こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、中3で習う「円周角の定理」は、その逆もまた成り立ちます。
例を挙げるとこんな問題。
このような問題は、円周角の定理の逆を使わないと解けません。
「円周角の定理がよくわかっていない…」という方は、先にこちらの記事から読み進めることをオススメします。
よって本記事では、
[ふきだし set=”悩む男性”]「円周角の定理の逆が何なのか」そもそもわからないなぁ。[/ふきだし]
[ふきだし set=”悩む女性”]言ってることはわかるんだけど、何で逆も正しいの?あと問題が解けるようにもなりたいな。[/ふきだし]
以上のような悩みに対して、
- 東北大学理学部数学科卒
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ
の僕がわかりやすく解説します。
円周角の定理の逆はなぜ成り立つの?【「転換法」を使って証明します】
いきなりですが最重要ポイントをまとめます。
角度の関係( $●<■$、$●=■$、$●>■$ )は図より明らかですね。
さて、$3$ 点 $A$、$B$、$C$ は必ず同じ円周上に存在します。(詳細は後述。)
そこに $4$ 点目 $D$ を加えたとき
- $D$ が円の内部にある場合
- $D$ が同じ円周上にある場合
- $D$ が円の外部にある場合
この $3$ パターンがありますね。
また、ⅱ) の場合が「円周角の定理」なので、円周角の定理の逆というのは、その仮定と結論を入れ替えたもの。
つまり…
これが円周角の定理の逆です。
この $3$ パターンに分けるという発想は、一見円周角の定理の逆と関係ないように見えますが、実はメチャクチャ重要です。
では「なぜ重要か」について、次の章で詳しく見ていきましょう。
[ふきだし set=”ウチダ”]「 $3$ 点 $A$、$B$、$C$ は必ず同じ円周上に存在する。」これは高校1年生で習います。結構重要事項です。詳しくは「外心とは?三角形の外心の座標・位置ベクトルの求め方や性質の証明をわかりやすく解説!【垂心】」の記事をご覧ください。[/ふきだし]
円周角の定理の逆の証明
命題 $A⇒P$、$B⇒Q$、$C⇒R$ が成り立ち、以下の $2$ つの条件を満たしているとき、それぞれの命題の逆が自動的に成り立つ。
・仮定 $A$、$B$、$C$ ですべての場合をおおいつくしている。
・結論 $P$、$Q$、$R$ のどの $2$ つの共通部分も空集合である。
さて、転換法という証明方法を用いますが…
これが難しい!!
だから中3では詳しく学ばないのです。
でも、そんなこと言ってもしゃーないので、このロジックをなるべくかみ砕きながら解説してみますね。
【証明】
まず、
- $D$ が円の内部にある場合
- $D$ が同じ円周上にある場合
- $D$ が円の外部にある場合
この $3$ パターン以外はあり得ない。(仮定についての確認)
次に、
- $●<■$
- $●=■$
- $●>■$
この中のどの $2$ パターンも同時に成り立つことはない。(結論についての確認)
以上より、転換法を用いると、円周角の定理の逆が自動的に成り立つことがわかる。
(証明終了)
いかがでしたか?
意外とあっさりしてますよね。
てか、あっさりし過ぎてて逆に難しいかと思います。
中3までに習う証明方法は”直接証明法”と呼ばれ、この転換法のような証明方法は”間接証明法”と呼ばれます。
高校生になると論理について勉強するので、ある程度理解できるようになるかとは思いますが、それでも難しいことは事実です。
[ふきだし set=”ウチダ”]以上の議論を中学3年生で理解できる方はかなりの猛者です。転換法を用いた証明は「三角形の成立条件を理解するたった1つのポイント【わかりやすく解説】」の記事でも紹介しています。もっと深く知りたいという方は、読んでみると面白いかもしれません。[/ふきだし]
円周角の定理の逆を用いる問題3選
厳密な証明と言うと、以上のように難しい議論がどうしても必要です。
ただ、すべてを理解せずとも、感覚的にわかっておくことは大切です。
まあ、あとは代表的な問題を解けるようになった方が良いかと思いますよ。
ということで、ここからは円周角の定理の逆を用いる問題
- 四角形の問題(冒頭で紹介した)
- 円の接線の問題その $1$
- 円の接線の問題その $2$
以上 $3$ 問を順に解説していきたいと思います。
四角形の問題
冒頭に紹介した問題とほぼほぼ同じ問題デス!
