こんにちは、ウチダです。
本記事は、
「微分係数」
の定義や導関数との違い、また接線の傾きの求め方を問題を通して解説していきます。
微分係数の定義とは
先日の記事で、「微分する」とは「導関数を求める」ことだと言いました。
では、「微分係数を求める」とはいったいどういうことでしょうか。
問題を通して見ていきます。↓↓↓
問題. $y=x^3$ の導関数を求めよ。
これは定義通りに求めれば、$$y’=3x^2$$となりますね。
ここで、微分係数の定義をまとめます!
関数 $f(x)$ の $x=a$ における微分係数 $f'(a)$ は、$$f'(a)=\lim_{h\to 0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h}$$
これって…
導関数 $f'(x)$ に $x=a$ を代入しただけですよね!!
よって、微分係数と導関数の違いとは…
- 微分係数…定数
- 導関数…関数
実はこれだけなんです。
名前からもわかるように、定まっている値なのか、$x$の値によって変わる値なのか、だけの違いです。
では、こんな問題を解いてみましょう。↓↓↓
問題. $y=x^3$ の $x=1$ における微分係数を求めよ。
とりあえず表記上の都合のため、$y=f(x)$ と表します。
先ほど、導関数は$$f'(x)=3x^2$$と求めているので、あとはこの関数に$x=1$を代入して、$$f'(1)=3×1^2=3$$これが答えとなります。
導関数を求めることさえできれば簡単ですね♪
微分係数の意味とは
微分係数は、関数である導関数に特定の値を代入することで求められることは分かりました。
では、次の疑問。
これについて考えていきましょう。
前回の記事で、「導関数とは $x$ の微小変化量に対する $y$ の微小変化量を表す関数」であることをまとめました。
微分係数では、その $x$ に特定の値を代入するんでしたね!
先ほどの例と同じく、$x=1$を代入してみましょうか。
すると、「微分係数…$x=1$ 地点での微小変化量に対する $y$ の微小変化量を表す定数」となることがわかるかと思います。
図にするとこんな感じです。↓↓↓
アニメーションの動きを見てもらえばわかるかと思いますが、PQ間の距離が小さくなっていくほど、点Pの接線に近づいていますね!
微分の定義として、この $PQ$ 間の距離を限りなく $0$ に近づけるので、
こういうことが言えますね。
なので、例えばこんな問題があったとしても一瞬で答えることができますね。↓
問題.$y=x^3$ 上の点 $( \ 1 \ , \ 1 \ )$ における接線の傾きを求めよ。
$y=f(x)$とします。
先ほど、$$f'(1)=3$$と求めていたので、これがそのまま答えになります。
では、接線の傾きがわかりましたので、接線の方程式についても詳しく見ていきましょう。
微分係数から接線の方程式を求める
先ほど、$x=1$での接線の傾きが$f'(1)$であることがわかりました。
接線というのは、一次関数なので、$$y=ax+b$$と表せます。
ここで、
- 通る2点がわかっている
- 通る1点と傾きがわかっている
- 傾きと切片がわかっている
いずれかの条件を満たすとき、直線は一つに決まりますね!
今回は、上から二番目の「通る1点と傾き」がわかっていますので、これを踏まえて次の問題を解いてみましょう。↓↓↓
問題.$y=x^3$ の $x=1$ における接線の方程式を求めよ。
【解答】
$y=f(x)$とおく。
接線の傾きは、$$f'(1)=3$$
よって、接線の方程式は、$$y=3x+b$$とおける。
ここで、点 $( \ 1 \ , \ 1 \ )$ を通るので、$x=1,y=1$ を代入すると、$$1=3×1+b$$
よって、$b=-2$
したがって、接線の方程式は、$$y=3x-2$$
(終了)
直線の方程式に関する記事は以下をご覧ください。
ちなみに、今までの話をまとめると、接線の方程式は以下のように表せます。
関数 $y=f(x)$ のグラフ上の点 $(a,f(a))$ における接線の方程式は、$$y-f(a)=f'(a)(x-a)$$
では次に、こんな応用問題に挑戦してみましょう。
接線の方程式を求める応用問題
問題.$y=x^3$ の接線で、点 $( \ -1 \ , \ -5 \ )$ を通る直線の方程式を求めよ。
この問題の注意点は、点 $( \ -1 \ , \ -5 \ )$ がグラフ上の点ではないというところです。
先ほどの問題では、「グラフ上の点における接線」でしたね。
しかし、基本は一緒。
微分係数が傾きを表すことを利用して解きましょう。
【解答】
$y=f(x)$とおく。
また、接点の$x$座標を$a$とおくと、接点の$y$座標は$f(a)=a^3$なので、接点の座標は$$(a,a^3)$$と表すことができる。(ここがポイント!)
また、$f'(x)=3x^2$より、$$f'(a)=3a^2$$なので、この接線の方程式は、$$y-a^3=3a^2(x-a)$$と表せる。
整理すると、$$y=3a^2x-2a^3 ……①$$
この直線が点 $( \ -1 \ , \ -5 \ )$ を通るので、$x=-1 \ , \ y=-5$ を代入すると、$$-5=3a^2×(-1)-2a^3$$
整理すると、$$2a^3+3a^2-5=0$$
$a=1$のとき、この式は成り立つので、因数定理を用いると、$$(a-1)(2a^2+5a+5)=0$$
よって、$$a=1 または 2a^2+5a+5=0$$
しかし、$2a^2+5a+5=0$ の判別式を $D$ とすると、$$D=5^2-4×2×5=-15<0$$より、実数解を持たない。
したがって、$a=1$ を①に代入して、$$y=3x-2$$
(終了)
あえて今までの問題と同じ接線になるように設定してみましたが、グラフ上の点じゃなくなるだけでここまで難しくなってしまいます…。
微分係数に関するまとめ
いかがだったでしょうか。
今日は「微分係数と導関数の違い」から入り、「微分係数より接線の方程式を求める」問題を解いてみました。
今何となく求めてみた接線ですが、実はこの接線を求めること自体にすごい意味があります!!
概要だけ話すと、なんと接線を求めることで、大体のグラフが書けるようになってしまうのです!!
これは「増減表」と呼ばれる表を作ることと同じです。
以下の記事にまとめてありますので、よろしければご覧ください。
おわりです。
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