こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、突然ですがここで問題です。
(1) サイコロを $1$ 個投げたとき、$1$ の目が出る確率を求めなさい。
(2) サイコロを $2$ 個投げたとき、$1$ と $2$ の目が出る確率を求めなさい。
(1)の答えは $\displaystyle \frac{1}{6}$ で、(2)の答えは $\displaystyle \frac{1}{18}$ となります。
皆さんは解けましたか?
と、このようにサイコロの目の確率を求める問題は、サイコロの個数が増えるごとにややこしくなってきます。
よく、
[ふきだし set=”悩む男性”]サイコロが $2$ つ以上になると、途端に訳がわからなくなるなぁ…。[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]この問題は解けた!だけど、サイコロの問題をもっとしっかり解いておきたいな~。[/ふきだし]
こういった声を耳にします。
よって本記事では、サイコロの確率の基本的な求め方から、サイコロの確率の計算問題 $13$ 選を
- 東北大学理学部数学科卒
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ
- (専門は確率論でした。)
の僕がわかりやすく解説します。
サイコロの確率の求め方とは【「6のn乗」で割りましょう。】
必ず押さえたいポイントは次の $2$ つです。
- 分母は $6$ の $n$ 乗しよう!
- 分子は数え上げましょう。
$n$ はサイコロの個数のこと。
つまり、
- サイコロ $1$ 個 → $6$ 分の~
- サイコロ $2$ 個 → $36$ 分の~
- サイコロ $3$ 個 → $216$ 分の~
と、分母はどんどん $6$ 倍されていきます。
この基本さえ忠実に守れば、あとは分子をただ求めるだけでOK。
[ふきだし set=”ウチダ”]分子の求め方にはいろんなパターンがあるので、さっそく問題を解いていきましょう![/ふきだし]
サイコロの確率の計算問題13選
では、ここからは実際に問題をたくさん解いていきます。
- 第1章 … $1$ つのサイコロの確率【 $4$ 問】
- 第2章 … $2$ つのサイコロの確率(区別あり)【 $4$ 問】
- 第3章 … $2$ つのサイコロの確率(区別なし)【 $3$ 問】
- 第4章 … $3$ つのサイコロの確率【 $2$ 問】
の $4$ 章。問題数なんと…計 $13$ 問!!
ぜひお好きな所からお読みください。
※「第〇章」の部分がリンクになっており、クリックすると問題へジャンプします。
[ふきだし set=”ウチダ”]量が多いですが、最初の方はサクサク解ける問題です。頑張って解いていきましょう。[/ふきだし]
1つのサイコロの確率【4問】
(1) 出た目が $2$ である確率
(2) 出た目が偶数である確率
(3) 出た目が $4$ か $5$ である確率
(4) 出た目が $4$ 以下である確率
どれも基本の問題です。
サクッと解いていきましょう。
【解答】
(1) 出た目が $2$ である場合の数は、もちろん $1$ 通り。
よって求める確率は $\displaystyle \frac{1}{6}$ である。
(2) 出た目が偶数である場合の数は、$2$,$4$,$6$ の $3$ 通り。
よって求める確率は $\displaystyle \frac{3}{6}=\frac{1}{2}$ である。
(3) 出た目が $4$ か $5$ である場合の数は、もちろん $2$ 通り。
よって求める確率は $\displaystyle \frac{2}{6}=\frac{1}{3}$ である。
(4) 出た目が $4$ 以下である場合の数は、$1$,$2$,$3$,$4$ の $4$ 通り。
よって求める確率は $\displaystyle \frac{4}{6}=\frac{2}{3}$ である。
(解答終了)
分子だけ数え上げで求めて、あとは $6$ で割れば確率になります。
約分忘れには注意していきましょうね。
区別のつく2つのサイコロの確率【4問】
(1) $a+b=8$ となる確率
(2) $a×b<16$ となる確率
(3) $a$,$b$ が連続した $2$ つの整数である確率
(4) $\displaystyle \frac{a}{b}$ が整数になる確率
まあまあレベルアップしましたね(^_^;)
ただ、サイコロが $2$ つということは…分母はおわかりですね?
