降べきの順vs昇べきの順vs輪環の順【「式を整理する」とは?読み方は?】

こんにちは、ウチダショウマです。

数学をやっていると、「式を●●の順で整理しなさい」と言われることが多々あります。

その●●の順としてよく登場するのが

  1. 降べきの順(こうべきのじゅん)
  2. 昇べきの順(しょうべきのじゅん)
  3. 輪環の順(りんかんのじゅん)

以上 $3$ つです。

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なんか難しそう…。$3$ つもあって覚えるのも大変そうだなぁ。

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整式を整理すること自体はできるんだけど、それで結局「何の意味があるのか」がわからないわ。

ということで本記事では、降べきの順・昇べきの順・輪環の順のそれぞれのメリットやよくある質問

  • 東北大学理学部数学科卒業
  • 教員採用試験1発合格 → 高校教諭経験アリ

の僕がわかりやすく解説します。

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目次

降べきの順・昇べきの順・輪環の順とは?【読み方とイメージを覚えましょう】

まずは、それぞれの読み方とイメージを押さえましょう。

  1. 降べき(こうべき)の順
    • べき乗が降りていく」イメージ。つまり、$9$ 乗,$8$ 乗,$7$ 乗…みたいな感じ?
  2. 昇べき(しょうべき)の順
    • べき乗が昇っていく」イメージ。つまり、定数項,$1$ 乗,$2$ 乗…みたいな感じ?
  3. 輪環(りんかん)の順
    • 輪・環ともに「回る」というイメージ。回る…?今のところはよくわからない。

①②の「べき乗が降りる(昇る)」は、言葉の意味から推測できますね。

問題は③ですが、これは後々解説していきます。

さて、ここで考えたイメージを用いて、“整式”を整理していきます。

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「そもそも”整式”って何?」という方は、「整式とは・整式の次数とは何か?【整式の計算についても軽く解説します】」の記事をご覧ください。整式の定義はしっかりと押さえておく必要があります。

整式の整理を練習してみよう

例題1.次の整式を、それぞれ指定された方法で整理しなさい。
(1) $5x^2-3-x^4+4x$ を「降べきの順」で整理する
(2) $-2x^5+10x^3-5+8x^2$ を「昇べきの順」で整理する
(3) $(a+b+c)^2$ を「輪環の順」で整理する

(3)だけ異質に見えると思いますが、それでいいんです。

というのも、輪環の順は(3)のような”特殊な場合”しか基本的に使いません。

解説は後にして、まずは解答をご覧ください。

輪環の順の使い方は、なんとなく理解できましたか?

つまり、$(a+b+c)^2$ などの対称式の場合、グルグルと循環するように並べた方がわかりやすい、ということになります。

以上が、整式の整理の概要です。

ここからは、もう少し踏み込んだ内容「それぞれのメリット」について考えていきます。

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降べきの順・昇べきの順・輪環の順のそれぞれのメリット

整式を整理するメリットを一言でまとめると…

整理したほうが式が見やすくなり、式に含まれている情報を把握しやすいから

これに尽きます。

まずは、主に使う場面をそれぞれまとめておきましょう。

  1. 降べきの順 … 高次の項が重要なときに使う
    • 基本は「降べきの順」と押さえておけばOK!
  2. 昇べきの順 … 定数項が重要なときに使う
    • 使う頻度は少ない。代表例は「マクローリン展開」。
  3. 輪環の順 … 対称式・交代式の因数分解のときによく使う。
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基本は降べきの順を使って、例外的に昇べきの順・輪環の順を使えばいいんだね!

ウチダのアイコン画像ウチダ

理解が的確かつ早いですね!ではここからは、それぞれをもう少し具体的に見ていきますね。

基本は「降べきの順」を使いましょう

たとえば、以下の問題を解いてみてください。

例題2.次の式を因数分解しなさい。
$3+x^2-4x$

この整式を見て、頭の中でいきなり因数分解をしようとすると、少し混乱しませんか?

では、この整式を”降べきの順”で整理した、次の例だとどうでしょう。

例題2’.次の式を因数分解しなさい。
$x^2-4x+3$

例題2’のように書かれていれば、すぐに $(x-1)(x-3)$ と因数分解できますね!

すごい単純な話ではありますが、数学における公式のほとんどは降べきの順で記憶しているはずです。

よって、降べきの順に整理したほうが色々考えやすい、ということですね^^

ウチダのアイコン画像ウチダ

因数分解もそうですが、展開の公式だったり、平方完成だったり…ほんとに様々な公式を降べきの順で覚えていると思います。「基本は降べきの順」。まずはこの癖を付けていきましょう!

