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不定方程式の解き方4パターンとは?【方程式の整数解の問題9選を通して解説】

こんにちは、ウチダです。

不定方程式(ふていほうていしき)」と一口に言いましても、いろんな形のものがあります。

特に、$ax+by=c$ の形は「一次不定方程式」と言われ、こちらの記事でより詳しく解説しています。

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一次不定方程式の解き方とは?【応用問題3選もわかりやすく解説します】 「一次不定方程式」の解き方がよくわからない?本記事では、一次不定方程式の特殊解の見つけ方から、ユークリッドの互除法を用いる問題、さらに一次不定方程式の応用問題3選まで、わかりやすく解説します。「一次不定方程式マスター」になりたい方必見です。
数学太郎
一次不定方程式も重要だけど、他の不定方程式の解き方も知りたいな。
数学花子
解き方が $4$ パターンあるとのことですが、詳しく解説してもらいたいです。

よって本記事では、不定方程式の解き方 $4$ パターンを、不定方程式の問題 $9$ 選を通して

  • 東北大学理学部数学科卒業
  • 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ

の僕がわかりやすく解説します。

※本記事において、途切れている数式が数多く出てきますが、すべて横にスクロールできますのでご安心ください。(スマホでご覧の方対象。)

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目次

不定方程式の解き方4パターンとは?

不定方程式の解き方 $4$ パターン

  • 一次不定方程式 → ユークリッドの互除法を活用。
  • 二次不定方程式 → 因数分解できればする。
    • できない場合…判別式 $D$ の条件から候補を絞る。
  • 分数不定方程式 → 下から(上から)評価。

これは必ず押さえておきたいですね☆

重要なので、表でもまとめておきます。

不定方程式の種類解くために必要な知識

一次不定方程式

ユークリッドの互除法
二次不定方程式
(因数分解できる)
因数分解
二次不定方程式
(因数分解できない)
判別式 $D$
分数を含む不定方程式下から(上から)評価する技術

※数学で「評価する」と言う場合、「不等式を使って大小関係を表すこと」を意味します。

実際に問題を解いていった方がわかりやすいため、早速ですが次に参ります!

不定方程式の問題9選

具体的には

計 $9$ 問を解説していきます。

ウチダ
それぞれリンクになってますので、好きな所から読み進めてもOKです!

一次不定方程式の整数解【2問】

問題. 次の不定方程式の整数解を求めなさい。
(1) $3x-5y=1$
(2) $53x+17y=1$

まずは次数が $1$ 次の不定方程式、つまり「一次不定方程式」の問題です。

一次不定方程式の解き方は、特殊解を見つけること。

これに尽きます。

【解答】

(1) $x=2$,$y=1$ のとき成り立つ。

よって、$$\left\{\begin{array}{ll}3x&-5y&=1 …①\\3・2&-5・1&=1 …②\end{array}\right.$$

$①-②$ をすると $3(x-2)=5(y-1)$ となり、$3$ と $5$ は互いに素であるため、ある整数 $k$ を用いて $x-2=5k$ と表せる。

したがって、求める一般解は$$x=5k+2 \ , \ y=3k+1 \ ( \ k \ は整数)$$

(2) ユークリッドの互除法より、

$53=17×3+2 \ ⇔ \ 2=53-17×3 …③$

$17=2×8+1 \ ⇔ \ 1=17-2×8 …④$

③、④より、

\begin{align}1&=17-2×8\\&=17-(53-17×3)×8\\&=53×(-8)+17×25\end{align}

よって、$x=-8$,$y=25$ が特殊解となる。

あとは同様の方法で $53(x+8)=17(25-y)$ が導ける。

したがって、求める一般解は$$x=17k-8 \ , \ y=-53k+25 \ ( \ k \ は整数)$$

(解答終了)

関連記事はこちらから

二次不定方程式(因数分解できる)【3問】

問題. 次の不定方程式の整数解を求めなさい。
(1) $xy-x+5y=0$
(2) $\displaystyle \frac{1}{x}-\frac{2}{y}=1$
(3) $3x^2-5xy-2y^2+13x+9y-17=0$

(1)や(2)って二次不定方程式なの?と感じる方もいるかと思います。

ただ、(1)では $xy$,(2)でも計算過程において $xy$ が登場するため、二次式といってよいでしょう。

さて、(3)の因数分解は少し難しいです。

ぜひチャレンジしてみてくださいね!

