無限降下法とは?【フェルマーの最終定理などの応用例3選を解説】

こんにちは、ウチダショウマです。

いつもお読みいただきましてありがとうございます。

さて、数学の証明方法には様々なものがあります。

その中で、背理法と数学的帰納法の2つの顔を持つもの。

それが「無限降下法(後ろ向き帰納法)」と呼ばれる証明方法です。

↓↓↓使うと証明できること↓↓↓

  • ルート $2$ が無理数であること
  • フェルマーの最終定理( $n=4$ )
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無限降下法?難しそうだね。原理をわかりやすく解説してほしいな。
数学花子のアイコン画像数学花子
無限降下法をどのように使うのか、具体的な応用例も知りたいわ。

よって本記事では、無限降下法とは何かから、無限降下法の応用例 $3$ 選まで

  • 東北大学理学部数学科卒業
  • 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ

の僕がわかりやすく解説します。

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目次

無限降下法とは【自然数の最小性から矛盾を導きます】

無限降下法で押さえておきたいポイントは次の $2$ つです。

  1. もっと小さい→もっと小さい→…を繰り返し、「自然数の最小性」に矛盾させる証明法。
  2. 数学的帰納法と同じ原理で成り立ち、背理法の一種ともいえる。

これだけだとわかりづらいので、図解していきましょう。

無限降下法とは【自然数の最小性から矛盾を導きます】

※自然数の公理のことを、別名「ペアノの公理」とも呼びます。

無限に降下する操作を作って矛盾させる方法なので、「無限降下法」と呼ばれるんですね。

関連記事はこちらから

  • 背理法とは~(準備中)
  • 数学的帰納法とは~(準備中)
  • ペアノの公理とは~(準備中)

無限降下法の応用例3選

まあ、実際に無限降下法を使わないとピンときづらいですよね。(^_^;)

よって、次は具体的に

  • ルート $2$ が無理数であることの証明
  • フェルマーの最終定理( $n=4$ )
  • 非自明な整数解がない不定方程式

以上 $3$ つに対して、「無限降下法を用いることができないか」考えていきましょう。

ルート2が無理数であることの証明

問題. $\sqrt{2}$ が無理数であることを示しなさい。

さて、ルート $2$ が無理数であることの証明は複数ありますが、ここでは無限降下法を用いた証明について考えていきます。

【証明】

$\sqrt{2}$ が無理数でない、つまり有理数であると仮定すると、$$\sqrt{2}=\frac{q}{p}$$と表すことができる。( $p,q$ は自然数)

両辺を $2$ 乗して分母を払うと、$2p^2=q^2$ なので、$q$ は偶数であることがわかり、$q=2Q$ と新たな自然数 $Q$ を用いて表せる。

$q=2Q$ を代入すると $2p^2=4Q^2$ であり、両辺を $2$ で割ると $p^2=2Q^2$ となるから、$p$ も偶数であることがわかり、$p=2P$ と新たな自然数 $P$ を用いて表せる。

$p=2P$ を代入すると $4P^2=2Q^2$ となり、両辺を $2P^2$ で割ると$$2=\frac{Q^2}{P^2}$$

ここで、$P>0$,$Q>0$ より、両辺を $\displaystyle \frac{1}{2}$ 乗すると、$$\sqrt{2}=\frac{Q}{P}$$

よって、$\sqrt{2}$ の分数表示としてより小さな自然数を用いたものが見つかったことになる。

無限降下法を用いてルート2が無理数であることを証明する

この操作は無限に繰り返すことができるが、自然数の範囲でそれは不可能である。

したがって背理法より、$\sqrt{2}$ は無理数である。

(証明終了)

証明としては若干複雑ですが、ようは

  • $\displaystyle \sqrt{2}=\frac{q}{p}=\frac{Q}{P}=…$
  • 無限降下法により、これは矛盾。

というゴールが見えていれば、あとはどう帰着させるかの問題ですね。

ウチダのアイコン画像ウチダ
もちろん、$\sqrt{3}$ が無理数であることも同様に証明できます。$\sqrt{n}$ が無理数であることの他の証明については「ルート2が無理数であることの証明〇選~(準備中)」の記事をご覧ください。
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フェルマーの最終定理(n=4)

問題. $a^4+b^4=c^4$ を満たす自然数の組 $( \ a \ , \ b \ , \ c \ )$ が存在しないことを示しなさい。

フェルマーの最終定理は非常に有名かつ難しい問題です。

ただ、無限降下法を用いれば、$n=4$ のときのみ示すことができます。

【証明】

$x^4+y^4=z^2$ を満たす自然数の組 $( \ x \ , \ y \ , \ z \ )$ が存在しないことを示せば十分である。
(問題の式に $a=x$,$b=y$,$c^2=z$ を代入した。)

ここで、$x^4+y^4=z^2$ を満たす自然数の組 $( \ x \ , \ y \ , \ z \ )$ が存在すると仮定し、その中の組 $( \ x \ , \ y \ , \ z \ )$ で $z$ が最小なものについて考える。

