こんにちは、ウチダです。
突然ですが、皆さんは「超越数(ちょうえつすう)」という数をご存知でしょうか?
代数的数(だいすうてきすう)と対になっている言葉で、以下のように定義されます。
代数的数 … 整数係数の方程式の解となり得る数
超越数 … 整数係数の方程式の解となり得ない数
ちょっと難しいから、わかりやすくかみ砕いて教えてほしいです。
ということで本記事では、「超越数とは何か」やネイピア数 $e$ などが超越数であることの証明、また代表的な研究である「円積問題」について
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
超越数とは?【まずは一覧から】
まずは、先程の定義の意味を、簡単な具体例を通して理解していきましょう。
例題1.次の方程式をそれぞれ解きなさい。
(1) $2x-3=0$
(2) $x^2+3x+1=0$
(3) $x^2+1=0$
これらの方程式は、すべて整数係数の方程式です。
よって、これらの解は”代数的数”となりますから、まずはどういうものが代数的数になるかをチェックしましょう。
これらの方程式を解いてみた結果、
- (1)より、有理数はすべて代数的数。
- (2)より、$n$ 乗根(たとえば√など)もすべて代数的数。
- (3)より、$2i$、$3i$ などの虚数もすべて代数的数。
以上の事実がイメージできると思います。
ではここからが本題。
「超越数って本当にあるの?」と思っている方向けに、いきなりですが一覧をお見せしたいと思います。
超越数の一覧をどうぞ!【実は代数的数よりも圧倒的に数が多い】
$π$ | $e$ | $π+e^π$ |
$πe^π$ | $2^{\sqrt{2}}$ | $i^i$ |
$\displaystyle \sum_{k=0}^∞ \frac{1}{2^{2^k}+1}$ | $e+3$ | …etc!! |
ということで、円周率 $π$ やネイピア数 $e$ が絡むと、“結構な確率”で超越数になります。
「結構な確率」ってどういうことですか?
実は「まだ超越数だとわかっていない数」というのが山のようにあるのです…!たとえば $e+π$ や $eπ$ などが挙げられます。$πe^π$ は証明されているのに、不思議ですよね汗。
ではいよいよ、ネイピア数 $e$ が超越数であることの証明を、わかりやすく解説していきます。
※証明の参考文献はこちら
ネイピア数eが超越数であることの証明3STEP
STEP1:積分を定義しよう
まず初めに、こんな積分を定義します。
$$I(t)=\int_{0}^{1}te^{t-tx}f(tx)dx$$
…ん?この積分はどっから出てきたの?
最終的に矛盾を示すために用いる積分なので、この時点ではあまり意味はありませんね。汗
この定義した積分ですが、部分積分を行うことでまあまあ簡単な式になります。
その簡単な式を用いて、次のステップに移りましょう。
STEP2:背理法を用いて矛盾を示す
代数的数の証明は、「満たす整数係数の方程式が $1$ つでもあればOK」ですが、超越数は「満たすものが $1$ つもない」ことを示さなければいけません。
こういう証明は大変なので、証明方法の王道である”背理法”を用いることとします。
よって、まずネイピア数 $e$ が代数的数であると仮定します。
すると、$$a_0+a_1e+a_2e^2+…+a_ne^n=0$$
といった代数方程式が一つ作れるはずです( $a_i$ はすべて整数)
ここで、$$f(x)=x^{p-1}(x-1)^p(x-2)^p…(x-n)^p$$
$$J=a_0I(0)+a_1I(1)+…+a_nI(n)$$
と、新たな関数と定数を定義します。
あとは、ある性質を用いて矛盾を示す。
という流れになるので、最後のステップに移りましょう。
STEP3:階乗の方が指数関数より速く大きくなることを使う
$$\lim_{n\to\infty}\frac{m^n}{n!}=0$$
が成り立つ。
ここは高校数学の範囲なので、シンプルに証明したいと思います。
よって、STEP2で定義した$f(x)=x^{p-1}(x-1)^p(x-2)^p…(x-n)^p$ の $p$ を十分大きく取ってあげると、上手く矛盾が導けます。
したがって、$e$ は超越数であることが示せるんですね。
本記事では流れのみ押さえました。ただ理論的には高校数学の範囲で証明が可能だということですね。
より詳細な証明はこちらからどうぞ
円周率πやe^πが超越数である証明
さて、ネイピア数 $e$ 以外にも、円周率 $π$ や $e^π$ が超越数であることがわかってきます。
その際必要になってくる定理があるので、まずはそれらから紹介します。
本記事では、これら $2$ つの定理を認めて、円周率 $π$ や $e^π$ が超越数であることを示してみます。
超越数の研究の代表例【円積問題】
さて、最後に「円積問題(えんせきもんだい)」 について解説します。。
ようするに、
という問題です。
この問題は、古代ギリシャの時代から長年人々を悩ませてきました。
しかし、$19$ 世紀末頃に「 $π$ が超越数である」ことが示されたことにより、この問題に結論が出たのです!
