こんにちは、ウチダです。
さて、皆さんは「素因数分解」をしっかりマスターできたでしょうか?
[ふきだし set=”悩む男性”]「素因数分解とは何か」よくわかってないんだよな~。やり方もわかりやすく解説してほしいです。[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]素因数分解はできます!具体的にどう使うのか、応用問題の解き方のコツなどがあれば解説してほしいです![/ふきだし]
素因数分解のやり方のコツは、「小さい素数から順番に」です。
本記事では、素因数分解とは何かから、素因数分解の応用問題 $3$ 選、さらには素因数分解の一意性まで
- 東北大学理学部数学科卒業
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ
の僕がわかりやすく解説します。
素因数分解とは?【やり方のコツは「小さい素数から順番に」】
素因数分解で押さえておきたい基本は以下の $2$ 点です。
- 素因数分解とは、素数の積で表すこと。
- $2$,$3$,$5$,…と小さい素数順に割っていくこと。
たとえば $180$ という自然数を、素数の積で表してみましょう。
素因数分解にまだ慣れていない方は、必ず小さい素数から、つまり
$$2 \ , \ 3 \ , \ 5 \ , \ 7 \ , \ 11 \ , \ …$$
の順で割っていきましょう。
そうして素数でどんどん割っていくと、必ず終わりが来ます。
そう、素数が出てきたときですね。
あとはそれまでに出てきた素数をすべて掛け合わせて
と表せば、素因数分解完了です☆
[ふきだし set=”考える男性”]なるほど!やり方は理解できたよ。でも、そもそも「素因数」って何のこと?[/ふきだし]
[ふきだし set=”ウチダ”]因数とは、積の形で表したときの一つ一つの項のことを指します。つまり、素数の因数だから「素因数」、ということです。[/ふきだし]
素因数分解の練習問題
ではここで一度、素因数分解を練習しておきましょう。
(1) $50$ (2) $42$ (3) $33$
(4) $58$ (5) $81$ (6) $1000$
(5)(6)はちょっとした工夫でより簡単になるので、ぜひ考えてみてください^^
【解答】
(1) $50=2・5^2$
(2) $42=2・3・7$
(3) $33=3・11$
(4) $58=2・29$
(5) $81=9^2$ であり、$9=3^2$ なので、
$81=(3^2)^2=3^4$
(6) $1000=10^3$ であり、$10=2・5$ なので、
$1000=(2・5)^3=2^3・5^3$
(解答終了)
この練習問題のポイントを $2$ つ挙げます。
- (3)(4) … $11$ や $29$ が素数であることを覚えておく
- (5)(6) … $81=9^2$ や $1000=10^3$ を使って計算をラクにする
特に(6)は、地道に素因数分解すると大変です。
先ほど説明した「小さい素数順に割る」とは違うやり方ですが、慣れてきたらこのように工夫して計算するのもアリです。
[ふきだし set=”ウチダ”]それから、$100$ までの素数は「エラトステネスのふるい」を使って調べておいた方が良いです。詳しくは「エラトステネスのふるいとは?【素数の求め方(見つけ方)で最適な方法です】」の記事をご覧ください。[/ふきだし]
素因数分解の応用問題3選
さて、次に考えたいのが「素因数分解を用いる応用問題」ですね。
といっても、素因数分解は整数問題を解く上での基本中の基本となるため、下手すると
応用問題 $57$ 選!!
なんて記事が出来上がりかねません。(笑)
よってここでは、超具体的に絞りに絞って
- 正の約数の個数と総和を求める問題
- 階乗の素因数の個数に関する問題
- 最大公約数と最小公倍数を求める問題
以上 $3$ 問を解説していきます。
正の約数の個数と総和を求めよう
さて、もちろん総当たりしていって
$$1 \ , \ 2 \ , \ 3 \ , \ 4 \ , \ 6 \ , \ 8 \ , \ 12 \ , \ 16 \ , \ 24 \ , \ 48$$
よって個数は $10$ 個で、
※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
よって総和は $124$ と求めることもできます。
ただ…スマートな解き方ではないですよね~。
また、$48$ ぐらい小さな数だからいいものの、もっと大きな数になるとこの方法は厳しくなってきます。
よって、素因数分解を応用し、スマートに解くクセを付けましょう!
【解答】
$48=2^4・3$ より、正の約数の個数は$$(4+1)×(1+1)=10 \ (個)$$
正の約数の総和は
※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
(解答終了)
いかがでしょう。
超ベリースマートですよね^^
[ふきだし set=”ウチダ”]なぜ素因数分解で簡単に求めることができるのか、については「約数の個数と約数の総和の求め方とは?【公式は素因数分解で導きます】」の記事で詳しく解説してます。この記事では”応用の仕方”のみ解説していきます。[/ふきだし]
階乗の素因数の個数とは?(0は連続して何個並ぶ?)
