例題や証明の仕方、矢印の向きの覚え方などわかりやすく解説していきます。

苦手意識を持ちやすい分野ではありますが、理解してしまえば試験でも得点源にしやすいところでもあるので、ぜひ慎重に読み進めていただければと思います。

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目次

必要十分条件の前に

さっそく必要十分条件の説明に移りたいのですが、その前に一度前提知識について確認しておきましょう。

「命題」「条件」について理解している方は、この章は飛ばして目次2から読み進めていただいても構いません。

命題とは【数学】

皆さんは「至上命題」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。

よく「最優先で解決すべき課題や問題」という意味で用いられますが、実はこれは誤用です。

命題…真偽の判断の対象となる文章または式のこと。
※Wikipediaより引用

つまり、「正しいか正しくないか、ハッキリと決まる文や式」を命題と呼ぶのですね。

まずは言葉の定義を正しく押さえてくださいね♪

ではここで、いくつか練習問題を解いてみましょう。

練習問題. 次の文や式は命題であるか否か答えよ。また、命題である場合は、真偽も述べよ。
(1) $3≧\sqrt{3}+1$
(2) 円周率は有理数である。
(3) チワワは小さい。
(4) ブルーベリーは目に良い。

【解答】

(1) 命題である。

また、$1<\sqrt{3}<2$ より、$2<\sqrt{3}+1<3$

つまり、$3≧\sqrt{3}+1$ が成り立つ。

よって、この命題は真である。

(2) 命題である。

円周率は $π=3.14159265358979…$ というふうに、循環しない無限小数として表されるので、無理数である。

よって、この命題は偽である。

(3) チワワが小さいか大きいかは、何を基準とするかで判断が変わってしまう。

したがって、命題ではない。

(4) 「ブルーベリーが目に良い」という科学的な確証は存在しない。

したがって、命題ではない。

(解答終了)

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(1)、(2)は正しいか正しくないかハッキリしましたが、(3)、(4)は微妙ですね。

(3)についてですが、我々人間と比べたらチワワは小さいですけど、カエルと比べたら大きいです。

このように、”小さい”や”可愛い”や”強い”など、形容詞的表現は見る人や状況によって判断が異なるため、命題とは言えません。

(4)については、これは僕の読んだ本の知識なのですが、ブルーベリーに多く含まれているアントシアニンが目に良いというのは、実は希望的観測に過ぎないらしいです。

そもそも、戦時中のパイロットが愛用していたことが、目に良いと言われるようになったきっかけらしいですね。

本当に目に良い成分としては、”ルテイン”や”ゼアキサンチン”だったり、”DHA”や”ビタミンE”などが挙げられます。

科学的な事実も、$100$ (%)良いor悪いと言いにくいですし、そもそも「目に良いとは何か」定義する必要も出てきそうです。

たとえばですが、「人間は睡眠をとらなくては生きていけない」だったり「動物は何も食べなくても生きていける」だったり、例外なく真偽が決まっているような科学的事象であれば、命題だと言ってもいいでしょうね。

条件とその否定

先ほど、命題とは「真偽がハッキリ決まる文や式」であると学びました。

では以下の式$$x>5$$は命題でしょうか。

これ、「なんとも言えない」が正解です。

というのも、例えば $x=6$ であれば真ですし、$x=2$ であれば偽ですよね。

例は他にもまだまだたくさんあります。

例えば、$$x^2+x-2=0$$

左辺を因数分解して、$$(x+2)(x-1)=0$$

よって、$$x=-2,1$$

であるため、$x=-2,1$ のとき真ですが、$x≠-2,1$ のときは偽になるわけです。

このように、文字 $x$ などを含み、その $x$ の内容が決まれば命題となる文や式のことを「 $x$ に関する条件と言います。

条件は慣例として $p$ や $q$ を用いて表すので、例えば$$p:x>5$$$$q:x^2+x-2=0$$というふうに表記します。

また、条件の否定(「 $p$ でない」「 $q$ でない」)、つまり$$\overline{p}:x≦5$$$$\overline{q}:x^2+x-2≠0$$も条件になります。

使う記号も補集合で用いた「ー(バー)」と同じなので、馴染みがありますね。

また、なんとなく集合論との結びつきも、これで見えてきたのではないでしょうか。

それでは、ここからは条件と記号「⇒(ならば)」を用いた命題について、深く考えていくことになります。

必要十分条件とは

必要十分条件というのは、「必要条件」「十分条件」この $2$ つから成り立っています。

なので、まずはそれぞれに対する理解を深めていきましょう。

必要条件と十分条件

いきなりですが、定義を述べたいと思います。

【必要条件と十分条件】
命題 $p ⇒ q$ が真であるとき、
$q$ は $p$ であるための必要条件であり、
$p$ は $q$ であるための十分条件である、と言う。

この定義がよくわからなくて毎年苦戦している受験生が数多くいらっしゃいます。

ですが、コツさえつかんでしまえば、頭にスッと入ってきます!

