こんにちは、ウチダです。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
さて、「重複順列(ちょうふくじゅんれつ)」の公式は $n^r$ と、ものすごく簡単な形であるがゆえに、
[ふきだし set=”悩む男性”]よ~し。公式に当てはめて…って、あれ??答えと違うんだけど…。[/ふきだし]
と間違えてしまうことはよくあります。
また、そもそも
[ふきだし set=”悩む女性”]「これは重複順列の問題!」と判断すること自体が難しいなぁ…。[/ふきだし]
そう感じている方も多いかと思います。
よって本記事では、重複順列だと判断する2つのポイントから、重複順列の基本問題3選、重複順列の応用問題3選の解き方まで
- 東北大学理学部数学科卒
- 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ
- (専門は確率論でした。)
の僕がわかりやすく解説します。
重複順列の見分け方【2つのポイントに注意です。】
この $2$ 点に注意しておけば、ほとんどの基本問題には対応できるでしょう。
- 使う個数の制限が“全く”ない。
- 並び替えが発生する(順列である)。
また、これらを満たすとき、次の公式が使えます。
$n$ 個から $r$ 個取る重複順列の総数は$$n^r$$
[ふきだし set=”ウチダ”]ポイント $2$ つの補足をすると、①に対しちょっとでも制限がある場合は「同じものを含む順列」、②に対し並び替えが発生しない場合は「重複組合せ」の考え方を使うことが多いです。[/ふきだし]
以上、重複順列の基本はたったこれだけですが、実際に問題が解けるようにならないと意味がないですよね。
よってここからは、具体的な問題を解いていくことで、理解を深めていきましょう。
重複順列の基本問題3選
重複順列の基本問題としてよく出題されるのが、
- サイコロの問題
- じゃんけんの問題
- 部分集合の問題
以上 $3$ つです。
まとめて確認しましょう。
(1) 大中小 $3$ 個のさいころを投げたとき、目の出方の総数
(2) $4$ 人でじゃんけんをしたとき、手の組合せの総数
(3) 集合 $A=\{1,2,3,4,5\}$ の部分集合の総数
すべて重複順列の公式によって求めることができます。
↓↓↓
【解答】
(1) $1$ 個のさいころにつき、目の出方は $6$ 通りある。
よって、$6^3=216$ 通り。
(2) $1$ 人につき、手の出し方は $3$ 通りある。
よって、$3^4=81$ 通り。
(3) たとえば、要素 $1$ に対して
- 部分集合に属している
- 部分集合に属していない
の $2$ 通り考えられる。
また、要素 $2$ に対しても同様に $2$ 通り、要素 $3$ に対しても同様に $2$ 通り、
…というふうに、すべての要素それぞれに対し $2$ パターン考えられる。
したがって、$2^5=32$ 通り。
(解答終了)
重複を許さないふつうの順列では ${}_n{P}_{r}$ を使う必要がありましたが、重複を許す順列では $1$ つ $1$ つ独立させて考えることができるため、計算がとってもラクですね。
重複順列の応用問題3選
それでは、本記事のメイントピック。
- 偶数などの条件がある整数の問題
- $n$ と $r$ がわかりづらい問題
- 部屋割りの問題
以上 $3$ つの応用問題について、詳しく解説していきます。
偶数などの条件がある整数の個数の問題
(1) $4$ 桁の自然数で、偶数であるもの
(2) (1)の中で $4300$ より小さいもの
この問題も、$0$ から $9$ までの数字を使う回数について制限がないため、重複順列の問題ですね。
さて、整数の個数を求める問題では、とあることに注意しなくてはいけません。
それが何だったか、ぜひ思い出しながらご覧ください。
【解答】
(1) それぞれの位の数について、場合の数を求めると…
- 千の位の数 → $0$ 以外の $9$ 通り。
- 百の位の数 → $10$ 通り。
- 十の位の数 → $10$ 通り。
- 一の位の数 → $2$、$4$、$6$、$8$、$0$ の $5$ 通り。
よって、積の法則より、$9×10×10×5=4500$ 個である。
(2) $1000$ 以上 $4300$ 未満の自然数の個数を求めればOK。
ⅰ)千の位が $1$、$2$、$3$ のいずれかである場合
百、十の位の数に制限がなく $10$ 通りで、一の位の数は変わらず $5$ 通り。
よって、積の法則より、$3×10×10×5=1500$ 個。
ⅱ)千の位が $4$ である場合
百の位の数は $0$、$1$、$2$ の $3$ 通り。
十の位の数は制限がないため $10$ 通り。
一の位の数は変わらず $5$ 通り。
よって、積の法則より、$1×3×10×5=150$ 個。
したがって、ⅰ)ⅱ)より和の法則を用いて、 $1500+150=1650$ 個である。
(解答終了)
この問題の場合、$4$ 桁であることは確定しているため、千の位に $0$ が入ることはありません…!