あとは分子をそれぞれ求めていきましょう!!
【解答】
(1) $a+b=8$ となる場合は、
$$(a,b)=(2,6),(3,5),(4,4),(5,3),(6,2)$$
の計 $5$ 通りなので、求める確率は $\displaystyle \frac{5}{36}$ である。
(2) $a×b<16$ となる場合は、
- ⅰ)$a$ が $1$ もしくは $2$ のとき … 全部OKなので $2×6=12$ 通り。
- ⅱ)$a=3$ のとき … $b=5$ までの $5$ 通り。
- ⅲ)$a$ が $4$ もしくは $5$ のとき … $b=3$ までの $2×3=6$ 通り。
- ⅳ)$a=6$ のとき … $b=2$ までの $2$ 通り。
全部足すと、$12+5+6+2=25$ 通りなので、求める確率は $\displaystyle \frac{25}{36}$ である。
(3) $a$,$b$ が連続した $2$ つの整数になる場合は、
- ⅰ)$a<b$ のとき … $$(a,b)=(1,2),(2,3),(3,4),(4,5),(5,6)$$の $5$ 通り。
- ⅱ)$a>b$ のとき … $$(a,b)=(2,1),(3,2),(4,3),(5,4),(6,5)$$の $5$ 通り。
ⅰ)ⅱ)を足すと、$5+5=10$ 通りなので、求める確率は $\displaystyle \frac{10}{36}=\frac{5}{18}$ である。
(4) $\displaystyle \frac{a}{b}$ が整数になる場合というのは、$b$ が $a$ の約数である場合に等しい。
図のように、条件に当てはまる場合に印をつけてみると、$14$ 個となる。
よって求める確率は、$\displaystyle \frac{14}{36}=\frac{7}{18}$ である。
(2)の別解
$a×b<16$ ではない、つまり $a×b≧16$ である場合を数えると、
の計 $11$ 通り。
※この組合せは横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
よって、全体の場合の数から引くと $36-11=25$ 通りなので、求める確率は $\displaystyle \frac{25}{36}$ である。
(解答終了)
(4)で用いた表は、もちろん(1)~(3)においても使えます。
「ちょっと複雑でわかりづらいな…」というときは、ぜひこの表を使ってみてください。
[ふきだし set=”ウチダ”]ちなみに、(2)のように場合の数が多くなってしまう問題は、別解のように「そうじゃない場合の数」を求めて全体から引いた方が速いです。[/ふきだし]
区別のつかない2つのサイコロの確率【3問】
(1) $2$ つのサイコロの出た目が同じである確率
(2) 少なくとも $1$ つは偶数の目が出る確率
(3) 出た目の和が $5$ 以下である確率
さて、今度は「区別がない」 $2$ つのサイコロの問題です。
どう考えればいいでしょうか…。
↓↓↓
単に場合の数を求めるときは、もちろん勝手に区別を付けてはいけませんが…
[ふきだし set=”ウチダ”]なぜなら区別を付けることで「同様に確からしさ」が保証されるからです。詳しくは「同様に確からしいは意味不明!?【そんなに難しいこと言ってないよ】」の記事をご覧ください。[/ふきだし]
ということで、これさえわかっていれば「区別がある」 $2$ つのサイコロの問題と全く同じように解くことができます。
【解答】
サイコロを $A$,$B$ と区別して考える。
(1) $A$,$B$ のサイコロの出た目が同じである場合の数は、
$$(a,b)=(1,1),(2,2),(3,3),(4,4),(5,5),(6,6)$$
の計 $6$ 通りなので、求める確率は $\displaystyle \frac{6}{36}=\frac{1}{6}$ である。
(2) 「少なくとも $1$ つは偶数の目が出る」という事象は、「 $2$ つとも奇数の目が出る」という事象の余事象である。
したがって、余事象の確率の公式より、$\displaystyle 1-\frac{3×3}{36}=1-\frac{1}{4}=\frac{3}{4}$ と求まる。
≫参考記事:余事象の確率とは?【〇〇の問題で絶大な威力を発揮します】
(3) 出た目の和が $5$ 以下である場合の数は、
の計 $10$ 通りなので、求める確率は $\displaystyle \frac{10}{36}=\frac{5}{18}$ である。
※この組合せは横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
(解答終了)
(2)で「余事象(よじしょう)の確率」の問題が出てきました。
よ~く出てくる問題なので、ぜひ参考記事をあわせてご覧ください。
3つのサイコロの確率【2問】
(1) 出た目の積が偶数である確率
(2) 出た目の積が $4$ の倍数である確率
さて、最後の問題!