「円周角の定理の逆を使わないと解けない」というのが面白ポイントですね~。
【解答】
$∠BAC=∠BDC=34°$ であるから、円周角の定理の逆より、$4$ 点 $A$、$B$、$C$、$D$ が同一円周上に存在することがわかる。
したがって、弧 $AB$ に対する円周角は等しいので、$$α=∠ACB=49°$$
(解答終了)
円周角の定理の逆を用いる問題は
- 円周角の定理の逆を使う
- 同一円周上にあることがわかる
- 円周角の定理が使える
大体このプロセスで解けます。
[ふきだし set=”ウチダ”]「円周角の定理の逆を使った結果、円周角の定理を使うことになる」というのは、ちょっと変な感じがしますが、慣れてください。(笑)[/ふきだし]
円の接線の問題その1
まずはその $1$。
中心 $O$ から見て $A$ の反対側の円周角がわかっている場合です。
円の接線にはある性質が成り立ち、それを利用して解いていきます。
「どこに円周角の定理の逆を使うのか…」ぜひ考えながら解答をご覧ください。
↓↓↓
【解答】
円の接線と半径は垂直に交わるため、円周角の定理の逆より、$4$ 点 $A$、$P$、$O$、$Q$ は同じ円 $O’$ の周上の点である。
また、円 $O$ について、弧 $PQ$ に対する中心角は円周角の $2$ 倍より、$$∠POQ=75°×2=150°$$
したがって、円に内接する四角形の対角の和は $180°$ より、
$$x=180°-150°=30°$$
(解答終了)
さて、少しモヤモヤしたことかと思います。
結局どこで円周角の定理の逆を使ったの…?
っていう感じですよね。
それもそのはず。
別の知識を、都合上一まとめにしてしまっているからですね。
- 円周角の定理…同じ円周上であれば、円周角は等しい。
- 円に内接する四角形の性質…同じ円周上であれば、対角の和は $180°$ である。
思い出してほしいのですが、円に内接する四角形の対角の和が $180°$ であることは、円周角の定理を $2$ 回使って証明できました。
よって、円に内接する四角形の性質についても、同じように逆が成り立つ。
そういうふうに考えてもいいよね~、ということです。
まとめると…
これが「円周角の定理の逆」が持つ、もう一つの顔です。
[ふきだし set=”ウチダ”]この命題は「四角形が円に内接するための条件」と呼ばれます。本来は、この命題も別に証明しないと使っちゃダメなんですが、理解としては「円周角の定理の逆が成り立つんだから、これも成り立つはず」で全然OKです。この証明も若干面倒くさくて、一番有名なのは“同一法(どういつほう)”を用いる方法であり、高校1年生で少しだけ学びます。[/ふきだし]
円の接線の問題その2
円の接線の問題その $2$。
中心 $O$ から見て $A$ と同じ側の円周角を求める場合です。
解き方はその $1$ の問題とほぼほぼ同じですが、一つだけ注意点があります。
↓↓↓
【解答】
円の接線と半径は垂直に交わるため、円周角の定理の逆より、$4$ 点 $A$、$P$、$O$、$Q$ は同じ円 $O’$ の周上の点である。
よって、円に内接する四角形の対角の和は $180°$ より、$$∠POQ=180°-36°=144°$$
であるが、$y$ を求めるためには反対側の角度を求めて、$$360°-144°=216°$$
したがって、$y$ は中心角 $216°$ の半分なので、$$y=108°$$
(解答終了)
[ふきだし set=”ウチダ”]あ、ちなみに「円の接線と半径が垂直に交わる」ことも図を見れば明らかですが、いざ証明しようとなると面倒くさいです。とりあえずは知っておくだけで良いでしょう。[/ふきだし]
円周角の定理の逆に関するまとめ
本記事のポイントをまとめます。
- 「円周角の定理の逆」の証明は、$3$ パターンに分けて転換法を用いる。
- 円周角の定理の逆を使って同一円周上にあることがわかったら、円周角の定理が使える。
- 「円に内接する四角形の対角の和が $180°$ である」も同様に逆が成り立つ。
ちなみに、中3で習うもう一つの重要な定理と言えば「三平方の定理」がありますが、これについても逆が成り立ちます。
[ふきだし set=”ウチダ”]もし興味のある方は「三平方の定理の逆はなぜ成り立つ?【わかりやすく解説】」もあわせてご覧ください。証明として、同じ間接証明法である”同一法”を使っています。[/ふきだし]
以上です~。
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