こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、皆さんは「余事象の確率」について、その考え方は理解しましたか?
よく
[ふきだし set=”悩む男性”]余事象の確率の公式ってなんで成り立つんだろう…。[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]余事象の確率の公式を使うタイミングが、いまいちつかめないな~。[/ふきだし]
こういった声を耳にします。
よって本記事では、余事象の確率の公式から、余事象の確率の公式を用いる問題 $3$ 選、また余事象の確率の応用例まで、
- 東北大学理学部数学科卒
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ
- (専門は確率論でした。)
の僕がわかりやすく解説します。
余事象の確率とは?【「少なくとも」を見たら常に疑え!!】
余事象の確率におけるポイントはたったの $2$ つ。
- $1$ からそうじゃない確率を引けばいい。ただそれだけ。
- 「少なくとも」というワードが出てきたら、余事象の確率の問題である可能性大!
まず、余事象の確率の公式$$P(\overline{A})=1-P(A)$$がなぜ成り立つのか、についてですが、これはベン図で考えるとわかりやすいです。
$n(A)$ を「集合 $A$ の要素の個数」だと定義すると、$n(\overline{A})=n(U)-n(A)$ が成り立ち、この式の両辺を $n(U)$ で割ることで $P(\overline{A})=1-P(A)$ が導けます。
[ふきだし set=”ウチダ”]あ、「補集合と余事象の違いがよくわからない…」といった方がたまにいらっしゃるんですが、これは集合の話から確率の話に変わっただけで、特に言ってることは変化してないです。そんな感じの軽~い理解でOKですよ^^[/ふきだし]
では次に、“使うタイミング”について、具体的に問題を解きながら見ていきましょう。
余事象の確率の公式を用いる問題3選
「少なくともを見たら常に疑え」とのことでしたが、実際はどうなんでしょうか…。
この章では
- サイコロの問題
- くじの問題
- カードの問題
と、少しずつレベルアップさせながら解説していきます。
サイコロの問題
(1) サイコロを $1$ 個投げるとき、$2$ 以上の目が出る確率
(2) サイコロを $2$ 個投げるとき、少なくとも $1$ つは奇数の目が出る確率
特に(2)では、余事象の確率の公式を使った方が良いです。
【解答】
(1) 「 $2$ 以上の目が出る」ということは、「 $1$ の目が出ない」ということと等しい。
よって求める確率は、$\displaystyle 1-\frac{1}{6}=\frac{5}{6}$ である。
(2) 「少なくとも $1$ つは奇数の目が出る」ということは、「 $2$ つとも偶数の目ではない」ということと等しい。
よって求める確率は、$\displaystyle 1-\frac{3×3}{36}=1-\frac{1}{4}=\frac{3}{4}$ である。
(解答終了)
ここら辺は簡単ですね!
くじの問題
さあ、またまた「少なくとも」が出てきましたよ~。
ためしにこの問題では、余事象を使わない解法も考えていきましょうかね。
【解答】
$2$ 本とも外れる確率は $\displaystyle \frac{7×6}{10×9}=\frac{7}{15}$
よって、求めるのはその余事象の確率なので、$\displaystyle 1-\frac{7}{15}=\frac{8}{15}$ である。
(余事象を使わない解答)
求める確率は
- ⅰ)…$1$ 回目に当たりを引き、$2$ 回目にハズレを引く確率
- ⅱ)…$1$ 回目にハズレを引き、$2$ 回目に当たりを引く確率
- ⅲ)…$1$ 回目 $2$ 回目ともに当たりを引く確率
以上 $3$ パターンに分けられる。
ⅰ)の確率は、$\displaystyle \frac{3×7}{10×9}=\frac{21}{90}$
ⅱ)の確率は、$\displaystyle \frac{7×3}{10×9}=\frac{21}{90}$
ⅲ)の確率は、$\displaystyle \frac{3×2}{10×9}=\frac{6}{90}$
したがってⅰ)ⅱ)ⅲ)より、求める確率は、$\displaystyle \frac{21+21+6}{90}=\frac{48}{90}=\frac{8}{15}$ である。
(解答終了)
いかがでしょう。
余事象を使った方が断然ラクですよね!
[ふきだし set=”ウチダ”]確率の求め方は色々ありまして、ここでは”同時”を” $1$ 回目と $2$ 回目”に区別して求めています。この理由の詳しい解説は「同様に確からしいは意味不明!?【そんなに難しいこと言ってないよ】」の記事をご覧ください。[/ふきだし]
カードの問題
最後の問題には「少なくとも」が含まれていません…。
しかし、自分で問題文をちょっといじくってみれば、何か見えてくるはずです。
【解答】
「積が $3$ の倍数になる」ということは、「少なくとも $1$ 枚は $3$ の倍数のカードを引く」ということと等しい。
ここで、$3$ 枚とも $3$ の倍数ではないカードを引く確率は、$\displaystyle \frac{{}_8{C}_{3}}{{}_{11}{C}_{3}}=\frac{56}{165}$ である。
よって、求めるのはその余事象の確率なので、$\displaystyle 1-\frac{56}{165}=\frac{109}{165}$ である。
(解答終了)
自分で「少なくとも」を使った問題文に変えるところがポイントでしたね!
