こんにちは、ウチダです。
小学校の算数で習う「仮分数(かぶんすう)」「帯分数(たいぶんすう)」「真分数(しんぶんすう)」について、しっかりと違いを説明できる人は思った以上に少ないのではないでしょうか?
また、仮分数や帯分数は問題にしやすいため、応用問題もたくさん出題されやすいです。
仮分数・帯分数・真分数…。聞いたことはあるけど、違いについてちゃんと考えたことなかったなぁ。
[/ふきだし]「仮分数から帯分数に直す方法」などについても解説してほしいわ。
[/ふきだし]ということで本記事では、仮分数・帯分数・真分数の違いから応用問題4選まで
- 東北大学理学部数学科卒業
- 実用数学技能検定1級保持
- 高校教員→塾の教室長の経験あり
の僕がわかりやすく解説します。
仮分数・帯分数・真分数とは?【違いをわかりやすく解説】
まずは言葉の意味をしっかりと理解しましょう!
・仮分数 … 分子が分母より大きい、または等しい分数のこと。
・帯分数 … 整数と真分数の足し算で表される分数のこと。
・真分数 … 分子が分母より小さい分数のこと。
つまり簡単にまとめると、
- 仮分数と帯分数は1以上の分数
- 真分数は1より小さい分数
となります。
なるほど!わかってしまえば簡単なんだね!ところで、帯分数はどうやって表記するの?
[/ふきだし]たとえば $\displaystyle 1\frac{3}{5}$ のように、整数と真分数をまとめて書きます。この例であれば「 $1$ と $5$ 分の $3$ 」というふうに読み、意味は $\displaystyle 1+\frac{3}{5}$ です。
[/ふきだし]分数の横に“帯のように”整数がくっついていることから「帯分数」と呼ぶのではないか、とウチダは考えてます。
では今までの内容が身に付いているか、例題で確認してみましょう。
例題1.次の数が仮分数、帯分数、真分数のうちどれに当てはまるか答えなさい。
(1) $\displaystyle \frac{4}{7}$
(2) $\displaystyle \frac{13}{6}$
(3) $\displaystyle 2\frac{1}{6}$
(4) $\displaystyle \frac{10}{10}$
全問正解できましたか?
ここで、
- (2)と(3)の分数って同じ数だよな~。
- (4)の分数って、つまり $1$ のことだよな~。
と気づいたあなたは、勘が鋭いです!
ここからは、以上を踏まえてよく出る応用問題について解説していきます。
仮分数・帯分数の応用問題4選
最初にお伝えしておきますが、真分数の応用問題はまずありません。
なぜかというのは、問題を解いていくうちに理解していくことなので、とりあえず
- 仮分数を帯分数に直す問題
- 帯分数を仮分数に直す問題
- 帯分数の足し算引き算
- 帯分数の掛け算【発展】
以上 $4$ 問を順に解いていきましょう!
仮分数を帯分数に直す問題
問題1.次の仮分数を帯分数に直しなさい。
(1) $\displaystyle \frac{13}{6}$
(2) $\displaystyle \frac{33}{5}$
さて、仮分数と帯分数はどちらとも $1$ 以上の分数でした。
ということは…
- 仮分数は帯分数で表せるはずだし、
- 帯分数は仮分数で表せるはず。
つまり、 $1$ 以上の分数に対しては仮分数と帯分数の $2$ 通りの表し方があるはず、ですよね!
ではまず、仮分数を帯分数に直す方法について学んでいきましょう。
帯分数に直す方法は理解できましたか?
仮分数に含まれる整数部分は、分母の数を見て判断しましょう。
たとえば分母が $7$ であれば、
- $\displaystyle \frac{7}{7}=1$
- $\displaystyle \frac{14}{7}=2$
- $\displaystyle \frac{21}{7}=3$
- $\displaystyle \frac{28}{7}=4$
- …
と、分子が $7$ の倍数のときに $1$ ずつ大きくなります。
ここに気づいてしまえば解けますね!
[/ふきだし]帯分数を仮分数に直す問題
問題2.次の帯分数を仮分数に直しなさい。
(1) $\displaystyle 2\frac{3}{4}$
(2) $\displaystyle 12\frac{3}{11}$
帯分数を仮分数に直すポイントは、「整数の部分を分数で表すとどうなるか」ここです。
ぜひ一度解いてみてから解答をご覧ください。
以上 $2$ 問を解いてみて、いかがでしょうか?
