こんにちは、ウチダです。
さて、突然ですが「最大公約数と最小公倍数」に関する、次の問題を解いてみてください。
(1) $12$ と $18$ の最大公約数および最小公倍数を求めなさい。
(2) $48$,$60$,$126$ の最大公約数および最小公倍数を求めなさい。
(1)ぐらいであれば、最大公約数は $6$、最小公倍数は $36$ と暗算でも解けますが、(2)はどうでしょう。
- $48$,$60$,$126$ の最大公約数 → $6$
- $48$,$60$,$126$ の最小公倍数 → $5040$
と暗算で求められる人は、きっといませんよね。
[ふきだし set=”悩む男性”]たしかに。こういう場合どうやって考えればいいか、わかりやすく解説してほしいです![/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]最大公約数と最小公倍数の応用問題にも対応できる力を付けたいです。[/ふきだし]
よって本記事では、最大公約数と最小公倍数の求め方から、最大公約数と最小公倍数の応用問題 $3$ 選まで
- 東北大学理学部数学科卒業
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ
の僕がわかりやすく解説します。
最大公約数と最小公倍数の求め方とは?【「素因数分解」を使います】
最大公約数と最小公倍数の最大のポイント。
それは…
これに尽きます。
[ふきだし set=”ウチダ”]素因数分解のやり方については、「素因数分解のやり方のコツとは?【応用問題3選も簡単に解けます】」の記事をご参考ください。[/ふきだし]
ここで、一度言葉の意味を整理しておきましょう。
- 公約数 … $2$ つ以上の整数について、共通する約数のこと。
- 公倍数 … $2$ つ以上の整数について、共通する倍数のこと。
つまり、素因数分解をすることによって、共通する素因数を見つけ出し、そこから最大公約数と最小公倍数を求めることができるのです。
では、冒頭の例題も含めて、さっそく練習してみましょう。
練習問題
(1) $12$,$15$,$18$
(2) $48$,$60$,$126$
(3) $52$,$105$
このままだと難しいですが、それぞれの自然数を素因数分解することで、問題がシンプルになります。
【解答】
(1) $12=2^2・3$,$15=3・5$,$18=2・3^2$ より、最大公約数は $3$ であり、最小公倍数は $2^2・3^2・5=180$ である。
(2) $48=2^4・3$,$60=2^2・3・5$,$126=2・3^2・7$ より、最大公約数は $2・3=6$ であり、最小公倍数は $2^4・3^2・5・7=5040$ である。
(3) $52=2^2・13$,$105=3・5・7$ より、素因数の被りがない。
よって、最大公約数は $1$ であり、最小公倍数は $52×105=5460$ である。
(解答終了)
(2)が冒頭で紹介した例題です。
素因数分解を使えば、共通する約数・倍数がわかりやすくなりますね。
また、(3)のように、素因数の被りが一つもないとき、それらの整数は「互いに素」といい、
- 最大公約数 → $1$
- 最小公倍数 → 整数を単に掛け算したもの
となります。
[ふきだし set=”ウチダ”]互いに素については「互いに素な自然数とは?【応用例7選もわかりやすく解説します】」の記事で詳しく解説しております。[/ふきだし]
最大公約数と最小公倍数の応用問題3選
では次に、最大公約数と最小公倍数の応用問題を $3$ 問解いていきましょう。
具体的には
- 最小公倍数から $n$ を求める問題
- 最大公約数と最小公倍数の関係(積の性質)
- 最大公約数が求めづらいとき
の $3$ つを解説します。
最小公倍数からnを求める問題
さて、この問題においても、基本はやはり「素因数分解」です。
とりあえず素因数分解してみてから考えることが大切です。
【解答】
とりあえず $24$ と $504$ を素因数分解してみると、$$24=2^3・3 \ , \ 504=2^3・3^2・7$$
となる。
ここからわかることは
- $24$ … 素因数 $2$ が $3$ 個,素因数 $3$ が $1$ 個
- $504$ … 素因数 $2$ が $3$ 個,素因数 $3$ が $2$ 個,素因数 $7$ が $1$ 個
よって、$n$ には素因数 $3$ が $2$ 個、素因数 $7$ が $1$ 個だけ含まれていることがわかる。
また、素因数 $2$ を $4$ つ以上含んでしまうと条件を満たさないが、$3$ つ以下なら条件を満たす。
つまり、$n$ は
$$n=2^a・3^2・7 \ (a=0 \ , \ 1 \ , \ 2 \ , \ 3 \ のいずれか)$$
と表すことができる。
したがって、$a=0$ ~ $3$ を代入して計算すると、
$$n=63 \ , \ 126 \ , \ 252 \ , \ 504$$
の $4$ つが答えとなります。
(解答終了)
素因数分解をすることで、問題の見通しがメチャクチャよくなりますね!
