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フェルマーの最終定理とは?証明の論文の理解のために超わかりやすく解説!

2020 4/04
フェルマーの最終定理とは?証明の論文の理解のために超わかりやすく解説!

こんにちは、ウチダショウマです。

今日は、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう

「フェルマーの最終定理(フェルマーの大定理)」

の証明が載ってある論文を理解するために、その論文が発表されるまでのストーリーなどの背景知識も踏まえながら、圧倒的にわかりやすく解説していきたいと思います!

目次

フェルマーの最終定理とは

いきなりですが定理の紹介です。

(フェルマーの最終定理)
$3$ 以上の自然数 $n$ について、$$x^n+y^n=z^n$$となる自然数の組 $(x,y,z)$ は存在しない。

17世紀、フランスの数学者であるピエール・ド・フェルマーは、この定理を提唱しました。

しかし、フェルマー自身はこの定理の証明を残さず、代わりにこんな言葉を残しています。

この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。
Wikipediaより引用

これ、かっこよすぎないですか!?

ただ、後世に残された我々からすると、「余白見つけてぜひ書いてください」と言いたくなるところですね(笑)。

まあ、この言葉が真か偽かは置いといて、フェルマーの死後、いろんな数学者たちがこの定理の証明に挑戦しましたが、結局誰も証明できずに300年ほどの月日が経ちました。

これがフェルマーの”最終”定理と呼ばれる理由でしょう。

しかし!

時は1995年。

なんとついに、イギリスの数学者であるアンドリュー・ワイルズによって、フェルマーの最終定理が完全に証明されました!

証明の全容を載せたいところですが、この余白はそれを書くには狭すぎるので、今日はフェルマーの最終定理が提唱されてから証明されるまでの300年ものストーリーを、数学的な話も踏まえながら解説していきたいと思います♪

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フェルマーの最終定理の証明【特殊】

さて、まず難解な定理を証明しようとなったとき、最初に出てくる発想が「具象(特殊)化」です。

今回、$n≧3$ という非常に広い範囲なので、まずは $n=3$ や $n=4$ あたりから証明していこう、というのは自然な発想ですよね。

ということで、“個別研究の時代”が幕を開けました。

$n=4$ の準備【無限降下法と原始ピタゴラス数】

実はフェルマーさん、$n=4$ のときだけは証明してたんですね!

しかし、たかが $n=4$ の時でさえ、必要な知識が二つあります。

それが「無限降下法」という証明方法と、「原始ピタゴラス数」を作り出す方法です。

ですので、まずはその二つの知識について解説していきたいと思います。

役に立つ内容であることは間違いないので、ぜひご覧いただければと思います♪

無限降下法

まずは無限降下法についてです!

これは口で説明するより、実際に使って見せた方がわかりやすいかと思いますので、さっそくですが問題を通して解説していきます!

問題. $\sqrt{2}$ が無理数であることを示せ。

$\sqrt{2}$ が無理数であることは「背理法」を用いて証明する方法が一般的です。

今回は、その矛盾を導くために無限降下法を用いて証明してみましょう。

【証明】

$\sqrt{2}$ が無理数でない、つまり有理数であると仮定すると、$$\sqrt{2}=\frac{q}{p}$$と表すことができる。( $p,q$ は自然数)

この式の両辺を2乗して分母を払うと、$$2p^2=q^2$$

よって、$q$ は偶数であることが分かったので、$$q=2Q$$と新たな自然数 $Q$ を用いて表せる。

$q=2Q$ を代入すると、$$2p^2=4Q^2$$

両辺を2で割ると、$$p^2=2Q^2$$

よって、$p$ も偶数であることが分かったので、$$p=2P$$と新たな自然数 $P$ を用いて表せる。

$p=2P$ を代入すると、$$4P^2=2Q^2$$

両辺を $2P^2$ で割ると、$$2=\frac{Q^2}{P^2}$$ここで、$P>0,Q>0$ より、両辺を $\frac{1}{2}$ 乗すると、$$\sqrt{2}=\frac{Q}{P}$$

したがって、$\sqrt{2}$ の分数表示としてより小さな自然数を用いたものが見つかったことになる。

ここで、この操作は無限に繰り返すことができるが、自然数の範囲でそれは不可能なはずである。

よって、仮定が誤りであることが分かったため、背理法により、$\sqrt{2}$ は無理数である。

(証明終了)

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いかがでしょうか。

“無限”に値が小さくなっていく(“降下”していく)から、「無限降下法」なんですね。

見ててお気づきだとは思いますが、この無限降下法、じつは「背理法」の一種であり、「数学的帰納法」の一種でもあります。
※別名「後ろ向き帰納法」なんて呼び方もあります。

⇒参考.「背理法とは?ルート2が無理数である証明問題などの具体例をわかりやすく解説!【排中律】

この無限降下法は、自然数のように、値が大きい分には制限はないけれど、値が小さい分には制限があるものに対して非常に有効です。

「最大はなくても最小は存在するもの」ということですね!

