こんにちは、ウチダです。
今日は中学受験算数講座第5回として
「仕事算」
について詳しく見ていきたいと思います。
仕事算のポイントはただ一つ。それは「仕事量を自分で決められる」ところです。
算数や数学というのは定義次第で簡単にも難しくもなります。
今日はそれを応用問題である水槽算などの解き方を通して、感じていただければと思います。
中学受験算数講座第4回の「旅人算」に関する記事はこちらから!!
⇒⇒⇒【旅人算の解き方まとめ】公式から応用問題3選までわかりやすい解説!【中学受験算数】
仕事算とは?
まずはこちらの問題をご覧ください。
↓↓↓
仕事算とは、読んで字のごとく「一人一人が行える仕事量が決まっているとき、共同作業によってどのぐらい時間を短くできるか」求めることを言います。
ではこの問題をどうやって考えて解けばいいでしょうか。
仕事算の解き方のポイント
仕事算の解き方は、大きく分けて $2$ つあります。
まずは一般的な方法で、次に少し工夫した方法でこの問題を解いてみましょう。
分数を使うやり方【比】
先ほどの問題で、「ある仕事」が出てきましたね。
その仕事の量を、今回 $1$ として話を進めていきます。(ここがポイント!)
すると、Aさんの一日の仕事量は $\frac{1}{20}$、Bさんの一日の仕事量は $\frac{1}{30}$ となりますね。
よって、二人の一日での仕事量は、
と求めることができます。
したがって、仕事量 $1$ をこなすには、$$1÷\frac{1}{12}=1×12=12$$より、$12$ (日)かかることが分かりました。
直感ではなくしっかり計算をしないと、$12$ (日)かかるという正しい答えは導けそうにないですね。
ポイントはやはり、「仕事量を自分で決められる」ところです。
仕事の量って、多いとか少ないとかはありますけど、「これで $100$ ですよ~」とかそういう絶対的な基準となるものはありませんよね。
よって、問題に応じて自由に決められる、となるわけです。
分数の計算と比についての記事でもこの考え方を解説していますので、よろしければこちらも合わせてご覧ください。
⇒参考.「分数の足し算引き算掛け算割り算のやり方まとめ!ポイントは比の考え方とうまく結びつけること!」
ではここで、「仕事量は自分で自由に決めてよい」という事実を、もう少し上手く使ってこの問題を解いてみましょう。
最小公倍数を使うやり方
さきほどのやり方では、全体の仕事量を $1$ にしたことによって、分数が出てきてしまいました。
すると、計算に通分が出てきたり、分数の割り算が出てきたり、難しくなってしまいます。
そこで、全体の仕事量を、$20$ と $30$ の最小公倍数である $60$ と置いてみて話を進めていきましょう。
すると、Aさんの一日の仕事量は $60÷20=3$、Bさんの一日の仕事量は $60÷30=2$ となりますね。
よって、二人の一日での仕事量は、$$3+2=5$$
と求めることができます。
したがって、仕事量 $60$ をこなすには、$$60÷5=12$$より、$12$ (日)かかることが分かりました。
当然ですが、先ほどと同じ結果になりますね。
このように、最小公倍数を利用して全体の仕事量をおくことで、AさんBさんそれぞれの仕事量が整数で表せるため、計算がグッと楽になります。
こういう考え方は日常生活においても大切です。
また受験では特に、計算をいかに速く行えるかによって合否が分かれると言っても過言ではありません。
計算を素早く行う工夫は、いついかなる時でも考えられるようになるといいですね♪
仕事算の公式(コツ)とは?
「仕事算 公式」でGoogle検索をされている方が多いので書きますが、仕事算には公式よりも大切なことがあります。
それは、先ほどから何度も申している通り、「仕事量を自分で決められる」ということです。
公式よりなぜ重要かというと、仕事算には多くの種類があり、場合に応じて解き方を柔軟に変えていかなければいけないからです。
例題を見てみましょう。
↓↓↓
※一人ができる仕事量は皆同じであるとする。
こういう問題の場合は、仕事の全体量を決めても上手くいきません。
ではどうするか。
「 $1$ 人が $1$ 時間でできる仕事量を $1$ 」としてみましょう。
すると、全体の仕事量は、一文目より、$$3×8×4=96$$と求めることができます。
よって、$4$ 人が一日 $5$ 時間働いて $□$ 日で終わるとすると、$$4×5×□=96$$という式が成り立ちます。
したがって、$$□=\frac{96}{20}=\frac{24}{5}=4.8$$より、$4$ 日では終わらず $5$ 日で少しの余裕をもって終わることが分かりました。
答えは $5$ (日)となります。
このように、仕事の全体量ではなく、一番少ないと考えられる仕事量を $1$ とすることで解ける問題も多くあります。
また、基準となる時間のことを「単位時間」と呼ぶことも押さえておきましょう。
今回で言えば、一時間を単位時間としていますね。
まとめは記事の最後にて行いますので、ここからは応用問題を解いていきましょう。
仕事算の応用問題の解き方
仕事算の基本は押さえられたでしょうか。
この章では、水槽算や $3$ 人の仕事算について考えていきます。
水槽算
このような問題を「水槽算」と呼ぶこともありますが、解き方は仕事算と全く一緒です。
だって、仕事が水を入れることに変わっただけですからね。
さて、少し問題を難しくしてみました。
この問題を序盤に解説した方法 $2$ つで解いてみましょう。
【解法1】
容器が満たされたときの水の量を $1$ とする。
すると、A菅が一時間で入れる水の量は $\frac{1}{3}$、B管が一時間で入れる水の量は $\frac{1}{5}$ となる。
ここで、最初の一時間はA管のみを使うので、$$1-\frac{1}{3}=\frac{2}{3}$$これがA管B管両方使って入れる水の量である。(ここがポイント!)
