こんにちは、ウチダショウマです。
数学Ⅰ「二次関数」を学ぶ上で、必ず押さえておかなければいけない計算技術。
その一つとして「平方完成(へいほうかんせい)」があります。
さて、皆さんはマスターできましたでしょうか?

平方完成のやり方が、よくわからないよぉ。

やり方はわかります!ただ、いつ使うかだったり、平方完成の意味だったり、応用的な部分がわかりません…。
こういった悩みを抱えている方は少なくないと思います。
平方完成は、「いかに正確かスピーディにできるか」が肝ですので、ここでしっかりマスターしておかないと、後々苦労します。
よって本記事では、平方完成のやり方(公式)から平方完成を行う意味まで、練習問題4問を通して
- 東北大学理学部数学科卒業
- 教員採用試験1発合格 → 高校教諭経験アリ
- 現在プロの塾講師
の僕がわかりやすく解説します。
平方完成のやり方(公式)とは?【目指す形を覚えよう】
平方完成のたった一つの最大のポイント。
それは以下の通りです。
二次式をこの形に変形することを「平方完成」といい、この先あらゆる場面で重宝します。

$2$ 乗のことを「平方」、$3$ 乗のことを「立方」と呼ぶのは、小学生の算数でも習ったかと思います。たとえば、面積であれば $cm^2$ と書き「平方センチメートル」、体積であれば $cm^3$ と書き「立方センチメートル」と呼びましたね。
さて、平方完成をする意味や使う場面については後述するとして、まずは練習してみましょう。
例題.二次式 $x^2+8x$ を平方完成しなさい。
$x^2$ の係数が $1$ の場合は一番簡単です。
解答をご覧ください。
この解答でのポイントは、「一次の項 $8x$ の係数 $8$ に注目し、半分の数 $4$ を使う」ということです。
これは平方完成をマスターする上で必ず押さえておきたいことですね。

なんで、一次の項の係数に注目して、半分の数を使う必要があるんですか?

それしか $2$ 乗の形 $(x-p)^2$ で表す方法がないからですね。数学Ⅰ「数と式」で習った展開の公式を利用しています。
展開の公式の一つとして、$(x+a)^2=x^2+2ax+a^2$ というものがあります。
これを利用して、$2ax$ → $(x+a)^2$ となっているから、一次の項の係数を半分にするという発想につながるのです。
≫参考記事:展開の公式とは~(準備中)
平方完成の練習問題4選
それでは早速ですが、練習問題を何問か解いてみましょう。
いきなり応用問題もありますが、先ほどの例題を参考にすれば解けるはずなので、ぜひ頑張ってみてください。
練習1.次の二次式を平方完成しなさい。
(1) $x^2-5x-1$
(2) $2x^2+8x+3$
(3) $-x^2+2x+2$
(4) $\displaystyle \frac{1}{2}x^2+x+1$
(1)以外は $a≠1$ なので少し工夫が必要です。
少し考えてみてから解答をご覧ください。
(2)以降は、解答がすべて $4$ 行ですね!
なので、この $4$ 行の操作を、言葉でそれぞれまとめておきます。
- $x$ が含まれている項を、$x^2$ の係数 $a$ でくくる。
- 一次の項の係数の半分を利用して、$(x-p)^2$ を作る。
- このとき、中括弧 { } を忘れずに!!
- $a$ を分配して、$a(x-p)^2$ を作る。
- 残った部分( $+q$ の部分)を計算して、$a(x-p)^2+q$ の完成!★


なるほど!行ごとに操作を覚えておけば、どんな二次式の平方完成でも迷うことなくできますね!

そうですね!平方完成をミスしてしまう生徒にありがちなのが、「計算を省略しようとして計算ミスをしてしまう」ことです(特に②の中括弧忘れが多い)。
たしかに平方完成は、正確性だけでなくスピードも重要です。
しかし、スピードを求めて正確性を欠いては本末転倒なので、「必ず $4$ 行の式変形をするんだ」というスタンスの方が良いと思いますよ。
※ただし、$a=1$ の場合のみ①と③の操作が必要ないため、$2$ 行の式変形となります。
平方完成をする意味って?いつ使うの?
それでは平方完成の練習が終わりましたので、いよいよ「平方完成の意味」について考えていきます。
平方完成を行う意味は、ズバリこれです。
二次関数 $y=a(x-p)^2+q$ のグラフの頂点の座標は $( \ p \ , \ q \ )$ で求まる!
つまり、平方完成を行うことによって頂点の座標がいとも簡単にわかってしまう、ということです。