ちなみに、余事象を使わない解法だと
- ⅰ)$3$ の倍数のカードを $1$ 枚引くとき
- ⅱ)$3$ の倍数のカードを $2$ 枚引くとき
- ⅲ)$3$ の倍数のカードを $3$ 枚引くとき
の $3$ パターンに分けて、それぞれの確率を足せば求まりますが、面倒くさいのでやりません。(笑)
[ふきだし set=”ウチダ”]そうなんです。ポイントは「余事象を考えた方が計算がラクになるかどうか」これです。”少なくとも”が使われる多くの場合は、それに当てはまるということになりますね。[/ふきだし]
余事象の確率の応用例2選
それでは最後に、ちょっと難しめの余事象について考えていきましょうか。
具体的には
- じゃんけんであいこになる確率
- 誕生日のパラドックス
この $2$ つについて考えていきます。
じゃんけんのあいこ
じゃんけんであいこになる確率って、意外と難しいんですよ~。
なぜかというと、あいこには
- 全員同じ手を出す
- $3$ 種類の手が出る
の $2$ 通りがあって、特に $3$ 種類の手の出方にもまたパターンがあるからです。
[ふきだし set=”ウチダ”]たとえば人数が $5$ 人になると、$3$ 種類に対し $(2,2,1)$ で分かれる場合と $(3,1,1)$ で分かれる場合を区別して考えなきゃいけなくなります。[/ふきだし]
ということで、あいこの確率は余事象で求めるのが無難です。
【解答】
あいこじゃない、つまり勝負がつくとき、出されている手は必ず $2$ 種類である。
ⅰ)全事象の場合の数(手の出方全部)
$1$ 人に対し $3$ 通り考えられるので、$3^4=81$ 通り。
ⅱ)求める場合の数(勝負がつく)
- 何の $2$ 種類が出されるか
- それぞれの場合の数
の $2$ つに分けて考える。
①…$3$ 種類から $2$ 種類取る組合せの総数なので、${}_3{C}_{2}=3$ 通り。
②…たとえば $(グー、チョキ)$ の場合。
$1$ 人に対し $2$ 通り場合の数があるが、「全員がグー」「全員がチョキ」を除かなければいけないため、$2^4-2=14$ 通り。
≫参考記事:重複順列の問題6選とは【公式よりも応用問題の解き方が大切です】
よって積の法則より、$3×14=42$ 通り。
したがってⅰ)ⅱ)より、求める確率は、$\displaystyle 1-\frac{42}{81}=\frac{39}{81}=\frac{13}{27}$ である。
(解答終了)
結構難しいと思います。
ただ、「余事象がいかに役立つか」をより感じることができたのではないでしょうか?
[ふきだし set=”ウチダ”]じゃんけんの確率については「じゃんけんの確率(数学)の問題5選をわかりやすく解説します」の記事で詳しく解説してます~![/ふきだし]
誕生日のパラドックス
さて、最後は「誕生日のパラドックス」と呼ばれる、ちょっと変わった問題です。
解く前に、大体何パーセントぐらいか予想してみて下さい。
予想できましたか???
↓↓↓
実は、なんと約 $70$ % になります!!
[ふきだし set=”ウチダ”]これは驚きました!ちなみに、直感と反する答えになるため「パラドックス(逆説)」と呼ばれます。[/ふきだし]
ということで解答です♪
【解答】
今聞かれているのは、$30$ 人の中に誕生日が同じ二人組が少なくとも $1$ 組存在する確率である。
よってその余事象は、「全員誕生日がバラバラ」となる。
$1$ 年を $365$ 日だとすると、全員誕生日がバラバラになる確率は
したがって求める確率は、$\displaystyle 1-0.3≒0.7$ ぐらいである。
(解答終了)
計算は大変すぎるので省略しましたが、$7$ 割の確率で同じ誕生日の二人組がいるとは驚きですね。
興味のある方は「誕生日のパラドックスとは【同じ誕生日の人がいる確率はどのくらい?】」の記事もあわせてご覧ください。
余事象の確率に関するまとめ
本記事のポイントを改めてまとめます。
- 「 $A$ じゃない確率」は、$1$ から「 $A$ である確率」を引けばOK。
- 「少なくとも」を見かけたら、余事象を考えてみよう!
- 自分で「少なくとも」に書き換えることも重要です。
考えづらい問題は、余事象で何とかなる場合が多いので、ぜひ注意してみて下さい。
「確率」全 12 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!
終わりです。
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コメント一覧 (2件)
誕生日パラドックスの問題で、分子が365から始まるのが理解出来ません。364からなのでは?と思っています。馬鹿な僕ですが、教えて頂けませんか?
1人目制限はないからです。2人目で初めて「1人目と違う誕生日」という条件が付くので、365-1=364通りとなります。