こんにちは、ウチダです。
今日は、数学Ⅱの二項定理を習う際に出てくる
「パスカルの三角形」
について、なぜ二項定理との関係があるのか、二項係数の性質を証明することで紐解いていきます!
パスカルの三角形とは
まずはこちらの図をご覧ください。↓↓↓
このアニメーションの説明をすると、
- まず、外枠をすべて「 $1$ 」で埋める
- 次に、隣り合った $2$ つの数を足したものを次の行の間に書く。
- それを永遠と繰り返す
こういう仕組みでできたものをパスカルの三角形と言います。
さて、この三角形をよく見てみると…
なんと二項定理の係数に相当する!!
ことがわかります。
これがどういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
パスカルの三角形と二項定理
ここでもう一度二項定理を確認しておきましょう。
※この数式は横にスクロールできます。
つまり、パスカルの三角形と二項定理がリンクするためには、パスカルの三角形が以下の形になっている、ということです。↓
パスカルの三角形は、このように二項係数を用いて表せるので、例えば、$$(a+b)^4=a^4+4a^3b+6a^2b^2+4ab^3+b^4$$の係数が、上から $5$ 行目と全く同じになっていることがわかるかと思います!
では、今日の本題ですが、
これについて詳しく見ていきましょう。
二項係数の性質3つ
ここで押さえておきたい二項係数の3つの性質があるので、見ていきましょう。
ⅰ) ${}_n{C}_{r}={}_n{C}_{n-r}$
ⅱ) ${}_{n-1}{C}_{r-1}+{}_{n-1}{C}_{r}={}_n{C}_{r}$
ⅲ) $r×{}_n{C}_{r}=n×{}_{n-1}{C}_{r-1}$
パスカルの三角形の成り立ちを理解するには、特にⅰ)ⅱ)を押さえていればOKです!!
ⅲ)については、これも結構使う公式ですので、この際ついでに証明していこうかと思います。
ちなみに、ⅲ)の使い道として、「 $n$ と $r$ が互いに素であるとき、 ${}_n{C}_{r}$ が $n$ の倍数になる 」ことがこの式からもわかります。
ではまず、この $3$ つの公式を、”代数的に”、つまり「式変形の方法で」証明していきましょう!
二項係数の性質の証明
今回は代数的な証明ということで、二項係数の定義から導いていきます。
【ⅰ)の証明】
【ⅱ)の証明】
※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
ⅱ)の証明のポイントは、$n×(n-1)!=n!$ に気づくことですね。
【ⅲ)の証明】
※この数式は少しだけ横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
(終了)
ⅲ)の証明でも、階乗の扱い方はⅱ)と似てますね。
また、この性質3つを「組み合わせ」の考え方で証明することもできます。
パスカルの三角形に当てはめると…
まず皆さん、$${}_n{C}_{0}={}_n{C}_{n}=1$$
この式は理解できますよね。
なので、外枠の部分はすべて「 $1$ 」となります。
次に、パスカルの三角形は左右対称ですね!
なぜ左右対称なのか。
ここで性質ⅰ)の登場です。
さきほど証明したように、例えば
最後に、パスカルの三角形の最大の特徴でもある、「 $2$ つの隣り合った数を足すと次の行の間の数になる」という性質は、そっくりそのまま性質ⅱ)を用いることで示すことができるわけです!
たとえば、性質ⅱ)の $n$ と $r$ に$$n=6,r=3$$を代入すると、$${}_5{C}_{2}+{}_5{C}_{3}={}_6{C}_{3}$$という式になります。
これはパスカルの三角形では、以下の図の部分を示しています。↓↓↓
これで、なぜパスカルの三角形と二項定理による展開の関係性があるか、はっきりしましたね!!!
パスカルの三角形で最短経路問題
じつは、パスカルの三角形には二項定理以外にももう一つ代表的な使い方があります。
それを紹介して終わりにしたいと思います。
場合の数でよく問われる「最短経路」の問題です。
これを普通に解くならば、重複順列の考え方を用いて、$$\frac{7!}{4!3!}=35通り$$
となりますが、これを「パスカルの三角形とリンクさせて」解いてみるとこうなります。
なにをしているかというと、実はパスカルの三角形を作る作業と全く同じことをしています!!
なぜパスカルの三角形の操作と全く同じことをするだけで最短経路の問題が解けてしまうのでしょうか…?
答えは以下のとおりです!
図のような状況のとき、CからDに行くための経路というのは、場合の数の和の法則を用いて
$$(赤を通る場合)+(青を通る場合)$$で求まりますね!
この足し算をするという操作が、パスカルの三角形の「隣り合う$2$ つの数を足す」につながってくるわけです。
よって、今回の問題では、パスカルの三角形のこの部分を計算していたことになります。
では最後にもう少し難しい最短経路の問題を解いてみましょう。
問題2では、「2本道路が通れなく」なってしまいました…。
一応、よく使われる方法で解くと、問題1より、
となりますが、これをパスカルの三角形を作る方法的に解くと、
となり、やはり答えが一致してます!
パスカルの三角形は、「和の法則」から成り立っているんでしたね!そして和の法則は、場合の数を数える基本でした。
和の法則に関する詳しい解説はこちらから
パスカルの三角形に関するまとめ
最後に、本記事のポイントをまとめます。
- パスカルの三角形は、「二項定理」と深い関係がある。
- 「二項係数の性質 $3$ つは組合せ」の考え方で証明することもできる!
- パスカルの三角形の応用の一つに「最短経路問題」がある。
パスカルの三角形をマスターし、他の分野とのつながりを意識していきましょう!
おわりです。
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コメント一覧 (1件)
これは公式化できるものなんですかね?
(n+1)が何乗時の何乗の係数を公式化