こんにちは、ウチダです。
さて、小学校の算数で習うところで、多くの方が苦手意識を持つのが「単位の変換(たんいのへんかん)」です。
たとえばこんな問題。
例題.$12000$(mm)を単位「m(メートル)」を使って表しなさい。
答えは… $12$(m)です!即答できましたか?
ちょっと考えないと解けないなぁ。もっと難しくなると一気に訳わからなくなってしまいます…
中学受験でも単位の変換はよく問われるから、今のうちにマスターしておきたいです!
ということで本記事では、単位の変換をマスターするためによく出る問題3選を通して
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
単位の変換でまず押さえるべきポイント!【これだけは暗記しよう】
実は単位には、「基本単位」というものがあります。
例を挙げると…
- 長さの基本単位 → m(メートル)
- 質量の基本単位 → kg(キログラム)
- 時間の基本単位 → s(秒)
これらは、我が国”日本”における決まりごとです。
ちなみに $1$ mの定義は、「北極から赤道までの子午線の $1000$ 万分の $1$ 」です。この定義から、地球の $1$ 周が $40,000$ kmとわかります!
さて、では長さの基本単位”m”を例にとって、皆さんが知っているであろう色んな単位を作り出してみます!
・”m”の前に”c”を付けてみると… cm(センチメートル)
・”m”の前に”m”を付けてみると… mm(ミリメートル)
・”m”の前に”k”を付けてみると… km(キロメートル)
要はですね。
単位というのは、「接頭辞(せっとうじ)+基本単位」でできている、ということになります!
ここまで理解をしておけば、あとは代表的な接頭辞の意味を覚えておくだけで、単位マスターになることができるわけです。
代表的な接頭辞6つ
接頭辞は、$10$ 倍ごとに $1$ つあります。
押さえておくべき接頭辞として、ここでは $1000$ 倍~ $\displaystyle \frac{1}{1000}$ を表すもの、計6つを表にまとめました。
記号 | 読み方 | 意味(○倍) |
---|---|---|
k | キロ | $1000$ 倍 |
h | ヘクト | $100$ 倍 |
da | デカ | $10$ 倍 |
d | デシ | $\displaystyle \frac{1}{10}$ 倍 |
c | センチ | $\displaystyle \frac{1}{100}$ 倍 |
m | ミリ | $\displaystyle \frac{1}{1000}$ 倍 |
他の有名どころといえば、大きくなる方は
・M(メガ)… $1000000$($10^6$)倍
・G(ギガ)… $1000000000$($10^9$)倍
・T(テラ)… $1000000000000$($10^{12}$)倍
・P(ペタ)… $1000000000000000$($10^{15}$)倍
小さくなる方は
・μ(マイクロ)… $\displaystyle \frac{1}{1000000}$($10^{-6}$) 倍
・n(ナノ)… $\displaystyle \frac{1}{1000000000}$($10^{-9}$) 倍
・p(ピコ)… $\displaystyle \frac{1}{1000000000000}$($10^{-12}$) 倍
こんな感じでしょうか。
最後に一つだけややこしいことを言います。長さの基本単位は「m(メートル)」で接頭辞がないのですが、重さの基本単位は「kg(キログラム)」で接頭辞が元から付いています。なので、先程「単位は接頭辞+基本単位でできている」と表しましたが、厳密にはそうではない場合もあります。ちなみに、「km(キロメートル)」のような単位のことを”補助計量単位(ほじょけいりょうたんい)”と呼ぶこともあります。
とにかく、接頭辞の意味を覚えておくことが重要です。
デシリットルとか、センチメートルとか、ヘクトパスカルとか。そういう単位の意味が分かってきましたね!
単位の変換の問題はこう解こう!【問題3選で解説】
では、中学受験でよく狙われやすい「単位の変換の問題」を、厳選して $3$ つ解いてみましょう!
先にお伝えしておきますが、単位の変換の問題のポイントである
これを守れば、さほど難しい問題ではありません。
単位の変換は計算ミスが非常に多い分野なので、ぜひ基本に忠実に問題を解いてみてくださいね!
ミリセンチキロの単位変換の問題
問題1.$12.3$ cm の紐Aと $1.5$ m の紐Bと $217$ mm の紐Cを、端と端をぴったりくっつけて1本の大きな紐Dにした。この時、紐Dの長さが何 cm であるか、求めなさい。
まあ、つまり「 $12$ cm + $1.5$ m + $217$ mm 」の計算をしなさい、ということなんですが。笑
このように、単位がバラバラなときは、計算しやすい単位に揃えることが重要になってきます!
計算ミスはなかったですかね。笑
慣れないうちは、「代表的な接頭辞6つ」の章をよく参照して、mm,cm,m,kmの関係を確認していきましょう!
小数点の計算が慣れていない方は、「一番小さい単位(今回の場合mm)」で揃えるのがおすすめです!慣れてきた方は解答例その2のように、一発で計算できるといいですね。
面積の単位変換の問題
問題2.$1 \ \mathrm{m^2}$ は何 $\mathrm{cm^2}$ か、求めなさい。
さて、お次は面積を表す単位を変換してみましょう!