最初にお伝えした「真分数の応用問題はほとんどない理由」がわかりましたか?
真分数は $1$ より小さい分数だから、整数部分がないです。つまり問題1と問題2のような「整数部分をどうにかする」という発想自体がないわけですね!
[/ふきだし]その通り!逆に言えば仮分数・帯分数の違いは「整数部分をどう表すか」ここだけなので、ここについての問題がよく出されやすい、ということになりますね。
[/ふきだし]以上 $2$ 問が、応用問題の中で一番基本となる問題です。
必ず押さえておきましょう。
帯分数の足し算引き算
問題3.次の計算をして、帯分数で答えなさい。
(1) $\displaystyle 3\frac{4}{5}+2\frac{1}{2}$
(2) $\displaystyle 4\frac{1}{6}-1\frac{5}{9}$
さて、お次は帯分数の計算問題です。
帯分数でも仮分数でも分数の一種なので、“約分や通分”が重要になってきます。
この問題は $2$ 通りの解法があるので、順に見ていきましょう。
ここでのポイントを簡単にまとめておきます。
このポイントを読んで理解できる人は、ぜひこの解法で問題を解いていってください。
「ちょっとややこしい…」と感じる方は、次の解答例その2の方法がおすすめです。
解答その1でややこしいところは「帯分数の繰り上げ(繰り下げ)の部分」しかないので、
「じゃあそもそも仮分数にしてから計算すればいいじゃん」
という発想で生まれた方法が、解答その2です。
システマチックに計算できるので、一見楽に見えますが…
というデメリットもあります。
なので計算に慣れないうちは、解答1と解答2両方の方法で解いてほしいのですが、慣れてきたら解答1の方法のみでOKです。
[/ふきだし]ぜひ $2$ つの方法をマスターしておいてくださいね。
約分・通分についての解説記事はこちら!
約分・通分とは~(準備中)
帯分数の掛け算【発展】
問題4.次の計算をして、帯分数で答えなさい。
$\displaystyle 1\frac{2}{5}×2\frac{1}{3}$
さて、次は帯分数の掛け算ですが…
帯分数の本質を理解しているかどうかが問われます。
本質を知るために、まずはよくある間違い方から見ていきましょう。
整数部分で $1×2=2$,分数の部分で $\displaystyle \frac{2}{5}×\frac{1}{3}=\frac{2}{15}$ を計算してるんだね。
[/ふきだし]間違い方を分析できていて良いですね!こういう力も数学では重要です。では次に「なぜこの解答が間違いなのか」考えていきましょう。
[/ふきだし]帯分数の掛け算の本質は「○○法則」だ!!
結論を言ってしまいましょう。
帯分数の掛け算は「分配法則」によって成り立っています。
≫参考記事:分配法則のやり方とは?小学生でもわかる教え方(説明)や証明を解説!【分数や割り算も考察】
帯分数の形で書かれると分かりづらいですが、こう書かれたらどうでしょうか?
問題4’.次の計算をしなさい。
$\displaystyle (1+\frac{2}{5})×(2+\frac{1}{3})$
帯分数とは、整数部分と真分数部分の和をまとめて書いたもの、と説明しましたね。
なので本質的には上記の計算になるので、あとは分配法則で計算すれば正しい答えが導けるわけです。
帯分数だと面倒くさいけど…
さあ、察しの言い方はお気づきでしょうか。
帯分数だと分配法則を使う必要があるので面倒くさいですが、では仮分数に直したらどうでしょうか?
ということで、早速やってみましょう!
…はい、メチャクチャ簡単に計算できましたね。
仮分数であれば、$2$ つの数が足し算でつながっているわけではないので、分配法則を使う必要がありません。
ということで、小学生の皆さんには残念なお知らせですが、このような理由があり中学以降の数学では帯分数を使う場面はまずありません。あくまで一つの教養として押さえておきましょう。
[/ふきだし]仮分数・帯分数・真分数に関するまとめ
それでは最後に、本記事のポイントをまとめます。
- $1$ より大きい分数には、仮分数と帯分数という $2$ 通りの表し方がある。
- 仮分数を帯分数に(帯分数を仮分数に)直す問題は解けるようにしておこう。
- 仮分数の方が計算をする上で便利なため、中学以降の数学では帯分数はめったに出てきません!
言葉の定義をしっかり理解し、説明できるスキルは数学においてかなり重要です。
今後出てこないからと言ってあなどるべからず!しっかりとマスターしておきましょう。
おわりです。
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