こんにちは、ウチダです。
今日は、中学2年生で習う
「平行線と角」
について、まずは $3$ つの角度「錯角(さっかく)・同位角(どういかく)・対頂角(たいちょうかく)とは何か」意味をしっかりと理解し、次に平行線と角の性質を証明し、最後に応用問題を解いていきます。
錯角・同位角・対頂角の意味
まずは言葉の意味を理解するところからスタートです。
図を用いて一気に覚えてしまいましょう♪
↓↓↓
<補足>高校以降の数学では、角度を、ギリシャ文字”α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、…”を用いて表すことが多いので、それを採用します。
上の図で、$∠α$ と①の位置関係を錯角、$∠α$ と②の位置関係を同位角、$∠α$ と③の位置関係を対頂角と言います。
ここからわかるように、まずポイントなのが「二つの角の位置関係を指す言葉」だということです。
ですから、「これは錯角」や「それは同位角じゃない」という言い方はしません。
必ず、「これは~に対して錯角」や「それは…に対して同位角じゃない」というふうに表現するようにしましょう。
錯角・同位角の覚え方
さて、言葉の意味は理解できましたか?
対頂角は目の前にある角度なので、とてもわかりやすいです。
しかし、錯角・同位角はちょっとわかりづらいですよね…(^_^;)
ここで、よく出てくる覚え方をご紹介いたします。
↓↓↓
錯角というのは、斜め向かいに位置する角を指します。
よって、アルファベットの「Z(ゼット)」を図のように書き、折れ曲がるところで作られる二つの角度の位置関係になります。
視覚的にわかりやすくていいですね!
<補足>上の図のような場合は、Zを反転させて書くことで、錯角を見つけることができます。
同位角というのは、同じ方位に向けて開く角を指します。
漢字の成り立ちからもわかりやすいですね^^
もう一つオススメな覚え方は、「 $∠α$ の錯角の対頂角が、$∠α$ の同位角になる」という理解です。
図を見れば一目瞭然ですが、錯角と同位角は向かい合ってますよね!
以上のことを踏まえたオススメの覚え方はこれです。
↓↓↓
錯角…Zを書く。
同位角…錯角の対頂角である。
次の章で「対頂角に常に成り立つ性質」について考えていきます。
それを見てからだと、なぜこの覚え方がオススメなのか理解できるかと思います。
対頂角は常に等しいことの証明
$∠a$ と $∠b$ が対頂角であるならば、$$∠a=∠b$$が成り立つ。
※ここからはギリシャ文字をやめて、普通のアルファベットで記していきます。
なんと…対頂角であれば等しくなります!
確かに言われてみれば、図を見た時からそんな感じがしてましたね。
この証明は、割と簡単にできます。
ですので、ぜひ一度考えてみてから、下の証明をご覧いただきたく思います。
【証明】
下の図で、$∠a=∠b$ を示す。
↓↓↓
直線ℓの角度が $180°$ より、$$∠a+∠c=180° ……①$$
同じく、直線 $m$ の角度が $180°$ より、$$∠b+∠c=180° ……②$$
①②より、$$∠a+∠c=∠b+∠c$$
両辺から $∠c$ を引くと、$$∠a=∠b$$
(証明終了)
直線の角度が $180°$ になることを二回利用すればいいのですね!
また、ここから錯角と同位角は常に等しいこともわかりました。
これが、先ほどの覚え方をオススメした理由の一つです。
「そもそもなんで直線の角度が $180°$ になるの…?」という方は、こちらの記事をご参考ください。
⇒参考.「円の一周が360度の理由とは?なぜそう決めたのか由来を様々な視点から解説!」
錯角・同位角と平行線
今のところ、「対頂角が素晴らしい性質を持っている」ことしか見てきていませんね(^_^;)
ただ、実は…錯角と同位角の方が、より素晴らしい性質を持っていると言えます!
ある状況下のみで成り立つ性質なのですが、これはマジで重宝するのでぜひとも押さえておきましょう。
↓↓↓
図のように、$2$ 直線が平行であるとき、$∠a$ に対する同位角も錯角も $∠a$ と等しくなります!
この性質のことを「平行線と角の性質」と呼ぶことが多いです。
まあ、めちゃくちゃ重要そうですよね!
