MENU
カテゴリー
おすすめプログラミングスクール紹介中! 一覧はこちらから

組立除法のやり方を解説!【なぜ成り立つ?原理も証明!】

こんにちは、ウチダです。

今日は数学Ⅱで習う

「組立除法」

について、なぜ成り立つのかという原理をイメージと証明で解説し、組立除法のやり方を分かりやすくまとめていきます。

組立除法を使えると、計算のスピードが格段に上がるので、ぜひマスターしちゃってください!

組立除法とは?

まず組立除法の話をする前に、整式の割り算について説明しなければなりません。

たとえばこんな問題を解いてみましょう。

問題. $x^3-x^2+x-7$ を $x-2$ で割った商と余りを求めよ。

ふつうなら割り算なので筆算を使って解きます。

しかし、筆算だとスペースもとるし時間もかかるし、あまり良いことはありません。

そこで新しく編み出された方法が「組立除法」なのです!

といっても、そこまで身構える必要はありません。

組立除法のポイントは主に二つで

  • 書かなくていいことを書かない
  • 引き算はややこしいので足し算にする

これらを踏まえたうえで次の章から具体的な方法について見ていきましょう。

組立除法のやり方

同じ問題を「組立除法」で解くとどうなるのか、見てみましょう。

まず、組立除法の基本その1。「余計なことを書かない」です。

さっそく図をご覧ください。

↓↓↓

この枠組みは覚えてください。

重要なのは、「割られる数の“係数”のみ書くことで時間を省略している」ところです!

割り算をするときに割られる数を降べきの順に整理することは大切ですが、それさえ行えば文字 $x$ を書くのは時間の無駄です。

よって、組立除法ではそこに着目し、文字 $x$ を書かないでください。

それだけで結構な時短です。

では、ここからは細かいテクニックに移りますので、それぞれの場合での組立除法について深掘りしていきます。

$x-p$ で割る組立除法

まずは一番の基本系。「 $1$ 次式 $x-p$ で割る」場合の組立除法です。

↓↓↓

ここが組立除法の注意点の一つでもありますが、今回は「 $x-2$ 」で割っているので「 $2$ 」を左上の枠に書きます。

ここで「 $-2$ 」と書かないように気を付けてください。

逆に言えば、ここで「 $-2$ 」ではなく「 $2$ 」と書くことによって、組立除法が簡単になっていると言えます。

いきなりですが最後のステップです。

↓↓↓

少し複雑なので解説します。

まず最初に、一番左の「 $1$ 」だけはそのまま下に降ろします。

そしたら、青四角で囲っている数(今回の例で言えば「 $2$ 」)倍したものを右斜め上に書いていって、それを筆算のように足していきます。

これを繰り返し、最後に残った右下の枠の数が「余り」、それ以外の数たちが「商の係数」となります。

よって、この問題の答えは$$商…x^2+x+3、余り…-1$$と簡単に求めることができます。

並べてみると一目瞭然ですが、計算量が段違いですね。

↓↓↓

スポンサーリンク

さて、これがなぜ成立するのかについては後述しますので、とりあえず今は話を先に進めますが、ぜひ考えておいてください。

特に、きっちりとした証明よりもイメージをつかむことが重要になってきます。

では応用編その1にまいりましょう。

$ax+b$ で割る組立除法

応用系その1は「 $1$ 次式 $ax+b$ で割る」場合の組立除法です。

例題. $2x^3-5x^2+5x+5$ を $2x+1$ で割った商と余りを求めよ。

この計算において、筆算ではなく組立除法を用いると以下のようになります。

↓↓↓

重要なのは「 $2x+1=2(x+\frac{1}{2})$ を利用して、まずは $x-p$ の形で割ってみる」ところになります。

よって、以上の計算より、

\begin{align}2x^3-5x^2+5x+5=(x+\frac{1}{2})(2x^2-6x+8)+1\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

ということが分かりました。

ここで、右辺について

\begin{align}(右辺)&=(x+\frac{1}{2})(2x^2-6x+8)+1\\&=(2x+1)(x^2-3x+4)+1\end{align}
と式変形することができるので、この問題の答えは$$商…x^2-3x+4、余り…1$$となります。

割る数を $\frac{1}{2}$ 倍していたので、最終的な答えとしては商を $\frac{1}{2}$ 倍してつじつまを合わせる必要がある、ということですね。

二次式で割る組立除法

応用系その2は「二次式で割る」場合の組立除法です。

例題. $x^4-x^3-3x^2-6x-2$ を $x^2-2x-3$ で割った商と余りを求めよ。

実は二次式で割る組立除法も存在します!