なるほど、だから二次関数の単元で平方完成を学ぶんだね。でも、なんで頂点の座標がわかるの?
ということで、「なぜ平方完成をすると頂点の座標がわかるのか」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
なぜ平方完成をすると頂点の座標がわかるのか
実数の大きな特徴として、「 $2$ 乗した数は必ず $0$ 以上の数になる」という性質がありますね。
そして、平方完成された形には、$(x-p)^2$ にしか $x$ がありません。
つまり、$(x-p)^2=0$ となる $x$ が頂点になる、ということになります。


$a$ がプラスのときは最小値、$a$ がマイナスのときは最大値がわかります。どちらともに共通していることは「出っ張っている点」、すなわち頂点だということです。

これで、なんで $(x+p)^2$ じゃなくて $(x-p)^2$ なのかもわかりました!
$(x-p)^2=0$ を解くと、$x-p=0$ つまり $x=p$ となるので、そのときの $y$ は $q$ となることから、頂点の座標は $( \ p \ , \ q \ )$ と求めることができますね。
ここまでセットで理解しておけば、大体OKです。
結論:$x=p$ のとき、$(x-p)^2=0$ となり、また $(x-p)^2$ は必ず $0$ 以上の値をとるから。
今回あわせて学習した「二次関数のグラフ」や、もう一つの代表的な応用例「式と証明」についての詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。
式と証明とは~(準備中)
それでもよくわからない方はこちらの記事を
以上が、平方完成における基本の解説になります。
ただ、これだけの説明だと、数式をたくさん扱っているので、「じっくり読んだけどよくわからなかった…」という方も少なからずいることでしょう。
そんな方にオススメな記事をご用意しました。
それが「平方完成を図形の面積で考えてみた」こちらの記事になります!

数式は苦手だけど、意外と図形は理解できるという方も多いです。そういう方でなくても、平方完成を様々な角度から学習しておくことは面白いので、結構オススメの記事ですよ^^
平方完成は正確性とスピードが命だ!
それではここで、少し精神論的なお話をしたいと思います。
平方完成は…
- 野球部で言う「キャッチボール」であり、
- サッカー部で言う「リフティング」であり、
- バスケ部で言う「ドリブル」である。
つまり、平方完成は“できて当たり前”のレベルじゃないと、二次関数の問題に太刀打ちできない、ということです。

これだけだとあまりに精神論過ぎるので、今回はテストを用意しました!下のリンクからぜひ挑戦してみてください^^
ちなみに、僕のタイムは「4分45秒18」でした。
問題も僕が作ってますし、正確な数字ではないでしょうけど、7分くらいで解けるようになれば計算力に自信を持っていいと思います。

答えを見たら、式変形が $2$ 行や $3$ 行で終わっていますが、やっぱり $4$ 行使うのは遅いですか?

これはあくまで「数学とずっと慣れ親しんできた僕」の解答であって、慣れていない人は必ず $4$ 行使うようにしてください。$4$ 行使って式変形しても、慣れてくれば $7$ 分で $20$ 問解けるようになります。
平方完成に関するまとめ
それでは最後に、本記事のポイントをまとめます。
- 平方完成のやり方は、以下の $4$ つの手順に従うだけでOK!!
- $x$ が含まれている項を、$x^2$ の係数 $a$ でくくる。
- 一次の項の係数の半分を利用して、$(x-p)^2$ を作る。
※このとき、中括弧 { } を忘れずに!! - $a$ を分配して、$a(x-p)^2$ を作る。
- 残った部分( $+q$ の部分)を計算して、$a(x-p)^2+q$ の完成!★
- 平方完成ができれば、「二次関数のグラフ」を書いたり、「式と証明」で利用したりできます。
- 「平方完成を図形の面積で考えてみた」解説記事も用意しました。ぜひあわせてチェックしておこう👍
平方完成マスターになってくると、平方完成するのが楽しくなってきます。
では、数学変人の世界の入り口で、お待ちしております。(笑)
数学Ⅰ「二次関数」の全 $12$ 記事をまとめた記事を作りました。よろしければこちらからどうぞ。
おわりです。
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