こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、今日は、前半部分で中3内容の
「相似比と面積比・体積比の関係」
について学び、後半部分で高1内容を含む
「三角形の面積比の公式3つ(等高・等底・等角)」
について学びます。
「なぜまとめて学習するか」それは、これら $2$ つの知識は非常に強い結びつきがあるからです。
どちらも重要な内容ですので、ぜひ求め方をマスターし、たくさん問題を解いてほしいと思います!
相似比と面積比・体積比【なぜ成り立つか】
いきなりですが重要な結論です。
・相似な平面図形において、相似比が $m:n$ であるとき、面積比は $m^2:n^2$
・相似な空間図形において、相似比が $m:n$ であるとき、表面積比は $m^2:n^2$ かつ体積比は $m^3:n^3$
つまり「相似比の $2$ 乗が面積比、相似比の $3$ 乗が体積比」というわけですね。
面積比の公式を理解するためにも、まずはこれを押さえておく必要があります。
とても便利そうなこの性質ですが…
一体なぜ成り立つのでしょうか?
それを知るには、面積や体積を決めるある要素に注目する必要があるのです。
今回は例として「長方形」「円」「三角錐」を挙げてみました。
確かに、面積は「たて×横」ですし、体積は「たて×横×高さ」になってますね。
※円周率 $π$ や三角錐の体積で出てくる $\frac{1}{3}$ などの数は定数(決まった数)なので、変化することはありませんね。よって今回無視することにします。
さて、ここで相似の定義を思い出してみましょう。
「相似…すべての角と辺の比が等しい」
辺の比が等しいということは、たとえば相似比が $1:2$ の図形であれば、「たても $2$ 倍、横も $2$ 倍」ということになりますよね!
すると、結果的に面積は「 $2×2=2^2$ 倍」になるわけですから、面積比は $1^2:2^2=1:4$ になるわけです。
相似については「相似条件とは?三角形の相似条件はなぜ3つなの?【証明問題アリ】」の記事にて詳しく解説しております。
練習問題
それでは少し練習してみましょう。
(1) $△ABC ∽ △DEF$ で $AB:DE=2:3$ である。$△ABC=4(cm^2)$ であるとき、$△DEF$ を求めよ。
(2) 三角錐 $ABCD$ ∽ 三角錐 $DEFG$ で、$CD:FG=1:3$ である。三角錐 $ABCD$ の表面積が $16(m^2)$ であるとき、三角錐 $DEFG$ の表面積 $S$ を求めよ。
(3) 円柱 $P$ と円柱 $Q$ は相似で、相似比が $2:5$ である。円柱 $P$ の体積が $16π(cm^3)$ であるとき、円柱 $Q$ の体積 $V$ を求めよ。
※ $△DEF$ で「三角形 $DEF$ の面積」を表すことにします。
ノーヒントで解答に移ります。
【解答】
(1) 相似比が $2:3$ より、面積比は$$2^2:3^2=4:9$$である。
よって、$△ABC=4(cm^2)$ より、$$4:△DEF=4:9$$
これを解いて、$$△DEF=9(cm^2)$$
(2) 相似比が $1:3$ より、表面積比は$$1^2:3^2=1:9$$である。
よって、三角錐 $ABCD$ の表面積が $16(m^2)$ より、$$16:S=1:9$$
これを解いて、$$S=144(m^2)$$
(3) 相似比が $2:5$ より、体積比は$$2^3:5^3=8:125$$である。
よって、円柱 $P$ の体積が $16π(cm^3)$ より、$$16π:V=8:125$$
これを解いて、$$V=250π(cm^3)$$
(解答終了)
それぞれの注意点を列挙します。
- (1) … $2:3$ の比の値は $\frac{3}{2}$ より、面積は $(\frac{3}{2})^2=\frac{9}{4}$ 倍になる。
- (2) … 表面積は、相似比の $2$ 乗。$3$ 乗ではない。
- (3) … $π$ を忘れない。
あとは比例式を解くだけです♪
ちなみに、比例式については「比例式の解き方とは?分数を用いた計算・かっこを含む文章問題をわかりやすく解説!」の記事で詳しく解説しております。
面積比の公式3選とは【三角形】
さて、今までの話を踏まえ、ここからは「相似じゃない図形の面積比」について考えていきます。
具体的には
- 高さが等しい三角形
- 底辺が等しい三角形
- 一つの内角が等しい三角形
以上 $3$ パターンがよく問われます。
等高・等底の公式
つまり面積比は、「高さが等しければ底辺の比、底辺が等しければ高さの比になる」ということです。
今となっては、この公式 $2$ つが本質的に同じである理由がわかるのではないでしょうか。
三角形の面積は$$\frac{1}{2}×底辺×高さ$$でした。
$\frac{1}{2}$ は定数なので無視すると、「底辺と高さ」この $2$ つが面積を定める要素になります。
よって、高さが等しい場合、それぞれの高さを $h$ と置くことができて、
ですし、底辺が等しい場合、
ですね。
等角の公式【数学A】
ここまでの話は中学生で習いますが、「等角の公式」だけは高校知識が必要です。
「等しい角をはさむ $2$ 辺の積の比」これが面積比になるということです。
さて、これを理解するためには、数学Ⅰ「図形と計量」の分野で習う
$$△ABC=\frac{1}{2}bc\sin A$$
これを知らなくてはなりません。
これを知っている上で解説すると、この三角形の面積の公式より、
※最後の式変形は $\sin A=\sin D$ を用いた。
※この式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
と、確かに成り立ちますね。
三角形の面積については「三角形の面積の求め方とは?sinやベクトルを用いる公式も解説!【小学生から高校生まで】」の記事で詳しく解説しております。
練習問題1
