こんにちは、ウチダです。
突然ですが皆さん!分数の計算はお好きですか…???
いやぁ、分数の計算になると、頭の中がごっちゃになることがよくあるなぁ。
特に”約分”や”通分”になると上手くできないことが多いから、何かいい方法を教えてほしいわ。
そう、小学校の算数で習う「約分・通分(やくぶん・つうぶん)」ですが、意外と中高生や社会人であってもスムーズにできる方は少ないものです。
ということで本記事では、約分・通分の計算を速くするコツから練習問題 $4$ 選まで、
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
約分・通分とは結局何なのか?【円で解説~速く計算するコツ】
まずは、約分と通分の例を見てみましょう。
- 約分の例:$\displaystyle \frac{4}{12}=\frac{1}{3}$
- 通分の例:$\displaystyle \frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{3}{6}+\frac{2}{6}=\frac{5}{6}$
ここから分かる通り、
ということになります。
言葉の定義は重要ですから、まずは「約分・通分」の意味を正しく知っておきましょう。
約分・通分をわかりやすく円を使って解説
さて、次は約分と通分を”円”で理解していきます!!
なるほど!図の黄色の部分は面積が変わらないから、分数は全て等しくなるんだね!
そういうこと!円もとい”ピザ”を意識してほしいんだけど、「 $12$ 等分されたうちの $4$ つ」と「 $3$ 等分されたうちの $1$ つ」はどちらも同じですね。
通分も同じように円で考えることで、すぐにわかります。
黄色の部分と青色の部分を足したものは、円を $6$ 等分したうちの $5$ つになっているわね!
そう!だから答えは $\displaystyle \frac{5}{6}$ になるんですね~。
特に、通分を理解していないと、
のような、絶対にしてはいけない間違った計算をしてしまうことに繋がります。
ぜひ、以上のように
この方法を約分・通分に対しても行っていきましょうね!
約分・通分の計算を速くするコツ
お待たせしました!いよいよ約分・通分の計算を速くするコツをご紹介します!
これらのコツは基本的なものではありますが、意外と定着している方は少ないです!!
まずはここをしっかりと押さえておくだけでも、計算は十分速くなりますので、ぜひ次の章からの練習問題を解いて練習していってくださいね!
約分・通分マスターになるために問題4選を解こう!
ここまでが約分・通分のインプットになります。
さあ、インプットしたら即座にアウトプットして、知識を定着させていきましょう!
約分の練習問題
問題1.次の分数を約分しなさい。
(1) $\displaystyle \frac{15}{20}$
(2) $\displaystyle \frac{18}{30}$
(3) $\displaystyle \frac{84}{132}$
(3)は最大公約数を見つけるのが少し難しいですよね…そういう時はどうするんでしたっけ?
それでは解答です!
分母と分子の数が大きい分数の約分は、一気にやろうとせず、解答例のように小分けにして少しずつ小さくしていくのがポイントです!
通分の練習問題
問題2.次の計算をしなさい。
(1) $\displaystyle \frac{3}{4}-\frac{1}{3}$
(2) $\displaystyle \frac{3}{8}+\frac{5}{6}$
(3) $\displaystyle \frac{3}{10}-\frac{5}{12}+\frac{7}{15}$
またもや(3)が曲者です。しかし $3$ つになっても、やり方は一緒のはず…。
それでは早速解答に移ります!
いかがでしたか?
解答と同じ方法で解くことはできましたか?
(2)は分母を $48$、(3)は分母を $120$ で揃えちゃったなぁ。それだとダメ?
別にダメじゃないけど、数が大きくなるからその分計算が大変になったり約分が新たに必要になったり、手間が増えることがほとんどかな!でも、間違いではないよ!
通分の計算を速くするコツは、先述したとおり
つまり、$2$ つの分母で割り切れる最小の数で分母を揃えることにあります。
この数のことを、数学の用語で「最小公倍数(さいしょうこうばいすう)」と言い、これについては中学および高校で詳しく学びます!
以下、軽く解説をしますね!
約分・通分のコツ(応用編)は「素因数分解」にあり!
たとえば、通分編(2)であれば、
- $6=2×3$
- $8=2×2×2$
というふうに、素数同士の掛け算の形で表す(=素因数分解をする)ことをしておきます。
そして両者を見比べると…$6$ には$2×2=4$、$8$ には $3$ が足りないことがわかります。
すると最小公倍数である $6×4=8×3=24$ がすぐに導き出せるのです…!!
