こんにちは、ウチダショウマです。
今日は、中学2年生の内容である
「平行四辺形になるための5つの条件」
について、平行四辺形の定義から性質を証明し、そのあとで性質と条件が具体的にどう違うのかを詳しく見ていきましょう。
(特に対角線に関する性質が頻出なので、おさえていただきたいです♪)
平行四辺形の定義とは
まず、「平行四辺形とは何か」口で説明できるでしょうか。
しっかり定義を押さえておきましょう。
平行四辺形…2組の対辺がそれぞれ平行である四角形のこと。
図で表すとこうなります↓↓↓
ただ、ここからわかることはこれだけではありません!
このように定義することで、以下の3つの性質がわかります。
- 2組の対辺の長さが等しい
- 2組の対角の長さが等しい
- 2つの対角線はそれぞれの中点で交わる
これが「性質」です。
でも、皆さん、不思議に思いませんでしたか?
今日の記事を読めば、この疑問がスッキリ解決するかと思います!
そのためにも、まずはこれらの性質をしっかり証明していきましょう。
平行四辺形の性質の証明
早速、図を用いて証明していきましょう。
【証明】
今、AD//BC、AB//DCの平行四辺形ABCDに対角線ACを引いた。(ここがポイント!)
△ABCと△CDAにおいて、
平行線の性質より、錯覚は等しいので、$$∠BAC=∠DCA$$$$∠ACB=∠CAD$$
また、ACは共通である。
よって、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、$$△ABC≡△CDA$$
したがって、AB=CDかつBC=DA。(2組の対辺がそれぞれ等しい。)
また、∠ABC=∠CDAかつ∠BAD=∠DCB。(2組の対角がそれぞれ等しい。)
※∠BAD=∠DCBについては、図を見ればどちらとも「青+オレンジ」になっているため、成り立っていることがわかりますね。
最後に、対角線BDを書き加える。↓↓↓
先の証明で分かったことを用いると、$$△ABO≡△CDO$$が示せる。(ここは自分でやってみよう。)
よって、AO=COかつBO=DO。(2つの対角線はそれぞれの中点で交わる。)
(証明終了)
いかがでしょうか。
これらが「定義から導くことができた」性質ですね!
では、次の章から、お待ちかねの
「条件」
について見ていきましょう。
平行四辺形になるための条件
平行四辺形の成立条件ともいわれる5つの条件ですが、皆さんはきちんと覚えられましたか?早速まとめていきます。
四角形が次のいずれか1つの条件に当てはまるとき、平行四辺形である。
1⃣.2組の対辺がそれぞれ等しい。
2⃣.2組の対角がそれぞれ等しい。
3⃣.2組の対辺がそれぞれ平行である。
4⃣.1組の対辺が平行であり、かつその長さが等しい。
5⃣.2つの対角線がそれぞれの中点で交わる。
ここで、「あれ…?」と思うでしょうか。
なんか、さっき証明した「性質」と似てませんか…?
(しかも平行四辺形の定義である「2組の対辺がそれぞれ平行」が条件の1つになってる…。)
そうです!先ほどは、3⃣の条件(=定義)から1⃣、2⃣、5⃣の条件を導きましたね!
(実は4⃣の性質も自然と導けていました。)
なので、今回は…
1⃣、2⃣、4⃣、5⃣の条件から3⃣の条件(=定義)を導こう!!
こういう発想になるわけですね。
(これが性質と条件の違いです。証明し終わってからまとめたいと思います。)
それでは、実際に証明の方に移っていきましょう。
平行四辺形になるための条件の証明
今回の証明は結構大変です。
だって…
- 1⃣ならば3⃣を示す
- 2⃣ならば3⃣を示す
- 4⃣ならば3⃣を示す
- 5⃣ならば3⃣を示す
この4パターンを行わなければなりませんからね(^_^;)。
一つずつ順にみていきますが、そんなに頑張らないで、休けいしながら見ていきましょうね^^
【証明1】1⃣ならば3⃣を示す。
対角線ACを引く。(ここがポイント!)