最大公約数と最小公倍数の関係(積の性質)
今度は、最大公約数と最小公倍数が与えられている場合です。
「最大公約数が与えられている」ことをどう利用するかがポイントです!
【解答】
最大公約数が $18$ より、互いに素な自然数 $a’$,$b’$ を使って
$$a=18a’ \ , \ b=18b’$$
と表すことができる(ただし $a'<b’$ )。
このとき、$a’$ と $b’$ は互いに素より、最小公倍数は $18a’b’$ と表されるので、
$18a’b’=360$、つまり$$a’b’=20 ……①$$が成り立つ。
※最大公約数は英語で「Greatest Common Divisor」、最小公倍数は英語で「Least Common Multiple」です。頭文字を取ってそれぞれ $GCD$,$LCM$ と表します。
①を満たす $a’$,$b’$ の組をすべて挙げると、
$$( \ a’ \ , \ b’ \ )=( \ 1 \ , \ 20 \ ) \ , \ ( \ 4 \ , \ 5 \ )$$
の $2$ つ。
※「 $a'<b’$ 」かつ「 $a’$ と $b’$ は互いに素」に注意。
したがって、求める自然数 $a$,$b$ の組は
$$( \ a \ , \ b \ )=( \ 18 \ , \ 360 \ ) \ , \ ( \ 72 \ , \ 90 \ )$$
(解答終了)
互いに素を上手く使うことで、最大公約数と最小公倍数の関係式を導くことができます。
$2$ つの自然数 $a$,$b$ の最大公約数を $G$、最小公倍数を $L$ とする。
$a=Ga’$ かつ $b=Gb’$ であるとき、$a’$ と $b’$ は互いに素であり、また
$$L=Ga’b’$$
が成り立つ。
互いに素は非常に重要な概念ですので、「互いに素な自然数とは?【応用例7選もわかりやすく解説します】」の記事でよく勉強しておきましょうね。
最大公約数が求めづらいとき(応用)
さて、ラストの問題です。
先に答えを言ってしまうと
- $1261=13×97$
- $6499=67×97$
より、最大公約数は $97$ となります。
そこから最小公倍数を求めていくわけですが…
[ふきだし set=”考える女性”]たしかに、素因数分解することで求まるけど…こんな素因数分解したくないわ。[/ふきだし]
[ふきだし set=”ウチダ”]その通り!このように、素因数分解が難しくて時間がかかりそうな場合は、「ユークリッドの互除法」を使って解きます。[/ふきだし]
「ユークリッドの互除法とは何か」は一旦置いといて、とりあえず解答を見てみましょう。
【解答】
$6499=1261×5+194$
$1261=194×6+97$
$194=97×2$
余りが $0$ になったので、互除法終了。
したがって、最大公約数は $97$ である。
ここから、$97$ で割り算をして、$$1261=13×97 \ , \ 6499=67×97$$
よって、最小公倍数は $13×67×97=84487$ である。
(解答終了)
めちゃくちゃスッキリとした解答になりましたね!
以上のように、「最大公約数がそもそも求めづらい」というときは、ユークリッドの互除法を用いて最大公約数を求めてから、積の関係を使うなどして問題を解いていくことがほとんどです。
[ふきだし set=”ウチダ”]ユークリッドの互除法は、原理・やり方ともにしっかりと理解しておく必要があります。詳しくは「ユークリッドの互除法の原理をわかりやすく解説!【互除法の活用2選アリ】」の記事で解説しておりますので、ぜひあわせてご覧くださいね。[/ふきだし]
最大公約数と最小公倍数に関するまとめ
本記事の要点を $3$ つまとめます。
- 基本は「素因数分解」して比較!
- 最大公約数が与えられているときは、「互いに素」を利用して式を立てる。
- 最大公約数がそもそも求めづらいときは、「ユークリッドの互除法」を利用して求める。
頭の中がスッキリしましたか?
ぜひいろんな知識と結び付けていきましょう!
「整数の性質」全 25 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!
終わりです。
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