また、両方の水道管を使って一時間で入れる水の量は
よって、$\frac{5}{4}$ 時間で容器が満たされることが分かった。
一時間は60分なので、答えは$$1+\frac{5}{4}=2時間15分$$となる。
(解法1終わり)
少し難しくなっている点が「ここがポイント!」の部分です。
また、$1$ 時間 = $60$ 分なので、$\frac{1}{4}$ 時間 = $15$ 分となるところも気をつけましょう。
最初の一時間の足し忘れにも注意です!
【解法2】
容器が満たされたときの水の量を $3$ と $5$ の最小公倍数である $15$ とする。
すると、A菅が一時間で入れる水の量は $15÷3=5$、B管が一時間で入れる水の量は $15÷5=3$ となる。
ここで、最初の一時間はA管のみを使うので、$$15-5=10$$これがA管B管両方使って入れる水の量である。(ここがポイント!)
また、両方の水道管を使って一時間で入れる水の量は$$5+3=8$$より、$$10÷8=\frac{5}{4}$$
あとは解法1と同様である。
(解法2終わり)
やはり最小公倍数を用いた方が計算がグッと楽になりますね!
3人で1人休む仕事算【難問】
さて、この記事の中で一番難しいと思われる問題です。
まずは仕事の全体量を最小公倍数を用いて表してみましょう。
ポイントは「Cさんが休んだ」ことをいかにして表現するかです!
下に答えがあります。
↓↓↓(答えあり)
【答え】
全体の仕事量を最小公倍数を用いて $24$ とおく。
すると、Aさんの一日の仕事量は $3$、Bさんの一日の仕事量は $2$、Cさんの一日の仕事量は $4$となる。
よって、3人で働いたときの一日の仕事量は $3+2+4=9$、AさんとBさんで働いたときの一日の仕事量は $3+2=5$である。
ここで、以下のような面積図を考える。
↓↓↓
したがって、青色で示した部分を求めることができたので、Cさんが休んだ日数は$$4-1=3 (日)$$となる。
(答え終わり)
面積図を用いると簡単に解くことができますね!
面積図の使い方は「つるかめ算」の記事でも解説しております。
⇒⇒⇒「つるかめ算の解き方を方程式や面積図を使ってわかりやすく解説!【中学受験】【練習問題アリ】」
公務員試験やspiにも出てくる仕事算
旅人算の記事でもお話しているのですが、仕事算も公務員試験やspi(リクルート提供の総合適性検査)で必ずと言っていいほど出題されています。
ですので、中学受験を受ける方もそうでない方も、勉強しておいて損はありません。
ここで突然ですが、もう一問ほど解いておきましょう。
※一人ができる仕事量は皆同じであるとする。
さて、この問題はどう解くんでしたっけ…?
下に答えがあります!
↓↓↓(答えあり)
【答え】
「 $1$ 人が $1$ 時間でできる仕事量を $1$ 」とすると、全体の仕事量は$$8×6×3=144$$とおくことができる。
ここで、$12$ 人が□時間働くのを $4$ 日繰り返したとすると、$$12×□×4=144$$
よって、$□=3$ と求めることができる。
したがって、答えは $3$ (時間)である。
(答えあり)
それでは、最後にまとめをして終わりたいと思います♪
仕事算に関するまとめ
今日は仕事算の問題を計 $5$ 問解いてきました。
なんとなく解き方はつかめたでしょうか?
ずっとお伝えしてきた通り、仕事算のポイントは「仕事量を自分で決められる」ところですが、その決め方が問題によって大きく分かれます。
まず、水槽算などの問題で見たように、「仕事をする人(物体)それぞれの能力が違うとき」は、全体の仕事量を $1$ もしくは最小公倍数を用いて置きました。
しかし、さっきの問題などで見たように、「仕事をする人(物体)それぞれの能力が同じであるとき」は、単位時間あたりの仕事量を $1$ と置きました。
ここもすごくポイントであると私は思います。
以上のことをまとめます。
↓↓↓
1人1人の能力が違う ⇒ 全体の仕事量を $1$ もしくは最小公倍数で置く。
1人1人の能力が同じ ⇒ 単位時間あたりの仕事量を $1$ と置く。
最後にまとめたのには訳があります。
それは、「この基本を自らの手で見つけてほしい」と思ったからです。
基本や公式というのは、何も元からあるものではありません。
先人たちが「どうやってこの問題を解こう…」と考え抜いてきた結果まとめられているものなのです。
なので、この基本を最初に紹介してしまうと、ただただ覚えるだけの学習になってしまう恐れがあったため、あえて最後にもってきました。
ここまでいろいろな仕事算を一緒に解いてきましたので、この基本はスッと入ってくるかと思います。
この基本を大切に、いろんな問題を解いて応用力をつけていただきたいと思います。
もちろんですが、この基本だけでは解けないような問題も作ろうと思えば作れます。
たとえば、 $3$ 人での仕事算の問題では面積図を使いましたよね。
他には、仕事を邪魔する存在を入れる問題などがありますが、そうなると仕事算ではなく「ニュートン算」と呼ばれるものになってしまうので、この記事では解説を省きます。
以上 $5$ 回にわたって「中学受験」に関する記事を挙げてきましたが、いかがだったでしょうか。
もし好評の声が多ければ、続きを書いていきたいと思いますので、ぜひご気軽にコメントなど残していってください♪
「中学受験を考えているけど、どうやって算数を対策していけばいいかわからない…」という方は、ぜひRISU算数というタブレット教材をご検討ください。
コメントを残す