まとめ:超越数は最先端の研究!数学の奥深さを知ろう
最後に、本記事のポイントをまとめます。
- 「ネイピア数e」や「円周率π」は超越数の代表例
- 「部分積分」や「背理法」、また「階乗と指数関数の関係」を用いることで、ネイピア数eが超越数であることは示せる。
- 実はまだ超越数だとわかっていない数はたくさんあり、最先端の研究である。
超越数という神秘な数に触れて、数学の奥深さを実感しましょう!
おわりです。
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コメント一覧 (9件)
わからない
難しいですよね(汗)
√6〇÷□如来蔵
0菩薩ヒフミヨ授け明王に
(明王はヒフミヨ剣守ります)
離散式0の菩薩で1を生む
(菩薩1+×を解き明かす)
1菩薩方程式の1創る
(量化ってヒフミヨ創る1の1)
足され1掛けて1生る量化式
【存在量化確度方程式】
【存在量化創発摂動方程式】
0と1連続離散双対す
(双対の立役者とは∞なり)
ヒフミヨは△回し▢なる
ヒフミヨはπと1とがお友達
〇□なぞり逢にてお友達
√6〇÷□如来蔵
レンマ学直交補にて次元観る
4冊の絵本から自然数の創生過程を発掘調査する。
「こんとん」夢枕獏文 松本大洋絵
「みどりのトカゲとあかいながしかく」スティーブ・アントニー作・絵 吉上恭太訳 「ゆうかんな3びきとこわいこわいかいぶつ」スティーブ・アントニー作・絵 野口絵美訳
[もろはのつるぎ](有田川町ウエブライブラリー)
「四則演算」をふくめ、『HHNI眺望』で観る自然数は、自然数のシェーマ(符号)として『自然比矩形』の[刀形]のヒゲ付きで表記したい。
「論理哲学論考」ウィトゲンシュタイン著の
≪ 四・〇四一一 数学的多様性 ≫を[内在]するモノとして導入できないだろうか・・・
これは、離散と連続の双対性の
『離散的有理数の組み合わせによる多変数創発関数 命題Ⅱ』の帰結による、次元間の位相(アスペクト)をも包括した[眺望]となっているようだ・・・
『HHNI眺望』で観る自然数の絵本
有田川町電子書籍 「もろはのつるぎ」
御講評をお願い致します。
時間軸の数直線は、『幻のマスキングテープ』に生る。
「かおすのくにのかたなかーど」から
令和2年5月23日~6月7日 の間だけ
射水市大島絵本館で
≪…[カオス表示]の[因数積]を[内在](帯同)させる⦅自然数⦆を[群]…≫は、『創発釣り鐘体』・『尖塔コニーデ体』で[自然数のエンテレケイア]と。
数直線のイメージは、『自然比矩形』の模様の組み合わせパターンの繰り返しのようだ。
この幻のマスキングテープが手に入らないかなぁ~
『創発釣り鐘体』・『尖塔コニーデ体』((eー2)π 2.25・・・ ) を
『自然数の日』にしよう・・・
≪…『自然比矩形』…≫は、[絵本]「もろはのつるぎ」で・・・
≪…超越数…整数係数の方程式の解となり得ない数…≫を、
[認知科学]的に『身体がする数学』として,[図形]と[十進法の基での桁表示]について観て観る。
『自然比矩形』と[円]と≪…数字…≫との繋がりを[数学思考]すると、静的には[点・線・面]が[渾然一体]な[入れ子構造]になり、動的には[点・線・面]が[渾然一体]な[入れ子構造]と看做すことが出来よう。
これは、ライプニッツの理性に基づく自然と恩寵の原理の⦅モナド⦆に[同定]できよう[モノ]と観る。
なぜなら、[点・線・面]で獲得する[数学概念]は、[如何なる大きさの思考平面]においても[普遍]であるからだ。
[点・線・面]で獲得する[数学概念]は、西洋数学の成果の6つのシェーマ(符号)において『自然比矩形』では[1 0 e i ∞]を生み、[円]では[1 0 π i ∞] を生み出していると観る。
≪…超越数…≫(e π)は、十進法の基での桁表示で発見(発明)し・された言葉(数)で⦅位相化⦆(アスペクト)された[モノ]と観え、[コスモス表示]の⦅自然数⦆を授け[カオス表示]の[因数積]を[内在](帯同)させる⦅自然数⦆を[群]へと導いていると観る。