こんにちは、ウチダです。
今日は、小学4年生で初めて習う
「分配法則」
について、小学生に教えるように、わかりやすい説明(教え方)や証明について考えていきましょう。
また、割り算の分配法則についても分数を用いて考察し、理解を深めていきましょう。
分配法則とは
まずは公式の紹介です。
$$a×(b+c)=a×b+a×c$$$$(a+b)×c=a×c+b×c$$
この二つを合わせて「分配法則」と呼びます。
絵で表すとこんな感じですね。
これだけではわかりづらいと思いますので、例を見ていきましょう。
例1. $3×(10+2)$ を計算しなさい。
このような式の場合、四則演算のルールにもとづいて計算すれば、$$3×(10+2)=3×12=36$$と、まず ( ) の中を計算してから掛け算を行いますね。
これでももちろん正解です!
ですが、この計算に分配法則を用いるとどうなるでしょう。
【分配法則を用いた解答】
(終了)
さっきよりちょっと長くなってしまいましたが、これでも正しい答えを出せましたね!
では、次の例に移りましょう。
例2. $(7+9)×13$ を計算しなさい。
まずはいつもどおりに計算してみます。
すると、$$(7+9)×13=16×13=208$$
ですね!
ではこの式に分配法則を用いるとどうなるでしょうか。
【分配法則を用いた解答】
(終了)
今度はどうでしょう。
$16×13$ を筆算などで計算するよりも少しラクに答えが出せませんでしたか?
そう、実はこの分配法則…
計算をラクに行うのにめちゃくちゃ使えるんです^^
数が大きくなればなるほど、分配法則を使った方が良い場面というのはたくさん出てきます♪
「分配法則などを用いたインド式計算法を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください!
それでは、ここからは
- なぜ分配法則は成り立つのか
- 引き算や割り算についてはどうなのか
について、詳しく見ていきましょう。
分配法則のいろいろな証明(というより説明)
まずは、足し算と掛け算の性質について、おさらいしておきます。
たとえばですが、$$5+3=3+5$$だったり、$$5×3=3×5$$といったふうに、足し算と掛け算は順番を入れ替えても答えは同じになります。
この性質のことを交換法則と呼びます。
よって、今回示すのは、$$a×(b+c)=a×b+a×c$$のみの説明を、複数紹介します。
「これがいい!」と思ったものだけで十分ですので、ぜひ手持ちの武器の一つに加えてみて下さい♪
足し算と掛け算の意味から説明
まずは一番シンプルな説明からまいりましょう。
たとえば、 $15×3$ というのは、「 $15$ を $3$ つ足す」と教わりましたよね。
そこで、これも一例ですが、$$15=10+5$$なので、「 $10$ を $3$ つと $5$ を $3$ つを合わせる」と同じになるよーということです。
これは買い物のときなどに無意識に行っている行為ですよね!
$15$ 円というのは、$10$ 円玉 $1$ 枚と $5$ 円玉 $1$ 枚ですから、$10$ 円玉 $3$ 枚と $5$ 円玉 $3$ 枚支払えば $45$ 円になりますね。
では次は、図形で分配法則を考えていきます。
図形を用いた説明
たとえば、こんな長方形があったとします。
ここで、$$11=4+7$$ですから、赤の面積・青の面積というふうに、図形を二つに分けてみることにします。
すると、$$赤の面積=8×4=32$$$$青の面積=8×7=56$$です。
また、図形の面積というのは、分け方によって変わるものではないので、$$8×11=8×4+8×7$$が成り立ちますね^^
このように考えると、別に $3$ つに分けても $4$ つに分けてもいいことがわかるので、たとえば$$8×11=8×3+8×6+8×2$$なんかも成り立つことがわかります!
わかりづらいものこそ「図形の面積」で考えるクセをつけておくと、一気にイメージしやすくなりますよ♪
分配法則の引き算・割り算バージョンとは?