【解答】

(1) $x(y-1)+5y=0$ となるので、両辺に $-5$ をして

$x(y-1)+5(y-1)=-5$

よって、$$(x+5)(y-1)=-5 …①$$

①を満たす整数解は

\begin{align}( \ x+5 \ , \ y-1 \ )=( \ 1 \ , \ -5 \ ) \ , \ ( \ 5 \ , \ -1 \ ) \ , \ ( \ -1 \ , \ 5 \ ) \ , \ ( \ -5 \ , \ 1 \ )\end{align}

の $4$ つ。

したがって、求める整数解は

\begin{align}( \ x \ , \ y \ )=( \ -4 \ , \ -4 \ ) \ , \ ( \ 0 \ , \ 0 \ ) \ , \ ( \ -6 \ , \ 6 \ ) \ , \ ( \ -10 \ , \ 2 \ )\end{align}

(2) 両辺に $xy$ をかけると、$y-2x=xy$ となる。

あとは(1)と同様に、$(x-1)(y+2)=-2$ と式変形することで、

\begin{align}( \ x-1 \ , \ y+2 \ )=( \ 1 \ , \ -2 \ ) \ , \ ( \ 2 \ , \ -1 \ ) \ , \ ( \ -1 \ , \ 2 \ ) \ , \ ( \ -2 \ , \ 1 \ )\end{align}

の $4$ つが解の候補となる。

ただし、最初の式 $\displaystyle \frac{1}{x}-\frac{2}{y}=1$ より、

  • $x≠0 \quad ⇔ \quad x-1≠-1$
  • $y≠0 \quad ⇔ \quad y+2≠2$

に注意すると、

\begin{align}( \ x-1 \ , \ y+2 \ )=( \ 1 \ , \ -2 \ ) \ , \ ( \ 2 \ , \ -1 \ ) \ , \ ( \ -2 \ , \ 1 \ )\end{align}

の $3$ つが解となる。

したがって、求める整数解は

\begin{align}( \ x \ , \ y \ )=( \ 2 \ , \ -4 \ ) \ , \ ( \ 3 \ , \ -3 \ ) \ , \ ( \ -1 \ , \ -1 \ )\end{align}

(3) $3x^2-5xy-2y^2=(3x+y)(x-2y)$ と因数分解できることに注目する。

二次不定方程式(因数分解できる)【3問】

よって、

\begin{align}3x^2-5xy-2y^2+13x+9y-17=(3x+y+p)(x-2y+q)+r\end{align}

として、定数 $p$,$q$,$r$ を係数比較(※1)によって求めていく。

実際に求めると、$p=-2$,$q=5$,$r=-7$ となり、$$(3x+y-2)(x-2y+5)=7$$

となるため、あとは同様に

\begin{align}( \ 3x+y-2 \ , \ x-2y+5 \ )=( \ 1 \ , \ 7 \ ) \ , \ ( \ 7 \ , \ 1 \ ) \ , \ ( \ -1 \ , \ -7 \ ) \ , \ ( \ -7 \ , \ -1 \ )\end{align}

の $4$ つを、$x$,$y$ について解くと、

\begin{align}( \ x \ , \ y \ )=( \ \frac{8}{7} \ , \ -\frac{3}{7} \ ) \ , \ ( \ 2 \ , \ 3 \ ) \ , \ ( \ -\frac{10}{7} \ , \ \frac{37}{7}\ ) \ , \ ( \ -\frac{16}{7} \ , \ \frac{13}{7} \ )\end{align}

したがって、求める整数解は $( \ x \ , \ y \ )=( \ 2 \ , \ 3 \ )$ の $1$ つのみ。

(解答終了)

計算は大変ですが、因数分解ができてしまえば勝ちです。

※1.係数比較って?

これは数学Ⅱで学ぶ「恒等式(こうとうしき)」という考え方を使っています。

【恒等式とは】
変数 $x$ がどんな値でも成立する式。
たとえば $ax+b=cx+d$ が恒等式のとき、$$a=c \ かつ \ b=d$$が成り立つ(係数比較できる)。

気になる方は、「恒等式とは~(準備中)」の記事で学習しましょう!