因数分解の公式に関する記事はこちらから

因数分解の公式とは~(準備中)

マクローリン展開は「昇べきの順」

※この章は大学内容をがっつり含みます。※

問題1.$\cos x$ を $x=0$ まわりで $4$ 次の項までテイラー展開しなさい。

$x$ の整式(多項式)の形で近似することを「テイラー展開」と言い、$x=0$ まわりのテイラー展開を「マクローリン展開」と言います。

マクローリン展開を行うことで、扱いづらい関数(三角関数や指数関数など)を $x$ の整式で近似することが可能です。

あくまで近似ですが、大体 $3$ 次の項まで出せばある程度正確な近似ができているとみなします。

つまり、「マクローリン展開したときの重要な情報は低次の項にある」と言えますね。

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…正直難しくてよくわからなかったけど、低次の項が重要ってことは何となくわかりました!

ウチダのアイコン画像ウチダ

ここではその理解で十分です!「マクローリン展開はなぜ成り立つのか」など詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

マクローリン展開とは~(準備中)

対称式・交代式は「輪環の順」

まず対称式・交代式とは何か、説明いたします。

【対称式とは】
どの $2$ つの文字を入れ替えても式が同じになる整式
(例).$x+y$,$x^2+y^2+z^2$,$a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca$ など

【交代式とは】
どの $2$ つの文字を入れ替えても元の式の $-1$ 倍になる整式
(例).$x-y$,$x^2-y^2$,$a^2(b-c)+b^2(c-a)+c^2(a-b)$ など

それぞれの例の $3$ つ目を見ると分かりやすいですが、これをもし展開して $a$ について降べきの順で整理すると…

\begin{align}a^2+b^2+c^2+ab+bc+ca&=a^2+(b+c)a+b^2+c^2+bc\end{align}

\begin{align}a^2(b-c)+b^2(c-a)+c^2(a-b)&=a^2b-a^2c+b^2c-ab^2+ac^2-bc^2\\&=(b-c)a^2+(c^2-b^2)a+b^2c-bc^2\end{align}

となります。

さて、どちらの形の方が“対称式・交代式”の判断が付きやすいですか?

きっと、降べきの順で整理する”前”ですよね。

以上のように、特に文字が $3$ つ以上の時、輪環の順に並べると対称式・交代式を見つけられる可能性が高まる、というメリットがございます。

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なるほど…対称式・交代式が見つかりやすいっていうのはわかったけど、その $2$ つの式はどんな性質を持っているの?

ウチダのアイコン画像ウチダ

そこ気になりますよね!ただ解説するとあまりに長くなってしまいますので、対称式・交代式に関する記事を別にご用意いたしました。そちらの記事をご参考くだされば幸いです。

対称式・交代式に関する詳しい解説はこちらから

対称式・交代式とは~(準備中)

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【疑問】降べきの順・昇べきの順・輪環の順のよくある質問

ここで、よくある質問にQ&A形式で答えていきたいと思います!

整式を整理しないと減点されるの?

そんなことはございません。が、$(a+b)(b+c)(a+c)$ と書くのと $(a+b)(b+c)(c+a)$ と書くのでは後者の方がセンスがいいです。なぜなら、後者の解答を書く人間は、この整式が対称式であることを理解している可能性が高いからです。

以上のように、整式を的確に整理するだけで数学的センスの良い人間に見られ、結果的に学びが増えるので、オススメです。

整式の整理って、結局何の意味があるの?

式に含まれている情報を見つけやすくなるからです。たとえば $-3x+1+2x^2$ だと因数分解に気づきづらいですが、$2x^2-3x+1$ であればすぐに $(2x-1)(x-1)$ と因数分解できますよね。因数分解に気づくだけで解ける問題も数多くあるため、このメリットは馬鹿にできません。詳しくは目次2で解説しております。

文字が $2$ つある場合はどうしたらいいの?

基本、文字 $1$ つに対して降べきの順に整理してあげてください。たとえば、$3xy+2y^2-6-x+x^2+y$ という整式があったら、$x$ についてのみ降べきの順に整理してあげましょう。そうすることで、

\begin{align}x^2+(3y-1)x+(2y^2+y-6)&=x^2+(3y-1)x+(2y-3)(y+2)\\&=(x+2y-3)(x+y+2)\end{align}

と、これまた因数分解に気づくことができます。ですので、「困ったら降べきの順に整理」これだけは忘れないようにしましょう。

降べきの順・昇べきの順・輪環の順のまとめ

それでは最後に、本記事のポイントをまとめます。

  1. 降べきの順は“べきが降りる”、昇べきの順は“べきが昇る”、輪環の順は“グルグル回る”という風に、言葉のイメージで覚えよう。
  2. 昇べきの順は「マクローリン展開」で、輪環の順は「対称式・交代式」で使えばよい。基本は降べきの順でOK。
  3. 整式の整理をしなかったからといって減点されることはないが、大切な情報を見失うこともあるため、降べきの順で整理すべし。

整式の整理を当たり前のように行うことによって、数学的センスを見せつけてやりましょう!

おわりです。

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