こんにちは、ウチダです。
今日は、中学2年生で扱う
「等積変形」
について、特に台形と等しい面積の三角形を作る方法を解説していきます。
また、等積変形の基本 $2$ つを押さえたうえで、一緒に応用問題(難問)にチャレンジしてみましょう♪
等積変形の基本2つ
等積変形とは、読んで字のごとく「等しい面積の図形に変形すること」を指します。
この記事では、三角形や四角形のように角ばっている図形について、等積変形を考えていきます。
その際、押さえておくべき $2$ つの基本がありますので、順に見ていきましょう。
<補足>
丸まっているものの基本図形は”円”です。
円についての等積の問題は、変形ではなく移動の考え方を用いる「等積移動」についての問題がほとんどです。
よって、丸まっている図形に対しては「どことどこの面積が等しいか」というのを考えていけば大体OKです。
平行線の性質
例題を通して解説していきます。
↓↓↓
一番の基本は、三角形と三角形の等積変形です。
この問題では、底辺 OA が共通していますから、高さが等しくなれば面積も等しいはずです。
↓↓↓
ここで、底辺 OA に平行かつ頂点 B を通る直線を引きます。
すると、その直線上に頂点 C を取れば、高さは常に二直線間の距離になりますよね!
これが等積変形の一番の基本です。
つまり、平行線を書く技術さえ持っていれば、面積が等しくなる図形は簡単に書けるということになります。
平行線の書き方(作図)
では、平行線の作図は、どういった方法で行えばいいのでしょうか。
一つは、垂線を $2$ 回書く方法ですが、これは時間がかかります。
よってもう一つの、非常に素晴らしい作図方法をマスターしていただきたく思います。
↓↓↓
①~③の順に、$$OA=OB=AC=BC$$となるように、コンパスを使って作図をします。
すると、$4$ 辺がすべて等しいため、ひし形になります。
ここで、ひし形というのは、平行四辺形の代表的な一種でした。
⇒参考.「平行四辺形の定義から性質と条件をわかりやすく証明!特に対角線の性質を抑えよう」
よって、$$OA // BC$$となるため、これで作図完了です。
非常に簡単ですね♪
面積の二等分線の作図
ここまでで等積変形の超基本はマスターできました。
あとは、応用問題に対応できる知識を身に付けていきましょう。
それが「面積の二等分線とは何か」についてです。
先ほどは、三角形の底辺が同じであることを利用し、高さが同じになるように点 C を作図しました。
これがヒントでもありますので、皆さんぜひ考えてみてから下の図をご覧ください。
↓↓↓
図のように、底辺 OA の中点 C と頂点 B を結ぶ線で、面積を二等分することができます。
だって、高さが同じで、底辺の長さも $1:1$ より同じですもんね。
また、この線のことを、頂点と中点を結んでいることから「中線(ちゅうせん)」と呼び、高校数学ではより深く学習することになります。
さて、中線の作図のポイントは、中点 C を見つけることです。
これは「垂直二等分線(すいちょくにとうぶんせん)の作図」によって見つけることができますね^^
「垂直二等分線」に関する詳しい解説はこちらから!!(さきほどスルーした垂線の作図にもふれています。)
⇒⇒⇒垂直二等分線の作図方法(書き方)とそれが正しいことの証明をわかりやすく解説!【垂線】
等積変形の基本問題【台形→三角形】
ここまでで学んだ等積変形の基本 $2$ つを、一度まとめておきます。
- 頂点を通り底辺に平行な直線を引けば、同じ面積の三角形が作れる。
- 中線を引けば、三角形の面積を二等分できる。
それでは、この基本をしっかりマスターするために、何問か練習問題を解いていきましょう👍
感覚的に点 C より右側にあるんだろうな~、というのはわかるのではないでしょうか。
ヒントは「平行線の性質」です。
ぜひ自分で一度解いてみてから、解答をご覧ください^^
↓↓↓
【解答】
△ABC は共通するので、$$△ACD=△ACE$$となるように点 E をとる。
ここで、底辺 AC が共通なので、底辺 AC に平行かつ頂点 D を通る直線を引く。
↓↓↓
図より、「底辺 AC に平行かつ頂点 D を通る直線」と「直線BC」の交点を E とおくと、△ACD=△ACEとなる。
したがって$$四角形 ABCD = △ABE$$である。
(解答終了)
解答の図で、$$四角形 ABCD = △ABC+△ACD$$$$△ABE=△ABC+△ACE$$とそれぞれ二つに分けて考えているところがポイントです!
また、今回一般的な四角形について問題を解きました。
もちろん、四角形の一種である台形にもこの方法は使えますし、等積変形を知っていると「台形の面積の公式の成り立ち」なども深く理解できるかと思います。
等積変形の応用問題2つ【難問アリ】
あと $2$ 問、練習してみましょう。
これも有名な問題なので、ぜひ解けるようになっておきたいです。
「境界線を引き直す」という、ちょっと珍しい問題ですが、等積変形の基本その1を使うことであっさり解けてしまいます。
【解答】
発想としてはさっきの問題と同じで、$$△PRQ=△PRS$$となるような点 S を作図したい。
ここで、底辺 PR が共通なので、底辺 PR に平行かつ点 Q を通る直線を引く。
↓↓↓
図より、「底辺 PR に平行かつ頂点 Q を通る直線」と辺の交点を S とおくと、△PRQ=△PRSとなる。
したがって、直線 PS が新たな境界線となる。
(解答終了)
先ほどと同じように、共通している部分の面積は考えなくていいので、$$△PRQ=△PRS$$となるように点 S を取りましょう。
すると、境界線を折れ線ではなく直線で書くことができます。
さて、最後の問題は難しいですよ~。
ついに「面積を二等分する」問題が出てきましたね!
しかし、点 P を通るというのがやっかいです。
こういうときは一気に解こうとしないで、とりあえず面積を二等分する線を引いてみましょう。
↓↓↓
等積変形の基本その2として学んだ通り、面積を二等分するときは中線を引けばOKです。
さて、ここまでくれば大分見えてくるかと思います。
このヒントを頼りに、少し自分で考えてみてから解答をご覧ください^^
↓↓↓
【解答】
線分 AP を底辺とし、$$△APD=△APQ$$となるように点 Q を作図したい。
よって、底辺 AP に平行かつ点 D を通る直線を引く。
↓↓↓
図で、
が成り立つ。
また、線分 AD は中線より、$$△ABD=△ACD$$が成り立つことから、$$△QBP= 四角形 ACPQ$$が成り立つ。
したがって、直線 PQ は △ABC の面積を二等分する。
(解答終了)
等積変形の基本を $2$ つ組み合わせることで、上手く直線を引くことができました。
等積変形に関するまとめ
等積変形では、とにかく平行線を引くことを意識しましょう。
また、等積変形について深く理解できると、例えばこんな問題も簡単に解けてしまいます。
問題. 図の青色で塗られた部分の面積を求めよ。
↓↓↓
上の図で、「青の面積=赤の面積」となるから、$$3×12×\frac{1}{2}=18$$
と求めることができます。
この問題では、どの三角形も高さが $3$ で等しいところがポイントです。
等積変形の基本を押さえたうえで、いろんな入試問題などにチャレンジしていただきたいと思います^^
以上、ウチダでした。
それでは皆さん、よい数学Lifeを!!
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