$3$ つのサイコロの場合、分母はいくらか覚えてますね?
実はこの問題。(2)が鬼のように難しいです…。
なので、解けなくてもがっかりしないでください。
以下の解答を見て
- なぜ難しいのか
- どこが難しいのか
- どう考えることが効率がいいのか
ここら辺を感じてもらえればOKです。
【解答】
(1) 「出た目の積が偶数になる」という事象は、「少なくとも $1$ つは偶数の目が出る」という事象と等しい。
よって、余事象「 $2$ つとも奇数の目が出る」の確率を求め、$1$ から引けばよい。
したがって求める確率は、$\displaystyle 1-\frac{3×3×3}{216}=1-\frac{1}{8}=\frac{7}{8}$ である。
(2) この問題も余事象、つまり「出た目の積が $4$ の倍数にならない」という事象を考えると
- ⅰ)…すべての目が奇数
- ⅱ)…$2$ つの目が奇数で、もう $1$ つの目が $2$ または $6$
の $2$ パターンに場合分けできる。
ⅰ)…全ての目が奇数である場合の数は、$3×3×3=27$ 通り。
ⅱ)…大が $2$ か $6$ の場合の数は、$2×3×3=18$ 。
中、小についても同じことが言えるので、$18×3=54$ 通り。
ⅰ)ⅱ)より、余事象の確率は $\displaystyle \frac{27+54}{216}=\frac{81}{216}=\frac{3}{8}$。
したがって、出た目の積が $4$ の倍数である確率は、$\displaystyle 1-\frac{3}{8}=\frac{5}{8}$ である。
(解答終了)
(2)は、サイコロの問題の中で最も難しいものの $1$ つと言えるでしょう。
[ふきだし set=”ウチダ”]サイコロが $4$ 個以上になってくると、さすがに確率の定義だけでは厳しくなってきます。もっと難しい問題にチャレンジしたいという方は、ぜひ「反復試行の確率の公式【なぜ組合せCが出てくる?応用問題4選も解説】」の記事の問題を解いてみてください^^[/ふきだし]
サイコロの確率に関するまとめ
本記事の要点を改めてまとめます。
- サイコロの確率の分母は $6^n$ です。
- あとは分子の場合の数を求めればOK!!
- ただ、難しくなってくると、より工夫が必要です(^_^;)
いきなり応用から入るのはオススメできません。
まずは本記事の前半で基礎をしっかり固めてから、いろいろな応用問題にチャレンジしてほしいと思います!
「確率」全 12 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!
