こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、確率の分野で意外と難しいのが「じゃんけんの確率」を求める問題です。
[ふきだし set=”悩む男性”](問題を解いてみて)$2$ 人のじゃんけんの確率ですら難しかったよ。[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]$2$ 人ですら難しいのに、$3$ 人,$4$ 人,$5$ 人,…と人数が増えていくと訳がわからなくなるわ。[/ふきだし]
本当にその通りだと思います。
じゃんけんの確率は、一見簡単そうなのに複雑なんですよね。。
よって本記事では、必ず押さえたいじゃんけんの確率の基本から、$2$ 人,$3$ 人,…,$n$ 人でのじゃんけんの確率の問題 $5$ 選まで
- 東北大学理学部数学科卒
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ
- (専門は確率論でした。)
の僕がわかりやすく解説します。
じゃんけんの確率の基本とは?【「誰が」「何の手で」勝つかを考えよう】
じゃんけんの確率における最も重要なポイント。
それは…
これです。
[ふきだし set=”ウチダ”]ここで説明するより、実際に問題を通して見た方がわかりやすいかと思いますので、早速「 $2$ 人でのじゃんけんの確率」の問題にチャレンジしていきましょうか![/ふきだし]
例題「2人でのじゃんけんの確率」
(1) 勝負がつく確率
(2) あいこになる確率
場合の数が少ないので、数え上げでも十分に対応できます。
ただ、今後の問題のことを考え、一般化できるような方法で解いていきましょう♪
【解答】
(1) まず、$1$ 人につき「グー,チョキ,パー」の $3$ 通りあるから、手の出し方は全部で $3^2=9$ 通りである。
ここでは、基本に沿って
- ⅰ)…誰が勝つか
- ⅱ)…何の手で勝つか
以上 $2$ つに分けて、勝負がつく場合の数を求めてみよう。
ⅰ)…誰が勝つかの場合の数は、$2$ 人しかいないため、$2$ 通り。
ⅱ)…何の手で勝つかの場合の数は「グー,チョキ,パー」の $3$ 通り。
よってⅰ)ⅱ)より、求める確率は $\displaystyle \frac{2×3}{3^2}=\frac{2}{3}$ である。
(2) 「あいこになる」という事象は「勝負がつく」という事象の余事象である。
よって余事象の確率より、求める確率は $\displaystyle 1-\frac{2}{3}=\frac{1}{3}$ である。
(解答終了)
今は回りくどく感じられるかもしれません。
ただ、この解答で見たように
- 「誰が」「何の手で」勝つか
- あいこは「勝負がつく」の余事象
以上 $2$ 点を押さえて、応用問題にチャレンジしていきましょう。
じゃんけんの確率の問題4選
それでは、いよいよ $3$ 人以上でのじゃんけんの確率を求めていきます。
- $4$ 人でのじゃんけんの確率( $1$ 回)
- $3$ 人でのじゃんけんの確率( $2$ 回)
- $5$ 人でのじゃんけんの確率( $1$ 回)
- $n$ 人でのじゃんけんの確率
と、人数やじゃんけんの回数が増えるにつれ、「先ほどまとめた基本がいかに大切であるか」がわかってきます。
4人でのじゃんけんの確率(1回)
さて、$2$ 人でのじゃんけんと $3$ 人以上でのじゃんけん。
これらには、大きな違いが一つあります。
↓↓↓
それは、あいことなる場合が
- 全員同じ手
- 計 $3$ 種類の手
の $2$ つに増えることです。

$4$ 人,$5$ 人と人数が増えていくにつれ、あいこって増えません?それは、あいこになる場合の数がどんどん増えていくからなんですね~。
では、またまた余事象の確率を利用して求めていきましょうか^^
【解答】
「あいこになる」という事象は「勝負がつく」という事象の余事象である。
また、勝負がつくとき、
- ⅰ)… $1$ 人勝ちする場合
- ⅱ)… $2$ 人勝ちする場合
- ⅲ)… $3$ 人勝ちする場合
の $3$ パターンに分けて考える必要がある。
ⅰ)…「 $4$ 人のうち $1$ 人が何の手で勝つか」の確率だから、$\displaystyle \frac{{}_4{C}_{1}×3}{3^4}=\frac{12}{81}$
ⅱ)…「 $4$ 人のうち $2$ 人が何の手で勝つか」の確率だから、$\displaystyle \frac{{}_4{C}_{2}×3}{3^4}=\frac{18}{81}$
ⅲ)…「 $4$ 人のうち $3$ 人が何の手で勝つか」の確率だから、$\displaystyle \frac{{}_4{C}_{3}×3}{3^4}=\frac{12}{81}$
ⅰ)~ⅲ)より、勝負がつく確率は $\displaystyle \frac{12}{81}+\frac{18}{81}+\frac{12}{81}=\frac{42}{81}$
