こんにちは、ウチダです。
今日は、小学校高学年で習う関門
「分数」
について、考え方と計算のやり方(足し算引き算掛け算割り算)を詳しく解説していきます!
分数とは比である
おっと、いきなりスゴイことを言っていますね。
ですが、この考え方こそ最重要!!
これがわかっていない人が多いです。これを理解していないと分数の計算の意味を理解できません。

では理解するために、比の考え方から復習してみましょう。
比とは何か
例えば$$1:2$$という比は、「りんご $1$ 個に対してバナナ $2$ 個という割合(わりあい)」ですよね!(りんごとかバナナとかは何でもいいです)
では、この右側の数字を $4$ に変えたらどうなりますか…?
$$1:2=2:4$$ですよね!(りんご $2$ 個に対してバナナ $4$ 個)
では次に、この右側の数字を1に変えてみましょう。
すると、$$1:2=?:1$$と式が立ちます。
この「?」に当てはまる数は、計算式で表すと、$$1÷2$$ですよね。(比は同じものをかけたり割ったりしてもよいのでしたね。)
ここで、$$1÷2=\frac{1}{2}$$と表すことにしたよ、というのが分数の正体です!



小数で表すと $0.5$ なので、$\displaystyle \frac{1}{2}=0.5$が成り立ちますね。
まとめると…
になります。
では、分数を習う大きなメリットを次の章で見ていきましょう。
分数を習うメリット
【メリットその1:小数よりも簡単に書ける】
例えば、$$1:3$$という比の右側の数字を $1$ に変えてみると、少数では$$1:3=0.3333…:1$$となってしまい、書くのに一苦労しますよね。
ですが、分数を用いることで、$$1:3=\frac{1}{3}:1$$と簡単に書くことができます。
よって、今後は小数をなるべく使わず、$0.3333…=\frac{1}{3}$と書くようになるのです。
【メリットその2:計算を行う上で扱いやすい】
皆さん、筆算は好きですか?



僕は正直言ってあまり好きではありません。(笑)
小数の足し算引き算掛け算割り算だと、筆算を使うことがよくあります。
例えば、$$0.75×0.15$$という計算、やりたくないですよね…
ですが、この計算も分数で行うことで、$$0.75×0.15=\frac{3}{4}×\frac{3}{20}=\frac{9}{80}$$このように簡単に行うことができます!
ここでこういう疑問が生まれると思います。
この理由として、さっき見てきた「比の考え方」が登場してくるわけです!
次の章で詳しく見ていきましょう。
分数の約分や通分は比を用いている
例えば、$$1:2=2:4=3:6$$ですよね。
この比を利用すればこんなことが言えるわけです。$$\frac{1}{2}=\frac{2}{4}=\frac{3}{6}$$
何故かというと、それぞれの比の右側の数字を $1$ にしてみればいいんですよね。
試しに真ん中の $2:4$ でやってみると、$$2:4=?:1$$すると、$$?=2÷4=\frac{2}{4}$$となるわけです。
実は今行ったことが、
- 約分
- 通分
この $2$ つなんですね!!


約分・通分のコツは”素因数分解”にあり?
分数の大小比較の問題が解けるようになろう。
これらについて、わかりやすく丁寧に解説します。
「約分・通分のミスが多くて困っている…」と感じている方は必見です。
約分するときは「分母と分子を同じ数で割る」、通分するときは「分母と分子を同じ数でかける」。
なぜこれらができるかというのは…
「比でできるのだから比をもとに作った数である分数でもできるよね。」
そういう考え方なんですね!
まとめると…
→約分や通分ができる!
ということになります。
では、次の章から具体的な計算について見ていきましょう。
分数の計算のやり方
計算には、
- 足し算(たしざん)
- 引き算(ひきざん)
- 掛け算(かけざん)
- 割り算(わりざん)
この4つがありましたね。
ここまで分数についてまとめてきましたが、分数について考えるときは必ず比の考え方を利用していました。
ここでも比を用いて考えていきたいのですが…
比のままだと計算ができません!
例えば、$$1:2+2:3$$という計算は…できませんね、、汗
このように、比のままの形だと考えることには向いているけど計算には向いていないのですね。