他には、「不定方程式が非自明な解( $=0$ 以外の解)を持たないことの証明」などに用いられることがあります。

Wikipediaのリンクをこちらに貼っておきますので、興味のある方はぜひご覧ください♪

原始ピタゴラス数

まずは「ピタゴラス数とは何か」見ていきます。

(ピタゴラス数)
直角三角形の3辺の長さとなるような3つの整数の組のこと。
つまり、$$a^2+b^2=c^2$$となるような3つの整数の組 $(a,b,c)$ のことを「ピタゴラス数」と呼ぶ。

ピタゴラスと言えば、ピタゴラスの定理(三平方の定理)が有名かと思います。

それ関連の話なのですが、例えば $(3,4,5)$ という3つの整数の組は$$3^2+4^2=5^2$$を満たすので、これはピタゴラス数です。

もう一つ有名なピタゴラス数は $(5,12,13)$ で、$$5^2+12^2=13^2$$が成り立ちますね。

ここで、どうやってピタゴラス数を見つけることができるかを考えます。

今あげた例 $(3,4,5)$ を用いて、たとえばこの3つの整数をすべて2倍したとします。

すると $(6,8,10)$ ですが、これも$$6^2+8^2=10^2$$が成り立つので、ピタゴラス数となります。

このように、一つピタゴラス数を見つけてしまえば、それを2倍や3倍や…倍したものもピタゴラス数となるため、無限に作り出すことができてしまいます。

なぜそうなるかは、三角形の相似を考えればわかりやすいですね。

↓↓↓

さて、するとピタゴラス数についての議論は、それほど意味をなさない気がします。

しかし、最初に考えた $(3,4,5)$ というピタゴラス数がなければ無限に作り出すことが出来ません。

このように、無限に作り出すために、 $(3,4,5)$ や $(5,12,13)$ といったピタゴラス数は必ず必要で、そういうピタゴラス数のことを「原始ピタゴラス数」と呼ぶことにします。

原始ピタゴラス数の特徴は、2倍3倍する前であるため、3つの整数の最大公約数が1(互いに素)であることですね。

さて、ここからは、「原始ピタゴラス数をどうやって見つけていくか」を考えていきます。

しかし、これにはすでに公式が存在するので、それを早速見ていきましょう♪

(原始ピタゴラス数に関する定理)
自然数 $m,n$ を 互いに素で $m>n$ かつ $m-n$ が奇数であるとする。
この時、$$a=m^2-n^2,b=2mn,c=m^2+n^2$$
※この式を①とする。
とすると、$(a,b,c)$ は原始ピタゴラス数になる。

逆に、すべての原始ピタゴラス数 $(a,b,c)$ は①の形であらわあすことが出来る。

これがめちゃくちゃすごい!!

試しに、この公式①に色々代入してみましょう。

$m=2,n=1 ⇒$ 
\begin{align}(a,b,c)&=(2^2-1^2,2×2×1,2^2+1^2)\\&=(3,4,5)\end{align}

$m=3,n=2 ⇒$ 

\begin{align}(a,b,c)&=(3^2-2^2,2×3×2,3^2+2^2)\\&=(5,12,13)\end{align}

$m=4,n=1 ⇒$ 

\begin{align}(a,b,c)&=(4^2-1^2,2×4×1,4^2+1^2)\\&=(15,8,17)\end{align}

$m=4,n=3 ⇒$ 

\begin{align}(a,b,c)&=(4^2-3^2,2×4×3,4^2+3^2)\\&=(7,24,25)\end{align}

※これらの数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

このように、$m-n$ が奇数かつ $m,n$ が互いに素に気をつけながら値を代入していくことで、原始ピタゴラス数も無限に作ることができる!という素晴らしい定理です。

