こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、皆さんは「順列と組合せ」と言われて、違いがパッとわかりますか?
よく、場合の数を習いたての方の
[ふきだし set=”悩む男性”]順列と組合せの公式は覚えた!でも、どう使い分ければいいのか、まだよくわかってないなぁ…。[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]順列と組合せのそもそもの意味が、よく理解できてないです…。[/ふきだし]
こういった悩みの声を耳にします。
よって本記事では、順列と組合せの最大の違いから、それぞれの公式、また応用問題の解き方・考え方まで
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
順列と組合せの違いとは【順番の「区別」があるかないかです】
結論を一言でまとめると…
- 順番の「区別」がある → 順列
- 順番の「区別」がない → 組合せ
以上になります。
[ふきだし set=”ウチダ”]これだけだとピンときづらいですよね。この記事では色々な具体例を通してわかりやすく解説していくので、ご安心ください。[/ふきだし]
たとえばこんな問題。
(1) $3$ 枚を使って $3$ 桁の自然数を作る
(2) $3$ 枚を選び出す
(1)では、$125$ と $521$ は別の数なので区別しますが、(2)では $(1,2,5)$ と $(5,2,1)$ を区別しません。
まあ、つまるところ
- 並べる … 順列
- 選び出す … 組合せ
というふうにとらえちゃってOKです。
順列と組合せの公式の導出
さて、では次に公式を導出していきましょうか。
ここでは、さっきの問題を例に考えていきます。
【(1)から順列の公式を導く】
$3$ 桁の自然数なので、図のように「 $3$ 箇所に数字をはめ込んでいく」と考える。
よって、求める場合の数は、${}_6{P}_{3}=6×5×4=120$ 通り。
(解答終了)
この話って…使うカードの枚数が何枚になろうが、何桁の自然数になろうが、同じことが言えますよね。
よって、順列の総数を求める公式は以下のようになります。
異なる $n$ 個のものから $r$ 個を取り出して $1$ 列に並べたものを、「 $n$ 個から $r$ 個取る順列」といい、その総数を ${}_n{P}_{r}$ で表す。
※$P$ は「Permutation(順列)」の頭文字を取った。
また、
が成り立つ。
※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
さて、次は組合せの公式を導いてみましょう。
【(2)から組合せの公式を導く】
順列の総数と同じように、組合せの総数を ${}_n{C}_{r}$ で表す。
※$C$ は「Combination(組合せ)」の頭文字を取った。
組合せの公式を導くには、(1)の別解を考える必要がある。
よって(1)より、
が成り立つので、${}_6{C}_{3}=120÷6=20$ 通り。
(解答終了)
(1)の別解を(2)と絡めて考えることによって、「順列と組合せの関係性」を明らかにしましたね!
つまり、「 $1$ つずつ並べる $=$ 選んでから並べる」ということです。
また、ここから組み合わせの総数の公式が導けます。
異なる $n$ 個のものから $r$ 個を取り出して $1$ 組としたものを、「 $n$ 個から $r$ 個取る組合せ」といい、その総数を ${}_n{C}_{r}$ で表す。
また、$${}_n{C}_{r}=\frac{{}_n{P}_{r}}{r!}$$が成り立つ。
※$r!$ は「 $r$ の階乗(かいじょう)」と読み、$r!={}_r{P}_{r}$ を表す。
【重要】順列と組合せの公式からわかること
さて、「順列と組合せの公式がそれぞれどうして成り立つのか。」
これについては理解できたかと思います。
ここで、導き出した組合せの公式をじっと眺めてみましょう。
$${}_n{C}_{r}=\frac{{}_n{P}_{r}}{r!} ……①$$
ためしに両辺に $r!$ をかけてみたりしてみましょうか。
$${}_n{C}_{r}×r!={}_n{P}_{r} ……②$$
①、②からわかること。
それは…
↓↓↓
つまりここから、以下のように一般化することができます!
・区別をつける → 階乗でかける
・区別をなくす → 階乗で割る
[ふきだし set=”ウチダ”]この発想はマジでめちゃくちゃ使います。順番に限らず、なんの区別でも大体これでいけます。[/ふきだし]
以上の性質は、順列と組合せの違いから副次的に得られる結果ですが、「組分け問題(部屋割り問題)」などあらゆる問題で重宝しますので、必ず押さえておきましょう。
順列と組合せの応用問題5選
それでは、ここからは順列と組合せの応用問題をごちゃまぜに $5$ 問解いていきたいと思います。
具体的には
- 委員の選出
- 男女を並べる問題
- 整数を作る問題
- 三角形の個数その1
- 三角形の個数その2
以上 $5$ 問を扱っていきます。
委員の選出
(1) $11$ 人から $3$ 人を選んで、委員長・副委員長・書記を決める場合の数
(2) $6$ 人から $4$ 人の役員を決める場合の数
さて、簡単なごちゃまぜ問題。
どちらが順列で、どちらが組合せか、もうおわかりですね!