したがって、求める確率は $\displaystyle 1-\frac{42}{81}=\frac{39}{81}=\frac{13}{27}$ である。
(解答終了)
$3$ 人だとちょっと物足りないため、$4$ 人にしてみましたが…一気に複雑になりましたね。
答えが $\displaystyle \frac{13}{27}$ て。(笑)
[ふきだし set=”ウチダ”]「余事象の確率ってなに?」という方は、先に「余事象の確率とは?【〇〇の問題で絶大な威力を発揮します】」の記事からご覧ください。[/ふきだし]
3人でのじゃんけんの確率(2回)
人数を $3$ 人に減らした代わりに、じゃんけんの回数を $2$ 回まで増やしてみました。
これが $3$ 回,$4$ 回,…となるといよいよ訳がわからなくなってきますが、基本はどこまでいっても同じです。
【解答】
問題文の条件を満たす場合は
- ⅰ)… $1$ 回目があいこで、$2$ 回目で $1$ 人勝ち
- ⅱ)… $1$ 回目で $2$ 人勝って、$2$ 回目で $1$ 人勝ち
の $2$ 通りある。
ⅰ)…まず $3$ 人であいこになる確率を求める。
- $1$ 人勝ちする場合の数は ${}_3{C}_{1}×3=9$ 通り。
- $2$ 人勝ちする場合の数は ${}_3{C}_{2}×3=9$ 通り。
あいこになる確率は、$\displaystyle 1-\frac{9+9}{3^3}=\frac{9}{27}=\frac{1}{3}$
ここで、$3$ 人残っている状態で $1$ 人勝ちする確率は、$\displaystyle \frac{{}_3{C}_{1}×3}{3^3}=\frac{9}{27}=\frac{1}{3}$
よって、ⅰ)の確率は、$\displaystyle \frac{1}{3}×\frac{1}{3}=\frac{1}{9}$ である。
ⅱ)…「 $3$ 人のうち $2$ 人が何の手で勝つか」の確率は、$\displaystyle \frac{{}_3{C}_{2}×3}{3^3}=\frac{1}{3}$
また、「 $2$ 人のうち $1$ 人が何の手で勝つか」の確率は、$\displaystyle \frac{{}_2{C}_{1}×3}{3^2}=\frac{2}{3}$
よって、ⅱ)の確率は、$\displaystyle \frac{1}{3}×\frac{2}{3}=\frac{2}{9}$ である。
したがって、ⅰ)ⅱ)の事象は互いに排反であるから、$\displaystyle \frac{1}{9}+\frac{2}{9}=\frac{1}{3}$ である。
(解答終了)
それぞれのじゃんけんは独立であるため、ⅰ)ⅱ)の確率は掛け算によって求めることができます。
また、ⅰ)ⅱ)は互いに排反であるため、単に足し算することで答えが導き出せます。
[ふきだし set=”ウチダ”]「独立?排反?いったい何者?」という方は、先に「排反と独立の違いとは?【ヒント:試行と事象】」の記事から読み進めることをオススメします。[/ふきだし]
5人でのじゃんけんの確率(1回)
じゃんけんの問題は、回数が $2$ 回に増えるだけでもかなり複雑になることがわかりましたね。
今度は、また回数を $1$ 回に減らす代わりに、人数を $5$ 人に増やして考えてみましょう。
【解答】
$4$ 人の場合のときと同じように、今度は
- ⅰ)… $1$ 人勝ちする場合
- ⅱ)… $2$ 人勝ちする場合
- ⅲ)… $3$ 人勝ちする場合
- ⅳ)… $4$ 人勝ちする場合
の $4$ パターンに分けて、余事象の確率(勝負がつく確率)を求めていく。
ⅰ)…「 $5$ 人のうち $1$ 人が何の手で勝つか」の確率だから、$\displaystyle \frac{{}_5{C}_{1}×3}{3^5}=\frac{15}{243}$
ⅱ)…「 $5$ 人のうち $2$ 人が何の手で勝つか」の確率だから、$\displaystyle \frac{{}_5{C}_{2}×3}{3^5}=\frac{30}{243}$
ⅲ)…「 $5$ 人のうち $3$ 人が何の手で勝つか」の確率だから、$\displaystyle \frac{{}_5{C}_{3}×3}{3^5}=\frac{30}{243}$
ⅳ)…「 $5$ 人のうち $4$ 人が何の手で勝つか」の確率だから、$\displaystyle \frac{{}_5{C}_{4}×3}{3^5}=\frac{15}{243}$
ⅰ)~ⅳ)より、勝負がつく確率は $\displaystyle 2×(\frac{15}{243}+\frac{30}{243})=\frac{90}{243}$
したがって、求める確率は $\displaystyle 1-\frac{90}{243}=\frac{153}{243}=\frac{17}{27}$ である。
(解答終了)
さて、そろそろ一般化の道すじが見えてきたのではないでしょうか?
