こんにちは、ウチダです。
皆さんは「整式(せいしき)」と言われて、どういう式の形を思い浮かべますか?
数学Ⅰ「数と式」で初登場するこの言葉ですが、正しく認識できている方は意外と少ないです。
整式?なんだろう…「整数の式」のことかな?
整式の次数を判断するとか、同類項をまとめるとか、そういうものの意味がよくわからないです。
よって本記事では、「整式・整式の次数とは何か」から整式の計算まで
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
整式とは何なのか?【形を覚えよう】
いきなりですが重要な結論です。
と表せる式のことを指す。
これだけだとわかりづらいかと思いますので、例をたくさん挙げます
整式(多項式)の例:
・$3x+1$
・$2x^2-5x+3$
・$-10x^8+4x^4-3x$
・$0$
などなど
具体例を見るとわかりやすいね!ところで、「整式(多項式)」ってどういうこと?
実は中2で習う「多項式(たこうしき)」と整式は、全く同じ意味なんです。ただ、教科書によっては「単項式+多項式=整式」として定義しているものもあるので、そこは注意が必要です。
中2で学ぶ際、
- 単項式は多項式の一種だよ
- 単項式と多項式は別物だよ
このどちらかの定義で習うと思うんですが、これが教科書によってマチマチなんですね~。
まあ、数学的に言うと「多項式=整式」です。
つまり、単項式は多項式の一種としてとらえるのが正しいということです。
※多項式と整式の英語訳も「Polynomial」と同じなので、この理解が良いですね。
「多項式と単項式の違い」については、こちらの記事をご覧ください。
多項式と単項式の違いとは~(準備中)
【注意】逆にこんなのは整式ではないよ
多項式・単項式の定義は、人それぞれでいいと思います。
しかし、「整式か・整式ではないか」見極める力は、全員持っておいた方が良いです。
ということで、整式ではない例というのをいくつか見てみましょう。
整式(多項式)ではない例:
・$\displaystyle \frac{1}{x}$
・$\sqrt{x}$
・$\sin x$
・$e^x$
などなど
「なぜ整式とは言えないか」については、以下の通りです。
一つ目は $x$ が分母に来てしまっているためOUT。
二つ目は指数の形で表すと $\displaystyle \sqrt{x}=x^{\frac{1}{2}}$ となるためOUT。
三つ目は三角関数、四つ目は指数関数なのでOUT。
三角関数・指数関数とか、わからない用語が出てきました…
詳しくは数学Ⅱで学びます。また、大学に入るとこれらの関数を”整式っぽく“表す「マクローリン展開」なるものも学びます。あくまで整式っぽいだけで整式ではない(有限和ではなく無限和だから)ので注意が必要です。
ここら辺の知識について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
- 三角関数とは~(準備中)
- マクローリン展開とは~(準備中)
また、もちろん
みたいに、$x^2+x$ の時点では整式であっても、$\displaystyle \frac{1}{1+x}$ がくっつくことで整式ではなくなってしまいます。
とにかく、整式とは
と表せるものだと覚えておけばOKです。
<補足>Σを用いて表した場合・2変数の場合
数学B「数列」にて、Σ(シグマ)という“数列の和”を表す記号を学びます。
それを用いて整式を表すと、以下のようになります。
また、今は変数が $x$ のみの1変数しか考えていませんが、もし2変数の場合でも同様の定義になります。
2変数の整式(多項式)の例:
・$3x+5y+1$
・$2x^2y-5xy^2+3$
・$-10x^8+4y^4-3x$
・$0$
などなど
$x$ と $y$ の組合せによって1変数のときより色々作れてしまい、一般化した形はちょっと複雑になるので割愛しますが、イメージは同じですね。
「Σ(シグマ)」に関する詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
Σとは~(準備中)
整式の次数とは?整式の整理とは?
次に学びたいのが「整式の次数」についてです。
これも最初に結論から述べてしまいましょう。
整式の項の中で、最も次数の高い項の次数を、その整式の次数と呼ぶ。
つまり、$3x^2+2x-1$ であれば次数は $2$,$x^6-4x^2+9$ であれば次数は $6$ となります。
また、$5x^3-3x^3-2x^3+9$ みたいな整式の場合は、同類項をまとめてから次数を判断しましょう。
確かに、これは注意しないとダメな解答例のように答えてしまいそうだね。
整式を見た時点で、「同類項でまとめる」クセを付けておくとGOODですね。
次数・同類項については中2で習いますので、詳しく勉強したい方はこちらの記事をご覧ください。
- 次数とは~(準備中)
- 同類項とは~(準備中)
さて、ここからは「整式の次数」「整式の整理」について、少し応用的な問題にチャレンジしていきましょう。
多変数の次数を判断する問題
問題1.次の整式の次数を判断しなさい。
$x^3+x^2y^2+4y$
まずは2変数 $x$,$y$ が含まれた整式の次数を判断する問題です。
ノーヒントで解答に移ります。
へ~。多変数の場合は足さなきゃいけないんですね!これを知らなかったら、多分 $x^3$ があるから「次数は $3$ 」って答えてました!
