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対偶とは?命題の逆・裏・対偶の意味や証明問題の具体例を解説!【高校数学】

こんにちは、ウチダです。

今日は、数学Ⅰ「集合と命題」で習う

「対偶」

について、まずは命題の逆・裏・対偶の意味を考え、命題と対偶に成立するある性質を用いた”対偶証明法”を学び、最後に対偶証明法を使った練習問題を何問か解いていきます。

対偶とは【数学】

「対偶 意味」という言葉をググってみると、2つそろったもの。対。夫婦。」と出てきます。

たしかに、そのような意味もあるのですが、それは日常的に使われる”対偶”の意味ですね。

では、数学における”対偶”の意味について、次の章から詳しく見ていきましょう。

命題の逆・裏・対偶

まず、命題に対して逆・裏・対偶を定義するのですが、その命題も$$p ⇒ q$$つまり、「条件ならば条件」の命題に限ります。

ここで、図をご覧ください。

↓↓↓

今、命題が「 $p ⇒ q$ 」です。

それに対して、仮定と結論を逆にした命題を“逆”、仮定と結論を否定した命題を“裏”と言います。

また、仮定と結論を逆にしてかつ否定した命題を“対偶”と言います。

以上の図を見てもらえばわかるとおり、逆裏対偶というのは何かの命題に対して定義されるものです。

ですから、単品で「これは裏」とか「これは対偶」とかは言えません。

つまり、逆裏対偶は $2$ つの命題の関係を表す言葉である、と理解しましょう。

ですから、例えば下の図のようにも考えられます。

↓↓↓

今度は、命題「 $q ⇒ p$ 」を基準として考えました。

誤解してほしくないのですが、逆裏対偶ももちろん命題です。

先ほどお伝えした通り、あくまで $2$ つの命題の関係を表すものだと認識していただきたいです。

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これで逆・裏・対偶の言葉の意味については理解していただけたでしょうか。

では、「なぜ対偶だけこんなにもピックアップされているのか」次の章から具体例を通して明らかにしていきます。

対偶証明法(対偶法)とは【例】

たとえば「 $2$ は素数である。」という命題について考えてみましょうか。

まず、「 $2$ は素数である。」のように、文中に”ならば”が使われていないときは、$$2であるならば素数である。$$というふうに、自然な文に言い換えてあげましょう。

ここで、この命題の逆裏対偶を求め、ついでに真偽も考えてみましょうか。

逆・裏については、その数を $x$ とすると、いろいろ反例が作れてしまいます。

例えば $x=3$ です。$3$ は素数ですが $2$ ではないし(逆の反例)、$3$ は $2$ ではないですが素数です(裏の反例)。

ここで注目してほしいのが「命題と対偶の真偽が一致していること」なんですね。

「こんなの偶然でしょう?」と感じた方は、ぜひ他の例題も解いてみて下さい。

例外なく、すべての命題に対してこの事実は成り立ちます。

つまり、「命題が真である」ことと「対偶が真である」ことは必要十分条件(同値)である、ということになります。

「必要十分条件(同値)」や「命題・条件・ならば・反例」に関する詳しい解説はこちらから!!

⇒⇒⇒必要十分条件とは?例題・証明・矢印の向きの覚え方をわかりやすく解説!

よって、この性質を利用すれば、対偶を証明することで間接的に命題も正しいことを導くことができます。

これが「対偶証明法(対偶法)」と呼ばれる技法です。

ではさっそく例題を…といきたいところですが、なぜ命題と対偶の真偽は一致するのか」これは押さえておく必要がありそうですね。

ということで、次の章で一緒に考えていきましょう。

(補足)
もちろん、命題が偽であるとき、対偶も偽になります。
しかし、対偶証明法を用いるのは「命題が真であることを示せ。」というケースがほとんどですので、あえてそこには触れませんでした。

また、命題「 $p ⇒ q$ 」と逆・裏がともに真であることと、$p$ が $q$ であるための必要十分条件であることは同値です。
だって、逆「 $q ⇒ p$ 」が真であれば、「 $p ⇔ q$ 」ですもんね。

もう一つ。逆と裏の真偽も常に一致します。
これは目次1-1「対偶とは【数学】」の $2$ つ目の画像で見たように、逆と裏は対偶の関係になっているからです。

この記事のメインテーマが「対偶証明法を用いた証明問題の解き方」なので、それにあまり関わりのない知識は省くべきだと判断し、補足事項としてまとめました。「逆と裏の真偽が常に一致する」などの知識は、対偶についての理解を深めますので、押さえておいた方がいいとは思います。

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対偶証明法の原理

命題の話は、やっぱり集合論の話と結び付けます。

条件 $p$ を満たす集合を $P$、条件 $q$ を満たす集合を $Q$ とすると、$$「p ⇒ q が真」 ⇔ P\subset Q$$であることは、先ほど紹介した記事で学びました。