「自分にピッタリの先生から数学をマンツーマンで教わりたい」と考えている方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
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コメント一覧 (9件)
お願いがあります。
「区別がつかなくても同様に確からしい場合の数を考えるときはサイコロを区別できるものとして考えなくてはいけない」ことの説明についてです。ご存じかと思いますが、経験的・感覚的な説明しかなく、偉い確率の専門家の方々(小針あきひろ,W.FELLER)の著書にも「本当に区別がつかない物ならば区別しないで考えた場合は同様に確からしくなる」と書いてあります。しかし、論理的に説明できるんです。以下をお読みください。
[問題]
2個のサイコロを投げて
①両方とも偶数になる
②片方が偶数で片方が奇数になる
③両方とも奇数になる
という確率を求めなさい。
【サイコロをA,Bと区別できる】
事象を(Aの目,Bの目)と表します。
偶奇だけ見た事象は次の4通りです。
(奇,奇) (奇,偶)
(偶,奇) (偶,偶)
それぞれが同様に確からしいと見なせば、それぞれの現れる確率は1/4。
そこで確率は①1/4②1/2③1/4
つぎに1~6の目まで考えた事象は次の36通りです。
(1,1), (1,3),(1,5) (1,2),(1,4),(1,6)
(3,1), (3,3),(3,5) (3,2),(3,4),(3,6)
(5,1), (5,3),(5,5) (5,2),(5,4),(5,6)
(2,1), (2,3),(2,5) (2,2),(2,4),(2,6)
(4,1), (4,3),(4,5) (4,2),(4,4),(4,6)
(6,1), (6,3),(6,5) (6,2),(6,4),(6,6)
それぞれが同様に確からしいと見なせば、それぞれの現れる確率は1/36。
そこで確率は①9×(1/36)=1/4 ②18×(1/36)=1/2 ③9×(1/36)=1/4
偶奇だけ見たときと矛盾がありません。
【サイコロが区別できない】
(奇,偶)は(偶,奇) と同一の事象なので偶奇だけ見た事象は次の3通りです。
(奇,奇)
(偶,奇) (偶,偶)
それぞれが同様に確からしいと見なせば、それぞれの現れる確率は1/3。
そこで確率は①1/3②1/3③1/3
例えば(1,3)は(3,1) と同一の事象なのでつぎに1~6の目まで考えた事象は次の21通りです。
(1,1)
(3,1), (3,3)
(5,1), (5,3),(5,5)
(2,1), (2,3),(2,5) (2,2)
(4,1), (4,3),(4,5) (4,2),(4,4)
(6,1), (6,3),(6,5) (6,2),(6,4),(6,6)
それぞれが同様に確からしいと見なせば、それぞれの現れる確率は1/21。
そこで確率は①6×(1/21)=2/7 ②9×(1/21)=3/7 ③6×(1/21)=2/7
偶奇だけ見たときと矛盾してしまいます。
区別しないで考えた事象をどれも同様に確からしいと考えたことが間違えの原因です。
遊ぶ数学さんの方で「サイコロを区別しないで考えた場合を同様に確からしいと見なすと論理的矛盾が生じる」という説明を作っていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
なぜサイコロを2個投げたとき、1と2の目が出る確率を求めなさい。が18分の1になるのですか?
1個投げると6通りの目の出方があるので、2個投げた場合の目の出方の全通りは6*6=36通りです。
1と2の目が出るのは、(1,2),(2,1)の2通りです。
よって、2/36=1/18です。
数学の世界というのは広いんですね、、、!!
(驚き)
日常生活にも、こうしたサイコロのようなプログラム(?)のような物があるとは知りませんでした!
ですね!数学は世界の土台なので!笑
喜んでいただけてよかったです!
頭いい、、!!
ありがとうございます!!
はじめまして
とても参考になります
ひとつ確認したいのですが
とあるショップで8面のサイコロを2個同時に振って
8と7の目が同時に出れば割引しています
確率は64分の1で合ってますでしょうか
ご教授頂けましたら幸いです。
宜しくお願いします。
松崎ヒロシ様
コメントいただきありがとうございます!
分母は8×8=64通りであっているのですが、分子が(8,7)、(7,8)の2通りがありますので、確率は
2/64=1/32
となります。
記事に書いてあることを参考に計算してみていただけると幸いです。