こんにちは、遊ぶ数学のウチダです。
ある一定の規則に従い数を並べたものを「数列」と表現し、数学Bでは色々な数列の特徴について学習していきます。
まず最初に学習するのは、「等差数列」でしたね。
- $1$ , $3$ , $5$ , $7$ , $9$ , $11$
- $-3$ , $0$ , $3$ , $6$ , $9$ , …
等差数列の和の公式が特にわかりません…。わかりやすく解説してほしいです。
了解。元高校数学教師の僕が、なるべくわかりやすく解説していくね。この記事を読んで、等差数列についてマスターしてくれれば嬉しいな。
本記事では、等差数列の一般項の求め方から、等差数列の和の公式の証明、また等差数列の応用問題4選を解説していきます。
ぜひご参考ください。
まずは等差数列の一般項の求め方をマスターしよう
分かっている方は飛ばしてもらって構いません。まずは等差数列の一般項について学習していきます。
初項 $a_1$、公差 $d$ の等差数列 {$a_n$} の一般項は
で求まる。
初項と公差の2つがわかれば、一般項を求めることができるんですね。
そうだね。初項=スタート位置、公差=規則性だから、その2つがわかれば全てを求めることができるんだ。
一つ注意なのが、公差 $d$ は $n$ 回ではなく $n-1$ 回足す、というところですね。
上の図の通り、
- $2$ 項目…初項に公差を $1$ 回足している
- $3$ 項目…初項に公差を $2$ 回足している
- $4$ 項目…初項に公差を $3$ 回足している
となっているため、$n$ 項目では初項に公差を $n-1$ 回足せばOKです。
等差数列の和の公式をマスターしよう
さて、以上を踏まえた上で、等差数列の和を考えていきましょう。
等差数列の初項 $a_1$ から第 $n$ 項 $a_n$ までの和を $S_n$ とすると、
この公式を使えば、冒頭で例として上げた「 $1$ , $3$ , $5$ , $7$ , $9$ , $11$ 」という数列であれば、初項 $1$ 、末項 $11$ 、公差 $2$ 、項数 $6$ なので
または
とすぐに求めることができます。
1問練習したところで、「なぜこの公式が成り立つのか」考えていこう。
等差数列の和の公式を証明する
1行目から2行目の変形は、一般項の公式 $a_n=a_1+(n-1)d$ を代入しただけです。
つまりこの公式を理解するには、$\displaystyle S_n=\frac{1}{2}n(a_1+a_n)$ を証明できればOK、ということになります。
さあ、ここで早速テクニックを使うよ。数列をそのままの順序で書いたものと、逆順で書いたものを $2$ つ用意するんだ。
- $a_1$ , $a_2$ , $a_3$ , … , $a_{n-2}$ , $a_{n-1}$ , $a_n$
- $a_n$ , $a_{n-1}$ , $a_{n-2}$ , … , $a_3$ , $a_2$ , $a_1$
なんでこんなことしたんですか?
それはね、この2つの数列を上下で足すと、なんと全部 $a_1+a_n$ になるんだ!
たとえば $a_2+a_{n-1}$ について考えてみると、
- $a_2$ … $a_1$ に公差 $d$ を $1$ 回足した数
- $a_{n-1}$ … $a_n$ から公差 $d$ を $1$ 回引いた数
なので、
と式変形することができます。
同様に、$a_3+a_{n-2}$ だったら
- $a_3$ … $a_1$ に公差 $d$ を $2$ 回足した数
- $a_{n-2}$ … $a_n$ から公差 $d$ を $2$ 回引いた数
なので、
が成り立ちますね。
これらの数列 $2$ つは、順番を逆にしただけで中身は全く同じだから、当然数列の和は同じだよね。だから以下の式が成り立つんだ。
さて、ここまできたらあとは両辺を $2$ で割れば、等差数列の和の公式の証明完了です。
$\displaystyle S_n=\frac{1}{2}n(a_1+a_n)$
なるほどなぁ。公式を作るには工夫が必要なんですね。
その通り!「いかに工夫ができるか」常に考えるだけで、数学力は飛躍的にアップしていくよ。これからもぜひ頑張ってね^^
等差数列の応用問題4選を解こう
さて、等差数列の和の公式が理解できたら、あとは知識を定着させるために等差数列の応用問題を解いていきましょう。
和の公式だけじゃなく、等差数列の応用問題も解いていきます。この時点でも結構難しい問題は作れるので、皆さんぜひチャレンジしてみてください^^
- 等差中項
- 自然数の和・奇数の和
- 等差数列の和の最大値
- 調和数列
等差中項
問題1.数列 $a$ , $b$ , $c$ は等差数列である( $a<b<c$ )。$a+b+c=30$ , $abc=910$ のとき、$a$ , $b$ , $c$ の値を求めなさい。
$3$ つの変数に対し $2$ つの式しか与えられていないこの状況を、等差数列であることを利用して突破しましょう。
$b$ のことを、等差数列の真ん中の項であるから、等差中項と呼ぶことがあります。
等差中項の性質として、$2b=a+c$ はよく使うので、この機会に覚えておきましょう。
解答中に出てきた「解と係数の関係」に関する記事はこちら
解と係数の関係とは~(準備中)
自然数の和・奇数の和
問題2.次の和を求めなさい。
(1) $3$ から $101$ までのすべての自然数の和
(2) $-5$ から $99$ までのすべての奇数の和
自然数の和や奇数(または偶数)の和は、等差数列の考え方を応用することで解くことができます。
↑の解答例では、末項 $a_n$ を用いた公式 $\displaystyle S_n=\frac{1}{2}(a_1+a_n)$ を使いましたが、もちろん $\displaystyle S_n=\frac{1}{2}n\{2a_1+(n-1)d\}$ を使ってもOKです。
(まあ、末項がわかっているのなら、末項を用いた公式を使ったほうが計算量が少なくて済みますが)
↑の解答の、項数を求める計算式がよくわからないのですが…。
なるほど!そういう場合は、値をずらして考えてみるとわかりやすいよ^^
そっか!3~101までの個数と1~99までの個数は一致するんだ!
その通り^^奇数の方は少し複雑だけど、-5~99に6を足して1~105にして、1~100までの奇数の個数が50個であることを利用すれば、101,103,105の3つを足して53個と求めることができるね。
等差数列の和の問題をミスるときは、だいたいが項数の数え間違いが原因です。
計算式で覚えるのもいいですが、以上のように値をずらすなどの工夫をして求められるようになっておくと強いです。
等差数列の和の最大値
問題3.初項が $30$ , 公差が $-4$ の等差数列 {$a_n$} がある。このとき、初項から第何項までの和が最大であるか。またその和を求めなさい。
公差が負の数の場合、等差数列の和に最大値が存在します。
「和が最大とはどういう状況をいうか」よく考えて解いてみましょう。
等差数列の和の最大値を求める問題は頻出なので、ぜひ押さえておきましょう。
調和数列
問題4.調和数列 $2$ , $6$ , $-6$ , $-2$ , …について、一般項 $a_n$ を求めなさい。
調和数列ってなんですか?
調和数列とは「各項の逆数が等差数列」となる数列のことを言うよ。
調和数列の言葉の意味がわかれば、あとは落ち着いて問題を解くだけです。
「逆数を考える」という、ちょっと変わった問題でしたね。
まとめ:等差数列をマスターし、等比数列の学習に移ろう
最後に本記事のポイントをまとめます。
本記事の問題がすべて解けたあなたは、自信を持って次の「等比数列」に進みましょう。
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