↓↓↓

なかなか複雑ですが、この計算によって答えは$$商…x^2+x+2、余り…x+4$$と求めることができました。

もうお分かりだと思いますが、青四角の「 $2$ 」と緑四角の「 $3$ 」は、割る数 $x^2-px-q$ としたときの「 $p,q$ 」に当たります。

また、この問題の場合、割る数が$$x^2-2x-3=(x-3)(x+1)$$と因数分解できるので、まず $x-3$ で割る組立除法を行うと

\begin{align}x^4-x^3-3x^2-6x-2=(x-3)(x^3+2x^2+3x+3)+7 ……①\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

となり、次に $x^3+2x^2+3x+3$ を $x+1$ で割る組立除法を行うと

\begin{align}x^3+2x^2+3x+3=(x+1)(x^2+x+2)+1 ……②\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

なので、②を①に代入すれば

\begin{align}x^4-x^3-3x^2-6x-2&=(x-3)(x^3+2x^2+3x+3)+7\\&=(x-3)\{(x+1)(x^2+x+2)+1\}+7\\&=(x-3)(x+1)(x^2+x+2)+(x-3)+7\\&=(x^2-2x-3)(x^2+x+2)+x-3+7\\&=(x^2-2x-3)(x^2+x+2)+x+4\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

となり、同じ結果が得られます。

割る数が $1$ 次式の積で表せる場合は、組立除法を $2$ 回行うのもアリですね。

スポンサーリンク

さて、やり方は色々学んだので、ここからは「なぜ組立除法は成立するのか」について詳しく考えていきましょう!

組立除法の原理

やはり基本になってくるのが「 $x-p$ で割る」場合の組立除法になります。

これが成り立つ理由については厳密に証明できた方が良いですが、それ以上に正しくイメージを持つことが重要だったりします。

ですので、まずはイメージから入り、その後証明に移りたいと思います。

【重要】イメージ

答え合わせの時が来ました。

皆さんは「なぜ組立除法が成り立つのか」イメージを持つことはできたでしょうか。

ここでもう一度、通常の筆算と組立除法を比較してみましょう。

違いにお気づきでしょうか。

では答えですが、「筆算では引き算を使い、組立除法では足し算」を使っていますね!

それはなぜかというと…「割る数の符号を逆にしているから」ではないでしょうか!

筆算では、$x-2$ と書きますが、組立除法では $2$ と書きます。

それと同じように、たとえば $x+5$ であれば、組立除法では $-5$ と書きます。

このように、符号を逆にしているため、計算においても引き算を足し算に変える必要がある、と考えられませんか?

もちろんこれは厳密な証明ではありません。

しかし、このイメージを持っておくだけで、筆算と組立除法の計算方法が混同しなくて済むようになります。

機械的に覚えているだけだと「あれ…?引き算だっけ、それとも足し算だっけ…」と迷ってしまいますからね^^。

(私が高校生の時は、そのようなことが頻繁にありました(笑)。)

また、偉大な数学の発見というのも、実は何となくのイメージから着想を得ている、なんてことも結構あったりします。

フェルマーの最終定理バーゼル問題などは正しくその代表例と言ってもいいのではないでしょうか。

…話が少し脱線しましたが、とにかくこのイメージはとても重要なので、ぜひとも押さえておきたいところです。

証明

さて、それでは証明に移りましょう。

といっても、$x$ の恒等式と見て係数比較をするだけなので、簡単ではありますが、一般化することも大切であるため、一応証明しておいた方がいいでしょう。

【証明】

$3$ 次式の場合のみ示すが、$n$ 次式についても同様に行える。

整式 $ax^3+bx^2+cx+d$ を$x-p$ で割った商を $lx^2+mx+n$、余りを $R$ とすると、割る数割られる数の関係式より、

\begin{align}ax^3+bx^2+cx+d=(x-p)(lx^2+mx+n)+R\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

