こんにちは、ウチダです。
今日は中学受験算数講座第4回として
「旅人算」
について詳しく見ていきたいと思います。
旅人算の基本は「出会い算」「追いつき算」の $2$ つについてある共通点を見出すことです。
その共通点を見つけることで、今回用意した応用問題 $3$ つもかなり解きやすくなるかと思います。
公務員試験やspiにも出てくる旅人算は勉強しておいて損はありません。
ぜひ最後までご覧ください。
中学受験算数講座第3回の「植木算」に関する記事はこちらから!!
⇒⇒⇒植木算の公式や解き方とは?教え方も図解!【応用問題アリ】【中学受験算数】
旅人算とは?
まずはこちらの図を見ていただきましょう。
↓↓↓
よくドラマなどで、書類を持った新入社員の女性と上司が廊下でぶつかって、そこから恋が芽生えるというシーンがありますよね!
そういう「ある二人が出会う(追いつく)までの時間」を求める計算のことを旅人算と呼びます。
この旅人算ですが、中学受験においてきわめて出題率が高いです。
ですので、まずは基本をしっかりと押さえた上で、応用力を養っていただきたく思います。
旅人算の基本問題の解き方
旅人算には、大きく分けて $2$ 種類あります。
一つは、先ほどの例のように、「二人が出会う」旅人算です。
そしてもう一つは、「一人がもう一人に追いつく」旅人算です。
これらの違いを理解していくには、冒頭で触れたある共通点を見出すことが重要です。
それでは順に見ていきましょう。
出会う旅人算【出会い算】
せっかくなので、$1$ 章で見た問題を解いていきましょう。
旅人算に慣れないうちは、「 $1$ 分(秒、時間、…)後どうなっているか」を考えると分かりやすいです。
↓↓↓
スタート地点では、出会うまでに二人が歩く合計のキョリは $500-80=420$ (m)です。
そこで、$1$ 分間が経過しました。
すると、女の人は分速 $80$ (m)、旅人は分速 $60$ (m)で進むので、二人で合わせて $80+60=140$ (m)進んだことになります。
よって、二人の間のキョリも、$420-140=280$ (m)まで縮まります。
したがって、$1$ 分経過するごとに $140$ (m)キョリが縮まるので、$$420÷140=3 (分)$$つまり $3$ 分後に二人が出会うことが分かりました。
このように、出会い算では「速さの和」がキーポイントになっています。
追いつく旅人算【追いつき算】
では続いて、こんな問題を解いてみましょう。
↓↓↓
※日本語が少しおかしいので訂正します。正しくは「お母さんは”たかし君が”弁当を忘れていることに~」、「~。お母さんがたかし君に追いつくのは何分後でしょうか」です。
今回の問題では、たかし君とお母さんの目指す方向は同じですね。
こういう場合はどう考えればよいでしょうか。
下に答えがありますので、よろしければぜひ解いてから答えをご覧ください。
↓↓↓(答えあり)
【答え】
お母さんが家を出た時間をスタートとして考えると、その時点でのたかし君とのキョリは$$60×6=360 (m)$$離れている。
ここで、$1$ 分経過するごとに、お母さんは $150$ (m)、たかし君は $60$ (m)学校の方向に進むので、$150-60=90$ (m)キョリが縮まる。
よって、$360÷90=4$ (分)より、お母さんはたかし君にちょうど $4$ 分後に追いつく。
(答え終わり)
さきほどのように図で表してみると分かりやすいですね^^
↓↓↓
たて書きの方がわかりやすいかと思い、そうしてみました。
「もともといた位置からどれだけ動いたか」がポイントですね!
ちなみに、今回学校までのキョリを $2$ (km)にしたのは、あまりに近すぎるとお母さんが追いつく前にたかし君が学校に着いてしまうからです。
今回、たかし君は分速 $60$ (m)なので、$2$ (km)を $2000$ (m)に直せば、$$2000÷60=33 あまり 20$$よって学校に着くまで約 $33$ 分かかるので全然問題ないです。
ですので、もし学校までのキョリを $500$ (m)など短くすれば「お母さんが追いつく前にたかし君が学校に着く」という答えのひっかけ問題が作れますね!
お子さんの頭を柔らかくさせるには、こういう問題を一問ぐらい出してみても面白いかもしれませんね^^
旅人算の公式
さて、二つ旅人算を見てきましたので、ここで一度まとめたいと思います。
【出会い算】
※この式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
【追いつき算】
※この式は横にスクロールできます。(スマホでご覧の方対象。)
つまり、出会い算では「速さの和」、追いつき算では「速さの差」を求めればいいわけですね!
ここで、冒頭で触れてきたある共通点をそろそろ発表したいと思います。
それは「相対速度」です。
相対速度というのは、「旅人から見た女の人の速度」とか「たかし君から見たお母さんの速度」とか、ある運動物体から見た他の運動物体の速度のことです。
そしてその相対速度が、出会い算では「速さの和」、追いつき算では「速さの差」で求めることができるわけですね。
もっと身近な例を挙げましょう。例えば「電車」です。
電車に乗っている人は、外から見れば動いていますが、他の電車の中の人からすれば止まって見えますよね。
それは、電車の中の人から見た、電車に乗っている人の速度が $0$ だからです。
もう一つ、「自動車」も分かりやすいです。
時速 $60$ (km)で走っているとき、前の車も時速 $60$ (km)で走っていれば、止まって見えませんか?