このことからも分数を使うメリットは感じられるかと思います^^
では、足し算から順に見ていきましょう。
分数の足し算
問題1.$\displaystyle \frac{1}{3}+\frac{1}{2}$ を計算せよ。
これを小数で計算すると、$$\frac{1}{3}+\frac{1}{2}=0.3333…+0.5=0.83333…$$となってしまい、ずっと続く数になるので、なんか気持ち悪いですよね。。
では分数で計算していきましょう!
【間違った解答→正しい解答の考え方】
足し算だから、きっとこうすればいいはず!$$\frac{1}{3}+\frac{1}{2}=\frac{2}{5}$$



…なんかおかしいですね。
実際、$$\frac{2}{5}=2÷5=0.4$$なので、小数で計算したときと値が変わってしまっています。なのでこれでは正しくないということがわかりました。
ではどうすればいいのか…
ここで「分数とは比である」という言葉を思い出しましょう。
今、$\displaystyle \frac{1}{3}$というのは、比で考えれば $1:3=?:1$ の?部分でした。
これは、「りんご $1$ 個に対してバナナ $3$ 個という割合」のことでした。
ではこれを$$1:3=2:6$$としておきましょう。
すると、「りんご $2$ 個に対してバナナ $6$ 個という割合」になりますね。
次に、$\displaystyle \frac{1}{2}$ についても同じように、$$1:2=3:6$$とすると、「りんご $3$ 個に対してバナナ $6$ 個という割合」になります。
ここで、「バナナの個数が $6$ 個」というふうに、二つとも同じになりました!!
つまり、分数を足すという行為は、
※この数式は横にスクロールできます。(スマホで見てる方のみ。)
というふうに考えることができると思います。
よって、計算方法をまとめると、$$\frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{2}{6}+\frac{3}{6}=\frac{5}{6}$$
となり、$\displaystyle \frac{5}{6}=5÷6=0.8333…$なので、これで小数で計算したときの結果と同じになりました。
(解答終了)
(補足)
「りんご~個に対して」が途中から「バナナ~個に対して」と基準が変わりました。
これは、比で考えるときはどちらか基準でも変わりはなかったのですが、分数は「数」なので、どちらを基準にするか決める必要があります。
これは僕のやり方ですが、この記事では「右側の数を $1$ として」というふうに、右側を基準にしていることがわかると思います。
そしてその右側の数は分母に位置していますね。
つまり、基準=右側=分母となるので、分母をそろえましょう。
こういう流れになります。
分数の引き算
問題2.$\displaystyle \frac{1}{2}-\frac{1}{3}$ を計算せよ。
引き算は足し算の逆のことをおこなっているだけです。(ここがポイント!)
なので、足し算のときと同じように、「基準を合わせる(つまり分母をそろえる=通分)」をしていきましょう。$$\frac{1}{2}-\frac{1}{3}=\frac{3}{6}-\frac{2}{6}=\frac{1}{6}$$
この計算を小数でやろうと思ったら、$$\frac{1}{2}-\frac{1}{3}=0.5-0.3333…$$となってしまうので、なんか大変そうですよね。。
いったんまとめておくと、
(基準をそろえて考えなければいけないため)
では掛け算と割り算にうつりましょう。
分数の掛け算
問題3.$\displaystyle \frac{1}{2}×\frac{1}{3}$ を計算せよ。
さて、これを小数で計算しようと思ったら、$$\frac{1}{2}×\frac{1}{3}=0.5×0.3333…$$となってしまい大変です。
なので分数で計算していきましょう。
ここで、比の考えをもう一度おさらいしておくと、同じ数をかけたり割ったりすることはOKでしたね。
同じ数をかけたり割ったりするというのは、分数で言えば、「 $\displaystyle \frac{2}{2}$をかける」や「 $\displaystyle \frac{3}{3}$で割る」という計算に当たります。
これは、$$\frac{2}{2}=2÷2=1$$ですし、$$\frac{3}{3}=3÷3=1$$なので、結局比は何も変わってないんですよね。
ですが、この問題は、$\displaystyle \frac{1}{3}$をかけてますよね。
$\displaystyle \frac{1}{3}$という数はもちろん $1$ ではないので、これは「比を変える」ということを意味しているのです!!(ここがポイント!)
では、具体的に計算はどうするかというと…$$\frac{1}{2}×\frac{1}{3}=\frac{1×1}{2×3}=\frac{1}{6}$$となります!