$6$ と $8$ ぐらいであれば簡単ですが、$36$ と $54$ ぐらいの大きな数になると、通分が途端に難しくなります。初級編のコツで対処しきれなくなったら、素因数分解を活用して乗り切りましょう!
素因数分解と最大公約数・最小公倍数に関する詳しい解説記事は、こちらをご覧ください。
通分は単純な計算ミス(例.分子に掛け忘れる)に注意
通分に関しては計算ミスに注意しましょう!
というのも、約分より通分のほうが作業工程が多いので、たとえば(3)で
のように、$\displaystyle \frac{7}{15}→\frac{7}{60}$ と分子に掛け忘れるミスは起こりやすいです。
また、(2)の別解として、
のように、分母を $6×8=48$ に揃えるという方法もありますが、この場合
の約分忘れが起こりやすいです。
以上、通分における注意点 $2$ つをまとめておくと、
となります。
以上、約分と通分に関して必ず押さえておきたい基本でした!ここからはもう少し応用問題を解いていくことにしましょう。
分数のいろんな計算問題
問題3.次の計算をしなさい。
(1) $\displaystyle \frac{6}{9}+\frac{4}{12}$
(2) $\displaystyle \frac{55}{36}-\frac{23}{54}$
(3) $\displaystyle \frac{2}{5}×\frac{25}{4}$
(4) $\displaystyle \frac{9}{7}÷\frac{81}{28}$
$3$ 問目は、分数の足し算引き算掛け算割り算(=四則演算)の問題です!
どの問題で約分・通分を使うべきだろう…。慎重に考えて計算していきたいわね!
ということで、早速解答に移ります!
(1)(2)は今までの応用問題ですね!
(3)の掛け算は、どういう計算をしたの?
分数の掛け算は、「分母は分母、分子は分子」でかければOK!詳しく計算式を書くと、以下のようになるよ。
※ $1$ 行目から $2$ 行目への式変形は、$2$ と $5$ で約分してます。
また(4)の割り算ですが、これは逆数を掛けたものと同じになるんでしたね!
分数の四則演算(+そもそも分数とは何か)については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、興味のある方はぜひこちらもあわせてお読みください。
【応用】分数の大小比較の問題
問題4.次の $2$ つの分数のうち、どちらが大きいか答えなさい。
(1) $\displaystyle \frac{7}{10} \ , \ \frac{17}{25}$
(2) $\displaystyle 8\frac{2}{15} \ , \ \frac{163}{20}$
さあ、ラストの問題は、分数の大小比較です。
今まで学んできた知識を活かせば、応用問題だって解けるはず!
ぜひ $3$ 分ぐらい立ち止まって考えてみてください♪
それでは解答です!
帯分数?仮分数??よく知らない言葉が出てきたわ…。
帯分数とは、整数部分を抜き出した分数のことで、仮分数とは、$1$ より大きい分数のことです!
解答では、帯分数を仮分数に直して大小比較をしていましたが、仮分数を帯分数に直す方法でももちろんOKです。
ようするに、
として、整数部分である $8$ は共通しているので無視し、
- $\displaystyle \frac{2}{15}=\frac{8}{60}$
- $\displaystyle \frac{3}{20}=\frac{9}{60}$
であるから、$\displaystyle \frac{163}{20}$ の方が大きい、という解法です。
帯分数・仮分数に関する詳しい解説も別の記事でまとめておりますので、よろしければこちらもぜひご覧ください^^
仮分数から帯分数に(帯分数から仮分数に)直す問題の解き方って?
帯分数の掛け算ってどうやるの?
これらについて、わかりやすく丁寧に解説します。
「仮分数・帯分数・真分数について上手く説明できない…」と感じている方は必見です。
約分・通分に関するまとめ
さて、最後に本記事のポイントをまとめます。
- 約分・通分の考え方は、円を使うとスムーズに理解できます!
- 約分・通分のコツは、「最大公約数・最小公倍数」にあり!
- 「素因数分解」が理解できると、約分・通分マスターになれます。
- 「分数の四則演算」と「仮分数・帯分数」も、この機会に押さえておきましょう!
約分・通分をマスターすることで、分数の計算ミスが極端に減ります。
計算ミスはとてもつらいものなので、繰り返し繰り返し練習しておきましょうね。
おわりです。
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