それは相対速度が $0$ だからです。
相対速度についての詳しい説明は、Wikipediaのリンクを載せておきますので、そちらをご参照ください。
とにかく、旅人算では「相対速度を求める」ことが重要だと分かりましたね。
旅人算の応用問題の解き方
さて、ここまでで旅人算の基本は押さえていただけたかと思います。
ここからは、少しひねりのある旅人算についてどう考えていけばよいか、$3$ つ問題を用意いたしましたので、一緒に考えていきましょう♪
池の周りで追いつく旅人算
まずは「同じ地点から同じ方向に歩く」旅人算についてです。
基本をしっかり守れば解けると思いますので、考えてみて下さい^^
下に答えがあります。
↓↓↓(答えあり)
【答え】
追いつき算なので、相対速度は「速度の差」によって求めることができる。
よって、$$80-60=20 (m/分)$$これが相対速度である。
また、兄と弟の間のキョリはちょうど一周分、つまり $500$ (m)と考えることができる。(ここがポイント!)
したがって、$$500÷20=25$$より、兄が弟をはじめて追い越すのは $25$ (分)後である。
(答え終わり)
ポイントの部分は赤字のところですね!
今回、兄は弟に再度追いつかなくてはならないので、弟より一周分歩かなければなりません。
よって、「兄と弟の間のキョリ=池の周りの長さ」と置くことができますね。
往復する旅人算【難問】
途中まで姉と妹の進行方向は同じですが、姉が駅に着いてからは逆になります。
ここがこの問題の難しいところですね。
でも「出会い算」ですから、出会い算の基本である「速さの和」を使いたいですよね!
ではどうすればいいでしょうか。下に答えがあります。
↓↓↓(答えあり)
【答え】
以下の図のようにして考える。
よって、二人の間のキョリが $1200×2=2400$ (m)で、速さの和が $120$ (m/分)の出会い算になるので、$$2400÷120=20 (分)$$
したがって、二人が出会うのは $20$ (分)後である。
(答え終わり)
いかがでしょうか。
こうしてみると、難問のはずなのにとても簡単に思えますよね!
これと同じふうにして、次の応用問題も解くことができます。
往復して2回目に出会う旅人算【難問】
さきほどの問題と異なる点は、「姉と妹の出発地点が違う」ところと「2回目に出会う時間を求める」ところですね。
しかし、この問題もさきほどの発想を用いれば簡単に解くことができてしまいます!
では答えにうつります。
↓↓↓(答えあり)
【答え】
以下の図のようにして考える。
よって、二人の間のキョリが $1200×3=3600$ (m)で、速さの和が $120$ (m/分)の出会い算になるので、$$3600÷120=30 (分)$$
したがって、二人が出会うのは $30$ (分)後である。
(答え終わり)
今度は道を $3$ 倍して、それを図に表すことで、見事に簡単な旅人算になりました♪
この図だと、1回目に出会う地点は求めることが出来ませんが、今回聞かれているのは2回目に出会う地点ですので、まったく問題ありませんね。
このように、往復する旅人算は、図を工夫して書くことで「出会い算」に持っていくことができます。ぜひたくさん練習していただきたいです^^
【和差算】公務員試験やspiにも出題される旅人算
旅人算は問題パターンが豊富ですので、すべてを紹介することはできません。
しかし、この記事でまとめてある基本をしっかり押さえることができれば、かなり解きやすくなるのは間違いないです。
※その証拠として、公務員試験やspi(リクルートが提供している総合適性検査)といった、大学生や大人が受ける試験にも、旅人算は出題されています。
ただ、そういう試験に立ち向かっていく上でもう一つ、押さえておきたい知識があります。
それが「和差算」と呼ばれるものです。
↓↓↓
このように、「速さの和」と「速さの差」が分かっているとき、なんとそれぞれの速さを求めることができるのです!
解答は、兄の方が速いとして、兄の歩く速さは$$(12+2)÷2=7 (m/分)$$
弟の歩く速さは$$(12-2)÷2=5 (m/分)$$となります。
この原理を理解するためには、中学生で習う「連立方程式」を勉強すると良いです。
ですので、中学受験をされるお子さんには、文字を $x、y$ と置く代わりに $□、△$ などを使って教えていただきたいと思います。
「連立方程式」に関する記事はこちらから!!
⇒⇒⇒連立方程式の解き方とは?代入法か加減法で計算しよう!【分数の問題や文章題アリ】
「和差算」の理解にはこちらの記事もオススメです。
旅人算に関するまとめ
今日は旅人算について、基本的なパターン「出会い算」と「追いつき算」の解き方を理解し、それを応用して往復する旅人算などの問題を解いてきました。
速さの問題は理科の物理でも出題されますので、これからいろんなところで目にするかと思います。
ですので、今のうちに「相対速度」という考え方を知っておくことは重要です!
ぜひ勉強を進めていってください^^
中学受験算数講座第5回の「仕事算」に関する記事はこちらから!!
↓↓↓
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