△ABCと△CDAにおいて、
仮定より、$AB=CD ……①$
$BC=DA ……②$
また、ACは共通 ……③
①~③より、3組の辺がすべて等しいので、$$△ABC≡△CDA$$
よって、∠ACB=∠CADかつ∠BAC=∠DCA
錯覚が等しいので、AD//BCかつAB//DC
(証明終了)
【証明2】2⃣ならば3⃣を示す。
線分ABを点Aの方へ伸ばす。(ここがポイント!)
四角形の内角の和は360度であるため、$$2∠ABC+2∠BAD=360°$$
よって、$$∠ABC+∠BAD=180°$$
したがって、図のように、同位角が等しくなるため、$$AD//BC$$
線分ADを点Dの方へ伸ばしてあげて、同じように証明していけば$$AB//DC$$が示せる。
(証明終了)
※実際の解答では、「線分ABを点Aの方へ伸ばし、伸ばした線上に点Eをとる」と自分で新たに定義し、同位角が等しいところを式にしましょう。
【証明3】4⃣ならば5⃣を示す。(なぜ5⃣なのかは後で説明します。)
対角線ACとBDの交点をOとする。(ここがポイント!)
△AODと△COBにおいて、
仮定より、AD=CB ……①
錯覚が等しいので、∠OAD=∠OCB ……②
∠ODA=∠OBC ……③
①~③より、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、$$△AOD≡△COB$$
したがって、OA=OCかつOD=OB。(対角線がそれぞれの中点で交わる。)
(証明終了)
【証明4】5⃣ならば1⃣を示す。(なぜ1⃣なのかは後で説明します。)
△AODと△COBにおいて、
仮定より、AO=CO ……①
DO=BO ……②
また、対頂角は等しいので、∠AOD=∠COB ……③
①~③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、$$△AOD≡△COB$$
したがって、AD=CB ……④
△AOBと△CODにおいても同じように証明ができて、$$AOB≡△COD$$
したがって、AB=CD ……⑤
④、⑤より、2組の対辺はそれぞれ等しい。
(証明終了)
今、証明3と証明4で、「4⃣→5⃣→1⃣」が成り立つことがわかりましたね。
そして、一番最初に「1⃣→3⃣」はすでに示しています。
よって、「4⃣→5⃣→1⃣→3⃣」が成立し、すべての条件から3⃣の条件(=定義)を導くことができました。
いかがだったでしょうか。
少し大変でしたかね。。
でも、5つともとても重要な条件ですので、一度は自分の手でしっかりと証明しておいた方が絶対に良いです!そっちの方がよく覚えられますよ^^。
さて、ここで最初の疑問であった「性質と条件の違い」については、なんとなくわかってきたでしょうか。
ということで、まとめます。
性質…定義から導けるもの
条件…定義を導けるもの
性質と条件が一致するとき、それらを「定義」として扱ってもよい!
平行四辺形の性質と条件は一致しているので、つまりこれらの5つの条件はすべて
「定義」
として扱ってもよいですね。
いろいろな平行四辺形
最後に、いろいろな平行四辺形についてまとめます。
代表的な平行四辺形として
- ひし形…4つの辺がすべて等しい
- 長方形…4つの角がすべて等しい(90度である)
- 正方形…ひし形であり、長方形である。
この3つがあります。
これらの関係を図で表すとこうなります。↓↓↓
ひし形も長方形も正方形も、平行四辺形の一種です。
ですから、平行四辺形の性質はすべて満たしてます。
そこに+αで条件がついているということですね。
(ここでも「性質」という言葉と「条件」という言葉が登場しましたね。どういう風に使い分けているか、しっかり押さえておきましょう。)
平行四辺形に関するまとめ
いかがだったでしょうか。
今日は、多くの人がつまづく「平行四辺形になるための5つの条件」について、まずは性質と条件の違いからしっかり抑え、その上で証明してきました。
平行四辺形になるための5つの条件は大切ですので、すべてスラスラ言えるように覚えておきましょう。そして証明の際などに応用しちゃってください!
皆さんのよい学びにつながれば幸いです。
それでは、ウチダショウマでした。
皆さん、よい数学Lifeを!!
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