こんにちは、ウチダです。
突然ですが、皆さんは「なんで一回転って $360°$ なんだろう…」と考えたことはありませんか?
たしかに、言われてみれば不思議かも…。
もし理由があるのなら、この機会に知っておきたいです!
ということで本記事では、「なぜ円の一周が360度なのか」その理由 $4$ 選を、
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
円の一周・一回転が360度である理由4選【誰が決めたのか】
円の一周が $360$ 度であることを決めたのは、「古代バビロニアの時代」というのが有力な説です。
では、なぜそう考えられているのかについて
- $1$ 年が $365$ 日であること
- $10$、$12$、$60$ で割り切れること
- $6$ を約数に含むこと
- 約数がめっちゃ多いこと
以上 $4$ つの視点からわかりやすく解説していきます。
①1年=365日から360度が定義された説
この事実は疑いようもありませんが、地球が太陽の周りを公転し一周するのには $365$ 日かかります。
まあ正確には $4$ 年に $1$ 回「うるう年」があるので、$1$ 年あたり $0.25$ 日加算して、約 $365.25$ 日となりますね。
よって、$1$ 周を $365$ という数字に近い「 $360$ 」にしてしまえば、大体 $1$ 日 $1$ 度ずつ動いていくのでわかりやすいよね、というのが最も有力な説です。
しかし!なぜそのまま $365$ 度ではなく $360$ 度にしたのでしょうか?
実は、この理由が次からの $3$ つの視点につながってくるのです。
②10、12、60の3つで割り切れる数字だから
先ほど例に挙げた「古代バビロニア」において、$12$ と $60$ は特別な数字でした。
今でも残っている例を挙げるとすれば…
- $1$ ダース = $12$ 個
- 午前(午後) = $12$ 時間
- $1$ 分 = $60$ 秒
- $1$ 時間 = $60$ 分
- 還暦 = $60$ 歳
と、区切りがいい数字として $12$ と $60$ はよく使われてますよね。
時計が”円”の形をしているのは、もしかしたらこういう背景があるのかもしれません。
しかし、今では「 $10$ 進法」が世界の基準となり、$0$ ~ $9$ の $10$ 個の記号を用いて様々な数を表します。
ではなぜ、「 $10$ 進法」が普及したのかというと、
- 人間の手(足)の指の本数が $10$ 本であること。
- 数学史上最も偉大な発見の一つである、「 $0$ の発見」がなされたこと。
この $2$ つが理由ではないか、と考えられています。
このように、「 $10$、$12$、$60$ 」は特別な数なので、
この事実が非常に重要だ、ということです。
③完全数である6を約数に含むから
$360$ という数は、
$360=6×6×10$
と、 $6$ を2つも約数に含みます。
そしてこの $6$ という数字には、
- 異なる素数 $2$ つからなる最小の合成数( つまり、$6=2×3$ ということです。)
- 最小の完全数
という、数学的に美しすぎる $2$ つの性質があるのです…!
「完全数」はぜひとも知っていただきたいとても面白い数字です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
また、性質 $1$ つ目である
というのは、最後の有力説につながってきます!
④約数の個数がめっちゃ多いから
この事実がものすごく大きいです。
黄色のアンダーラインで引いたように、「それ未満のどの自然数よりも約数の個数が多い自然数」のことを「高度合成数」と呼びます。ちなみに、$360$ は $11$ 番目の高度合成数です。
ではここで、「本当に約数が $24$ 個もあるのか」証明をしてみます。
【 360 の約数の個数が 24 個である理由】
$360$ を素因数分解すると、$360=2^3×3^2×5$
よって、約数の個数は、$(3+1)(2+1)(1+1)=4×3×2=24$ 個である。
(証明終了)
これはどういう計算をしたの?
これは数A「整数の性質」で習う方法で計算をしました。詳しくは「約数の個数」に関するこちらの記事をご覧ください。
割り切れる数が多ければ多いほど、等分するときなどにわかりやすいので、$360$ 度が一回転の角度に最も適しているのも納得です。
まだまだあるぞ!不思議な数字360
実はまだまだ理由らしき説があります!!ですがキリがないので、ここでは面白いものを何個が挙げますね。(笑)
- $360$ は $1$ ~ $10$ までの中で $7$ を除くすべての数で割り切れる。
- $360=3×4×5×6$
- $360=4^2+6^2+8^2+10^2+12^2$
一つ目の「 $7$ を除いた」$10$ までの数で割り切れることは、かなり便利ですよね!
例えば、パーティでピザを食べたいとき、「 $7$ 人以外」であればほとんどの場合きれいに分割することができます!
※「角度がきれいな整数で表せるか」に注目しているので、角度の測り方は無視しています。
二つ目の式と三つ目の式はただただ美しいと思います。
コラム:円の一周は2πと表すこともある
実は国際的には、°(度)という単位は一般的ではありません。
これは数Ⅱで学びますが、「ラジアン」という単位を使います。
簡単に説明すると、半径が $1$ の円周の長さは $1×2×π=2π$ ですよね。なので $360°=2π$ と定義するよー、というのがラジアンです。
より深く学びたい方は、以下の記事をご覧ください。
弧度法(ラジアン)とは~(準備中)
まとめ:一回転が360度だと色々いいことがある!
最後に、本記事のポイントを簡単にまとめます。
- 円の一周が $360$ 度である理由は「 $1$ 年が $365$ 日だから」「完全数である $6$ を約数に持つから」「約数の個数がめっちゃ多いから」このあたりが最も有力。
- 他にも $360=3×4×5×6$ などの面白い性質がたくさんある。
- 「弧度法(ラジアン)」では、$360$ 度を $2π$ と表す。
長年抱いてきたモヤモヤがスッキリしたよ!
このように、些細なことにも必ず理由はあるものです。
ぜひ一つ一つをしっかり考察し、面白みを持って数学を学んでいきましょう!
おわりです。
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