が成り立つ。

ここで、この等式が $x$ についての恒等式であることを利用し、係数比較をすると、$$a=l,b=m-pl,c=n-pm,d=R-pn$$

よって、$$l=a,m=b+pl,n=c+pm,R=d+pn$$

となり、組立除法が正しいことが言えた。

(証明終わり)

スポンサーリンク

最後の式が、組立除法のやり方を一般化した式になります。

あと $2$ つの応用系組立除法についてもほぼ同様に証明することができます。

ここでは参考文献だけ載せて次に進むことにします。

参考文献1⇒ 一次式の組立除法

参考文献2⇒ 二次式の組立除法

組立除法の練習問題

証明、かなりあっけなかったですね。(^_^;)

こういう計算の工夫系は原理自体は簡単なことが多いです。

あの有名な「インド式計算法」も実は結構簡単です。

⇒⇒⇒インド式計算11選まとめてみた【かけ算わり算や19×19までの九九や足し算など】

あとはいかに使いこなせるかの世界になってきますので、ここでは練習問題として $2$ 問解いてみましょう。

練習問題. 組立除法を用いて解け。
(1) $x^3+3x+2$ を $x+1$ で割った商と余り
(2) $2x^3+3x^2+4$ を $x+2$ で割った商と余り

今までの問題とちょっとだけ違うのは、降べきの順に並べた時に次数が $1$ つ飛ばしの部分があることです!

そこにだけ注意して、あとは同じように解いてみて下さい^^

↓↓↓(答えあり)

【解答】

(解答終了)

注意しなければいけないことは、(1)においては「 $0x^2$ 」とし、(2)においては「 $0x$ 」とするように、「存在しない次数の項の部分に必ず $0$ を入れる」ということですね!

これは整式の割り算を習う際にも学んでいます。

スポンサーリンク

因数分解に応用しよう!

さて、最後に組立除法の応用の仕方について考えてみましょう。

もちろん、言わずもがなですが「整式の割り算」には積極的に使っていくと良いでしょう。

あともう一つ。因数定理の代わりに用いることもできます。

例えば練習問題(2)では、余りが $0$ ですので、$x+2$ で因数分解できますね。

しかし、これはあくまで代用できるかもレベルです。

私個人の意見としては、やはり因数分解には因数定理を用いるべきと思いますが、一応こういう方法もあるということだけ伝えておきます。

因数定理に関する記事はこちらから!!

↓↓↓

関連記事
因数定理を用いた因数分解のコツとは?因数の見つけ方(候補)も証明!【練習問題アリ】

あわせて読みたい
因数定理を用いた因数分解のコツとは?因数の見つけ方(候補)も証明!【練習問題アリ】 こんにちは、ウチダです。 今日は、数学Ⅱで習う 「因数定理」 を用いた高次方程式の因数分解を解説し、また因数の見つけ方のコツも解説及び証明していきます! 練習問題...

因数定理のもとになる「剰余の定理」に関する記事はこちらから!!

↓↓↓

関連記事
剰余の定理をわかりやすく証明!【二乗で割った余りを求める応用問題アリ】

あわせて読みたい
剰余の定理をわかりやすく証明!【二乗で割った余りを求める応用問題アリ】 こんにちは、ウチダです。 今日は、数学Ⅱで習う 「剰余の定理と因数定理」 について、まずは剰余の定理をわかりやすく証明し、実際にどう用いて問題を解いていけばよい...

組立除法に関するまとめ

今日は整式の割り算を速くする「組立除法」について勉強してきました。

良い学びになったでしょうか。

計算を速くする技術って、新しく学ぶときは「こんなの何の役に立つのだろう…」とか「これ覚えるぐらいなら今までの方法でいいじゃん」とか色々思うことはあるんですが、それを乗り越えてマスターした人は受験で強いです。

その強さは受験の本番で、必ず計算力として表れます。

ですので、ぜひ面倒くさがらずに、効率が良くなる方法はどんどん取り入れていけばいいと思います♪

以上、ウチダでした。
それでは皆さん、よい数学Lifeを!!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
スポンサーリンク

コメントを残す

コメントする

CAPTCHA


目次