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整数問題の難問・良問3選【解き方のコツやおすすめ参考書を解説します】

こんにちは、ウチダです。

幅広い知識が必要な「整数問題」は、受験生にとって強敵だと言えるでしょう。

[ふきだし set=”悩む男性”]整数問題の解き方のコツがあれば知りたいなぁ。[/ふきだし]

[ふきだし set=”悩む女性”]整数問題をマスターするには、どんな参考書で勉強すればいいの?[/ふきだし]

こういった悩みの声をよく耳にします。

よって本記事では、整数問題の難問・良問 $3$ 選を解く上で押さえておきたい考え方および解き方のコツから、おすすめの整数問題集まで

  • 東北大学理学部数学科卒業
  • 教員採用試験に1発合格 → 高校教諭経験アリ

の僕がわかりやすく解説します。

整数問題の難問・良問3選にチャレンジ!【解き方のコツとは?】

整数問題の中でも特に注意すべき $3$ パターンの問題にチャレンジしていきます。

  1. 合同式(mod)を利用する整数問題
  2. 因数分解を利用する整数問題
  3. 実験して規則性を見つける整数問題

[ふきだし set=”ウチダ”]これら以外だと「不等式を利用した絞り込みの問題」も頻出です。この問題は「不定方程式の解き方4パターンとは?【方程式の整数解の問題9選を通して解説】」の記事で扱ってますので、ぜひあわせてご覧ください。[/ふきだし]

それではさっそく参りましょう!

合同式の利用【2005年数学オリンピック】

問題. $n$ を自然数とする。このとき、数列$$a_n=2^n+3^n+6^n-1$$のすべての項と互いに素であるような自然数をすべて求めなさい。
※2005年国際数学オリンピック第4問

最初から超難問をぶち込んでみました。

ここまで難しくなると、解法も一通りだけでなく、

  • 二項定理を使ってゴリゴリ計算する方法
  • フェルマーの小定理を利用する方法

など様々な方法がありますが、ここでは一番簡潔に解ける後者のやり方で解いていきます。

【解答】

$5$ 以上の素数 $p$ に対し、$6a_{p-2}$ を考える。

\begin{align}6a_{p-2}&=6(2^{p-2}+3^{p-2}+6^{p-2}-1)\\&=3・2^{p-1}+2・3^{p-1}+6^{p-1}-6\\&≡3・1+2・1+1-6\\&=0 \pmod{p}\end{align}

上記の式変形は、フェルマーの小定理第 $1$ 形式より、$p$ と互いに素な自然数 $n$ に対して$$n^{p-1}≡1 \pmod{p}$$が成り立つことを利用した。

≫参考記事:フェルマーの小定理の2通りの証明とは?【京大入試を含む問題3選も解説】

よって、$6a_{p-2}$ は $5$ 以上のすべての素数 $p$ で割り切れることが判明した。

つまり、ある自然数 $n$ に対し、$a_{n}$ は $5$ 以上の素数 $p$ で必ず割り切れる、ということを意味する。

【整数問題】合同式の除法の性質(2005年数学オリンピック本選第4問の解説)

あと確認すべきなのは、素数 $2$,$3$ を素因数に持つ $a_n$ があるかどうか。

ⅰ)素因数 $2$ について

\begin{align}a_{n}&=2^n+3^n+6^n-1\\&=偶+奇+偶-奇\\&=偶\end{align}

より、$a_n$ は明らかに偶数であるため、素因数 $2$ を必ず持つ。

ⅱ)素因数 $3$ について

\begin{align}a_{n}&=2^n+3^n+6^n-1\\&≡(-1)^n+0+0-1\\&=(-1)^n-1 \pmod{3}\end{align}

より、$a_n$ は $n$ が偶数のとき素因数 $3$ を持つ。

以上より、すべての素数を素因数に持つことがあるとわかったため、求める自然数は $1$ のみである。

(解答終了)

この問題を解くための発想は

  • $a_n$ に出てくる項が、全部 $6$ の約数だな…。
  • 素数 $p$ を $5$ 以上とすれば、$p$ と $6$ は互いに素だな。
  • じゃあ、$a_n≡0 \pmod{p}$ となるように、上手く $n$ を設定するか!
  • $n=p-2$ として、$6a_{n}$ を考えれば、フェルマーの小定理が使えるぞ…?

こんな感じです。

[ふきだし set=”ウチダ”]数学オリンピック本選の問題ですから、$1$ 問につき $45$ 分の解答時間が与えられます。だから、すぐに解けなくても落ち込む必要はありませんよ![/ふきだし]

というか、この問題がスラスラ解けた方は、ぜひ数学オリンピックに出場してください。(笑)

では次の問題に参ります。

因数分解の利用【2013年一橋大学入試問題】

問題. 不定方程式$$3p^3-p^2q-pq^2+3q^3=2013$$を満たす自然数 $p$,$q$ の組をすべて求めなさい。
※2013年一橋大学入試第2問

ここからは、難関大志望の方であれば解けるようになりたい入試問題を扱っていきます。

ノーヒントで解答に移りますので、ぜひここで一度立ち止まって、じっくり考えてみてください^^

↓↓↓

【解答】

\begin{align}3p^3-p^2q-pq^2+3q^3&=3(p^3+q^3)-pq(p+q)\\&=3(p+q)(p^2-pq+q^2)-pq(p+q)\\&=(p+q)(3p^2-3pq+3q^2-pq)\\&=(p+q)(3p^2-4pq+3q^2)\end{align}

※以降途切れている数式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)

また、$2013=3・11・61$ と、倍数判定法を使って素因数分解できる。

≫参考記事:【倍数判定法まとめ】3の倍数・4の倍数・7の倍数などの見分け方とは?