あとは、以下のようなベン図を書き説明していきます。

右向きの矢印$$P\subset Q ⇒ \overline{Q}\subset \overline{P} ……①$$ はベン図より明らかです。

これは補集合の重要な性質です。

また、もう一つの性質 $$\overline{\overline{P}}=P$$ を用いて、①に $P=\overline{Q}$、$Q=\overline{P}$ を代入すると、$$\overline{Q}\subset \overline{P} ⇒ P\subset Q ……②$$が示せます。

①、②を合わせたものが、図の赤枠で囲った部分になります。

よって、$$「p ⇒ q が真」 ⇔ 「\overline{q} ⇒ \overline{p} が真」$$この必要十分性が示せました。

このように、集合論の話につなげることで、条件に関する命題はわかりやすくなります。

しかし、ベン図を用いて示している時点で、説明の範囲にとどまります。

これ以上深く掘り下げてしまうと、がっつり大学数学の内容になってしまいますので、そこはご了承ください。
※集合に関する記事は、目次2-2にて紹介しています。「条件におけるド・モルガンの法則」まで読み進めた後で、気になる方はご覧いただければと思います。

対偶証明法を用いる問題4つ

それではいよいよ、対偶証明法を用いる問題を解いていきましょう♪

対偶証明法を用いるケースを大きく $2$ つにわけて、$2$ 問ずつ計 $4$ 問ご用意いたしました。

ぜひチャレンジしてみて下さい^^

扱いづらい仮定

問題. 次の命題を証明せよ。
(1) $n$ は整数とする。$n^2$ が $3$ の倍数ならば、$n$ は $3$ の倍数である。
(2) $a,b$ は整数とする。積 $ab$ が偶数ならば、$a,b$ の少なくとも一方は偶数である。

ヒントなしで解答に移りたいと思います。

【解答】

(1) 対偶「 $n$ が $3$ の倍数でないならば、$n^2$ は $3$ の倍数でない」を示す。

$n$ が $3$ の倍数でないので、$$n=3k±1 ( k はある整数)$$

と表すことができる。

ここで、

\begin{align}n^2&=(3k±1)^2\\&=9k^2±6k+1\\&=3(3k^2±2k)+1\end{align}

※複合同順。

であり、$3k^2±2k$ は整数なので、$n^2$ は $3$ で割ったときの余りが $1$ となる。

よって、$n^2$ が $3$ の倍数でないことが示せた。

したがって、対偶が真であるので、元の命題も真である。
※ⅰ) $n=3k+1$ ⅱ) $n=3k+2$ と場合分けして証明してもOKです!!

(2) 対偶「 $a,b$ がともに奇数であれば、積 $ab$ は奇数である」を示す。

$a,b$ がともに奇数なので、$$a=2m+1,b=2n+1  ( m,n はある整数)$$と表すことができる。

ここで、

\begin{align}ab&=(2m+1)(2n+1)\\&=4mn+2m+2n+1\\&=2(2mn+m+n)+1\end{align}

であり、$2mn+m+n$ は整数なので、積 $ab$ が奇数であることが示せた。

よって、対偶が真であるので、元の命題も真である。

(解答終了)

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この問題のように、仮定の部分に $2$ 乗があったり積があったりすると、どうしてもややこしくなってしまいます。

そういう時は、対偶証明法が使えないか疑ってみてください。

仮定と結論を否定しなくてはいけないのは手間ですが、結論の否定が仮定になることで、かなり考えやすくなる問題も多くあります。

結局、こういう問題は対偶証明法を使った方が手間も省けると思いますよ^^

…おっと、危うくポイントを一つ飛ばすところでした。

それは、「(2)の結論の否定」です。

何気なくやってしまいましたが、「 $a,b$ の少なくとも一方は偶数である。」の否定は「 $a,b$ がともに奇数である。」になります。

少し話がそれますが、この原理について次の章で解説していきます。

「かつ」と「または(少なくとも)」の否定

ここでも、集合論と結び付けて考えましょう。

先ほどの問題の(2)で、「 $a,b$ の少なくとも一方は偶数である。」という条件がありました。

この条件は、「 $a$ が偶数である、または $b$ が偶数である。」と言い換えることができます。
※ここで言う”または”は、「少なくとも一つの意」です。数学で扱う”または”は、ほとんど全てこの意味ですので注意してください。

すると、$$p: a が偶数である$$$$q: b が偶数である$$

と条件 $p,q$ を定めれば、この結論は$$p または q$$を表していることになります。

よって、この否定は、集合論でド・モルガンの法則が成り立つことから、$$\overline{p または q}=\overline{p} かつ \overline{q}$$となります。

以上の話をまとめます。

【かつ・またはの否定】
$$\overline{p または q}=\overline{p} かつ \overline{q}$$
$$\overline{p かつ q}=\overline{p} または \overline{q}$$

集合論の知識がいかに重要なのか、わかっていただけたかと思います。

「ド・モルガンの法則」や「補集合の性質」などの、集合に関する記事はこちらから!!

