こんにちは、ウチダです。
さて、二次関数に限らず、与えられた条件から一つの関数を求めるスキルは重要です。
ただ、「二次関数の決定」では、注意すべき点がいくつかあります。
たとえば…
- 一般形
- 標準形
- 分解形
の $3$ つの形があり、問題によって使い分ける、といった感じにです。
そもそも、なんで $3$ つの形があるのかわからないし、どう使い分けるかもわかりません。
[/ふきだし]二次関数の決定の問題が解けるようになりたいです…。
[/ふきだし]よって本記事では、二次関数の決定における解き方3パターンを
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
二次関数の決定で重要なポイント【解き方3パターンを覚えよう】
二次関数の決定において、問題の解き方は $3$ パターンに決まっています。
最初にまとめをしておきましょう。
- 一般形 $y=ax^2+bx+c$ … 通る $3$ 点が与えられた場合に使う
- 標準形 $y=a(x-p)^2+q$ … 「軸の方程式」または「頂点の座標」が与えられた場合に使う
- 分解形 $y=a(x-α)(x-β)$ … $x$ 軸との共有点が $2$ つ与えられた場合に使う
これら3パターンの共通点は以下の $2$ つです。
なんか覚えること多いね…。難しく感じてしまうなぁ。
[/ふきだし]今はそう感じてしまうかもしれませんが、これから問題を解いていくうちに理解できます!
[/ふきだし]二次関数の決定において重要なのが、「問題パターンを覚えること」「関数が決定する仕組みを理解すること」の2つなので、順に解説していきますね。
一般形・標準形・分解形を使いこなそう
まずは問題を解いて、それぞれの形をどう使うのか見ていきます。
問1.次の条件を満たす放物線をグラフとする二次関数を求めなさい。
(1) $3$ 点 $( \ 2 \ , \ -2 \ )$,$( \ 3 \ , \ 5 \ )$,$( \ -1 \ , \ 1 \ )$ を通る
(2) 頂点が $( \ 1 \ , \ -3 \ )$ で、点 $( \ -1 \ , \ 5 \ )$ を通る
(3) $2$ 点 $( \ 1 \ , \ 0 \ )$,$( \ 3 \ , \ 0 \ )$ を通り、$y$ 切片が $-3$
(1)から順に、「一般形」「標準形」「分解形」と使えばラクに解けます。
どういうことかは、解答をご覧ください。
以上のように、与えられた条件に対して使う形を柔軟に変えることで、二次関数の決定は圧倒的にラクに解けます。
(もちろん、(1)で標準形 $y=a(x-p)^2+q$ を使っても解けます。しかし、計算がとても面倒です。)
確かに、解答はスッキリしてました。(1)はただ代入するだけって感じですが、(2)(3)は知識が必要ですね。
[/ふきだし]そうですね。「(2)(3)がなぜ上記のように解答できるのか」については、それぞれの解答欄に出てくる参考記事をご覧ください。
[/ふきだし]正直、二次関数の決定で押さえておくべき内容は以上となります。
ただ、仕組みを理解しているのとしていないのでは、この先大きな差が生まれてしまいますので、ここからは
二次関数を一つに決めている背景事実は、一体何なのか
について、考えていきましょう。
二次関数の決定の仕組みとは?
二次関数に限らず、$n$ 次関数に対して通る点が $n+1$ 個与えられれば、関数は一つに決まる。(例外はアリ)
「 $n$ 次関数の決定」は基本的に、この仕組みの下に成り立っています。
たしかに、一次関数も「通る $2$ 点」が与えられれば一つに決まるもんね!
[/ふきだし]そうですね!なぜなら、一次関数は $y=ax+b$ という形で表すことができ、この式に含まれている未知数の数が $a$,$b$ の $2$ つだからです。
[/ふきだし]ここで、先ほどスルーした連立方程式を解いておきましょう。
【連立三元一次方程式の解き方】
$$\left\{\begin{array}{ll}-2=4a+2b+c \ &…①\\5=9a+3b+c \ &…②\\1=a-b+c \ &…③\end{array}\right.$$ $①-③$ を計算すると、$3a+3b=-3$
両辺を $3$ で割って、$a+b=-1 …④$
$②-③$ を計算すると、$8a+4b=4$
両辺を $4$ で割って、$2a+b=1 …⑤$
となり、未知数 $c$ が消える。
次に、$⑤-④$ を計算すると、$a=2$
これを④または⑤の式に代入すれば、$b=-3$ が求まり、これらを①~③のいずれかに代入すれば、$c=-4$ も求まる。
(解答終了)
中学校までで習う連立方程式は「連立二元一次方程式」と呼ばれ、$2$ つの方程式から解を求めていました。
ここで解いた連立方程式も、仕組みは同じです。
連立三元一次方程式の解き方のコツは、「まず $1$ つの文字を消去すること」です。二次関数の決定では、未知数 $c$ が消しやすいです。そうすれば、④と⑤の連立方程式ができますから、あとは今まで通り解けますね☆
[/ふきだし]連立方程式に関する詳しい解説は、以下の記事をご参考ください。
連立方程式とは~(準備中)
しかし、例外もあります。
つまり、「 $3$ つの方程式があるにも関わらず未知数 $a$,$b$,$c$ が一つに定まらない」という場合です。
ちょっと難しいですね…何かわかりやすい例はありますか?
[/ふきだし]たとえば、$3$ 点 $( \ 1 \ , \ 2 \ )$,$( \ 2 \ , \ 4 \ ),$( \ 3 \ , \ 6)$ を通る関数は、二次関数ではなく一次関数となります。図で確認してみましょうか^^
[/ふきだし]ここら辺の話を詳しく学習するのは、大学数学「線形代数」の単元になりますので、これ以上は省略します。
「軸の方程式」と「頂点の座標」の違い
さて、二次関数の決定における重要事項を、もう一つ解説します。
それは、「軸の方程式と頂点の座標の情報量の違い」です。
軸の方程式で与えられる情報は $1$ つ( $x$ 座標のみ)であるのに対し、頂点の座標で与えられる情報は $2$ つ( $x$ 座標,$y$ 座標)です。
つまり、「頂点の座標が与えられた場合、通る点がもう一つわかれば、二次関数は決定する」ということになります。
冒頭の問題(2)で「なんで頂点の他にもう一点しか与えられていないんだろう…」と思っていたけど、そういう理由があったんだね!
[/ふきだし]ここからも、「頂点は特に重要な点である」と言えますよね。ちなみに軸の方程式が与えられた場合は、通る点が $2$ つわかれば二次関数は決定します。
[/ふきだし]二次関数の決定に関するまとめ
それでは最後に、本記事のポイントをまとめます。
- 二次関数には「一般形」「標準形」「分解形」という $3$ つの形があり、パターンに応じて使い分けると計算がラク!
- 一般的に、$n$ 次関数に対して通る点が $n+1$ 個与えられれば、関数は一つに決まる(ただし例外アリ)。
- 頂点の座標は情報量が $2$ あるので、特に重要な点である。
二次関数の決定で学んだことは、三次関数・四次関数にも応用できる考え方です。
「与えられた条件から関数を一つに決定する」スキルは重要ですので、ぜひこの機会に仕組みを理解しておきましょう。
数学Ⅰ「二次関数」の全 $12$ 記事をまとめた記事を作りました。よろしければこちらからどうぞ。
おわりです。
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