こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、皆さんは「円周角の定理」について正しく理解できていますか?
よくこんな言葉を耳にします。
[ふきだし set=”悩む男性”]円周角の定理?何言ってるかちんぷんかんぷん…。[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]円周角の定理は理解できた!でも、円に内接する四角形の性質とか、円周角の定理の逆とか…いろいろ覚えることあってツラいです…。[/ふきだし]
今回は、こういった悩みにお答えしていきたいと思います。
というのも、円周角の定理を自分のものにしている人は、覚えているという感覚がありません。
これはスゴイ大切な感覚です。
よって本記事では、円周角の定理について要点別に解説し、応用問題の解き方や考え方についても、
- 東北大学理学部数学科卒
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験あり
の僕がわかりやすく語ります。
円周角の定理に関する7つのポイント【必見級です】
いきなりですが、必見級のポイント $7$ つです。
- 円周角は中心角の半分。
- 直径に対する円周角は $90°$。
- 弧の長さが同じであれば円周角は等しい。
- 証明のコツは「二等辺三角形」と「外角の定理」を使うこと。
- 円に内接する四角形の対角の和が $180°$ になる証明は、実はヌルゲー。
- 逆は使えることが重要。(証明は理解しなくていい。)
- あとは補助線を適切に引こう。
これだけを見て理解できる方は、相当の実力者なので、自信を持っていいでしょう。
さて、いきなりポイント $7$ つを同時に解説することは不可能に近いので、ここからは
- 円周角の定理
- 円周角の定理の逆+補足
の $2$ 章に分けて解説します。
円周角の定理について
- 円周角は中心角の半分。
- 直径に対する円周角は $90°$。
- 弧の長さが同じであれば円周角は等しい。
- 証明のコツは「二等辺三角形」と「外角の定理」を使うこと。
- 円に内接する四角形の対角の和が $180°$ になる証明は、実はヌルゲー。
ここまでを一気に解説します。
【Step1】円周角の定理を使いまくろう
※(4)は「同じ弧の長さの円周角」を求める問題である。
まずは基本中の基本の問題です。
パパっと解けますね!
↓↓↓(答えあり)
【解答】
(1) 円周角は中心角の半分より、$$x=102°÷2=51°$$
(2) 同じ弧の円周角は等しいので、$$y=49°$$
(3) 直線の角度は $180°$ であるから、$$z=180°÷2=90°$$
(4) 長さが等しい弧の円周角は等しいので、$$α=36°$$
(解答終了)
少し図で補足をします。
一回転の角度が $360°$ なので、半回転(直線)の角度は $180°$ ですね。
≫参考記事.円の一周が360度の理由とは?なぜそう決めたのか由来を様々な視点から解説!
また、(4)では触れませんでしたが、「弧の長さと円周角は比例関係にある」ことも押さえておくとGOODです。
ここまでの進捗をまとめます。
- 円周角は中心角の半分。
- 直径に対する円周角は $90°$。
- 弧の長さが同じであれば円周角は等しい。
【Step2】円周角の定理を証明しよう
それではいよいよ、円周角の定理を証明しましょう!
この証明が本質的にわかると、ポイント1~3の理解が自然と深まると思いますよ♪
【証明】
まず、補助線 $OA$ を引く。
ここで、$OA=OB=OC$ より、$△OAB$ と $△OAC$ は二等辺三角形になるから、
$$∠OAB=∠OBA=●$$
$$∠OAC=∠OCA=■$$
のように表せる。
ここで、三角形の外角の定理より、$$∠BOD=∠OAB+∠OBA=2×●$$
$$∠COD=∠OAC+∠OCA=2×■$$
以上より、中心角 $∠BOC$ は
となるので、たしかに円周角の $2$ 倍である。
(証明終了)
厳密には、「 $AC$ が中心 $O$ を通る場合」と「 $∠ACB$ の外に中心 $O$ がある場合」についても証明しなくてはいけないのですが、ほぼ同じ方法であるためやらなくていいです。
また、以上の証明で用いた $2$ つの予備知識については、
の記事にて詳しく解説しております。
これでポイント1~3の知識も深まりましたね。なぜなら、同じ弧の長さに対する中心角も等しくなるからです。(弧の長さの出し方をよ~く思い出してみて下さい。)
このように、「中心角が円周角の $2$ 倍である」ことから自動的にわかる事実は多いですね。