さて、階乗とは上記の通り、その自然数までの積を表します。
ここで、「末尾に $0$ が連続して何個並ぶか」というのは、$10$ という因数を何個含んでいるかによります。
よって、$130!$ に素因数 $2$ と素因数 $5$ がそれぞれ何個含まれているかを計算すればよいのですが…
これは何となく予想できますよね。
[ふきだし set=”ウチダ”]素因数 $5$ を含む数は $5$,$10$,$15$,…ですが、素因数 $2$ を含む数は $2$,$4$,$6$,…と圧倒的に多いです。[/ふきだし]
これらを踏まえると、解答は以下のようになります。
【解答】
$1$ から $130$ までの自然数のうち、
- $5$ の倍数の個数 … $130÷5=26$ 個
- $5^2$ の倍数の個数 … $130÷25=5$ あまり $5$ なので $5$ 個
- $5^3$ の倍数の個数 … $130÷125=1$ あまり $5$ なので $1$ 個
よって、$130!$ に含まれる素因数 $5$ の個数は、$26+5+1=32$ 個
素因数 $2$ の個数は、$32$ 個よりずっと多いはずなので、$130!$ に含まれる因数 $10$ の個数は $32$ 個となる。
したがって、末尾に $0$ は $32$ 個連続して並ぶ。
(解答終了)
階乗(かいじょう)について詳しく知りたいという方は、ぜひ「階乗とは~(準備中)」の記事も読んでみてくださいね^^
最大公約数と最小公倍数を求めよう
ラストは「最大公約数・最小公倍数」を求める問題です。
これも素因数分解を応用して、鮮やかに求めていきます。
【解答】
$84=2^2・3・7$,$180=2^2・3^2・5$ より、
- 最大公約数 … 素因数の被りをすべてかけたもの
- 最小公倍数 … 一番小さい公倍数
であることを利用すると、最大公約数は $2^2・3=12$ であり、最小公倍数は $2^2・3^2・5・7=1260$ である。
(解答終了)
以上のように、それぞれの数を素因数分解することによって、公約数や公倍数を視覚的に求めやすくなります。
あとは「最大・最小」の意味を考えればOKです。
[ふきだし set=”ウチダ”]最大公約数と最小公倍数の問題をもっと解きたいという方は、「最大公約数と最小公倍数の求め方とは?【ヒント:素因数分解】」の記事をご参照ください。[/ふきだし]
素因数分解の一意性って何?【研究】
最後に「素因数分解の一意性(いちいせい)」について軽く解説します。
※別名「算術の基本定理」とも呼ばれます。
“一意”というのは” $1$ 通り”を指すので、つまり「すべての自然数に対して、素因数分解は $1$ 通りしかありません」ということを言っています。
[ふきだし set=”考える女性”]でもこれって、当たり前のことじゃないですか?[/ふきだし]
[ふきだし set=”ウチダ”]そうですね。でもここから「 $1$ が素数じゃない理由」もわかるんですよ~。[/ふきだし]
もし $1$ が素数だとすると、たとえば $18$ の素因数分解を
$$18=1・2・3^2=1^{100}・2・3^2$$
のように、幾通りにも表すことができてしまいます。
$1$ という数は、いくら掛け算しても値を変えない数であるため、注意が必要なんですね~。
また、大学数学レベルになると
- $6=2×3=(\sqrt{7}-1)(\sqrt{7}+1)$
- $2$,$3$ も素数。$\sqrt{7}±1$ も素数。(正確には「素元(そげん)」と言います。)
みたいな集合を考えるときがあります。
[ふきだし set=”ウチダ”]この集合は $ℤ(\sqrt{7})$ と表します。つまり自然数という集合においては当たり前のことでも、他の集合では成り立たないこともあるのです。[/ふきだし]
すごい簡単に説明しましたが、とにかく自然数で考えている以上、素因数分解の一意性は常に成り立ちますので、そこまで深く考える必要はないです。
素因数分解に関するまとめ
本記事の要点を改めてまとめます。
- 素因数分解は、「小さい素数順に」割っていこう。
- 「約数の個数と約数の総和」「階乗の素因数の個数」「最大公約数と最小公倍数」ここらへんは要チェック!
- これからは、素因数分解ができることが前提となります。
素因数分解は、整数問題における基本中の基本です。
ぜひ問題をたくさん解いて、速く正確にできるように訓練しておきましょう!
「整数の性質」全 25 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!
以上で終わりです。
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