二次不定方程式(因数分解できない)

問題. 不定方程式 $5x^2+4xy+y^2-8x-2y+4=0$ の整数解を求めなさい。

さて、この二次不定方程式における前半部分 $5x^2+4xy+y^2$ が因数分解できませんね。

こういう場合、

  • $y$ を定数、つまり $x$ の $2$ 次方程式だと考える
  • 判別式 $D$ について条件を与える

という方針で解いていきます。

【解答】

$y$ を定数と見て、$x$ について降べきの順で整理すると、

$$5x^2+4(y-2)x+(y^2-2y+4)=0$$

判別式を $D$ として、$\displaystyle \frac{D}{4}=D’$ とすると、二次方程式の解の公式より、$$x=\frac{-2(y-2)±\sqrt{D’}}{5}$$

また、

\begin{align}D’&={2(y-2)}^2-5(y^2-2y+4)\\&=4y^2-16y+16-5y^2+10y-20\\&=-y^2-6y-4=-(y+3)^2+5\end{align}

$\sqrt{D’}$ が整数値にならなければいけないため、$D’≧0$ かつ $D’$ は平方数。

ⅰ)$D’≧0$ より、$(y+3)^2≦5$

$y$ は整数より、$|y+3|=0,1,2$ なので、$$y=-5 \ , \ -4 \ , \ -3 \ , \ -2 \ , \ -1$$

ⅱ)$D’$ は平方数より、$y=-3$ のとき $D’=5$ となるため不適。

他はOK。

よって、$4$ つの候補 $y=-5$,$y=-4$,$y=-2$,$y=-1$ のうち $x$ も整数となるものを探していく。

① $y=-5$ のとき

$\displaystyle x=\frac{-2(-5-2)±1}{5}=\frac{14±1}{5}$ より、$x=3$ は適する。

② $y=-4$ のとき

$\displaystyle x=\frac{-2(-4-2)±2}{5}=\frac{12±2}{5}$ より、$x=2$ は適する

③ $y=-2$ のとき

$\displaystyle x=\frac{-2(-2-2)±2}{5}=\frac{8±2}{5}$ より、$x=2$ は適する。

④ $y=-1$ のとき

$\displaystyle x=\frac{-2(-1-2)±1}{5}=\frac{6±1}{5}$ より、$x=1$ は適する。

したがって、求める整数解は

\begin{align}( \ x \ , \ y \ )=( \ 3 \ , \ -5 \ ) \ , \ ( \ 2 \ , \ -4 \ ) \ , \ ( \ 2 \ , \ -2 \ ) \ , \ ( \ 1 \ , \ -1 \ )\end{align}

(解答終了)

因数分解ができない場合は、解の公式を使って判別式 $D$ に成り立つ条件を考えましょう。

ウチダ
この方法でも解けない不定方程式は高校範囲じゃないため、ここでは省略します。判別式については「判別式dとは?【公式・4分のdの意味・いつ使うかわかりやすく解説します】」の記事をご覧ください。
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分数を含む不定方程式【2問】

問題. 次の不定方程式の自然数解を求めなさい。
(1) $\displaystyle \frac{1}{x}+\frac{1}{y}=\frac{2}{3}$ かつ $x≦y$
(2) $\displaystyle \frac{1}{a}+\frac{1}{2b}+\frac{2}{3c}=\frac{5}{3}$ かつ $a≦b≦c$

さて、次は分数を含み、

  • 整数解ではなく自然数解
  • 変数同士の大小関係アリ

といった条件のある不定方程式です。

ウチダ
これだけ条件が多いと、解も少なくなりそうですね。

$x≦y$ から上手く候補を絞り込んでいきましょう。

【解答】

(1) $x≦y$ より、$\displaystyle \frac{1}{y}≦\frac{1}{x}$ なので、

\begin{align}\frac{2}{3}=\frac{1}{x}+\frac{1}{y}&≦\frac{1}{x}+\frac{1}{x}\\&=\frac{2}{x}\end{align}

よって、$\displaystyle \frac{2}{3}≦\frac{2}{x}$ より、$x≦3$ であるから、候補は $3$ つに絞られる。

ⅰ) $x=1$ のとき

$\displaystyle 1+\frac{1}{y}=\frac{2}{3}$ を満たす自然数 $y$ は存在しない。

ⅱ) $x=2$ のとき

$\displaystyle \frac{1}{2}+\frac{1}{y}=\frac{2}{3}$ より $y=6$

これは $x≦y$ を満たす。

ⅲ) $x=3$ のとき

$\displaystyle \frac{1}{3}+\frac{1}{y}=\frac{2}{3}$ より $y=3$

これは $x≦y$ を満たす。

したがってⅰ)~ⅲ)より、求める自然数解は$$( \ x \ , \ y \ )=( \ 2\ , \ 6 \ ) \ , \ ( \ 3 \ , \ 3 \ )$$

(2) $a≦b≦c$ より $\displaystyle \frac{1}{c}≦\frac{1}{b}≦\frac{1}{a}$ なので、

\begin{align}\frac{5}{3}=\frac{1}{a}+\frac{1}{2b}+\frac{2}{3c}&≦\frac{1}{a}+\frac{1}{2a}+\frac{2}{3a}\\&=\frac{13}{6a}\end{align}