しっかりと読み進めていきましょう!!

まずは、記号「 $⇒$ 」の意味ですが、この記号は“ならば”と読みます。

よって「 $p$ ならば $q$ 」と表現し、「 $p$ を満たすものならばすべて $q$ を満たす」という意味になります。

では、まずはこの”ならば”を使ってみましょうか^^

目次1-2「条件とその否定」で$$p:x>5$$$$q:2x^2+2x-4=0$$と例を出しました。

折角なのでこの例を使っていきましょう。

最初に、$q$ の条件は $2$ 次方程式なので、簡単に解くことができます。

よって、$$q:x=-2,1$$と書き換えることができますね。

$p$ と $q$ だと”ならば”が作れそうにないので、$p$ を否定してみましょうか。

つまり、$$\overline{p}:x≦5$$$$q:x=-2,1$$この $2$ つの条件で考えていくということです。

すると、条件 $\overline{p}$ の範囲の中に条件 $q$ がスッポリ入っていることにお気づきでしょうか。

つまり、$q$ を満たすものならば $\overline{p}$ を満たしていることになるので、$$q ⇒ \overline{p}$$この命題が真になります。

したがって、$\overline{p}$ は $q$ であるための必要条件で、$q$ は $\overline{p}$ であるための十分条件ですね。

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これで”ならば”の意味は理解できましたか?

それでは、いよいよ必要条件と十分条件に迫ってまいります。

【重要】矢印の向きの覚え方

“ならば”の意味が「~を満たすものならば…を満たす」であることから、

あれ…?これ、集合論っぽいな…?

と感じた方はどれだけいらっしゃるでしょうか。

ぜひその感覚を大事にしてください!!

例えば条件 $p$ を満たすもの全体の集合を $P$、条件 $q$ を満たすもの全体の集合を $Q$ と定義します。

ここで、仮に $p ⇒ q$ が真であるとします。

すると、以下のベン図が成り立ちます。

よって、「命題 $p ⇒ q$ が真である」ことと「 $P\subset Q$ が成り立つ」ことは同じことになります。

これで命題の話と集合論が上手く結びつきましたね♪

さて、この事実を利用して、必要条件と十分条件を覚えていこう!というのが、この記事のメインテーマです。

せっかく集合論と結びついたのですから、イメージと言葉をリンクさせるいい機会です。

「十分条件は小さい集合」「必要条件は大きい集合」と覚えるようにしましょう。

言葉の意味的にわかりやすいのが、必要条件の方です。

だって”~にとって必要な存在”ということは、~より大きい存在であると言えるのではないでしょうか。

これを僕は「親子関係」と結び付けています。

親は子にとって、なくては生きていけない必要な存在ですよね。

逆に、子供がいるから親の心は満たされるわけです。

つまり、子どもは存在しているだけで、親の心を十分に満たしているのです。

最終的に問題を解く段階では、ベン図を書くことはまずないです。

しかし、このイメージを持っておくことは非常に重要です。

ぜひ結び付けをしっかり行っておきましょう。

集合に関する詳しい解説はこちらから!!

⇒⇒⇒ド・モルガンの法則とは?ベン図・真理値表(論理式)による証明をわかりやすく解説!【練習問題アリ】

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必要十分条件(同値)とその例

さて、前の章で「十分条件は小さい集合」「必要条件は大きい集合」であることを学びました。

ではここで、「$2$ つの集合が完全に一致してしまったらどうなるのか」考えましょう。

「集合が全く同じである」ということは、どちらともがもう一方の十分条件でもあるし、必要条件でもある、となります。

この状態のとき、$p$ は $q$ であるための( $q$ は $p$ であるための)必要十分条件である、と言います。

また、必要十分条件であるとき、$2$ つの条件は本質的に同じである、ということになります。

よって、「$p$ と $q$ は同値(どうち)である」ということもあります。

誤解されやすいのですが、「必要十分条件である」と「同値である」は全く同じ意味ですので、注意してください。

記号は「⇒」と「⇐」を組み合わせて「⇔」を使います。

このサイトでは、いろんな記事に「⇔」が登場します。これでやっと意味がわかりましたね^^

必要十分条件(同値)の例はめちゃくちゃいろいろあります。

例えば、先ほど $2x^2+2x-4=0$ の二次方程式を解いて $x=-2,1$ を導きましたね。

これはつまり、同値な式変形を行っている、と言えます。

同値記号を用いて記すと、

\begin{align}2x^2+2x-4=0 &⇔ x^2+x-2=0\\&⇔ (x+2)(x-1)=0\\&⇔ x+2=0 または x-1=0\\&⇔ x=-2,1\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

