こんにちは、遊ぶ数学のウチダです。
対数関数のグラフはかなり特徴的な形をしているため、苦手意識を持つ学生の方は多いです。
「対数とは何か」や「対数に成り立つ基本的な公式」については、以下の記事を参考にしてください。
学校で習ったんですけど、対数関数っていうもの自体があんまりピンときていません。
対数関数のグラフが、正直よく分かっていないです。
OK。そしたら本記事で対数関数のグラフについて、元高校数学教師の僕がわかりやすく解説していくね。
本記事を読むことで、指数関数との関係性もしっかりと理解できます。ぜひご参考ください。
対数関数のグラフの書き方3STEPとその特徴とは?
いきなり結論ですが、対数関数 $y=\log_a{x}$( $a>0$ , $a \neq 1$ ) のグラフは、以下の3STEPを踏めば簡単に書くことができます。
ためしに、以上の手順で $y=\log_3{x}$ のグラフを書いてみましょうか。
今回は $a=3$ なので、点 $(3,1)$ を通ることになります。
対数関数のグラフを書くだけなら、こんなに簡単なんですね!
まずはグラフに書くことに慣れるのが大事だね。さてここからが本題。「なんでこういうグラフの形になるんだろう?」を一緒に考えていくよ。
【重要】指数対数と対数関数は直線y=xに関して対称
指数関数 $y=a^x$ と対数関数 $y=\log_a{x}$ は直線 $y=x$ に関して対称である。
またこの関係を、逆関数(ぎゃくかんすう)と呼ぶ。
逆関数については数Ⅲで詳しく学びますので、言葉は覚えなくてOKです。
逆関数であることの証明も、全然難しくないんだ。ためしにここで証明してみよう。
直線 $y=x$ に関して対称ということは、$x$ と $y$ が入れ替わった関係であることと同値なので、実際に入れ替えてみて確かめればOKです。
ここまで来ると、対数関数のグラフの書き方3STEPの意味がだんだんと分かってきます。
…え、どういうことですか?
つまり指数関数のグラフの特徴を思い出せば、対数関数のグラフの特徴もわかる、ってことなんだ!
先ほどの例 $y=\log_3{x}$ の逆関数である $y=3^x$ で考えてみましょう。
指数関数 $y=3^x$ では
- 点 $(0,1)$ を通る
- 点 $(1,3)$ を通る
- 漸近線が $x$ 軸( $y=0$ )
という3つの特徴がありましたね。
…あ!通る点の $x$ 座標と $y$ 座標が、そっくりそのまま入れ替わっているのが、対数関数 $y=\log_3{x}$ のグラフになっているんだ!
よく気づいたね^^しかも座標だけじゃなく、漸近線も $x$ と $y$ が入れ替わっているんだ。
見比べると一目瞭然ですね。直線 $y=x$ でちょうど折り返した形になっているのが最大のポイントです。
この関係性を理解しておくことで、対数関数のグラフでモヤモヤすることはなくなります。
※今回の話は、指数関数のグラフを理解している前提のお話でした。指数関数のグラフについての詳細は、以下の記事にまとめてあります。
底が1より大きいか小さいかで形が変わる
さて、対数関数のグラフは指数関数のグラフの特徴とだいぶ似ていることが、ここまでの説明でわかったかと思います。
指数関数のグラフでもう一つ重要なことがありましたね。そう、「底が $1$ より大きいか小さいかでグラフの形が変わること」です。
ではためしに、対数関数 $y=\log_{\frac{1}{3}}{x}$ のグラフを書いてみましょう。
$y=\log_3{x}$ のグラフは単調増加していく関数でしたが、$y=\log_{\frac{1}{3}}{x}$ のグラフは単調減少していく関数になりましたね。
底が $1$ より大きいかどうかで増加していくか減少していくかが変わるという特徴は、指数関数と全く同じになります。
対数関数 $y=\log_a{x}$ について、
ⅰ)$a>1$ のとき、増加関数なので、$p<q \iff \log_a{p}<\log_a{q}$ が成り立つ。
ⅱ)$0<a<1$ のとき、減少関数なので、$p<q \iff \log_a{p}>\log_a{q}$ が成り立つ。
この特徴はさっきのように、指数関数と逆にはならないんですね。
今回はさっきのように、$x$ と $y$ がからむ話ではないからね。指数と対数は本質的には同じ数だっていうことを知っていれば、これは納得できるはず!
「指数と対数が本質的に同じ数」というのは、どちらも同じ式から生まれた数だということです。
ここについての詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。
対数関数のグラフの応用問題5選
対数関数のグラフについて学んだところで、応用問題5選を解いていきましょう。
対数関数のグラフの平行移動
問題1.対数関数 $y=\log_2{(2x-4)}$ のグラフを書け。
$x$ の代わりに $2x-4$ が入ってしまった対数関数のグラフです。
こういう場合は、グラフの平行移動の考え方を使って解きましょう。
この問題のポイントは
- 平行移動の公式を知っているか
- 公式に当てはめるように対数を計算することができるか
以上2つです。
グラフの平行移動がよくわからない方は、以下の記事をぜひ読んでみてください。
対数の大小を比べる(底が同じ)2問
問題2.次の数の大小を比較せよ。
(1) $\log_{\frac{1}{3}}{5}$ , $\log_{\frac{1}{3}}{6}$
(2) $\log_4{3}$ , $\log_8{5}$
対数の大小を比べる問題の基本は、「底をそろえること」です。
(2)は、今までに学んできた公式を上手く使って、まずは底をそろえることから始めてみましょう。
この問題のポイントは、
- 底がそろっていない場合、底の変換公式を使って底をそろえること
- 底が $1$ より大きいか小さいかに注意して大小比較すること
以上の2つです。
底の変換公式がよくわからない方は、以下の記事をぜひ読んでみてくださいね。
対数の大小を比べる(真数が同じ・底が異なる)2問
問題3.次の数の大小を比較せよ。
(1) $\log_2{5}$ , $\log_3{5}$
(2) $\log_{\frac{1}{2}}{5}$ , $\log_{\frac{1}{3}}{5}$
最後は少し物珍しい形。真数は同じだけど底が異なる場合の対数の大小比較です。
これはもろに対数関数のグラフの知識を使います。ぜひチャレンジしてみてください。
対数関数のグラフを実際に書いてみることで、視覚的に判断することができます。
たしかに図を書いてみたらよくわかったけど、テストのときも毎回書かなきゃいけないんですか?
書けば間違いないね。一応、グラフを書かない別解についても紹介しておくね。
真数である $5$ を底として、底の変換公式を使うと、
$\displaystyle \log_2{5}=\frac{\log_5{5}}{\log_5{2}}=\frac{1}{\log_5{2}}$
$\displaystyle \log_3{5}=\frac{\log_5{5}}{\log_5{3}}=\frac{1}{\log_5{3}}$
底 $5>1$ より、$\log_5{2}<\log_5{3}$
分母と分数の大小関係は逆転するので、$\log_2{5}>\log_3{5}$
(解答終了)
この別解では、しっかりと式で証明ができているので、テストでおすすめなのはこっちの解答ですね。
理解するための解答と、得点するための解答は、分けて考えるようにしましょう。
まとめ:対数関数のグラフをマスターし、応用問題が解けるようになろう
対数関数のグラフについて、頭の中は整理できましたか?
最後に要点だけまとめておきます。
対数関数のグラフがマスターできたら、次は対数方程式・対数不等式について勉強していきましょう。
対数方程式や対数不等式を扱っている記事はこちらから
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