≫参考記事:ピタゴラス数が一発でわかる公式【証明もあわせて解説】

さて、この定理の証明は少々面倒です。

特に、この定理は必要十分条件であるため、必要性と十分性の二つに分けて証明しなければなりません。

よって、ここでは余白が狭すぎるため、参考文献を載せて次に進むことにします。

十分性の証明⇒参考文献1
必要性の証明のヒント⇒参考文献2
ピタゴラス数の性質など⇒Wikipedia

少しだけ、十分性の証明の概要をお話すると、$$a^2+b^2=c^2$$という式の形から、$$a:奇数、b:偶数、c:奇数$$が証明できます。

また、この式を移項などを用いて変形していくと、

\begin{align}b^2&=c^2-a^2\\&=(c+a)(c-a)\\&=4(\frac{c+a}{2})(\frac{c-a}{2})\end{align}

となり、この式を利用すると、$$\frac{c+a}{2},\frac{c-a}{2}がともに平方数$$であることが示せます。
※$b=2$ ではないことだけ確認してから、背理法で示すことが出来ます。

$n=4$ の証明【フェルマー】

さて、いよいよ準備が終わりました!

やっとフェルマーの定理の $n=4$ バージョンを証明していきましょう^^

↓↓↓

【 $n=4$ の証明】

$a^4+b^4=c^4$ を満たす自然数の組 $(a,,b,c)$ が存在しないことは、$$x^4+y^4=z^2$$を満たす自然数の組 $(x,y,z)$ が存在しないことを示せば十分である。(∵ $a=x,b=y,c^2=z$ とおけばよい。)

ここで、$x^4+y^4=z^2$ を満たす自然数の組 $(x,y,z)$ が存在すると仮定し、そのような $(x,y,z)$ の組の中で $z$ が最小である組について考える。

$z$ が最小なので、$(x^2,y^2,z)$ は原始ピタゴラス数、つまり最大公約数が $1$ となる。

よって、原始ピタゴラス数に関する定理を用いて、$$x^2=m^2-n^2,y^2=2mn,z=m^2+n^2$$と互いに素な自然数 $m>n$( $m-n$ は奇数)を用いて表すことが出来る。

ここで、$x^2=m^2-n^2$ より、$$x^2+n^2=m^2$$と変形することにより、$(x,n,m)$ は原始ピタゴラス数であることが分かる。
(∵もし原始ピタゴラス数でないとすると、すべて $1$ より大きいある数 $d$ の倍数であるので、$(x^2,m^2,n)$ も $d$ の倍数となってしまう。)

よって同様に、$$x=p^2-q^2,n=2pq,m=p^2+q^2$$と互いに素な自然数 $p>q$( $p-q$ は奇数)を用いて表すことが出来る。

以上より、$$y^2=2mn=4mpq$$

$m,p,q$ はどの二つをとってもそれぞれ互いに素であるため、ピタゴラス数の証明の時を思い出すと、すべて平方数になる。

したがって、$$m=a^2,p=b^2,q=c^2$$と表せる。

$m=p^2+q^2$ に代入し両辺を入れ替えると、$$b^4+c^4=a^2$$

よって、新たな解 $(b,c,a)$ が得られたが、$$a≦m≦m^2<m^2+n^2=z$$であるため、$z$ の最小性に矛盾する。(ここで無限降下法を用いて、「この操作は無限に繰り返せるが、自然数の範囲ではそれは不可能であるため矛盾」でもOK)

したがって、背理法により、最初の仮定が誤りであることが示せた。

(証明終了)

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いかがでしょうか。

きちんと下準備を行っても中々難しいですよね!

$n=3$ $n=5$ $n=7$ の証明

さて、$n=4$ のフェルマーの最終定理の証明でも十分大変であることは感じられたかと思います。

ここで、歴史をたどっていくと、1760年にオイラーが $n=3$ について証明し、1825年にディリクレとルジャンドルが $n=5$ について完全な証明を与え、1839~1840年にかけてラメとルベーグが $n=7$ について証明しました。

ここで、$n=7$ の証明があまりに難解であったため、個別に研究していくのはこの先厳しい、という考えに至りました。

つまり、個別研究の時代の幕は閉じたわけです。

さて、新しい研究の時代は幕を開けましたが、そう簡単に研究は進みませんでした。

しかし、時は20世紀。

なんと、ある日本人二人の研究結果が、フェルマーの最終定理の証明に大きく貢献したのです!