ここでポイントとなるのが、$\mathrm{m^2}$ や $\mathrm{cm^2}$ の右上に付いている「 $2$ 」という数字です。
この意味をしっかり考えれば、誰でも単位変換をマスターできますよ。
いかがでしょうか。
つまり、面積の単位 $\mathrm{m^2}$ というのは…
こういうことになります。
一つ補足すると、面積を表す単位で「 a(アール)」というものがあり、 $1 \ \mathrm{a}=100 \ \mathrm{m^2}$ を表します。これだけは暗記しておく必要がありますね。
皆さんも聞きなじみがあるであろう「ha(ヘクタール)」という単位も面積を表します。
ただ、これの意味が $1 \ \mathrm{ha}=10000 \ \mathrm{m^2}$ であることは、接頭辞を学習した皆さんであれば、きっと分かるはずです!
体積の単位変換の問題
問題3.$1 \ \mathrm{m^3}$ は何 $\mathrm{cm^3}$ か、求めなさい。
さあ、実は面積の単位のからくりが分かってしまえば、体積の単位変換にも応用ができます。
右上に付いている「 $3$ 」という数字の意味が、皆さんだったらもう分かるはずです。
では早速解答に参りましょう!
機械的に $1 \ \mathrm{m^3}=1000000 \ \mathrm{cm^3}$ と覚えるのは大変ですが、意味を理解していれば大したことはないですね!
一応ポイントをまとめると、体積の単位 $\mathrm{m^3}$ というのは…
こういうことになります。
またまた補足として、体積の基本単位は「 L(リットル)」であり、$1 \ \mathrm{L}=1000 \ \mathrm{cm^2}$ です。つまり、$1$ 辺が $10 \ \mathrm{cm}$ の立方体の体積ということになります。
【コラム】基本単位・補助計量単位・組立単位とは?
では最後にコラムとして、先程から度々登場している
- 基本単位
- 補助計量単位
- 組立単位
以上 $3$ つの違いについて、詳しく解説したいと思います。
まず、基本単位を一覧にしてまとめてみましたので御覧ください。
量 | 基本単位の名称 | 記号 |
---|---|---|
時間 | 秒 | s |
長さ | メートル | m |
質量 | キログラム | kg |
電流 | アンペア | A |
熱力学温度 | ケルビン | K |
物質量 | モル | mol |
光度 | カンデラ | cd |
はい、これら $7$ つが基本単位であり、これ以外には存在しません!!
この事実は国際的に決められていることです。まずはこの事実を呑み込むことからスタートします。笑
ただ…いくらなんでも単位が $7$ つしかなかったら、困りますよね。
ということで、たとえば長さだったら「cm」「mm」「km」などなど、温度であっても「℃」という単位もございます。
これらのものは、基本単位を手助けしている単位、と捉えることができるので、”補助計量単位”という呼び方をされます。
基本単位と補助計量単位はわかったよ!じゃあ、あともう一つの「組立単位(くみたてたんい)」はどういう意味なの?
組立単位は、基本単位の組み合わせで成り立っているもの!
組立単位の有名どころを、これまた表にまとめましたので御覧ください。
量 | 組立単位の名称 | 記号 | 基本単位で表すと…?(=他の表し方) |
---|---|---|---|
力 | ニュートン | N | m・kg/s2 |
圧力・応力 | パスカル | Pa | kg/m・s2(=N/m2) |
エネルギー・仕事・熱量 | ジュール | J | m2・kg/s2(=N・m) |
仕事率 | ワット | W | m2・kg/s3(=J/s) |
電荷・電気量 | クーロン | C | s・A |
電気抵抗 | オーム | Ω | m 2・kg/s3・A2 |
照度 | ルクス | lx | cd/m2 |
これらのことは、高校の物理で詳しく学びますが、実は他の全ての単位は、基本単位 $7$ つの組み合わせで表すことができます!
特に上から $4$ つ、
- ニュートン
- パスカル
- ジュール
- ワット
これらは、高校の物理でマジで鬼のように出てくるので、覚えて損はないです!
むしろ、必ず覚えるべきですね(特にニュートン)。
高校の物理は単位がとてもややこしくなり、悲しいことに単位の異なるもの同士を足し引きしてしまい、計算ミスをしてしまう人が続出します。。そんなことにならないためにも、N=m・kg/s2 は必ず覚えておきましょうね。
組立単位の代表格「速さ」に関する記事はこちらから
>速さの問題3選で、計算・求め方・単位換算をマスターしよう!【速度算】
単位の変換に関するまとめ
では記憶に残るように、本記事のポイントをまとめておきましょう。
- 単位はだいたい、「接頭辞+基本単位」によって構成されている!
- 接頭辞「k(キロ)」「h(ヘクト)」「da(デカ)」「d(デシ)」「c(センチ)」「m(ミリ)」の $6$ つの意味は押さえておくべし。
- 面積を表す単位 $\mathrm{m^2}$ や体積を表す単位 $\mathrm{m^3}$ の右上の数字の意味を押さえるべし。
- 基本単位は全部で $7$ つ。それを補う単位として”補助計量単位”なるものが多数ある。また基本単位の組み合わせでできる単位のことを”組立単位”と呼ぶ。
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