⇒⇒⇒ド・モルガンの法則とは?ベン図・真理値表(論理式)による証明をわかりやすく解説!【練習問題アリ】

それでは、この知識も踏まえて、残り $2$ 問解いていきましょう。

考えづらい仮定や結論

問題. 次の命題を証明せよ。
(1) $x,y$ は実数とする。$x+y$ が無理数ならば、$x$ と $y$ の少なくとも一方は無理数である。
(2) $x,y$ は実数とする。$\frac{x^2}{4}+\frac{y^2}{9}≦1$ ならば $x≦2$ である。

ヒントなしで解答に移りたいと思います。

【解答】

(1) 対偶「 $x,y$ がともに有理数ならば、$x+y$ は有理数である」を示す。

$x,y$ がともに有理数なので、整数 $p,q,r,s$ を用いて$$x=\frac{q}{p} , y=\frac{s}{r}$$と表すことができる。( $p,r≠0$ )

ここで、$$x+y=\frac{q}{p}+\frac{s}{r}=\frac{qr+ps}{pr}$$であり、$pr≠0$ かつ $pr,qr+ps$ はともに整数であるので、$x+y$ は有理数である。

よって、対偶が真であるので、元の命題も真である。

(2) 対偶「 $x>2$ ならば $\frac{x^2}{4}+\frac{y^2}{9}>1$ である」を示す。

$x>2$ なので、$x^2>4$ である。

よって、$\frac{x^2}{4}>1 ……①$

また、$y$ は実数なので、$y^2≧0$ である。

よって、$\frac{y^2}{9}≧0 ……②$

①、②より、$$\frac{x^2}{4}+\frac{y^2}{9}>1+0=1$$

したがって、対偶が真であるので、元の命題も真である。

(解答終了)

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有理数の定義は、既約分数で表せることでした。
※今回の問題では、”既約”の条件は使う必要がないので使っていません。

逆に、無理数の定義は、既約分数で表せないことです。

このように、無理数の定義は数式としては非常に考えづらいものなんですね!

よって、「無理数」の言葉が出てきたら、それを否定して「有理数」に変えた方がいいかも…と疑うようにしましょう。

(2)も、対偶を取ることで大分考えやすくなっていますね。

一応、$2$ 乗の足し算が $0$ 以上であることから、$$0≦\frac{x^2}{4}≦\frac{x^2}{4}+\frac{y^2}{9}≦1$$と求めることができるので、$$-2≦x≦2$$となり、これは $x≦2$ の十分条件であるので証明完了、と解くこともできます。

また、実は $\frac{x^2}{4}+\frac{y^2}{9}=1$ の表す図形は以下の楕円なので、領域の知識と組み合わせて解くこともできます。

↓↓↓

「楕円」(数学Ⅲ)に関する詳しい解説はこちらから!!

⇒参考.(後日書きます。)

以上 $4$ 問を解いて、大分基本はつかめてきたと思います。

これ以上の応用問題はこの記事では扱いませんが、他の記事でもたまに出てくることがあります。

その際には「これはきっと対偶証明法を使えばいいんだな…」というふうに、ぜひ疑いながら読んでいただきたく思います。

対偶証明法と背理法の違いとは

最後に、よく混同しがちな「背理法」との違いについて、解説したいと思います。

例えば、こんな命題を証明してみましょう。

命題. $\sqrt{2}$ は無理数である。

これを対偶証明法を使って解こうとしてみます。

まずは、”ならば”を使った自然な文に書き換えます。

すると、「 $\sqrt{2}$ であるならば無理数である。」となりますね^^

ここで対偶をとって、「有理数ならば $\sqrt{2}$ でない。」となりました。

これ、ここからどうやって証明しますか?

「だって、$\sqrt{2}$ は実際無理数なんだから、有理数だったら $\sqrt{2}$ な訳ないじゃん。」←こう思ったそこのあなた、気持ちはよくわかります。

しかし、赤線で引いたところに着目してください。

そもそも、この赤線を証明するのが、今回の目的でしたね。

つまり、この考え方は循環論法に陥ってしまっている、ということですね。

このように、自明すぎる(明らかである)ことを証明しようとすると、意外と難しいのです。

「$\sqrt{2}=1.41421356…$ なので、循環しない無限小数だから無理数」というのも、たしかにその通りですが、証明としては少し苦しいですよね。

そこで、“背理法”の出番です。

背理法というのは、簡単に説明すると「命題の否定が偽であることを示すことにより、元の命題が真であることを間接的に証明する方法」です。

これは、「命題とその否定の真偽が逆になる」という性質を使っています。

「背理法」の続きはこちらから!!

↓↓↓

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対偶に関するまとめ

今日は、命題が真であることの証明方法の $1$ つとして「対偶証明法」を学びました。

なぜ対偶証明法が使えるのか、その原理と実際の使い方は、理解できたでしょうか。

実は…もう一つの証明方法である「背理法」も本質的には同じです。

そこら辺のお話も、ぜひ関連記事のリンクから飛んでご覧いただければと思います♪

以上、ウチダでした。
それでは皆さん、よい数学Lifeを!!

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