よって、$\displaystyle \frac{5}{3}≦\frac{13}{6a}$ より、$\displaystyle a≦\frac{13}{10}$ であるから、候補は $a=1$ のみ。

よって $a=1$ を代入し整理すると、$\displaystyle \frac{1}{2b}+\frac{2}{3c}=\frac{2}{3}$

同じように、$\displaystyle \frac{1}{c}≦\frac{1}{b}$ なので、

\begin{align}\frac{2}{3}=\frac{1}{2b}+\frac{2}{3c}&≦\frac{1}{2b}+\frac{2}{3b}\\&=\frac{7}{6b}\end{align}

よって、$\displaystyle \frac{2}{3}≦\frac{7}{6b}$ より、$\displaystyle b≦\frac{7}{4}$ であるから、候補は $b=1$ のみ。

よって $b=1$ を代入し整理すると、$\displaystyle \frac{2}{3c}=\frac{1}{6}$

これを解くと $c=4$ であり、$a≦b≦c$ を満たす。

したがって、求める自然数解は$$( \ a \ , \ b \ , \ c \ )=( \ 1 \ , \ 1 \ , \ 4 \ )$$

(解答終了)

候補を絞り込んでいく作業が楽しくないですか?♪

これで分数を含む不定方程式もバッチリですね!

無限降下法(応用)

問題. 不定方程式 $a^2+b^2=3(x^2+y^2) …①$ の整数解を求めなさい。

さあラストの問題。

もちろん $a=b=x=y=0$ が解の一つであることはすぐにわかりますね。

さて、先にお伝えしてしまうと…

実はこの不定方程式、「全部 $0$ 」以外の整数解が存在しません!

それを「無限降下法(むげんこうかほう)」という証明方法を使って示していきます。

【解答】

いずれかが $0$ ではない整数解 $( \ a_1 \ , \ b_1 \ , \ x_1 \ , \ y_1 \ )$ が存在すると仮定する。

$①$ の式に代入して、 ${a_1}^2+{b_1}^2=3({x_1}^2+{y_1}^2) …①’$ より、${a_1}^2+{b_1}^2$ は $3$ の倍数になる。

ここで、平方数を $3$ で割った余りは $0$ もしくは $1$ であるから、

  • $a_1$ も $3$ の倍数 → $a_1=3a_2$
  • $b_1$ も $3$ の倍数 → $b_1=3b_2$

が成り立ち、$①’$ に代入して両辺を $3$ で割ると、$${x_1}^2+{y_1}^2=3({a_2}^2+{b_2}^2)$$

つまり、新しい解 $( \ x_1 \ , \ y_1 \ , \ a_2 \ , \ b_2 \ )$ が導ける。

$a_1=3a_2$,$b_1=3b_2$ より、もちろん新しい解の方が小さい。

よって、

\begin{align}|a_1|+|b_1|+|x_1|+|y_1|&>|x_1|+|y_1|+|a_2|+|b_2|\\&>|a_2|+|b_2|+|x_2|+|y_2|\\&>…\end{align}

と無限に繰り返すことができるが、自然数の最小性に矛盾。

よって背理法より、いずれかが $0$ ではない整数解を持たない。

したがって、求める整数解は $a=b=x=y=0$ のみ。

(証明終了)

無限降下法は、フェルマーの最終定理( $n=4$ )の証明などにも用いられる重要な証明方法です。

ウチダ
授業ではほとんど習わない研究内容です。詳しく知りたい方は「無限降下法とは?【フェルマーの最終定理などの応用例3選を解説】」の記事をご覧ください。

不定方程式をしっかりマスターしたいと思ったら…?

ここまでお疲れさまでした。(^_^;)

本記事のまとめをします。

  • 解き方は4パターン押さえればOK。
    • 一次不定方程式」には、ちゃんと解き方(「ユークリッドの互除法」)があります
    • 二次になったら、まずは「因数分解」を疑おう。
    • 因数分解できない場合は「判別式」を使う!
    • 分数が出てきたら、不等式で下から(上から)評価しよう。
  • 無限降下法」は応用内容。興味があれば勉強しよう!

不定方程式は、整数問題の華です。

しっかりマスターしたい方は、「マスターオブ整数」を使ってじっくり勉強した方が良いと思います。

ウチダ
これ一冊やり込めば、整数問題はマジで怖いものなしです。整数問題の参考書で、これ以上に良い本はないと思います。

ぜひご参考ください。

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終わりです。

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