よって、考えられる組合せは

\begin{align}( \ p+q \ , \ 3p^2-4pq+3q^2 \ )=( \ 3 \ , \ 11×61\ ) \ , \ ( \ 11 \ , \ 3×61 \ ) \ , \ ( \ 33 \ , \ 61 \ )\end{align}

の $3$ つ。

※ $3p^2-4pq+3q^2>p+q$ かつ $p+q≧1+1=2$ であることに注意する。

ここで、

\begin{align}3p^2-4pq+3q^2&=3p^2+6pq+3q^2-10pq\\&=3(p+q)^2-10pq\end{align}

と、$p+q$ を使った形に直し、$p+q$ に値を代入していく。

  • ⅰ)… $p+q=3$ のとき
      → $3・3^2-10pq=11×61$
  • ⅱ)… $p+q=11$ のとき
      → $3・11^2-10pq=3×61$
  • ⅲ)… $p+q=33$ のとき
      → $3・33^2-10pq=61$

ⅰ)~ⅲ)をそれぞれ解いたとき、$pq$ が自然数となるのは ⅱ)のみであり、$pq=18$ となる。

したがって、$p+q=11$ かつ $pq=18$ を満たす自然数 $p$,$q$ の組は

$$( \ p \ , \ q \ )=( \ 2 \ , \ 9\ ) \ , \ ( \ 9 \ , \ 2 \ )$$

の $2$ つのみ。

(解答終了)

$3p^3+3q^3$ と $-p^2q-pq^2$ に分けて因数分解をすれば、ここまで式がキレイになるのですね!

このように整数問題では、因数分解によって候補をかなり絞り込むことができます。

この技術はとても重要なので、しっかり押さえておきましょう!

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実験して規則性を見つける問題【2000年大阪大学入試問題】

問題. どのような $0$ 以上の $2$ つの整数 $m$ と $n$ を用いても $x=3m+5n$ とは表すことができない $1$ 以上の $x$ をすべて求めなさい。
※2000年大阪大学入試問題

さあ、ラストの問題は阪大入試問題。

この問題を解くには、$n$ に値を代入して規則性を見つけるのが一番良いでしょう。

ということで早速解いていきます。

【解答】

ⅰ)$n=0$ のとき

$x=3m+5・0=3m$ より、$3$ の倍数の自然数をすべて表すことができる。

ⅱ)$n=1$ のとき

$x=3m+5・1=3(m+1)+2$ より、$m+1≧1$ なので$$x=5 \ , \ 8 \ , \ 11 \ , \ …$$

つまり、$3$ で割った余りが $2$ である $5$ 以上の自然数をすべて表すことができる。

ⅲ)$n=2$ のとき

$x=3m+5・2=3(m+3)+1$ より、$m+3≧3$ なので$$x=10 \ , \ 13 \ , \ 16 \ , \ …$$

つまり、$3$ で割った余りが $1$ である $10$ 以上の自然数をすべて表すことができる。

$3$ で割った余りで分類できたため、これ以上実験する必要はない。

したがってⅰ)~ⅲ)より、求める自然数は

$$x=1 \ , \ 2 \ , \ 4 \ , \ 7$$

の $4$ つのみ。

(解答終了)

この問題を解く上での発想のポイントは、$n=0 \ , \ 1 \ , \ 2$ を代入することで規則性が見える点ですね^^

また、以上の話を一般化するとこうなります。

【 $x=am+bn$ に成り立つ性質】
$m$,$n$ を $0$ 以上の整数とする。
このとき、自然数 $a$,$b$ が互いに素ならば、$x$ は $(a-1)(b-1)$ 以上のすべての自然数を表すことができる。

よって、$(3-1)・(5-1)=8$ 以上の自然数をすべて表すことができるので、あとは $7$ までで表せないものを確認していくだけです。

[ふきだし set=”ウチダ”]今の問題を一般化した性質です。示すのはちょっと大変なので、とりあえずここでは「実験して規則性を確かめる」これだけ押さえておけばOKです。[/ふきだし]

整数問題のおすすめ参考書はコレ!

いかがだったでしょうか。

整数問題の難問・良問を解くコツは掴めましたか?

[ふきだし set=”考える女性”]この記事で扱ったような良問をたくさん解いて、力を確実に付けたいわ![/ふきだし]

そういった方にピッタリの参考書。

それが「マスターオブ整数」です。

[ふきだし set=”ウチダ”]この参考書一冊やり込めば、大学受験の整数問題で怖いものはほとんどなくなるでしょう。結構古い書籍ですが、一番オススメな参考書です。[/ふきだし]

良問にたくさん触れ、そしてじっくり考えることで、整数問題と仲良くなっていきましょう♪

「整数の性質」全 25 記事をまとめました。こちらから次の記事をCHECK!!

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コメント一覧 (4件)

  • すみません、先程した質問なのですが、自力で理解、解決できました。

    • とある高校生様

      それはよかったです!
      今後も遊ぶ数学をどうぞよろしくお願いいたします。

  • いつも楽しく拝見しております。
    合同式の利用【2005年数学オリンピック】
    解答の
    ≡3・1+2・1+6・1−6

    ≡3・1+2・1+1−6
    だと思われます。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    • 小林さん、ご指摘ありがとうございます!
      たった今修正いたしました。
      今後とも何卒よろしくお願いいたします。

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