ではいよいよ、$n$ 人のじゃんけんについて考察していきましょう!
n人でのじゃんけんの確率(1回)
さて、今までの方法で考えれば、「 $1$ 人勝ち ~ $n-1$ 人勝ち」まで場合分けをして、
$$1-\frac{3×({}_n{C}_{1}+{}_n{C}_{2}+…+{}_n{C}_{n-1})}{3^n} …①$$
とすれば、あいこになる確率を求めることができます。
ここでは、今までとは違う面白い方法で解きたいと思います。
【解答】
「勝負がつく」事象の確率を求めて、$1$ から引くという方針は同じ。
ここでは、
- ⅰ)…どの $2$ 種類の手が出るか
- ⅱ)…$1$ 人の手の出し方
の $2$ つに分けて考えよう。
ⅰ)…「どの $2$ 種類の手が出るか」選ぶ場合の数は、${}_3{C}_{2}=3$ 通り。
ⅱ)…$1$ 人に対して $2$ 種類の選択肢があるので、$2^n$ 通り。
しかし、全員が同じ手である場合は $2$ 通りあるので、正しくは $2^n-2$ 通り。


ⅰ)ⅱ)より、$n$ 人でのじゃんけんであいこになる確率は、$$1-\frac{3×(2^n-2)}{3^n}=1-\frac{2^n-2}{3^{n-1}} …②$$
(解答終了)
ためしに②の式に $n=2$ ~ $5$ を代入してみると…
$$n=2 → 1-\frac{2^2-2}{3^{2-1}}=\frac{1}{3}$$
$$n=3 → 1-\frac{2^3-2}{3^{3-1}}=\frac{1}{3}$$
$$n=4 → 1-\frac{2^4-2}{3^{4-1}}=\frac{13}{27}$$
$$n=5 → 1-\frac{2^5-2}{3^{5-1}}=\frac{17}{27}$$
と、今まで求めてきた答えと確かに一致します。
②を公式として覚える必要はありませんが、こういう考え方もできると、確率がより面白く感じられてくるかと思います。
ちなみに、この解答では「重複順列」の考え方を用いています。
≫参考記事:重複順列の問題6選とは【公式よりも応用問題の解き方が大切です】
補足:①から②を導く方法
実は①の式に、ある変形を加えることで②を導くことができます。
※この数式は横にスクロールできます。
この式変形では
- $1$ 行目で ${}_n{C}_{0}+{}_n{C}_{n}$ を足して引いている
- $2$ 行目で「二項定理」を使って $(1+1)^n$ としている
以上 $2$ つの操作を行っています。
[ふきだし set=”ウチダ”]二項定理は数学Ⅱの初めで習う重要な定理です。興味のある方は「二項定理~(後日書きます。)」の記事もあわせてご覧ください。[/ふきだし]
じゃんけんの確率に関するまとめ
本記事の要点を改めてまとめます。
ほとんど「あいこの確率」を求める問題を扱いましたが、裏を返せば「あいこの確率」があるからややこしいのであって、それさえマスターしてしまえば様々な問題に対応できます。
どこまでいっても基本を大切にしてくださいね^^
「確率」全 12 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!


以上で終わりです。
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