こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、皆さんは「三平方の定理(別名ピタゴラスの定理)」をご存じでしょうか。
まだよく知らないという方は、以下の記事から読み進めることをオススメします。

さて、この三平方の定理(ピタゴラスの定理)ですが…
なんと、その逆もまた成り立つわけですね。
ここで、こんな疑問が生まれてくるかと思います。
[ふきだし set=”悩む男性”]逆…?そもそも逆って何?よく女子高生が「逆に~」とか言うけど、アレと関係あるの?[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]逆はわかるんだけど、どうして三平方の定理の逆が成り立つの?三平方の定理の証明とはまた別なんだよね?[/ふきだし]
よって今回は、三平方の定理の逆にポイントをしぼり、それを用いる問題の解き方やその証明について、
- 東北大学理学部数学科卒業
- 教員採用試験1発合格 → 高校教諭経験アリ
の僕がわかりやすく解説します。
三平方の定理の逆はなぜ成り立つ?【間接証明法を使います】
「 $P$ ならば $Q$ 」の逆というのは「 $Q$ ならば $P$ 」のこと。
つまり、
- 三平方の定理…直角三角形であれば $a^2+b^2=c^2$ が成り立つ。
- 三平方の定理の逆…$a^2+b^2=c^2$ が成り立てば、それは直角三角形である。
こういう違いがあります。
[ふきだし set=”ウチダ”]逆について詳しく学習するのは高校1年生になってからです。もし興味のある方は「対偶とは?命題の逆・裏・対偶の意味や証明問題の具体例を解説!【高校数学】」をご覧ください。[/ふきだし]
さて、この三平方の定理の逆の証明として、最も有名なのが「同一法(どういつほう)」を用いる証明。
また、証明方法は大きく分けて
- 直接証明法
- 間接証明法
の $2$ 種類がありますが、同一法は間接証明法に分類されます。
[ふきだし set=”ウチダ”]間接証明法の中でも代表的なものとしてよく挙げられるのが「背理法(はいりほう)」と「対偶法(たいぐうほう)」。ここら辺の話も高校1年生内容ですので、詳しくは「背理法とは?ルート2が無理数である証明問題などの具体例をわかりやすく解説!【排中律】」の記事をご覧ください。ようは、ちょっと回りくどい証明方法、それが間接証明法ってことだけ押さえておけばOKです。[/ふきだし]
…ウチダさんの登場頻度が若干多いのが気になりますが、まあ難しい話だからしょうがない。(笑)
とりあえず、今回は間接証明法の入り口だけご紹介しようと思います。
三平方の定理の逆の証明は難しい【同一法】
先に言っておきますが、別に理解できないからといって落ち込む必要はありません。
あくまで「こういう証明方法も存在するんだ~。」というスタンスで読み進めていただきたく思います。
【証明】
$a^2+b^2=c^2$ が成り立つ $△ABC$ は直角三角形であることを示すために、もう一つ別の直角三角形 $△A’B’C’$ を用意する。

ここで、$△A’B’C’$ が直角三角形であることから、$$a^2+b^2=c’^2 ……①$$
また仮定より、$$a^2+b^2=c^2 ……②$$
①、②より、$c’^2=c^2$ となり、$c’>0$、$c>0$ であるから、$$c’=c$$
よって、$△ABC$ と $△A’B’C’$ は3組の辺がそれぞれ等しいので、$△ABC ≡ △A’B’C’$
したがって、合同な図形の対応する角度は等しいので、$$∠ACB=∠A’C’B’=90°$$
≫参考記事:三角形の合同条件はなぜ3つ?証明問題をわかりやすく解説!【相似条件との違い】
(証明終了)
ちょっとややこしいので補足します。
使っていい前提条件は
- $a^2+b^2=c^2$ が成り立つこと。
- $△A’B’C’$ が直角三角形であること。
この $2$ つのみです。
また、勘の鋭い方は気づいたと思いますが、$△A’B’C’$ が直角三角形であることから、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使ってますよね。
ようは、三平方の定理が成り立つことを利用して、三平方の定理の逆も成り立つことを証明しています。
[ふきだし set=”ウチダ”]ちなみに、三平方の定理に依存しない証明方法も存在します。この証明は少し長くなってしまいますので、詳しく知りたい方はWikipedia「ピタゴラスの定理」をご参照ください。[/ふきだし]
また「なぜ同一法と名前が付けられているか」ですが、これはイメージ通りです。
ようは、別の $△A’B’C’$ を用意したけど、あーだこーだ式をいじくっていったら、結局 $△ABC$ と同じになっちゃった、というロジックだからですね。
三平方の定理の逆を用いる問題の解き方
では最後に、練習問題を $1$ 問だけ解いて終わりにしましょう。
(1) $a=3(km)$、$b=5(km)$、$c=7(km)$
(2) $a=5\sqrt{2}(m)$、$b=2(m)$、$c=4\sqrt{3}(m)$
(3) $a=2(cm)$、$b=4\sqrt{2}(cm)$、$c=2\sqrt{7}(cm)$
単位は適当にばらけさせましたが、特に意味はありません。(^_^;)
三平方の定理の逆(ピタゴラスの定理の逆)を利用して、あざやかに解いてあげましょう!
【解答】
(1)の $△ABC$ において、一番長い辺は $c$ である。
ここで、$c^2=49$、$a^2+b^2=9+25=34$ なので、$$a^2+b^2<c^2$$
よって、直角三角形ではない。
(2)の $△ABC$ において、一番長い辺は $a$ である。
ここで、$a^2=50$、$b^2+c^2=4+48=52$ なので、$$b^2+c^2>a^2$$
よって、直角三角形ではない。
(3)の $△ABC$ において、一番長い辺は $b$ である。
ここで、$b^2=32$、$a^2+c^2=4+28=32$ なので、$$a^2+c^2=b^2$$
よって三平方の定理の逆より、直角三角形である。
したがって、(3)の $△ABC$ のみ直角三角形となる。
(解答終了)
「一番長い辺を~」の部分は最重要ポイントです。
なぜなら、直角三角形において、「一番長い辺 $=$ 斜辺」が成り立つからです。
まあ、これは図より明らかですが、高校1年生になって「三角形の辺と角の大小関係」について学ぶと、よりクリアに理解できるかと思います。

三角形の辺と角の大小関係については、「三角形の成立条件を理解するたった1つのポイント【わかりやすく解説】」にて簡単に解説しております。
三平方の定理の逆に関するまとめ
本記事のポイントを改めてまとめます。
- 三平方の定理の逆の証明は「同一法」を使うから少し難しい。
(難しいということは、「逆は必ずしも成り立たない」ということになります。) - 三平方の定理の逆を用いるときは、“どれが斜辺か”に注意する。
三平方の定理の逆の証明は $1$ つしか紹介しませんでしたが、三平方の定理(ピタゴラスの定理)の証明は $5$ つ解説しております。
もし気になる方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

以上、ウチダでした。
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