こんにちは、ウチダです。
今日は、微分法の応用の中で最重要なものの一つである
「増減表」
について、その書き方(作り方)や符号(プラスマイナス)の調べ方、また増減表に出てくる矢印の意味など詳しく解説し、最終的にどんなグラフでも書けるようになっちゃいましょう!!!
増減表の前に…
まず、増減表を書く前に、「増減表を書く目的」について考えていきましょう。
これは、ズバリ一言で言えば、
こういうモチベーションになってくるわけです。
現時点(数学Ⅱ履修段階)で書けるのは
- 比例反比例(小6)
- 1次関数(中2)
- 2次関数(数学Ⅰ)
- 三角関数、指数関数、対数関数(数学Ⅱ)
これぐらいですね。
さて、こいつらのグラフが書けるようになったのってどういった経緯でしたか?
きっと、それぞれの関数の性質からどう書けばいいか考えたり、いろんな知識を使ってグラフを書いてきましたよね。
ここで、これらのグラフを“ある共通した方法を用いて書き表せる”となったらスゴくないですか!?
そう、実はその共通した方法というのが…増減表なんですね!
ですから、極端なことを言えば、増減表さえ押さえておけばどんな関数でもグラフを書けるようになる!
ということになります。
では、その共通した方法に何を用いるかというと…ここで「微分」が出てくるわけですね!
増減表=接線の傾きの変化
一言で言ってしまえば、「増減表=接線の傾きの変化」です。
つまり、「接線の傾きの変化」さえ追っていけばグラフは書けますよ!ということになります。
どういうことなのでしょうか…
図を用いて考えていきましょう。
この関数は$$y=x^2+2x-1$$という2次関数です。
今、このグラフ上の点における接線の変化というものをアニメーションにしてみました。
するとどうでしょう。
何かにお気づきではないでしょうか。
そう、「接線の傾きによってグラフの変化の様子が変わる」ということに!!
ある区間において
接線の傾きがマイナス ……グラフはその区間で減少する
接線の傾きが$0$ ……グラフはその区間で一定である
接線の傾きがプラス ……グラフはその区間で増加する
接線の傾きを求める記事を思い出してほしいのですが、接線の傾きは微分係数を求めることで導出しました。
また、微分係数というのは、平均変化率の $x$ の変化量を限りなく $0$ に近づけたものです。
ようは、接線の傾きを求めることで、グラフが次どのような挙動をとるかがわかるということになるのです!
図にまとめるとこうなります。
つまり、増減表とは、「関数 $f(x)$ のグラフの増減を、その導関数 $f'(x)$ の符号の変化を調べることで求める」ための道具であることがわかりました!
では次の章から、実際に増減表を書き、それをもとにグラフを書いてみましょう。
増減表からグラフを書こう!
それでは実際に増減表からグラフを書いてみましょう!
数学Ⅰの知識では、平方完成をすることで頂点を求め、また $x^2$ の係数がプラスより下に凸であることがわかるので、グラフを書いていました。
この問題に増減表を用いるとどうなるのでしょうか。
【解答】
$y=f(x)$とおく。
ここで、導関数の定義より、$$f'(x)=4x+8$$
$f'(x)=0$を解くと、$x=-2$
したがって、増減表は下の図のようになる。
ちなみに、極小値をどう出すかは、
と、 $y=f(x)$ に $x=-2$ を代入すればよい。
(極値については後述。)
また、矢印の意味は、グラフが増加しているか減少しているかを視覚的に表したものである。
よって、 $x=0$ のとき、 $y=13$ であることに注意すると、グラフは以下のようになる。
(終了)
試しに平方完成をしてみると、
今は平方完成でもグラフが書ける2次関数で確認しました。
ではいよいよ、$3$ 次以上の関数を扱っていきましょう!!
$3$ 次関数のグラフは増減表を勉強することで初めて書けるようになる代表例です!
問題 $1$ と同じように、増減表を書いてグラフを求めていきましょう。
【解答】
$y=f(x)$とおく。
ここで、導関数の定義より、$$f'(x)=3x^2-6x=3x(x-2)$$
$f'(x)=0$を解くと、$x=0,2$
したがって、増減表は下の図のようになる。
$$f(0)=3,f(2)=-1$$については問題 $1$ と同様に代入して求めた。
よって、グラフは以下のようになる。↓↓↓
(終了)
いかがでしょうか?
$f'(x)$が2次関数になってしまうので少し考える必要がありますが、 $f'(x)$ は下に凸な $2$ 次関数なので、$$x<0,2<x…f'(x)>0$$$$0<x<2…f'(x)<0$$であることがわかりますね!
これで、$3$ 次関数のグラフが書けるようになりましたね!
同じように行えば、$4$ 次関数、$5$ 次関数も書けるので、ぜひチャレンジしてみて下さい♪
ここで、極値について説明しておきますと…
- 極小値…グラフが減少から増加に移り変わる点での $y$ の値
- 極大値…グラフが増加から減少に移り変わる点での $y$ の値
この2つを合わせて「極値」と表現します。
では最後に、こんな問題を解いてみて終わりにしましょう!
なんだ!簡単そうじゃん!
…と思いきや、実は増減表について深い理解がないと、こういう問題が一番難しく感じてしまうのです。
どういうことなのか、解答を見ていきましょう。
↓↓↓
【解答】
$y=f(x)$とおく。
ここで、導関数の定義より、$$f'(x)=-3x^2$$
$f'(x)=0$を解くと、$x=0$
したがって、増減表は下の図のようになる。
よって、 $x=1$ のとき、 $y=-1$ であることに注意すると、グラフは以下のようになる。
(終了)
皆さんは、問題3と今までの問題2問、どこが違うかわかりましたか?
そう、問題3の関数のグラフは「極値を持たない」のです!!
先ほど、極値の定義を記した際、「移り変わる」に黄色マーカーが引かれていたと思います。
ここがポイントです!
ようは、今回の問題で、 $f'(x)=0$ の解はありますが、その周辺で増減が変化しているかというと、変化していないですよね!!
つまり、まとめるとこうなります!
「$x=a$ で極値をとる」⇒「 $f'(a)=0$ 」だが、
「$f'(a)=0$ 」⇒「 $x=a$ で極値をとる」とは限らない!!
極値をとるならば微分係数は $0$ ですが、微分係数が $0$ だからといって、その点の周辺で符号(増減)が変わっていなければ極値ではないです。ここは本当に要注意ですよ。
増減表を用いた応用問題3選については、新しく記事を用意しましたので、ぜひご参考ください。
増減表に関するまとめ
いかがだったでしょうか。
ぜひ今日の話を活かして、増減表を使いこなし、いろんな関数のグラフが書けるようになっていただきたいと思います。
おわりです。
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