では、この性質がなぜ成り立つのか、次の章で考えていきましょう。
平行線と角の性質の証明
先に言っておきます。
この証明は、証明というより説明です。
「どういうことなのか」は、読み進めていくうちに段々とわかってくるかと思います。
証明の発想としては、対頂角のときと同じです。
↓↓↓
【説明】
まず、$∠a$ の同位角と $∠a$ の錯角が等しいことは、目次1-2「対頂角は常に等しいことの証明」にて証明済みです。
よって、ここでは同位角についてのみ、つまり、$$∠a=∠c$$のみを示していきます。
ここで、直線の角度は $180°$ なので、$$∠c+∠d=180°$$が言えます。
したがって、対頂角のときと同様に、$$∠a+∠d=180°$$が示せればOKですね。
さて、これを示すには、$$∠a+∠d=180°じゃないとしたら…$$
これを考えます。
↓↓↓
三角形の内角の和は $180°$ ですから、右側に必ず三角形ができるはずです。
しかし、平行な $2$ 直線は必ず交わらないため、「直線ℓと直線 $m$ が平行」という仮定に矛盾します。
$∠a+∠d>180°$ とした場合も同様に、今度は左側に必ず三角形ができるはずです。
よって、同じように矛盾するので、$$∠a+∠d=180°$$でなければおかしい、となります。
(説明終了)
いかがでしょう…ふに落ちましたか?
しれっと図に書き込きましたが、実はこれは「平行線公理(へいこうせんこうり)」と呼ばれ、絶対に守らなければならないルールのようなものです。
少し身近な話をしましょう。
例えば、私たちは $2$ 点を結ぶ直線は $1$ 本しか存在しないことを知っています。
しかし、これが「地球上の話」であればどうでしょう。
“日本とブラジルを結ぶ最短の線分”って、たくさんありそうじゃないですか?
このように、我々はあるルールを決めて、その上で成り立つ議論を進めています。
高校数学までは、すべて「ユークリッド幾何学」と呼ばれる学問の範囲で考えて、地球の表面(球面)などは「非ユークリッド幾何学」と呼ばれる学問の範囲で考えます。
数学では
$$公理→定義→定理$$の順に物事が定められていきます。
その一番の出発点である「公理」は、証明しようがないということですね^^
「正しいか、正しくないか」とかじゃなくて、「それを認めないと話が進まない」ということになります。
説明の途中で出てきた「三角形の内角の和」に関する詳しい解説はこちらから!!
⇒⇒⇒三角形の内角の和は180度って証明できるの?【三角形の外角の定理(公式)や問題アリ】
平行線と角の応用問題【補助線】
それでは最後に、めちゃくちゃ有名な応用問題を解いて終わりにしましょう。
この問題のポイントは「補助線を適切に一本引く」ことです!
大きく分けて $2$ 種類の解法が存在するので、順に見ていきます。
解き方1
【解答1】
以下の図のように補助線を引く。
↓↓↓
すると、平行線における錯角の関係が二つできるので、$$∠a=60°+45°=105°$$
(解答1終了)
「もう一本平行線を書く」という、非常にシンプルな発想で解くことができました♪
解き方2
【解答2】
以下の図のように補助線を引く。
↓↓↓
すると、平行線における錯角の関係より、$60°$ である角が一つ見つかる。
ここで、三角形の内角と外角の関係(※1)より、$$∠a=45°+60°=105°$$
(解答2終了)
「補助線を引く」というより、「もともとある線分を延長する」という発想です。
この解答もシンプルですよね!
三角形の内角と外角の関係(※1)については、先ほども紹介した「三角形の内角の和」に関する記事で詳しく解説しています。
⇒⇒⇒三角形の内角の和は180度って証明できるの?【三角形の外角の定理(公式)や問題アリ】
錯角・同位角・対頂角のまとめ
今日の重要事項をまとめます。
- 「錯・同位・対頂」はいずれも、二つの角度の位置関係を表す。
- 対頂角は常に等しい。
- 平行線における錯角・同位角は等しい。
応用問題では、錯角にしかふれませんでしたが、同位角に関しても同様に使いこなせるようにたくさん練習を積みましょう👍
錯角は「Z」、同位角は「錯角の対頂角であること」を意識して、見つけ出してくださいね^^
これらの知識をよく使う「三角形の合同の証明」に関する記事はこちらから!!
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三角形の合同条件はなぜ3つ?証明問題をわかりやすく解説!【相似条件との違い】
以上、ウチダでした。
それでは皆さん、よい数学Lifeを!!
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