つまり、「分母は分母で」「分子は分子で」それぞれ計算すればOKということです。
分数の割り算
問題4.$\displaystyle \frac{1}{2}÷\frac{1}{3}$ を計算せよ。
引き算のとき、足し算の逆だから~と考えました。
ここでも一緒です!
割り算というのは、掛け算の逆のことをおこなっているだけです。(ここがポイント!)
なので、計算方法も全く同じで、「分母は分母で」「分子は分子で」計算すればOKです。
実際にやっていきましょう。$$\frac{1}{2}÷\frac{1}{3}=\frac{1÷1}{2÷3}$$
…さて、困りましたね。
分子は$1÷1=1$なのでいいですが、分母の$2÷3$が計算できません!!
こういうときに使えるテクニックはこちらです!↓
$$\frac{1÷1}{2÷3}=\frac{1}{\frac{2}{3}}=\frac{1×3}{\frac{2}{3}×3}=\frac{3}{2}$$



その分母を約分するために、分母と分子それぞれに3をかけました。
こういうふうに計算してもいいのですが…
最初に言いました。割り算は掛け算の逆だと。
掛け算の世界において基準となるのは、「 $1$ 」という数です。
$1$ を何度かけても値は変わらないですよね。
よって、$$\frac{1}{3}×\frac{3}{1}=1$$
と、逆数をかけてあげれば $1$ になるので、
分数の割り算=逆数の掛け算
となります!(ここもポイント!)
よって、今回の問題は、$$\frac{1}{2}÷\frac{1}{3}=\frac{1}{2}×\frac{3}{1}=\frac{3}{2}$$と計算しても正解です!



分数の割り算は、逆数をかけてあげるほうが一般的ですね。
分数の掛け算割り算についてまとめると
(ただし割り算のときは、逆数をかけてあげた方が良いときが多い。)
ただ単に、「分数の割り算は逆数をかける」と覚えるのではなく、仕組みを理解して使えるようになりましょう♪
分数に関するまとめ
いかがだったでしょうか。
今日はまず「比の考え方」から入り、それを応用して「分数」という数を作りました。
分数を自由に使えるようになると、計算の幅がグッと広がりますので、ぜひ苦手意識をもたずに、分数を楽しんじゃってください!
「四則演算(足し算引き算掛け算割り算)についてもっと理解を深めたい!」という方はこちら


おわりです。
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コメント一覧 (2件)
30分の1=5分の1-6分の1と考えますが、3分の1-10分の1と考えてはいけないですよね?
この理由を知りたいです
やまざき のぶまさ様
コメントいただきありがとうございます!
本記事とは関係ないですが、1/a(a+1)=1/a-1/(a+1)という関係式が成り立ちます。
これは右辺を通分してあげれば左辺になることが簡単に確認できます。
ようは30=5×6であり、5と6は連続する2つの自然数であるため以上の変形が可能です。
しかし3と10は連続する2つの自然数ではないため、1/30=1/3-1/10とはなりません。
実は1/a(a+k)=1/k(1/a-1/(a+k))という式が成り立つので、10-3=7より
1/30=1/7(1/3-1/10)は成り立ちます。
実際に計算して確認してみてください。