こんにちは、ウチダです。
数学Ⅰで習う「二次不等式(にじふとうしき)」ですが、この分野は特に「解き方がまっっったくわからない!」と悩んでいる方が非常に多いです。
というのも、二次不等式の何が難しいかって、パターンがありすぎるんですよね。
二次不等式は特に覚えることが多くて、もう頭の中が混乱しているよ…
[/ふきだし]ですが、本記事をじっくり読めば、
と、二次不等式マスターになれること間違いナシです!
ということで本記事では、二次不等式の解き方のポイントから、二次不等式の代表的なパターン、さらに二次不等式の応用問題まで
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
二次不等式の解き方のポイントは3つあります
さて、いきなりですが二次不等式の解き方で一番重要なポイント $3$ つをまとめておきます。
【大前提】
二次方程式 $ax^2+bx+c=0$ を正しく解けるか
- 因数分解ができればする。
- 因数分解ができない → 解の公式を使う。
- 実数解がない → 判別式Dを使う。
あれ?二次不等式なのに、「二次方程式」が出てきたよ?
[/ふきだし]実は二次不等式を解くには、一回二次方程式を解く必要があるんです。また、その上で二次関数のグラフを書く必要も、慣れるまではあるんです。まずはこの事実を受け入れましょう。
[/ふきだし]ただ、二次方程式は完ぺきに解けるようにならなくてはいけませんが、二次関数のグラフは簡単に書ければ十分です。
つまり、平方完成をマスターする必要はないわけです。
一応関連記事を貼っておきますので、「ここから先が不安だ…」という方はこちらの記事から読み進めてみてください^^
二次方程式の解き方とは~(準備中)
頂点の座標・軸の方程式・y軸との共有点
二次関数のグラフの応用問題2選(平行移動や対称移動・最大値最小値)
これらについて、わかりやすく丁寧に解説します。 「二次関数のグラフをなかなか上手く書けない…」と感じている方は必見です。
さて、前置きが長くなりすぎても良くないので、ここからはポイント $3$ つを踏まえた上で問題を解いていきましょう。
因数分解を使える問題
問題1.二次不等式 $x^2-6x+5>0$ を解きなさい。
左辺が因数分解できる二次不等式は一番カンタンです。
さっそく解答を見ていきましょう。
因数分解をする意味って、二次方程式を解くためだったんですね!
[/ふきだし]その通りです。逆に二次方程式を解けばOKなので、頂点の座標や $y$ 切片を求める必要はありません。
[/ふきだし]二次関数のグラフを書く名残で、ついつい平方完成をして頂点の座標を求めたり、$y$ 切片を求めたりする人がたま~にいらっしゃいます。
ですが、二次不等式を解く上では何の役にも立たないので、もしやってしまっている方がいましたらすぐに止めましょう。
「無駄なことはしない」これが数学力を伸ばすための重要なコツです。
解の公式を使う問題
問題2.二次不等式 $x^2-2x-2≦0$ を解きなさい。
今回は $x^2-2x-2$ がどう頑張っても因数分解できません。
よって、解の公式を使って $x^2-2x-2=0$ の解を導く必要があります。
「因数分解できないときは、解の公式を使う」これは二次方程式を解く上でさんざん言われてきたことだと思います。
なので例にもれず、二次不等式を解くときもこの順序を踏みましょう。
また、よく「=」を付けるかどうかで迷う方がいるのですが、慣れないうちはイコールについては個別に考えることをオススメします。
【=(等号)が成り立つかどうかの確認】
たとえば $x=1+\sqrt{3}$ を代入すると、
$x^2-2x-2=0$ となる。
ここで、$0≦0$ は成り立つので、$x=1+\sqrt{3}$ のとき、
$x^2-2x-2≦0$ は成り立つと言える。
(確認終了)
判別式を使わなければいけない問題
問題3.二次不等式 $x^2-2x+3≧0$ を解きなさい。
さて今回はついに、解の公式を使っても歯が立ちません。
なぜなら、√の中がマイナスになってしまうからです。
√の中にマイナスが出てくることは今までなかったなぁ。どう考えればいいの?