細かいところなんですけど覚えておいた方が良いですね。ポイントは「変数が何個かけ合わされているか」です。
多変数の次数を判断する問題はなかなか出ませんが、「覚えておくことに超したことはないかな」といった感じです。
整式を●●の順に整理する問題
問題2.次の整式を $x$ について降べきの順に整理しなさい。
$x-5x^2+6x-7+2x^3+10x^2+1-4x^3$
次に整式を~の順で整理する問題です。
降べきの順とは一体何でしょうか…ぜひ考えながら解答をご覧ください。
最初だからここまで丁寧にやりましたが、理解できればとってもカンタンですね☆
まあ、簡単なのは分かったけど、なんで整式を整理する必要があるの?
実は降べきの順のみならず、「昇べきの順」「輪環の順」という並べ方もあります。意味についてもまとめて解説した記事を用意したので、詳しくはこちらをご覧ください。
降べきの順・昇べきの順・輪環の順のメリットって?
よくある質問3選
これらについて、わかりやすく丁寧に解説します。
「降べきの順・昇べきの順・輪環の順って何のためにあるの?」と感じている方は必見です。
整式の計算を見ておこう
一部数学Ⅱ範囲の内容を含みますが、整式の計算についても順に見ていきましょう。
といっても、足し算・引き算・掛け算については“今まで通りでOK”です。
問題は「整式の割り算(除法)」だけです。
さらっと見ていきましょう。
整式の加法・減法・乗法
問題3.次の問いに答えよ。
(1) $A=3x^2-4x+5x^3-6$,$B=x+2x^2+3x^3$ のとき、$2(A+B)-3\{A-2(A-B)\}$ を計算しなさい。
(2) $(x+5x^3-2)(3x^2-8+x)$ を計算しなさい。
加法・減法・乗法については、特段記述するようなことはありません。
皆さんおなじみの「分配法則」を使えばいいだけです。
分配法則とは~(準備中)
ですが、問3のような問題は、解き方に少しクセがありますので、一度解いておきましょう。
なかなか計算が大変でしたね…(笑)
そうですね(笑)しかしこの手の問題は、純粋に“計算力”を問う問題が多いです。数学力 $=$ 計算力だと認めて、ケアレスミスのないように注意していきましょう。
整式の除法はどうやる?【数学IIで学びます】
問題4.次の $x$ の整式について、商と余りを求めなさい。
$(2x^2-5x-1)÷(x-2)$
さて、最後は「整式の除法ってどうすればいいの…?」という疑問にお答えしていきましょう。
まず、割られる数が $x$ についての $2$ 次式、割る数が $x$ についての $1$ 次式なので、
- 商 … $2-1=1$ 次式
- 余り … $1-1=0$ 次式(定数)
であることが予測できます。
これを踏まえて、
$2x^2-5x-1=(x-2)(ax+b)+c$
を満たすような $a$,$b$,$c$ を見つければいいのです。
ではどうするか…
割り算と言えば「筆算」ですよね!ということでやっていきます。
へ~!整式の割り算でも、筆算で導くことができるんだね!筆算ってすごいね!
そもそも筆算とは、割り算を視覚的にわかりやすく表したものなので、当然と言えば当然ですね。整式の除法はもう少し複雑な形もあるので、興味のある方はぜひ以下の記事もご参考ください。
整式の除法とは~(準備中)
整式に関するまとめ
改めて、本記事のポイントをまとめます。
- 整式=「多項式」のことであるが、教科書によっては整式=多項式+単項式としているものもある。
- 整式を「降べきの順」に整理すると、次数の高いものから並ぶため、見やすくなって良い。
- 「整式の除法」は筆算で解くことができる。(詳しくは数学Ⅱで学びます。)
「整式」みたいなワードは、定義をあいまいのままにしがちですが、この機会にしっかりと理解しておきましょう!
おわりです。
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コメント一覧 (1件)
多項式は単項式の和なのに、0は多項式(整式)なんですか?
あ、でも単項式も多項式の一部とするなら0も多項式の一種か…
0の係数はなんですか?