$z$ が最小なので、$( \ x^2 \ , \ y^2 \ , \ z \ )$ は原始ピタゴラス数、つまり最大公約数が $1$ である。

よって、原始ピタゴラス数の公式より、互いに素な自然数 $m>n$( $m-n$ は奇数)を用いて、

$$\left\{\begin{array}{ll}x^2=m^2-n^2\\y^2=2mn\\z=m^2+n^2\end{array}\right.$$

と表すことができる。

≫参考記事:ピタゴラス数が一発でわかる公式【証明もあわせて解説】

ここで、$x^2=m^2-n^2$ を移項すると $x^2+n^2=m^2$ となるので、$( \ x \ , \ n \ , \ m \ )$ は原始ピタゴラス数であることが分かる。
( $∵$ もし原始ピタゴラス数でないとすると、すべて $1$ より大きいある数 $d$ の倍数となり、$( \ x^2 \ , \ y^2 \ , \ z \ )$ もすべて $d$ の倍数となってしまう。)

よって同様に、互いに素な自然数 $p>q$( $p-q$ は奇数)を用いて、

$$\left\{\begin{array}{ll}x^2=p^2-q^2\\n=2pq\\m=p^2+q^2\end{array}\right.$$

と表すことができる。

以上より、$y^2=2mn=4mpq$ となり、$m$,$p$,$q$ はどの $2$ つをとっても互いに素であるため、すべて平方数(※1)となる。

よって、ある自然数 $g$,$h$,$i$ を用いて、$$m=g^2,p=h^2,q=i^2$$と表せる。

$m=p^2+q^2$ に代入し両辺を入れ替えると、$$h^4+i^4=g^2$$

よって、新たな解 $( \ h \ , \ i \ , \ g \ )$ が得られたが、

$$g≦m≦m^2<m^2+n^2=z$$

より、$z$ の最小性に矛盾する。

したがって背理法より、$a^4+b^4=c^4$ を満たす自然数の組 $( \ a \ , \ b \ , \ c \ )$ は存在しない。

(証明終了)

最小性に矛盾させているため、無限降下法を使っていると言えます。

ウチダのアイコン画像ウチダ
ちなみに、この証明を考案したフェルマーは無限降下法のことを「私の方法」と呼んでいました。

※1.なんで平方数になるの?

$$y^2=4mpq$$

この式をよ~く見てみると、$4=2^2$ であるため、$$(\frac{y}{2})^2=mpq$$

と式変形できますね。

互いに素の意味を思い出してみると、「共通する素因数が $1$ つもない」ということでした。

よって、$平方数=mpq$ であるので、$m$,$p$,$q$ がそれぞれ平方数になるしかないのです。

ウチダのアイコン画像ウチダ
たとえば $m=12$ としましょう。$12=2^2・3$ より、$p$,$q$ のどちらかで素因数 $3$ を含まなければいけませんが、互いに素であるため無理です。

非自明な整数解がない不定方程式

問題. 不定方程式 $a^2+b^2=3(x^2+y^2) …①$ が自明な解 $a=b=x=y=0$ 以外の整数解を持たないことを示しなさい。

これも無限降下法を用いて示すことができます。

【解答】

非自明な整数解 $( \ a_1 \ , \ b_1 \ , \ x_1 \ , \ y_1 \ )$ が存在すると仮定する。

$①$ の式に代入して、 ${a_1}^2+{b_1}^2=3({x_1}^2+{y_1}^2) …①’$ より、${a_1}^2+{b_1}^2$ は $3$ の倍数になる。

ここで、平方数を $3$ で割った余りは $0$ もしくは $1$ であるから、

  • $a_1$ も $3$ の倍数 → $a_1=3a_2$
  • $b_1$ も $3$ の倍数 → $b_1=3b_2$

が成り立ち、$①’$ に代入して両辺を $3$ で割ると、$${x_1}^2+{y_1}^2=3({a_2}^2+{b_2}^2)$$

つまり、新しい解 $( \ x_1 \ , \ y_1 \ , \ a_2 \ , \ b_2 \ )$ が導ける。

$a_1=3a_2$,$b_1=3b_2$ より、もちろん新しい解の方が小さい。

よって、

\begin{align}|a_1|+|b_1|+|x_1|+|y_1|&>|x_1|+|y_1|+|a_2|+|b_2|\\&>|a_2|+|b_2|+|x_2|+|y_2|\\&>…\end{align}

※この数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

と無限に繰り返すことができるが、自然数の最小性に矛盾。

したがって背理法より、非自明な整数解を持たない。

(証明終了)

実は、先ほど行ったフェルマーの最終定理( $n=4$ )の証明は、不定方程式 $a^4+b^4=c^4$ が自明な解 $a=b=c=0$ 以外の整数解を持たないことの証明ともいえます。

なので、証明の基本的な流れはほぼ同じでしたね。

無限降下法に関するまとめ

本記事の要点を $3$ つまとめます。

  1. 自然数という集合の最小性を利用、つまり「ペアノの公理(自然数の公理)」に矛盾させる証明法。
  2. 「背理法」でもあり「数学的帰納法」でもある。
  3. 「ルート2が無理数」「フェルマーの最終定理」「不定方程式」あたりに応用。
    (ちなみに、フェルマーがめっちゃ好きな証明法でもある。)

無限降下法をマスターし、数学力を高めていきましょう^^

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終わりです。

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