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排反と独立の違いとは?【ヒント:試行と事象】

こんにちは、ウチダです。

いつもお読みいただきましてありがとうございます。

さて、確率の分野って、ややこしくて難しいですよね。

その中でも、こんな声をよく耳にします。

[ふきだし set=”悩む男性”]確率が本当に苦手。その中でも特に「排反と独立の違い」がよくわからないなぁ。[/ふきだし]

[ふきだし set=”悩む女性”]排反と独立の違いをしっかり理解した上で、問題が解けるようになりたいな~。[/ふきだし]

よって本記事では、「排反と独立の違いとは何か」から、排反と独立が深く関係する問題 $3$ 選まで

  • 東北大学理学部数学科卒業
  • 実用数学技能検定1級保持
  • 高校教員→塾の教室長の経験あり

の僕がわかりやすく解説します。

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目次

排反と独立の違いとは【排反事象は和の法則、独立試行は積の法則】

いきなりですが、端的に結論を示します。

排反事象…和の法則により証明。足し算の形になる。
独立試行…積の法則により証明。掛け算の形になる。

試行は英語で「Trial」、事象は英語で「Event」なので、たとえばサイコロを投げて $6$ の目が出たときであれば、

  • サイコロを投げる → 試行
  • $6$ の目が出る → 事象

となります。

また、この結論からわかる通り、排反は事象に対して定義されるのに対し、独立は試行に対して定義されます。

まずはこの違いを認識しましょう。

では次に、「和の法則・積の法則」部分の説明をします。

基本は「場合の数→確率」を適用してOK

場合の数で成り立つことは、ほとんど確率でも成り立ちます。

和の法則・積の法則をもう一度復習しておくと…

・和の法則 $⇒$ $A$、$B$ の起こり方に重複がないとき、$A+B$ とできる。
・積の法則 $⇒$ $A$ のどの場合に対しても同じだけ $B$ の起こり方があるとき、$A×B$ とできる。

こんな法則でしたね^^

[ふきだし set=”ウチダ”]「和の法則・積の法則がよくわかっていない…」という方は、以下の記事から読み進めることをオススメします。[/ふきだし]

この法則によって成り立つのが、“排反事象と独立試行における確率”なわけです。

【確率は難しい】それは半分正しく半分ウソ

さて、ここまで理解した上で、”排反と独立”それぞれの言葉の定義を見てみましょうか。

  • 排反…事象 A、B が同時に起こることがないとき、「事象 A、B は互いに排反である」という。
  • 独立…前に行った試行の結果が次の試行に全く影響を与えないとき、この試行は「独立である」という。

…なんか、言ってることそんなに変わってなくないですか?

いきなり言葉の定義を見てしまうから「うわっ」と思うだけで、実はごくごく当たり前のことを言っていたりします。

これが「確率が難しくない」理由です。

[ふきだし set=”ウチダ”]しかしながら、大学で確率を専攻すると「独立事象」とか出てきてやっかいになります。これが「確率が難しい」理由です。[/ふきだし]

ただ高校で学ぶ確率は、感覚的な理解で十分に太刀打ちできますので、厳密性にこだわりすぎるのはやめましょうね。

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排反と独立の違いがよくわかる問題3選

それでは次に、実際に問題を解いて理解を深めていきます。

具体的には、

  • サイコロの確率の問題
  • 玉を取り出す確率の問題
  • じゃんけんの確率の問題

以上 $3$ 問について考えていきましょう。

サイコロの確率の問題

問題. サイコロを $3$ 回続けて投げる。このとき、次の確率を求めなさい。
(1) 目の和が平方数である確率
(2) 目の積が奇数である確率

確率の定義通り、$\displaystyle \frac{事象 A の場合の数}{全事象の場合の数}$ で求めることも可能ですが、これからは排反と独立を積極的に活用していきましょう。

なぜなら、そっちの方が計算がラクになる場合が多いからです。

【解答】

(1) サイコロを $3$ 回投げたときの目の出方は、$(1,1,1)$ ~ $(6,6,6)$ が考えられる。

つまり、$3$ 以上 $18$ 以下であるので、この中で平方数となるのは、

  • ⅰ)…目の和が $4$
  • ⅱ)…目の和が $9$
  • ⅲ)…目の和が $16$

の $3$ 通りである。

ⅰ)…目の和が $4$ である組合せは、$(1,1,2)$ の $1$ 通り。

よって並び替えを考慮して、目の和が $4$ である確率は、$\displaystyle \frac{{}_3{C}_{1}}{6^3}=\frac{3}{216}$

ⅱ)…目の和が $9$ である組合せは、$(1,2,6),(1,3,5),(1,4,4),(2,2,5),(2,3,4),(3,3,3)$ の $6$ 通り。

よって並び替えを考慮して、目の和が $9$ である確率は、$\displaystyle \frac{3!+3!+{}_3{C}_{1}+{}_3{C}_{1}+3!+1}{6^3}=\frac{25}{216}$

ⅲ)…目の和が $16$ である組合せは、$(4,6,6),(5,5,6)$ の $2$ 通り。

よって並び替えを考慮して、目の和が $16$ である確率は、$\displaystyle \frac{{}_3{C}_{1}+{}_3{C}_{1}}{6^3}=\frac{6}{216}$

ⅰ)~ⅲ)は互いに排反なので、足せばOK!!

したがって、求める確率は、$\displaystyle \frac{3+25+6}{216}=\frac{34}{216}=\frac{17}{108}$ である。

(2) 目の積が奇数であるときの組合せは $(奇,奇,奇)$ の $1$ 通りしかない。

また、サイコロを投げるという事象は独立なので、それぞれの確率をかければOK!!