となります。

このように、方程式を解くだったり、何か式を変形するだったり、我々は無意識的に必要十分条件を使っていたのです。

というか、式変形をする際には、必要十分条件でなければダメなんですね。

これで、先生が不等式の変形のときによく怒る理由がわかったのではないでしょうか。

この式変形はよくある間違いですね。

図に書いた通り、仮定を満たし結論を満たさない例を“反例”と呼びます。

この反例が一つでも存在したら、この向きの矢印は成り立たない、ということになります。

反例については後述しますが、とにかくこの式変形はやってはいけないことがわかりましたね。

ただし、ここにもし$$a>b>0$$という前提がついた場合、反例はなくなるので同値な式変形となります。

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必要十分条件の例題とその証明

それでは、例題を $3$ つ用意しましたので、必要条件であるか十分条件であるか、はたまたそのどちらでもないか、少し考えていきましょう。

例題. 次の~に入る言葉を述べよ。
(1) 四角形ABCDがひし形であることは、四角形ABCDが平行四辺形であるための~。
(2) $|x|=|y|$ は $x^2=y^2$ であるための~。
(3) 関数 $f(x)$ が  $x=a$ で連続であることは、関数 $f(x)$ が $x=a$ で微分可能であるための~。

【解答】

(1) ひし形は平行四辺形の一種であるので、十分条件である。

しかし、平行四辺形であってもひし形でない図形はいくらでも作れる。

反例として、$$AB=DC=3,BC=DA=5$$などがある。

よって、十分条件であるが必要条件でない。

(2) 必要十分条件である。

(3) 連続であっても、微分可能であるとは限らない。

反例として、$$f(x)=|x| , a=0$$などがある。

よって、必要条件であるが十分条件でない。

(解答終了)

(1)の詳細については「平行四辺形」に関するこちらの記事をご覧ください。

⇒参考.「平行四辺形の定義から性質と条件をわかりやすく証明!特に対角線の性質を抑えよう

(2)は、絶対値に関する知識が必要です。

図で座標平面を書きましたが、これはあくまでイメージであって、厳密な証明ではありません。

だって、$x$ と $y$ は実数ですから、$2$ 次元ではなく $1$ 次元ですもんね。

しかし、絶対値も $2$ 乗も、原点Oからの距離を表していることにすぎません。

$2$ 次元で成り立つので、数直線、つまり $1$ 次元でも成り立つと考えてもらってよいでしょう。

「絶対値」に関する詳しい解説はこちらから!!

⇒⇒⇒「絶対値とは?絶対値の計算問題・意味や性質・分数の絶対値の外し方について解説!【ルート】

(3)は、数学Ⅲで習う有名な事実です。

反例も有名なので、高校3年生の方はぜひ押さえておきたいところです。

「微分可能性」に関する詳しい解説はこちらから!!

⇒参考.(後日書きます。)

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【重要】反例の見つけ方

それでは最後に、反例の見つけ方について、コツというか注意しなければならないことをお伝えしたいと思います。

命題 $p ⇒ q$ が偽であることを示すには、$p$ は満たすけど $q$ は満たさないものを見つけてあげればOKです。

これをベン図で表すと、以下のようになります。

またまた、集合と結び付けることで理解が深まります。

よく反例を挙げているつもりが、条件 $p$ も満たしていないことがあります。

“仮定を満たすが結論を満たさない例”が反例です。

ここは特に注意していただきたく思います。

また、反例の存在を一つでも示すことができれば、その命題は偽であることが示せます。

よって、一概には言えませんが、命題が真であることより偽であることの方が証明しやすい場合が多いです。

「じゃあ、命題が真である証明はどうやって行えばいいの…?」という疑問を持った方は、この記事の最後に誘導しているリンクから”対偶証明法”や”背理法”の記事もぜひご覧ください。

必要十分条件に関するまとめ

必要条件・十分条件と集合論は上手く結びつきましたか?

「必要性を満たしているか」「十分性を満たしているか」これらはこの先の数学において当たり前のように考えることになります。

また、この $2$ つを同時にみたすとき、その条件は必要十分条件であり、数学的に同値であることも押さえておきましょう。

次に読んでほしい「対偶証明法」に関する記事はこちらから!!

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以上、ウチダショウマでした。
それでは皆さん、よい数学Lifeを!!

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