それも、方程式を扱う代数学的アプローチではなく、なんと幾何学的アプローチがフェルマーの最終定理に決着をつけたのです!

フェルマーの最終定理の完全な証明

ここでは楽しんでいただくために、証明の流れのみに注目し解説していきます。

まず、「楕円曲線」と呼ばれるグラフがあります。

この楕円曲線は、実数 $a$、$b$、$c$ を用いて$$y^2=x^3+ax^2+bx+c$$と表されるものを指します。

さて、ここで「谷山-志村の予想」が登場します!

(谷山-志村の予想)
すべての楕円曲線は、モジュラーである。
【当時は未解決】

さて、この予想こそ、フェルマーの最終定理を証明する決め手となるのですが、いったいどういうことなんでしょうか。
※モジュラーについては飛ばします。ある一種の性質だとお考え下さい。

まず、「フェルマーの最終定理は間違っている」と仮定します。

すると、$$a^n+b^n=c^n$$を満たす自然数の組 $(a,b,c,n)$ が存在することになります。

ここで、楕円曲線$$y^2=x(x-a^n)(x+b^n)$$について考えたのが、数学者フライであるため、この曲線のことを「フライ曲線」と呼びます。

また、このようにして作ったフライ曲線は、どうやら「モジュラーではない」らしいのです。

ここまでの話をまとめます。

↓↓↓

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谷山-志村予想を証明できれば、命題の対偶も真となるから、「モジュラーではない曲線は楕円曲線ではない。」となります。

よって、これはモジュラーではない楕円曲線(フライ曲線)が作れていることと矛盾しているため、仮定が誤りであると結論づけられ、背理法によりフェルマーの最終定理が正しいことが証明できるわけです!

すべては、「谷山-志村予想」を証明することに帰着したわけですね。

ただ、これを証明するのがまたまた難しい!

ということで、1995年アンドリュー・ワイルズさんという方が、「フライ曲線は半安定である」という性質に目をつけ、「すべての半安定の楕円曲線はモジュラーである。」という、谷山-志村予想より弱い定理ではありますが、これを証明すればフェルマーの最終定理を示すには十分であることに気が付き、完璧な証明がなされました。
※ちなみに、今では谷山-志村予想も真であることが証明されています。

ABC予想とフェルマーの最終定理

耳にされた方も多いと思いますが、2012年京都大学の望月新一教授がabc予想の証明の論文をネット上に公開し話題となりました。

2019年6月現在においても、証明が正しいものか未だに査読中であるため、まだ何とも言えませんが、これが正しいと認められれば、フェルマーの最終定理の証明に別解を与えることが叶います。

abc予想を証明することで、フェルマーの最終定理の $n≧6$ における場合を示すことになります。

$n=3,4,5$ については個別研究の時代にすでに証明が済んでいますので、これですべての $n$ についてフェルマーの最終定理が正しいことが示されます。

300年という時を経てもなお、まだまだ進歩していく、というわけですね!!

追記:ABC予想が証明されました!!

2020年4月3日、ついにABC予想が証明されました!

数学の証明は時間がかかると言われておりますが、なんと月日にして $8$ 年間…。

本当に大変なんですね…(笑)

とにかく、京大の望月教授は数学界に革命をもたらしました!

だってこれからは、「abc予想よりフェルマーの最終定理は正しい」と言えばお終いですからね。

フェルマーの最終定理、これにて完結です!

フェルマーの最終定理に関するまとめ

いかがだったでしょうか。

300年もの間、多くの数学者たちを悩ませ続け、現在もなお進展を見せている「フェルマーの最終定理」。

しかしこれは何ら不思議なことではありません!

我々が今高校生で勉強する「微分積分」だって、16世紀ごろまではそれぞれ独立して発展している分野でした。

それらが結びついて「微分積分学」と呼ばれる学問が出来上がったのは、つい最近の出来事です。

今当たり前のことも、大昔の人々が真剣に悩み考え抜いてくれたからこそ存在する礎なのです。

我々はそれに日々感謝した上で、自分のやりたいことをするべきだと僕は思います。

他の数学雑学に関する記事も充実しております!少しでも興味を抱いた方はぜひこちらも合わせてご覧ください♪

⇒⇒⇒「コラム」一覧

以上、ウチダショウマでした。
それでは皆さん、よい数学Lifeを!!

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