したがって、求める確率は、$\displaystyle \frac{1}{2}×\frac{1}{2}×\frac{1}{2}=\frac{1}{8}$ である。

(解答終了)

(1)の解答が長くなってしまいましたが、ようは分けて考えて最後に足せばOKということです。

(2)も、分けて考えて最後にかければOKですね^^

[ふきだし set=”ウチダ”]あえて少し難しめの問題設定にしてみました。より基礎の問題は以下の記事で扱ってます![/ふきだし]

玉を取り出す確率の問題

問題. $A$ の袋には赤玉 $2$ 個と白玉 $3$ 個、$B$ の袋には赤玉 $2$ 個と白玉 $4$ 個が入っている。$A$,$B$ の袋から $1$ 個ずつ玉を取り出すとき、それらが同じ色の玉である確率を求めなさい。

次は少しレベルアップし、排反と独立が混ざったような問題を解いていきます。

【解答】

同じ色の玉である場合というのは、

  • ⅰ)…ともに赤玉である場合
  • ⅱ)…ともに白玉である場合

の $2$ パターンがある。

ⅰ)…ともに赤玉である確率

それぞれの袋から玉を取り出す試行は独立なので、$\displaystyle \frac{2}{5}×\frac{2}{6}=\frac{4}{30}$

ⅱ)…ともに白玉である確率

それぞれの袋から玉を取り出す試行は独立なので、$\displaystyle \frac{3}{5}×\frac{4}{6}=\frac{12}{30}$

【排反と独立の違い】同じ色の玉を取り出す確率

また、ⅰ)ⅱ)の事象は互いに排反であるから、求める確率は $\displaystyle \frac{4+12}{30}=\frac{16}{30}=\frac{8}{15}$ である。

(解答終了)

独立を利用してそれぞれの確率を求め、最後に排反を利用して足す。

これは王道パターンですので、ぜひ押さえておきましょう。

[ふきだし set=”ウチダ”]細かいところですが、どうせ最後に確率を足すことになるので、ⅰ)やⅱ)で約分をするのは時間の無駄です。[/ふきだし]

約分を最後にまとめて行う」というクセを付けると、計算が少し楽になりますよ。

じゃんけんの確率の問題

問題. $3$ 人でじゃんけんをして、負けた人から順に抜けていき、最後に残った $1$ 人を優勝者とする。あいこも $1$ 回と数えるとき、ちょうど $2$ 回目で優勝者が決まる確率を求めなさい。

ラストは、応用としてよく出題される「じゃんけんの確率」の問題です!

ノーヒントで解答に移ります。ぜひ一度考えてから解答をご覧ください。

【解答】

ちょうど $2$ 回目で優勝者が決まる場合は

  • ⅰ)…$1$ 回目があいこで、$2$ 回目で $1$ 人勝ち
  • ⅱ)…$1$ 回目で $1$ 人負け、$2$ 回目で $1$ 人負け

の $2$ 通りが考えられる。

ⅰ)…$1$ 回のじゃんけんであいこになる確率は、「全員が同じ手」もしくは「全員がバラバラの手」のときであるから、確率の定義に従って、$\displaystyle \frac{3+3!}{3^3}=\frac{1}{3}$

また、$1$ 人勝ちする確率は、「誰が何の手で勝つか」を考慮すると、$\displaystyle \frac{3×3}{3^3}=\frac{1}{3}$

よって、それぞれのじゃんけんは独立なので、$\displaystyle \frac{1}{3}×\frac{1}{3}=\frac{1}{9}$ である。

ⅱ)…$1$ 回目で $1$ 人負ける確率は、$1$ 人勝ちする確率と等しいので、$\displaystyle \frac{1}{3}$

$2$ 回目のじゃんけんでは、人数が $1$ 人減っているため、「誰が何の手で勝つか」を考慮して、$\displaystyle \frac{2×3}{3^2}=\frac{2}{3}$

よって、それぞれのじゃんけんは独立なので、$\displaystyle \frac{1}{3}×\frac{2}{3}=\frac{2}{9}$ である。

したがって、ⅰ)ⅱ)の事象は互いに排反であるから、求める確率は $\displaystyle \frac{1+2}{9}=\frac{3}{9}=\frac{1}{3}$ である。

(解答終了)

解き方は玉を取り出す問題とほぼ同じですが、それぞれの確率を求める部分が複雑ですよね(^_^;)

じゃんけんの確率って意外とむずいんですよ。

[ふきだし set=”ウチダ”]じゃんけんの確率のポイントは「誰が何の手で勝つか」を考えることです。より詳しく知りたい方は以下の記事をあわせてご覧ください。[/ふきだし]

排反と独立の違いに関するまとめ

本記事のポイントを改めてまとめます。

  • 排反事象であれば足し算、独立試行であれば掛け算で求めよう。
  • 和の法則・積の法則」の確率バージョンです。
  • これからの基本となるため、しっかりマスターしよう!

特に”独立試行”はこれから重点的に扱っていきます。

独立試行の代表例である“反復試行”や、逆に独立ではない試行である“条件付き確率”などなど。

[ふきだし set=”ウチダ”]反復試行や条件付き確率については以下の記事で詳しく解説してます![/ふきだし]

以上で終わりです~。

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コメント一覧 (3件)

  • 独立は試行に対して定義されると書かれていて、その後問題の解説の途中で
    また、サイコロを投げるという事象は独立なので、それぞれの確率をかければOK!!
    と書かれていますが、矛盾していませんか。

    • ゆみぷ様
      ホントですね!思いっきり計算ミスしてました…
      修正させていただきます!ありがとうございます!

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