それでは、この章の知識のおさらいをしてみましょう。
問題は $2$ 問ありますので、ぜひチャレンジしてみて下さい♪
答えが簡単な整数比になるように問題を調整しました。
ぜひ一度解いてみてから解答をご覧ください。
↓↓↓
【解答】
一番小さい $△EDC$ の面積を $1$ とする。
まず、$△EDC$ と $△ADC$ は底辺 $DC$ が共通なので、
よって、$$△ADC=4$$となる。
次に、$△ADC$ と $△ABD$ は高さ $AG$ が共通なので、$$△ADC: △ABD=DC:BD$$
$DC:BD=4:5$ と $△ADC=4$ より、$$4: △ABD=4:5$$
よって、$$△ABD=5$$である。
したがって、$$△ABD: △EDC=5:1$$
(解答終了)
ポイントは「一番小さい三角形の面積を $1$ とか $S$ とかと置く」ことですね。
そうすることで、分数が出てくる可能性が減るので、大きな三角形の面積を表しやすくなります。
練習問題2
では次の問題。
$△DEF$ をいきなり考えるのは難しそうです。
こういうときのポイントは「 $△DEF$ 以外の三角形に目を向けること」です。
↓↓↓
【解答】
$△ABC$ から $△ADF$、$△BED$、$△CFE$ を除けば $△DEF$ になる。
よって、等角の公式を用いてそれぞれ求めていく。
それぞれに $△ABC$ との等角の公式を用いて、
$$△ADF=\frac{2}{7}△ABC ……①$$
また、
$$△BED=\frac{15}{49}△ABC ……②$$
また、
$$△CFE=\frac{1}{7}△ABC ……③$$
①~③より、
したがって、
(解答終了)
この問題は、等角の公式の応用として代表的な問題ですので、高校生以上の方はしっかりと押さえておきましょう。
面積比の公式の応用例
それでは最後に、「面積比が図形の性質にいかに応用されているか」これを考えて終わりにしましょう。
具体的には
- チェバの定理【数学A】
- ベクトルの問題【数学B】
この $2$ つを見ていきます。
チェバの定理【数学A】
まず、数学Aで学ぶ公式の中でも、比較的インパクトの強い「チェバの定理」です。
一般に↓方向の矢印のことを「チェバの定理」といい、↑方向の矢印のことは「チェバの定理の逆」と呼ぶことが多いです。
さて、上の図のように、$3$ つの線分が $1$ 点 $O$ で交わるときに$$\frac{AR}{RB}・\frac{BP}{PC}・\frac{CQ}{QA}=1$$が成り立ちます。
なんか…「えっ本当に成り立つの?」と思ってしまいますよね。
ただ、式の形を見ると、分数が多く出てきています。
ということは「分数は比を表す」ので、たしかに面積比の公式は有効そうです。
それを意識しながら証明を考えてみましょう。
【証明】
点 $B$、$C$ から直線 $AP$ に対して垂線 $BH$、$CI$ を引いてみる。
ここで $△AOB$ と $△AOC$ は底辺 $AO$ が共通なので、等底の公式より、
※ $△BHP ∽ △CIP$ より、$BH:CI=BP:PC$ を用いた。
よって、$$\frac{△AOB}{△AOC}=\frac{BP}{PC} ……①$$
この考え方を
- $△BOC$ と $△BOA$ (底辺 $BO$ が共通)
- $△COA$ と $△COB$ (底辺 $CO$ が共通)
以上 $2$ つの組み合わせに対しても適用すると、
$$\frac{△BOC}{△BOA}=\frac{CQ}{QA} ……②$$
$$\frac{△COA}{△COB}=\frac{AR}{RB} ……③$$
①~③より、
(証明終了)
この証明のポイントは
- 等底の公式を $3$ 回用いること
- 面積比を使って $1=$ と無理やり変形すること
この $2$ 点ですね。
ベクトルの問題【数学B】
ベクトルから面積比を求める定番の問題です。
まずは始点が $P$ だとわかりづらいので、たとえば $A$ に変えるところから始めてみましょう。
【解答】
条件式のベクトルの始点をすべて $A$ に統一すると、
※この式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
この式を移項などして整理すると、
この式から、辺 $BC$ を $6:5$ に内分する点を $D$ とすると、点 $P$ は線分 $AD$ を $11:4$ に内分する点であることがわかる。
ここからは、$△ABC=1$ と置いて、等底・等高の公式を使っていく。
まず $△ABD+△ADC=△ABC$ であり、$BD:DC=6:5$ かつ高さが共通なことから、等高の公式を用いて、$$△ABD=\frac{6}{11} , △ADC=\frac{5}{11}$$
となる。
次に $△BDA$ と $△BPA$ について、等高の公式より、$$△BDA : △BPA = 15 : 11$$
これを解くと、
$△CDA$ と $△CPA$ についても同様に、
最後に $△ABC$ と $△PBC$ について、等底の公式より、$$△PBC=\frac{4}{15} ……③$$
①~③より、
(解答終了)
もちろん、始点を $B$、$C$ に変えても同様に導くことができます。
また、以上の計算結果から、一般に次の事実がわかります。
検算用に覚えておくと、非常に便利ですね^^
面積比に関するまとめ
今日は、まず「相似比と面積比(体積比)」の関係を“構成する要素の数”で明らかにしました。
その知識をもとに、三角形の面積比の公式 $3$ つ(等高・等底・等角)を導き、応用例も $2$ つ考えました。
とりあえず、今日の記事で
- 相似な図形の面積比の求め方
- 相似じゃない図形の面積比の求め方
以上の区別が付けられるようになればOKです!
終わりです~。
コメントを残す
コメント一覧 (2件)
等角の公式はsinを使わなくても相似で証明できます。
BCとDEが並行の場合は相似でいけますが、それ以外の場合って難しくないですか?