さて、次は「円に内接する四角形の対角の和が $180°$ である」ことの証明です。
【Step3】円に内接する四角形の性質を知ろう
上の図のように、半径 $OB$ と $OD$ を引いてあげて、弧 $BD$ に対して円周角の定理を使います。
ここで弧 $BD$ は、
- 上の方にできるもの(青色の弧)
- 下の方にできるもの(赤色の弧)
の $2$ つがあるので、それぞれに対して円周角の定理を使えばOKです。
すると、中心 $O$ の周りの角度は $360°$ であることから、$$2●+2■=360°$$が成り立ち、この式の両辺を $2$ で割ってあげれば、$$●+■=180°$$
と、確かに対角の和は $180°$ になりました。
円周角の定理の逆について+補足
- 逆は使えることが重要。(証明は理解しなくていい。)
- あとは補助線を適切に引こう。
あとはこの $2$ つについて、理解を深めておけば完ぺきパーフェクトです。
もうちょっとだけ頑張りましょう。
【Step4】逆の証明はスルーでOK
「逆」というのは、仮定と結論を入れ替えたものです。
つまり、「円周角の定理の逆」と「四角形が円に内接するための条件」は
- 円周角が等しければ、同じ円周上にある
- 対角の和が $180°$ であれば、同じ円周上にある
上記のようになります。
しかしながら、これを理解するには高校1年生で習う「集合論」の知識が必要ですし、その高校生向けの学習指導要領ですら除外しているぐらいです。
ですので、ここの勉強で立ち止まるぐらいであれば、今はスルーして問題を解くことが先決かと。
あくまでこれは僕個人の意見です。一応補足しておくと、円周角の定理の逆は「転換法(てんかんほう)」と呼ばれる証明法で導きます。円周角の定理の逆については「円周角の定理の逆はなぜ成り立つのか【証明と問題の解き方とは】」の記事で詳しく解説してますので、気になる方はご覧ください。
【Step5】あとは補助線を適切に引こう
あとは問題をた~くさん解けばOKなんですが、一つだけ頭に入れておいてほしいことがあります。
それは「とりあえず補助線を引いてみる」ということ。
応用問題を何問か用意したので、ぜひ解いてみて下さい。
※(4)で書かれている点は、円周上を $5$ 等分している。
(1)、(2)については、補助線を引く問題ではありません。
(3)(4)は補助線が $1$ 本必要。
ぜひ考えてから解答をご覧ください♪
↓↓↓
【解答】
(1) 円に内接する四角形の対角の和は $180°$ より、$$x=180°-100°=80°$$
(2) $51°$ で角度が等しい部分があるから、円周角の定理の逆より、同じ円周上にあることがわかる。
よって、$$y=45°$$
(3)(4)については、以下のように補助線を引く。
(3)は、青色の補助線を一本引くことにより $62°+z=90°$ であることがわかるから、$$z=90°-62°=28°$$
(4)は、青色の補助線を一本引くことにより、三角形の外角の定理を使って、$$α=36°+72°=108°$$
(解答終了)
(3)では、直径が図に書かれているので、そこに気が付くと補助線が引きやすいでしょう。
(4)。これは知らないと厳しそうです。なので今知りましょう。
今、円周上の $5$ つの点によって $5$ 等分されているので、一つ分の弧の長さを①とすると、その中心角が $72°$ であることがわかります。
よって、①の円周角は $72°÷2=36°$ と求めることができます。
また、二つ分の弧の長さを②とすると、中心角は $2$ 倍、つまり $144°$ となるので、円周角も $2$ 倍、つまり $72°$ となることがわかりますね。
円周角の定理に関するまとめ
最後にもう一度、今回のポイントのおさらいをします。
- 円周角は中心角の半分。
- 直径に対する円周角は $90°$。
- 弧の長さが同じであれば円周角は等しい。
- 証明のコツは「二等辺三角形」と「外角の定理」を使うこと。
- 円に内接する四角形の対角の和が $180°$ になる証明は、実はヌルゲー。
(円周角の定理を $2$ 回使うだけ!) - 逆は使えることが重要。
- あとは補助線を適切に引こう。
(他のポイントと照らし合わせて考えよう。)
これを見て何のことか、大体わかるようになればOKです♪
円周角の定理の次は、三平方の定理を勉強しましょうか!
以上です~。
コメントを残す
コメント一覧 (2件)
Step3の説明
図を見る限り、弧BCでなく弧BDなのではないのかと…
クロサワ様
ホントですね!!(・・;
早速訂正させていただきました。ご指摘誠にありがとうございます!!
今後とも遊ぶ数学塾をどうぞよろしくお願いいたします。