[/ふきだし]√の中にマイナスが出てくることはない(詳しくは数学Ⅱで扱う)ので、実数解が存在しないということになります。つまり、「 $x$ 軸との交点がない」ということですね。
[/ふきだし]こういう場合、解答に $1±\sqrt{-2}$ と書くわけにはいかないので、判別式Dを使います。
以上 $3$ 問で見てきたように、基本的に二次方程式が解ければ二次不等式を解くことができますが、「二次方程式が解けない場合どうするか」を理解しておく必要があるわけですね。
つまり「二次方程式の知識+判別式Dの知識」があれば、どんな二次不等式でも解けるということです。
[/ふきだし]「判別式Dがよくわからない…」という方は、先にこちらの記事から読み進めることをオススメします。
判別式Dと二次関数のグラフの関係
判別式Dを用いる応用問題3選
これらについて、わかりやすく丁寧に解説します。
「判別式マスターになりたい!」と感じている方は必見です。
いろいろな二次不等式の問題を解いてみよう!
ここまでで二次不等式の基本は解説しました。
ただ、これだけの演習量だと少し心配なので、あと $5$ 問ぐらいチャレンジしてみましょう!
問題4.次の二次不等式を解きなさい。
(1) $10x^2-x-3<0$
(2) $-x^2+9≦0$
(3) $x^2-2x+1>0$
(4) $x^2+4x+4≦0$
(5) $-2x^2+2x-1>0$
解答はこちら
(2)と(5)は、なんで最初に $-1$ を両辺にかけるんですか?
[/ふきだし]$x^2$ の係数がマイナスだと、上に凸な放物線になってしまうため、ややこしくなるからです。二次不等式を解く上で、あえて複雑にする必要は全くないので、下に凸に統一してしまいましょう。
[/ふきだし]下に凸・上に凸を混同してしまうと訳わからなくなるため、ここは全員共通で守るようにしましょう。
(3)(4)についても、簡単な図を書くことで解けますね。
なので、教科書には「二次不等式の解き方まとめ」という表がよく載っていますが、あれは覚えるだけ無駄ですので、参考程度に留めておいてください。
二次不等式の応用問題3選
さて、これでどんな二次不等式でも解けるようになったかと思います。
あとは演習あるのみです!
ここからは、もう少し応用的な二次不等式に関する問題を $3$ つ扱っていきます。
連立二次不等式
$$\left\{\begin{array}{ll}x^2-2x-8≦0 &…①\\3x^2+2x-1>0 &…②\end{array}\right.$$
連立方程式は聞きなじみがあると思いますが、その不等式バージョンです。
まあ、発想は同じなので、さっそく解答を見ていきましょう。
連立不等式についての詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
連立不等式とは~(準備中)
解から二次不等式を求める問題
問題6.$ax^2+bx+30>0 …①$ の解が $-3<x<2$ であるとき、定数 $a$,$b$ の値を求めなさい。
今までは「二次不等式→解」という順番でしたが、この問題は「解→二次不等式」という順番です。
解の形からある程度二次不等式の形は絞れるので、逆算して考えていきましょう。
解の形から $a<0$ は予想できるので、あとは定数項 $+30$ にあわせるように式変形していけばOKですね。
すべての実数で成り立つ不等式
問題7.二次不等式 $ax2+2(a+2)x+(2a+1)>0$ が解を持たないとき、定数 $a$ の値の範囲を求めなさい。
この問題のポイントは、$x^2$ の係数が $a$ なので、「下に凸か上に凸かがわからない」ということです。
でもさっき、「二次不等式において上に凸の場合を考える必要はない」って言ってたよね?
[/ふきだし]それはあくまで $x^2$ の係数が決まっているときのみです。$x^2$ の係数が文字のときは考える必要があります。
[/ふきだし]ということで解答です。
以上、お疲れさまでした!
二次不等式の解き方に関するまとめ
それでは最後に、本記事のポイントをまとめます。
- 二次不等式を解くためには「二次方程式の解き方」「判別式Dの使い方」この $2$ つを押さえておけばOK!!
- 左辺が $()^2$ の形に因数分解できる二次不等式や、$x^2$ の係数が負である二次不等式は注意が必要。
- $x^2$ の係数が負のときは、両辺に $-1$ をかけよう!
- 教科書に載っている“二次不等式の解き方まとめ”は覚えるだけ無駄です。
本記事をじっくり読み、演習をたくさん積んで、二次不等式マスターになりましょう!
数学Ⅰ「二次関数」の全 $12$ 記事をまとめた記事を作りました。よろしければこちらからどうぞ。
おわりです。
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