【解答】
(1) 委員に区別があるので、順列の考え方を用いて、${}_{11}{P}_{3}=11×10×9=990$ 通り。
(2) 役員に区別がないので、組合せの考え方を用いて、
(2の別解) 役員じゃない人を $2$ 人選ぶと考えてもいいので、
(解答終了)
(1)が順列。(2)が組み合わせですね。
[ふきだし set=”ウチダ”](2)のように、「選ばれる人の方が選ばれない人よりも多い」場合、選ばれない人の組合せを考えた方が計算が楽だし速いです。詳しくは以下の記事をご覧ください。[/ふきだし]
男女を並べる問題
(1) 並び方の総数
(2) 男子が両端にくる場合の数
(3) 女子 $3$ 人が続いて並ぶ場合の数
(4) 女子が隣り合わない場合の数
(4)がやや難問になってます。頑張って解いてみてください。
【解答】
(1) ${}_7{P}_{7}=7!=7・6・5・4・3・2・1=5040$ 通り。
(2) まず、男子 $2$ 人を両端に並べてから、残り $5$ 人の並べ方を数えればOK。
- ⅰ)男子 $4$ 人から $2$ 人を両端に並べる … ${}_4{P}_{2}=4・3=12$ 通り。
- ⅱ)残り $5$ 人を並べる … $5!=5・4・3・2・1=120$ 通り。
ⅰ)ⅱ)より、$12×120=1440$ 通り。
(3) 女子 $3$ 人を一まとめにして考えればよい。
- ⅰ)男子 $4$ 人と女子 $1$ セットの並べ方 … $5!=120$ 通り。
- ⅱ)女子 $3$ 人同士の並び替え … $3!=6$ 通り。
ⅰ)ⅱ)より、$120×6=720$ 通り。
(4) まず、男子 $4$ 人を並べてしまい、その隙間に女子を並べていけばOK。
- ⅰ)男子 $4$ 人の並べ方 … $4!=24$ 通り。
- ⅱ)女子 $3$ 人を「間もしくは両端」に並べる … ${}_5{P}_{3}=60$ 通り。
ⅰ)ⅱ)より、$24×60=1440$ 通り。
(解答終了)
(4)が少し難しいですね。
ふつう、隣り合わない場合の数は「すべての場合の数から隣り合う場合の数を引く」ことで求めますが、この問題の場合は「女子が $2$ 人ではなく $3$ 人」なので、そう考える方がむしろ難しくなります。
[ふきだし set=”ウチダ”]にしてもこの女の子たち…。喧嘩でもしてしまったのでしょうか?いや、もしかするとここは「キャバ〇ラ」的なお店なのかもしれません。[/ふきだし]
…とにかく、数学の問題で得るべき教養は主に“論理的思考力”ですので、問題設定に関してはあまり触れない方が良いのかもしれませんね、、汗
整数を作る問題
さて、問題文が簡潔過ぎて、「ほんとに応用問題?」と疑いたくもなります。
しかし…!しっかり考えていくと、意外と難しいことがだんだんわかってきます。
【解答】
以下 $2$ 点に気を付ける。
- 千の位に $0$ が入ってはダメ。
- 一の位は $0$,$2$,$4$ のいずれか。
ここで、注意しなければいけない数「 $0$ 」がかぶっているため、以下のように分けて考える必要がある。
ⅰ)一の位が $0$ のとき
残り $1$ ~ $5$ の中から $3$ つ取り出して並べればいいので、${}_5{P}_{3}=60$ 個。
ⅱ)一の位が $2$ または $4$ のとき
千の位は $0$ と一の位の数以外の $4$ 通り。
百、十の位は残り $4$ つの中から $2$ つ取り出して並べるから、${}_4{P}_{2}=12$ 通り。
よって、$4×12×2=96$ 通り。
したがってⅰ)ⅱ)より、$60+96=156$ 個。
(解答終了)
[ふきだし set=”ウチダ”]この問題は「 $4$ 桁の整数の数 $-$ $4$ 桁の奇数の数」として求めることもできます。遠回りですが、こっちの方が理解しやすいです(場合分けがいらないため)。[/ふきだし]
男女を並べる問題や整数を作る問題は、ちょっと条件を変えるだけで考え方が全然変わってくるので、「こうやれば解ける」などの固定観念を捨てて問題に取り組むことが重要になってきます。
三角形の個数その1
応用問題と言いましたが、これはかなり基本に入る部類です。
ノーヒントで解いてみましょう!
【解答】
$7$ つの頂点のうち $3$ つを選んで結べば $1$ つの三角形ができる。
したがって、$\displaystyle {}_7{C}_{3}=\frac{7・6・5}{3・2・1}=35$ 個。
(解答終了)
「なぜこの問題をわざわざ取り上げたのか」は、次の問題を解くことで判明します。
三角形の個数その2
さあ最後の問題です。
“等間隔”が地味にキーワードになってます。
【解答】
交点は $3×4=12$ 個なので、$3$ 点の選び方は、$\displaystyle {}_{12}{C}_{3}=\frac{12・11・10}{3・2・1}=220$ 通り。
ここで、$3$ 点が一直線上に並ぶとき三角形ができないことに注意する。
また、図より、
- ⅰ)$4$ 点がのっかる直線 … $3$ 本
- ⅱ)$3$ 点がのっかる直線 … $4+4=8$ 本
であることがわかる。
ⅰ)のときの $3$ 点の選び方 … ${}_4{C}_{3}×3=12$ 通り。
ⅱ)のときの $3$ 点の選び方 … ${}_3{C}_{3}×8=8$ 通り。
したがって、求める三角形の個数は、$220-(12+8)=200$ 個。
(解答終了)
いかがでしょう。
「 $3$ 点が一直線上にある場合を除く」という発想は、言われれば当たり前ですが、言われないと気づきづらいですよね。
[ふきだし set=”ウチダ”]あえて三角形の個数の問題を $2$ 問取り上げた理由が判明しましたね。「整数を作る問題」「三角形の個数(平行線バージョン)」この $2$ 問が解けるようになれば、安心して次のステップへ進んでOKです![/ふきだし]
順列と組合せの違いに関するまとめ
本記事の要点を改めてまとめます。
- 順列と組合せの違いは“区別”の有無!
- 区別をつける(なくす)ためには、「階乗をかける(割る)」をすればOK!
- 整数を作る問題や三角形の個数を求める問題は、細かな部分で注意が必要。
以上をしっかり押さえた上で、様々な知識を吸収していってほしいと思います^^
「場合の数」全 12 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!
終わりです~。
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