そこだけ注意です。
[ふきだし set=”ウチダ”]別解として、「 $奇数の個数=偶数の個数$ 」より、(1)は $9000÷2=4500$ 個、(2)は $3300÷2=1650$ 個と求めることもできます。ただ、より複雑な条件が付いたときに対応できるように、まずは本解答をしっかりと押さえておきましょう。[/ふきだし]
nとrがわかりづらい問題
「アメ玉を $1$ 個ももらえない子供がいてもよい」
この部分がポイントです。
皆さん、もうお分かりだと思いますが、この問題の答えは
$5^3$ or $3^5$
のどちらかではないですか?
さて、どっちが正しい答えか、よ~く考えてみて下さい。
↓↓↓
【解答】
$1$ 個のアメ玉に対し $3$ 通りの配り方がある。
アメ玉は $5$ 個あるので、よって $3^5=243$ 通りである。
(解答終了)
もし $5^3=125$ 通りが答えになる問題を作りたいときは、以下のようになります。
このような問題であれば、$1$ 人の子供に対し $5$ 通りの配り方があるため、$5^3=125$ 通りとなります。
[ふきだし set=”ウチダ”]それにしても…「アメ玉を $1$ 個ももらえない子供がいてもよい」という条件は道徳心に欠けるので、日常生活においては必ず $1$ 個は全員にいきわたるようにしましょう。(笑)[/ふきだし]
【重要】部屋割りの問題
(1) 空き部屋があってもよい
(2) 空き部屋がないようにする
さて、「空き部屋があるかないか」ももちろん重要な要素の一つですが、まずは「何通り( $n$ )が何個( $r$ )か」を考えていきましょうね。
↓↓↓
【解答】
(1) $1$ 人の生徒に対して、$A$ か $B$ かの $2$ 通り考えられる。
よって、$2$ 通りが $5$ 回続くので、$2^5=32$ 通り。
(2) (1)で、空き部屋ができてしまう場合は
- 全員が部屋 $A$ に入る
- 全員が部屋 $B$ に入る
の $2$ 通りである。
したがって、$32-2=30$ 通り。
(解答終了)
空き部屋がない場合の数については、空き部屋ができてしまう場合の数を引いて求めるしかありません。
[ふきだし set=”ウチダ”]部屋割りの問題(組分け問題)は非常に問題パターンが豊富で、かなり難しいです。「組分け問題全8パターン+αを解説【区別の有無で数学的な考え方が変わる】」の記事でしっかり学習しておきましょう。[/ふきだし]
重複順列に関するまとめ
本記事のポイントを $3$ つまとめます。
- 「使う個数の制限がない」かつ「並び替えが発生する」 → 重複順列
- 公式より「解き方の理解」の方が大切。
- 部屋割り(組分け)の問題は、いろんなパターンがあって難しい。
重複順列の問題は一見すると簡単ですが、甘く見ていると足をすくわれますので、しっかりと学習しておきましょう。
「場合の数」全 12 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!
以上です~。
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コメント一覧 (2件)
「5個のあめ玉を3人の子供に配るとき,何通りの配り方があるか。ただし,あめ玉を1個ももらえない子供がいても良い。」
この問題の解答は 3の5乗=243通りとなっています。
似たような問題で
「1個ももらわない人がいても良いという条件で,7個のチョコレートを4人でわける方法は何通り?」という問題で
解答は 10C3=120となっています。
どこが違うのでしょうか?
もし,配ると分けるの違いであれば上の問題をあめ玉を配る→あめ玉を分けるにすると重複組み合わせの問題になりますか?教えてください。
コウイチハタナカ様
コメントありがとうございます!
そして、混乱させてしまい申し訳ございません。
出題の意図としては、アメ玉の種類が全て違うとして、アメ玉と子供の部分が入れ替わったらどうなるかを解説しているつもりでした。
確かに、注釈がないと、これはわかりづらいですね。
なので問題文に「※また、$5$ 個のアメ玉は全て違う種類のものとする。」と追記させていただきました。
7個のチョコレートの問題では、チョコレートに区別がないはずなので、重複組合せの考え方で正しいです。
今回の場合、アメ玉に区別がある(そのつもりで出題していた)ので、重複順列の考え方になります。
配ると分けるの違いはもちろんございません。
今後とも遊ぶ数学を、どうぞよろしくお願いいたします。