では最後に、今は足し算掛け算を用いた分配法則でしたが、引き算割り算ならどうなるのか、順に見ていきましょう。
まずは引き算の分配法則です。
$$a×(b-c)=a×b-a×c$$$$(a-b)×c=a×c-b×c$$
引き算というのは、足し算の逆の操作のことで、$$a-b=a+(-b)$$になります。
中学1年生で「正負の数」を学習してからの方が理解がスムーズですので、よろしければこちらの記事もぜひご覧ください♪
ただ、ここで注意したいことがあります。
引き算と割り算については、交換法則が成り立ちません。
たとえば、 $5-3=2$ ですが $3-5=-2$ ですし、$2÷4=\displaystyle \frac{1}{2}$ ですが $4÷2=2$ ですもんね。。
今引き算については( )の中の順番さえ注意すればよかったですが、割り算だと話は変わってきます。
割り算バージョンを解説します
掛け算の部分を割り算に変えてみると、以下のようになります。
- $a÷(b+c)=a÷b+a÷c ……①$
- $(a+b)÷c=a÷c+b÷c ……②$
これは、割り算の順番を入れ替えてますね。
そう、先ほどから注意しているように、割り算は割られる数と割る数を入れ替えるだけで答えが変わってしまうということは、順番に気をつけなければならない計算方法なのです。
そして、この $2$ つの式のどちらかは正しくてどちらかは間違っています。
皆さん、ぜひ①、②どちらが正しいか考えてみて下さい。
ここでは $3$ 通りの方法で解説していきます。
①分数を用いた説明
割り算は分数として表すことができましたね。
ですので、①と②の式を分数で表記してみます。
すると、
$$①…\frac{a}{b+c}=\frac{a}{b}+\frac{a}{c}$$
$$②…\frac{a+b}{c}=\frac{a}{c}+\frac{b}{c}$$
よって、正解は、②です!
なぜなら、②の右辺は分母がそろっているからです。
それに比べて、①の右辺は、分母がそろっていません。
分母がそろっていないときは、通分をするしかありませんね。
約分・通分のコツは”素因数分解”にあり?
分数の大小比較の問題が解けるようになろう。
これらについて、わかりやすく丁寧に解説します。
「約分・通分のミスが多くて困っている…」と感じている方は必見です。
じっさいに通分をしてみると、$$\frac{a}{b}+\frac{a}{c}=\frac{a×c+a×b}{b×c}$$となるので、これが左辺と同じであるとは考えられないですね。
②割り算の意味から考える
①の左辺は、$\displaystyle \frac{a}{b+c}$ でしたね。
ここで、文字だと分かりづらいので、ためしに$$a=30,b=3,c=5$$を代入してみます。
すると、意味合い的には、「りんご $30$ 個を、$3+5=8$ 人で分けたときの $1$ 人分」ということになりますね。
割り切れないから、「 $3$ 個あまり $6$ 」になってしまいます。
では次に、右辺について見てみます。
①の右辺は、$\displaystyle \frac{a}{b}+\frac{a}{c}$ だったので、意味合い的には、「りんご $30$ 個を $3$ 人で分けて、バナナ $30$ 本を $5$ 人で分けたときの $1$ 人分のりんごとバナナの総数」ということになりませんか?
実際に計算すると、「 $16$ 個(りんご $10$ 個+バナナ $6$ 本)」になりますね。
以上のように、割り算の意味について考えてみると、左辺と右辺は全く別のことを言っていることがわかりましたね。
③反例を考える
これは「間違っている証明」のときに、よく使えるテクニックなのですが、間違っている例(つまり反例)を1つでも挙げればよい、という論理です。
※正しいことを証明するのには役に立ちません。
ためしに、$$a=30,b=3,c=5$$を代入してみた時に、$$①の左辺=3あまり6$$$$①の右辺=16$$と全く違う値になったので、よってこれが反例となり、この式が正しくないことがわかりました。
さて、割り算の分配法則についてまとめます!
$$(a+b)÷c=a÷c+b÷c$$のみ成り立つ。
分配法則に関するまとめ
いかがだったでしょうか。
分配法則は非常に大切で、上手く使えばとても役に立つ公式ですので、ぜひ押さえておきましょう。
「分配法則を用いた問題をたくさん解いてみたい」という方は、次はこちらの記事をご覧ください^^
おわりです。
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